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近藤崚太(さいたまブロンコス)|“無所属の崖っぷち”から這い上がった3&Dの矜持と再起の軌跡

イントロダクション:崖っぷちからの帰還

「21-22シーズンの開幕までに契約が決まらなければ、バスケットは一切やめる」。そう腹を括った無所属の一年(2020-21)を経て、3ポイントシューターとして再浮上し、いまB3・さいたまブロンコスの背番号22を背負うのが近藤崚太だ。高校は浜松商業、大学は常葉大学。プロの門を叩いたのは2019年の特別指定(三遠ネオフェニックス)から。そこから静岡、長崎、東京Z、香川を渡り歩き、2025-26に埼玉へ。紆余曲折のキャリアは、ひとりの“3&D(3ポイント&ディフェンス)”型ウイングが、結果と自分のスタイルを同時に磨き上げてきた証左である。

プロフィール:基本情報とプレースタイルの要点

  • 氏名:近藤 崚太(こんどう りょうた)
  • 生年月日:1996年8月12日(29歳)
  • 出身:静岡県湖西市
  • 身長/体重:190cm / 85kg
  • ポジション:シューティングガード(SG)
  • 現所属:B3 さいたまブロンコス(No.22)

プレースタイルは端的に“3&D”。キャッチ&シュートのテンポが速く、0.5秒の意思決定で放つ高確率のスポットアップと、ライン際のリロケートで射程を確保するのが武器だ。守備ではウイング周辺のナビゲート、ボールに対するアグレッシブなコンテスト、ヘルプ・スクラムの判断が光る。ボール支配時間は長くないが、スペーサーとしての価値を最大化し、オフェンスの幅を拡張するタイプである。

キャリア年表:停滞と加速の繰り返し

  • 2019(特別指定):三遠ネオフェニックスに登録。トップのスピード感に触れたが、出場は1試合にとどまる。
  • 2019-20:ベルテックス静岡(B3)でプロキャリア本格始動。平均7.8点、3P% .346。試合経験と役割の輪郭を獲得。
  • 2020-21:無所属。契約が決まらない現実と向き合い、引退も覚悟。トレーニングと待機の狭間で“やるか、やめるか”の自分に決着をつける。
  • 2021-22:長崎ヴェルカ(B3)に加入。1試合10本の3P成功という象徴的な爆発で、優勝とB2昇格に貢献。
  • 2022-23:長崎(B2)。度重なるケガで出場は21試合・平均1.8点。悔しさを抱えつつ、再構築の年。
  • 2023-24:アースフレンズ東京Z(B3)へ。平均8.9点、3P% .383、FT% .811と効率の良さを回復。
  • 2024-25:香川ファイブアローズ(B3)。出場51試合、3P% .321ながらFG% .500、FT% .878。起用法の変化にも順応。
  • 2025-26:さいたまブロンコス(B3)。“必要なところに、必要なシュートを”打てるウイングとしての完成形を目指す。

スキルディテール:シュートメカニクスと守備の骨格

オフェンス:最大の強みはキャッチ&シュート。ボール準備(ショットポケット)からの一連の動作がスムーズで、出し手の視野を狭めないパッシングラインに位置取るセンスがある。コーナーでのショートクロースアウト攻め(ワンドリ・ミドルレンジ、またはショートロールマンへのキック)は、“打つと見せて追い越す”二択で的を絞らせない。ベースラインドリフトのタイミングも良好で、ボールサイドの渋滞を避けながら射程を確保できる。

ディフェンス:オンボールではファーストステップの抑制、ナッジ程度の身体接触でドライブラインをずらす。オフボールではトップサイド・ボトムサイドの優先順位を理解し、ナビゲート+ショルダーファイトでの追従に長ける。パスラインのベタつきすぎを避けるタイプで、スティールよりも“遅らせて助ける”遅延守備を重視する。

“無所属の一年”が与えた意味:意志決定の質と危機管理

2020-21の無所属期間は、単にキャリアが止まった時期ではない。いつ声がかかるかわからない状況でコンディションを維持し続けたことは、結果に直結しにくい努力を積み上げるメンタルの養成だった。そこからの長崎加入、そして記憶に残る10本の3Pは、準備と機会が交差した瞬間である。危機をくぐった選手は、判断の“怖さ”に鈍感にならない。必要なところで打つ勇気を持ち、必要のないところでは控える慎重さも併せ持つ――近藤のシュート選択には、そのバランス感覚が宿る。

数字で読む価値:効率・役割・ラインナップ適合

  • 東京Z(2023-24):FG .485 / 3P .383 / FT .811、PPG 8.9、先発35/38。高いスターター稼働率と効率を両立。
  • 香川(2024-25):FG .500 / 3P .321 / FT .878。3P精度は揺れたが、総合効率(TS%)はFTの優秀さが補填
  • 長崎(2021-22, B3):PPG 7.5、3P .333。“大当たりの日”の天井値を証明(10本成功)。

役割適合としては、ハイボリュームの一次創出者の隣で価値が跳ねるタイプ。ボールスクリーナーを介したズームアクション(DHO+ピンダウン)やスプリットに絡むと、ディフェンスのヘルプ優先順位を乱し、コーナーのクリーンルックを獲得しやすい。ラインナップ設計では、ペイントタッチ役×近藤×ショートロールで配球できるビッグの三位一体が機能する。

メンタルとルーティン:ゲン担ぎは“整える”作法

学生時代のルーティンとして「前夜はカレー」「会場入りは右足のかかとから」といったゲン担ぎをしていたという。迷信と侮るなかれ。ルーティンは状態を可視化する装置であり、平常心を再現する手順書でもある。無所属・ケガ・役割変動――環境が揺れるときほど、一定の行動がパフォーマンスの基準点になる。近藤のメンタルは、経験則と手順によって“揺れ幅”を制御してきた。

周辺人物・コミュニティ:愛称「コン太」と“遊んでくれる人”

愛称は「コン太」。ベルテックス静岡のマスコット・ベルティからは「会場で一番遊んでくれる人」と言われるムードメーカーでもある。3&Dは往々にして“地味な貢献”が多いが、人の輪をつくる空気もまた、チームの不可視の勝因だ。勝敗は技術と戦術だけで説明できない。人間関係の密度が、守備の一歩・カバーの0.2秒・声かけの厚みを変える。

さいたまブロンコスでの期待値:必要なところで必要な一撃を

ブロンコスで求められるのは、ショットセレクションの厳密さウイング守備の安定供給だ。終盤のクラッチでは、相手がペイントを絞った瞬間のコーナー/45度での決定力が勝負を分ける。セカンドユニットでは、ディフェンス→早い3Pの2本柱で一気に流れを変える役回りも視野に入る。守備では、相手のスペインPNRズームに対するコミュニケーション主導のナビゲート役が最適解だ。

比較事例:同型プレーヤーと強み・弱みの棚卸し

  • 強み:キャッチ&シュートの速さ、フリースロー精度、オフボールの位置取り、守備の“遅らせる”知恵。
  • 課題:ハンドラーとしての創出量、オフスクリーン後のワンドリ・プルアップの再現性、3P精度の年次波。
  • 改善仮説:ホーンズ・フレアダブルドラッグ背抜けへ関与を増やし、着地姿勢からのワンドリを“逃げ道”でなく“選択肢”に昇華させる。

データ断章:3P試投と効率の相関(概念メモ)

3P%は前後の試合で振れやすい。一方で「良いミス」(ショットクオリティが高い外れ)は、次のポゼッション価値を上げる。コーナーのクリーンルックを量産し続ける設計――たとえば、ドライブ→ベースラインドリフト→キックアウトの自動化は、選手の波を戦術で平滑化する方法だ。近藤はその“自動化”の受け手として、マクロにチームの効率を上げる。

メディア・ファンの反応:懐に入るタイプのプロ

ファンコミュニケーションの距離が近く、現場では子どもたちに囲まれるタイプ。メディア受けする華やかさより、会場に行くと好きになる選手という文脈だ。無所属、ケガ、役割の揺れ――物語性をまとった選手は、地域密着のBリーグにおいてクラブの“物語装置”でもある。さいたまで新章を迎え、勝つこと語り継がれることの両立に挑む。

3×3視点の応用:共創・心理的安全性・0.5秒

3×3では、3&Dの“D”に当たる的確なコンテストと、トランジションでの即断即決の3Pが価値を持つ。少人数ゆえに、ミスを責めない心理的安全性が意思決定の速度を上げ、0.5秒ルール(打つ・ドライブ・パスを0.5秒で決める)の実装率が勝率に跳ね返る。近藤の資質は、3×3のズームDHOゴーストスクリーンにおいても威力を発揮しやすい。

将来展望:完成形は“静かなフィニッシャー”

キャリアの成熟期に入る29歳。爆発力の“日替わり”ではなく、必要十分の一撃を静かに積み上げる安定解を磨きたい。年間を通じて3P% .370前後を維持し、クラッチの期待値ショットを落とさない。守備ではファウル管理とポジショニングの精緻化を進め、±0を+2に変える職人仕事を増やす。チームがプレーオフを狙うには、こうした“静かな積み増し”が最短距離だ。

まとめ:必要な瞬間に、必要な距離から

近藤崚太の価値は、派手なボリュームでは測れない。必要な瞬間に、必要な距離からシュートを放ち、守備で相手のテンポを“遅らせる”。無所属の一年、ケガの季節、役割の揺れ――それらをくぐって残ったのは、自分の仕事を知ること仲間の仕事を助けることだ。さいたまブロンコスで迎える新章、コーナーと45度の沈黙が、ときにアリーナを揺らす歓声へと変わる。最後に残るのは、数字と、仲間の信頼と、コートに刻まれた一発の3ポイントだ。

読者アクション

  • 試合会場では近藤のオフボールの動きに注目してみよう。コーナーでのリロケート、ベースラインドリフトは“通の見どころ”。
  • 配信観戦ではクラッチタイムのポゼッション選択をチェック。打つか、止めるか、パスか――0.5秒の決断が勝敗を分ける。
  • ブロンコスのファンは、#コン太の一撃でSNSに勝負の3Pを共有し、チームの物語を一緒に紡ごう。

小西聖也|洛南から関学、そしてBリーグへ──アシスト王が導く“チームを生かす”バスケット

関西が育んだ司令塔、小西聖也とは

小西聖也(こにし せいや、1999年12月28日生まれ)は、大阪府出身のプロバスケットボール選手。身長184cm・体重79kgのガードとして、B3リーグ・さいたまブロンコスに所属している。高校時代は全国屈指の強豪・洛南高校、大学では関西学院大学で活躍し、学生時代から“アシストマスター”として知られた存在だ。

彼のプレースタイルを一言で表すなら「ゲームメイカー」。スピードや得点力だけでなく、味方を生かす判断力に長け、試合の流れを読む力は同世代でも群を抜いていた。関西学院大学在学中には、関西学生リーグで複数のアワードを受賞。2019年度の関西新人戦ではMIP賞とアシスト王を同時受賞し、2021年度にはリーグ優秀選手賞とアシスト王の二冠を達成している。

高校時代:洛南高校で磨かれた基礎力

洛南高校時代、小西は全国屈指の強豪環境で“チームを動かすガード”としての土台を築いた。徹底したディフェンス意識、規律あるオフェンス、そして味方との連携を重視する洛南バスケットの哲学が、彼のプレーメイク能力を支えている。
得点に走るよりも、味方を活かし試合をコントロールする姿勢は、すでに高校時代から明確だったという。

大学時代:関西学院大学で開花した視野と創造性

関西学院大学に進学後、小西はチームの司令塔として着実に存在感を高めた。アシストの精度とリズムを操る能力に加え、リーダーシップと冷静な試合運びが評価され、チームの中心としてリーグ上位進出を牽引。
特に2021年シーズンには、関西学生リーグで平均アシスト数トップを記録し、「関西学生リーグ優秀選手賞」と「アシスト王」をダブル受賞する快挙を達成。大学バスケ界でも屈指のゲームコントローラーとして知られるようになった。

プロ入り:京都ハンナリーズでの挑戦

2022年1月、小西はB1の京都ハンナリーズと特別指定選手契約を締結。大学在学中ながらプロの舞台に立ち、スピードと視野を武器に限られた出場時間の中でも確かなインパクトを残した。
卒業後は正式に京都とプロ契約を結び、B1リーグでの経験を重ねていく。ハンナリーズでは控えガードとしての役割を担いながらも、トランジションの起点やチームオフェンスのテンポメイクに貢献。シーズンを重ねるごとに成長を見せた。

京都時代の彼を知る関係者は、「彼は派手さよりも堅実さ。状況を読み、最もチームが得点しやすい形を作るタイプ」と評している。コート上での落ち着きと判断力は、若手選手として際立っていた。

2025年:さいたまブロンコスで新たなステージへ

2025年6月、小西はB3リーグ・さいたまブロンコスへの移籍を発表。京都で培った経験をもとに、チームの司令塔として新たな挑戦をスタートさせた。ブロンコスは若手育成とスピーディなバスケを掲げるクラブであり、小西の“パスとリズム”を重視するスタイルとは相性が良いとされている。
加入発表時、チーム公式サイトでは「視野の広さとリーダーシップで、チームに新しい風を吹き込んでくれる」と期待の声が寄せられた。

プレースタイル分析:判断力とテンポコントロール

小西の最大の強みは「判断の速さ」と「テンポのコントロール」。ピック&ロールでの読み、キックアウトパスの精度、ドライブからのディッシュなど、現代的なガードに求められるスキルを高水準で備えている。
また、チームメイトの特徴を理解してパスを配る“チームファースト”の姿勢も特徴的だ。自らが得点するよりも、チームが効率よく機能することを優先するタイプであり、試合終盤には確実に試合のリズムを掌握する。

一方で、B1での経験を経て課題として挙げられたのは、フィジカル強度とディフェンス面での安定感。だが、184cmというサイズと体の強さを活かした守備力も徐々に評価を上げており、ブロンコスでは攻守両面での貢献が期待されている。

関西出身ガードの系譜と未来

関西学院大学出身のプロバスケ選手は、かつてに比べて増加傾向にある。小西もその一人として、大学バスケからプロへの“関西ルート”を切り開いた存在だ。彼の活躍は、後輩たちにとっても大きな刺激となっている。
また、洛南高校出身のプロガードとしては、並里成や寺園脩斗といった先輩たちの系譜にも連なる。チームを支配する司令塔としての資質は、世代を超えて継承されている。

SNSとセルフブランディング

小西はInstagram(@se__________ya)やX(@0101sssss)でも積極的に情報発信を行っており、ファンとの距離が近い選手としても知られる。練習風景やチームメイトとの交流、試合後コメントなどを通じて、飾らない人柄が多くの支持を集めている。
3×3やストリートカルチャーとも親和性が高い彼のプレースタイルは、今後GL3x3などのエンターテインメント型バスケとの接点を持つ可能性もある。

まとめ:アシストでチームを動かす“静かな革命家”

小西聖也は、決して派手なタイプではない。しかし、彼のプレーには「チームを整える力」と「仲間を輝かせる技術」がある。
アシストという見えにくい数字の中に、彼の哲学が息づいている。チームの呼吸を合わせ、リズムを生み出すそのスタイルは、まさに“静かなる革命”。
さいたまブロンコスでの新章は、彼のキャリアをさらに成熟させ、日本バスケット界に新たなタイプのリーダー像を提示するだろう。

デビン・オリバー(Devin Oliver)徹底解説|欧州制覇から再来日まで──さいたまブロンコスが得た万能フォワード

欧州を渡り歩いたスコアラー、デビン・オリバーの軌跡

デビン・ミカエル・オリバー(Devin Michael Oliver、1992年7月2日生)は、アメリカ・ミシガン州カラマズー出身のプロバスケットボール選手。203cm・102kgのサイズを誇り、フォワードとしてインサイドでもアウトサイドでもプレーできる万能型プレイヤーだ。2025年シーズンからB3リーグ・さいたまブロンコスに加入し、日本バスケット界への“再来日”を果たしている。

デイトン大学時代:堅実さと知性を兼ね備えた学生エース

オリバーはNCAAの名門・デイトン大学(Dayton Flyers)で4年間プレー。2013–14シーズンには平均11.2得点、7.4リバウンド、2.3アシストを記録し、チームの主力として全米トーナメント出場にも貢献した。身体能力だけでなく、状況判断とスペーシングの巧みさが評価され、卒業後はNBAドラフト外ながらも欧州のクラブから高い注目を集めた。

欧州キャリア:スロベニアで開花した“勝者のDNA”

プロ入り後、オリバーはベルギー、イスラエル、フランス、ドイツ、トルコ、スロベニアといった複数の国でキャリアを重ねた。中でもスロベニアの名門クラブKKオリンピア時代(2016–2018)は輝かしい成功を収め、チームを2度のリーグ制覇に導くとともに、2017年・2018年の連続でリーグファイナルMVPを受賞。さらにスロベニアスーパーカップでも優勝・MVPを獲得し、欧州トップレベルでも通用するプレイヤーとして名を上げた。

フランス・トルコでの経験:多様な戦術に適応する柔軟性

2018–19シーズンにはフランスのナンテール92でプレー。国内リーグ25試合で平均9.8得点・5.0リバウンドを記録し、ユーロカップでも10試合に出場した。翌年のトルコ・ビュユクチェクメジェ(Büyükçekmece Basketbol)では、平均12.7得点・7.0リバウンド・スリーポイント成功率37.9%という安定した数字を残し、欧州中堅クラブの主力として確固たる地位を築いた。

日本初上陸:仙台89ERSと横浜ビー・コルセアーズでの挑戦

2021年6月、オリバーはB.LEAGUEの仙台89ERSと契約し、日本でのキャリアをスタート。チームの得点源として活躍し、翌2022年には横浜ビー・コルセアーズに移籍。B1昇格後の横浜で背番号15を背負い、若手中心のチームに安定感と経験をもたらした。特にディフェンスリバウンドからの速攻展開や、3Pライン外でのストレッチ能力はチーム戦術に不可欠な要素となった。

台湾リーグ挑戦:グローバルプレイヤーとしての新境地

2024年には台湾T1リーグの「台北戦神(Taipei Mars)」と契約。東アジア圏でのプレー経験を広げ、アジアのファン層を拡大させた。台湾でのプレーではフィジカルに加え、チームメイトとの連携力・リーダーシップが評価され、リーグを代表する外国籍選手の一人として存在感を示した。

再来日:さいたまブロンコスが獲得した“大人のフォワード”

2025年6月、B3リーグのさいたまブロンコスがデビン・オリバーの加入を正式発表。クラブは「経験・実績・人格を兼ね備えたリーダー」として高く評価しており、若手育成とチーム再建の軸として期待を寄せている。
オリバー自身も「日本は第2のホーム。ブロンコスの未来をともに築きたい」とコメント。仙台・横浜での経験を経て、再び日本バスケット界に帰ってきた。

プレースタイル:多機能フォワードの真骨頂

オリバーの最大の特徴は、アウトサイドシュートとリバウンドの両立だ。3Pライン外からの正確なジャンプショットに加え、フィジカルを生かしたポストプレーや、速攻時のトレーラーとしての走力にも定評がある。また、ポジション4(PF)と3(SF)の両方をこなす柔軟性があり、相手チームにとってミスマッチを作る存在として重宝される。

守備面ではリバウンド後のトランジション対応が早く、チームディフェンス全体を整える“つなぎ役”としても機能。試合中の判断力が高く、コーチの戦術意図を理解して体現するタイプの選手である。

ブロンコスでの期待:若手育成と勝利文化の再構築

ブロンコスは2025–26シーズンからの新体制で、クラブ全体の再建を目指している。オリバーはスコアラーとしての役割だけでなく、若手へのメンタリング、チームカルチャーの醸成にも関与すると見られている。
B3リーグは年々競争が激化しており、昇格を狙うクラブにとって「安定して勝てる外国籍選手」は欠かせない存在。オリバーの加入は、まさにその課題を埋めるピースとなる。

人物像:冷静沈着なリーダータイプ

オリバーはプレー中も感情を大きく表に出さないタイプで、試合を通じて安定したパフォーマンスを発揮する。大学時代からチームメイトやコーチからの信頼が厚く、異国のリーグでも周囲と良好な関係を築く適応力を持つ。
またSNSではファンとの交流も積極的で、家族やチームメイトを大切にする姿勢が多くの支持を集めている。

数字で見るデビン・オリバーのキャリア

  • プロキャリア開始:2014年(ベルギー・リンブルフ・ユナイテッド)
  • 通算プレー国:8か国(ベルギー・イスラエル・フランス・ドイツ・スロベニア・トルコ・台湾・日本)
  • スロベニアリーグ優勝:2回(2017・2018)
  • スロベニアリーグMVP:2回(2017・2018)
  • 日本リーグ所属クラブ:仙台89ERS、横浜ビー・コルセアーズ、さいたまブロンコス

まとめ:欧州仕込みの万能戦士が日本の舞台に再上陸

デビン・オリバーは、得点力・経験・人格の三拍子が揃ったフォワードとして、さいたまブロンコスの中心選手になる可能性を秘めている。欧州で培った勝者のメンタリティ、アジア各国で磨いた適応力、そして日本バスケットへの深い理解。それらすべてを兼ね備えた彼の存在は、ブロンコスの未来にとって欠かせないピースだ。
B3リーグの頂点を目指すチームにとって、オリバーの再来日は“戦力補強”であると同時に、“カルチャーアップデート”の象徴でもある。

Bリーグオールスター総選挙2026中間発表|富樫勇樹&比江島慎が得票トップ、地元・長崎勢も躍進

Bリーグオールスター2026、ファン投票中間結果が発表

10月27日、Bリーグは「りそなグループ B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2026 in 長崎」に向けたファン投票の中間結果を公開した。来年1月18日にハピネスアリーナで開催されるこの祭典は、奇数順位チームの選手が「B.BLACK」、偶数順位チームの選手が「B.WHITE」として激突する形式。ファン投票で決定するスターティングファイブの座を懸け、各クラブのスターが得票を競っている。

富樫勇樹&比江島慎が得票トップに

現時点で全体最多得票を獲得しているのは、千葉ジェッツの富樫勇樹(163,325票)。日本代表でも司令塔を担う彼の人気と実力が、投票結果にそのまま反映された形だ。続いて宇都宮ブレックスの比江島慎(132,828票)がB.BLACKのPG/SG枠で1位に立ち、リーグを代表する“2大エースガード”が中間発表を牽引している。

さらに、比江島と同じ枠では篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)が2位につけ、3位にはルーキーイヤーの富永啓生(レバンガ北海道)がランクイン。ベテランと若手が同時に選出圏内に並ぶ構図は、リーグの世代交代を象徴する光景だ。

B.WHITE勢は千葉Jの独壇場

PG/SG枠では千葉J勢が圧倒的な存在感を見せており、富樫に続いて岸本隆一(琉球)が2位、瀬川琉久(千葉J)が3位。さらに西村文男、田代直希、原修太らも上位に入り、“千葉ジェッツ王国”の厚みを感じさせる。
SF/PF/C枠では、渡邊雄太(千葉J)が147,681票でトップ。2位にはジョシュ・ホーキンソン(SR渋谷)、3位には地元長崎ヴェルカの馬場雄大が78,605票で選出圏内に入った。

馬場は「地元開催」の強い追い風を受け、SNS上でも“長崎の星”として支持を集めている。一方で同郷の田中大貴(SR渋谷)は惜しくも4位につけ、選出ラインにわずかに届かない状況だ。

中間発表の上位選手一覧

以下は、各カテゴリーの上位者リスト(10月27日時点)。

B.BLACK(PG/SG枠)

  1. 比江島慎(宇都宮)132,828票
  2. 篠山竜青(川崎)78,378票
  3. 富永啓生(北海道)69,129票
  4. D.J・ニュービル(宇都宮)53,272票
  5. 辻直人(群馬)51,309票

B.BLACK(SF/PF/C枠)

  1. 吉井裕鷹(三遠)111,847票
  2. アイザック・フォトゥ(宇都宮)90,309票
  3. クリストファー・スミス(広島)78,185票

B.WHITE(PG/SG枠)

  1. 富樫勇樹(千葉J)163,325票
  2. 岸本隆一(琉球)92,234票
  3. 瀬川琉久(千葉J)89,503票

B.WHITE(SF/PF/C枠)

  1. 渡邊雄太(千葉J)147,681票
  2. ジョシュ・ホーキンソン(SR渋谷)112,066票
  3. 馬場雄大(長崎)78,605票

ルール概要と選出方法

投票は11月3日まで実施され、各ポジションの上位選手がスターティングファイブに選出される。PG・SG枠とSF・PF・C枠に分かれ、同一クラブからの選出は上限2名。また、外国籍選手2名、アジア特別枠・帰化選手1名の制限も適用される。投票終了後、11月13日にBリーグ推薦を含めた全26名(各チーム13名)の出場選手が正式発表される。

投票傾向の分析|“スターの固定化”から“多極化”へ

今回の中間結果は、富樫・比江島というリーグの象徴的存在が依然として強い支持を集めつつも、富永啓生や吉井裕鷹ら新世代プレーヤーが上位に食い込む点で大きな変化を示している。特にSNS世代のファン層が厚い若手は、得票数の伸びが早く、“次のスター”としての兆しを感じさせる。

また、地元長崎開催という舞台が馬場雄大や川真田紘也(長崎ヴェルカ)の浮上を後押し。地域密着クラブがファン投票においても存在感を発揮し始めている。

ファン・選手・メディアの反応

SNS上では「富樫と比江島の1位2位は納得」「富永が3位はうれしい」「馬場が地元開催で輝いてほしい」といったポジティブな声が相次ぐ一方、「千葉J勢が多すぎる」「クラブバランスが偏る」といった意見も見られる。
メディア関係者の間では、“Bリーグ人気の中心が完全に全国区化した”との評価が広がっており、リーグ10周年を迎える2026年にふさわしい熱量が生まれつつある。

今後の展望|最終発表は11月13日

最終的な選出メンバーは11月13日に発表予定。ここから一週間、ファン投票のラストスパートに向けてSNSキャンペーンやクラブ主導の投票呼びかけが活発化している。富樫・比江島のトップ争いは続く一方、馬場雄大や富永啓生がどこまで票を伸ばせるかが注目点だ。

まとめ|“10周年オールスター”にふさわしい顔ぶれへ

今回の中間結果は、Bリーグが10年で築いたスター文化と、多様なファン層の広がりを象徴している。
富樫・比江島という象徴的な存在に加え、若手や地方クラブの選手が上位に並ぶ構図は、まさに「リーグの成熟」を示すものだ。
1月の長崎決戦では、地域・世代・国籍を超えた“Bリーグの全景”がハピネスアリーナに集結する。

多嶋朝飛|冷静な司令塔がB3さいたまブロンコスへ新天地:小柄なリーダーが示す「判断力のバスケット」

多嶋朝飛、新章へ──B3さいたまブロンコスで再スタート

1988年10月8日生まれ、北海道帯広市出身のポイントガード・多嶋朝飛が、2025–26シーズンよりB3リーグ・さいたまブロンコスに加入した。長年にわたりB1・B2の舞台でプレーしてきたベテラン司令塔が、キャリア15年目にして新たな挑戦へと歩みを進める。冷静なゲームメイクと高精度なシュートで知られる彼の加入は、ブロンコスにとって大きな戦力補強となる。

北陸高校から東海大学へ──学生時代に磨かれた「リーダーシップ」

帯広大空中学校から北陸高校(福井)に進学し、全国トップクラスの高校バスケットで経験を積んだ多嶋。東海大学進学後は、関東大学リーグで優勝選手賞・MIPを受賞し、その卓越したバスケットIQと判断力で評価を高めた。特に「状況を読む力」に優れ、プレー選択の的確さとチームを落ち着かせる統率力は、すでに学生時代から際立っていた。

プロキャリアの始まり:リンク栃木ブレックスでの挑戦

2011年、リンク栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)と育成契約を結び、プロキャリアをスタート。JBL登録を経て、育成リーグTGI D-RISEでも経験を積んだ。スピードと冷静さを兼ね備えたプレーで評価を受け、翌年には本契約を勝ち取るなど、地道な努力で階段を上っていった。

地元・北海道での黄金期:レバンガ北海道の象徴的存在に

2013年、地元・北海道のクラブであるレバンガ北海道に移籍。以降8シーズンにわたりチームを支え、ファンから絶大な支持を集めた。173cmという小柄な体格ながら、鋭いドライブイン、約9割の成功率を誇るフリースロー、そして試合終盤のクラッチプレーでチームを引っ張る姿は、北海道バスケットの象徴とも言われた。甘いルックスとスマートな立ち振る舞いも相まって、女性ファンを中心に人気を集めた。

移籍を重ねて磨かれた「ゲームマネジメント能力」

2021年には茨城ロボッツへ、2023年には大阪エヴェッサ、そして2024年には仙台89ERSへと移籍。各チームで異なる戦術や選手層の中で、試合のテンポを読む能力やリーダーシップをさらに進化させた。試合の流れを読み取り、必要なときにスコアを狙い、仲間を活かすプレーを展開。どのチームでも「戦術理解力の高さ」と「信頼される司令塔」として評価を得ている。

さいたまブロンコス加入の背景:リーダーシップの継承と再生の象徴

2025年6月、さいたまブロンコスが正式に多嶋朝飛との契約を発表。クラブは近年、地域密着型チームとして再構築を進めており、経験豊富なリーダーの存在が不可欠とされていた。多嶋の加入は、若手育成とチーム文化の再構築を象徴する動きだ。クラブは「彼の冷静さと勝負勘が、チームに安定と自信をもたらす」とコメントしている。

プレースタイル:小柄ながらも戦略的な司令塔

173cm・73kgとBリーグでは小柄な部類に入る多嶋だが、そのプレーは極めて戦略的。スピードを活かしたドライブ、タイミングを見極めたピック&ロール、そして正確なジャンプショットでディフェンスを翻弄する。また、試合中の表情を崩さず、ミスをしても感情を表に出さないメンタリティは、若手選手の模範でもある。

認知判断力の高さが生む“静のバスケ”

多嶋の最大の強みは、「認知判断力の高さ」にある。プレー中、彼は常に相手のディフェンスのズレを観察し、ワンテンポ先の選択を行う。コート上での“静のバスケ”とも言われるスタイルは、派手さよりも合理性を重んじ、効率的にチャンスを作り出す。これは現代バスケットが求める「思考するポイントガード」の理想像そのものだ。

数字で見る多嶋の安定感

キャリア通算では平均得点7点前後、アシスト3本台をキープ。スリーポイント成功率は35%前後、フリースロー成功率は90%近くに達する。特筆すべきはターンオーバー率の低さで、1試合あたり1.2回前後と非常に安定している。これらのデータが示すように、派手さではなく「確実性」でチームに貢献するタイプの選手だ。

B3リーグの視点から見る多嶋加入の意義

B3リーグは現在、若手育成と地域活性化を両立させるプラットフォームとして機能している。その中で、B1・B2経験豊富な多嶋の存在は、リーグ全体のレベルアップにも寄与する。試合の質を高め、観客動員やメディア露出にも好影響を与えることが期待されている。さいたまブロンコスにとっては、単なる補強ではなく「チーム哲学の核」となる人物の獲得といえる。

ファンの声とメディアの反応

加入発表直後、SNSでは「多嶋選手のバスケIQをブロンコスの若手に伝えてほしい」「まだまだトップレベルで見たい」といったコメントが多数寄せられた。Bリーグ公式アカウントでも「経験と知性の融合」と紹介され、注目度の高さを証明した。彼の“静かなリーダーシップ”がどのようにチームを変えるのか、多くのファンが期待を寄せている。

まとめ:冷静さと知性で導くベテランPGの新章

多嶋朝飛のキャリアは、常に「考えるバスケット」とともにあった。サイズのハンディを克服し、知性と判断力で勝負してきた彼にとって、さいたまブロンコスでの挑戦は「経験の伝承」と「再出発」の両面を持つ。B3という新しい舞台で、彼がどのようにチームと自身を進化させていくのか──そのプレーは、若手育成と日本バスケの成熟を象徴するものになるだろう。

千葉ジェッツが開幕連勝を“9”に更新|リトル25得点で主役、富樫の通算1200本目3Pと渡邊の万能性で圧倒【B1第5節/10月26日 SR渋谷戦レビュー】

試合概要|95-72、立ち上がりの“11-0”がすべてを決めた

2025年10月26日、LaLa arena TOKYO-BAYで行われたB1第5節・千葉ジェッツ対サンロッカーズ渋谷のゲーム2は、千葉Jが95-72で快勝。初戦に続く連勝で、開幕からの白星を“9”に伸ばした。開始直後の11-0ラン、前半での55-31と大量リード、そして要所でスパートを繰り出す試合運びは、優勝候補の完成度を象徴する内容だった。

主役の輝き|ナシール・リトルがキャリアハイ25点、富樫は通算1200本目の3P

この日の主役は、ベンチから投入されたナシール・リトル。第1Qの中盤に連続で流れを変える3Pを沈め、最終的に25得点13リバウンドのダブルダブル。フィジカルとレンジの両立でラインナップの重力を一段引き上げた。富樫勇樹は残り4分41秒にB1個人通算1200本目の3ポイントを成功。記録の重み以上に、相手の守備設計を根本から動かす“存在の脅威”を見せつけた。さらに渡邊雄太が13得点、D.J.ホグが10得点6リバウンドで続き、スターターとセカンドの両ユニットが理想的に噛み合った。

ゲームの分岐点|第1Qの23点差と第2Qの“揺さぶり”

千葉Jはティップオフ直後から5アウト気味の間隔でスペーシングを確保し、ムーニー—富樫—原—渡邊の連続得点で11-0。渋谷はタイムアウトでカバレッジを修正したが、千葉Jはラインナップを切り替えてもテンポを落とさず、リトルの3Pとオフボールのリロケートでさらに拡張。第1Q終了時点で23点差を作ると、第2Qは意図的にインサイドタッチとキックアウトを往復させて守備の足を止め、相手のローテーションに持続的な遅れを生んだ。

戦術分析|“0.5秒の意思決定”と2.5アクションの徹底

千葉Jの強みは、0.5秒ルール(キャッチ後0.5秒でパス・ドライブ・ショットのいずれかを決断)を全員で共有している点にある。1stアクション(ピンドウンやDHO)で優位がなければ、ショートロール—ハイポスト—コーナーの2.5アクションへ自然につなげ、守備の縦ズレを作る。富樫のハンドラーとしての脅威と、渡邊のカッティング&キャッチ&シュートの即断性、ムーニーのスクリーン角度の巧みさが、この“連続処理”を支える仕組みだ。

プレイヤープロフィール&役割最適化

  • ナシール・リトル:ウイングでのミスマッチ創出と2ndユニットの着火役。トランジションでは先頭を走り、ハーフコートではコーナー起点のドライブ/プルアップの二刀流。今季は“第6のスターター”としての価値が最大化。
  • 富樫勇樹:3Pのレンジが相手のラインを1歩外へ押し出す。2on2でヘッジを強要し、ショートロールの起点を作る。記録的通算数は意義深いが、本質はディフェンスの意思決定を歪め続ける“重力”にある。
  • 渡邊雄太:守から攻へのブリッジ。コーナー~45度のスロット移動で視野を確保し、ドライブ→キックアウトの“二次創作”を量産。守備ではチェイスとコンテストで相手の第1選択肢を潰す。
  • D.J.ホグ:ショートロールのハブ。エルボーで受けた際に逆サイドへスキップを通せるため、千葉Jの“2.5アクション”を滑らかにする。

キースタッツ(編集部推定の論点)

  • 第1Qのペイントタッチ数:千葉Jが上回り、渋谷のローテーションを早期から疲弊。
  • ベンチ得点:リトル中心に優位。相手の“ベンチで稼ぐプラン”を相殺。
  • ターンオーバー抑制:大差リードでもパス精度が落ちず、試合全体のテンポ主導権を維持。

渋谷の善戦ポイントと今後の修正案

渋谷は第2Q~第3Qにかけてペースを調整し、23点差のまま試合が荒れないよう被害を最小化した。とはいえ、初手のスイッチ—ローテに対する2手目のカバー案が薄く、コーナーのXアウトが遅れたのが失点の主因。次戦以降は(1)富樫のハンドラー起点へハードショー+バックサイドの早いタグ、(2)リトルのコーナー起点に対してはトップの浮き番が早めに“ショーアップ”する、(3)ドリル段階でショートロールからのエルボー・ハブに対するレーン封鎖を優先——の三点で対処したい。

歴史的比較|“最強の10月”をどう測るか

千葉Jはシーズン序盤の連勝を“内容”で支えている。単なる3Pの確変ではなく、リムプレッシャー、FT獲得、セカンドユニットの波状効果という複数因子が噛み合うため、“再現性”が高い。過去の開幕連勝チームと比べても、ベンチ起点の得点期待値と守備の継続性(ファウルコントロール、ディフェンシブ・リバウンド)が安定しており、持続可能な勝ち方だと言える。

リーグ全体の文脈|強豪が勝ち切る3条件

  1. クラッチでのFT%:僅差ゲームの勝率を左右。千葉Jは終盤もシュートセレクションが崩れず高水準。
  2. セカンドユニットの即効性:主力の負荷を軽減しつつスコアを伸ばす。リトルの存在が象徴的。
  3. TO由来失点の最小化:自陣での危険な横パスを避け、“縦”の意思で攻め切る文化が浸透。

数字で見る千葉J(概念指標)

  • eFG%:コーナー3とリムアタックの比率が高く、期待値の高いシュートプロファイル。
  • ペイント・タッチ→アシスト:最初のリムアタックがアシストに直結する“設計”が機能。
  • DFR(被ファウル率)管理:相手のFT乱発を抑制し、ランの芽を早期に摘む。

3×3視点の応用|“即時判断”は競技を超える共通言語

この試合が示したのは、ショットクロックが長い5人制でも、0.5秒の意思決定が攻撃効率を押し上げるという事実だ。3×3の12秒ショットクロック下で求められる「先読み—選択—実行」の回転は、千葉Jのオフェンスにも色濃い。育成年代やセカンドユニットの育成では、制約付き3on3(ドリブル制限/8秒ショット/片側スペース固定)を取り入れることで、判断の質を底上げできる。

メディア&ファンの反応|“強いだけじゃない、賢い”という評価

SNSやメディアでは、富樫の通算節目とリトルの大爆発に注目が集まる一方で、「勝ち方が理詰め」「セカンドの破壊力が反則級」という声が目立つ。渡邊の守攻にわたる安定感、西村文男のラストシーズンでの存在感など、物語性も十分。リーグ全体にとっても“観たいポイント”が多いチームだ。

今後の展望|中断までの強豪連戦が“真価テスト”

千葉Jは今後、秋田—A東京—三河—島根—越谷—宇都宮と強度の高いカードが続く。対戦相手が増やしてくるであろう“富樫起点のハードショー+バックサイド圧縮”への解答、リトル封じのコーナートラップに対するセーフティ導線の整備、そしてリバウンドでの継続的優位——この三点をクリアできれば、連勝は二桁へ現実味を帯びる。

試合ボックス(提供スコア)

最終スコア:千葉ジェッツ 95-72 サンロッカーズ渋谷
Qごとのスコア:千葉|34|21|25|15|=95/渋谷|11|20|23|18|=72

編集部Q&A|“なぜ千葉Jは強いのか”の一問一答

  • Q:3Pが入らない日も勝てる?
    A:はい。ショートロールとポストハブでリムを継続的に圧迫できるため、FTとセカンドチャンスで得点を確保できる。
  • Q:相性が悪そうな相手は?
    A:リムプロテクターが強力で、かつハーフで“ヘッジ→スプリントバック”が速いチーム。A東京、宇都宮などは良いテストになる。
  • Q:鍵を握る選手は?
    A:リトル。セカンドの得点装置として相手のゲームプランを狂わせられる。

まとめ|“再現性のある強さ”で10月を制す

95-72というスコア以上に、千葉ジェッツは勝ち方の構造を見せつけた。0.5秒の意思決定、2.5アクションの徹底、セカンドユニットの着火力、そしてクラッチでの無駄の無さ——どれもが再現可能なプロセスだ。連勝は通過点。中断までの強豪連戦を“学びの場”にできるなら、千葉Jはシーズンを通じてリーグのベンチマークであり続けるだろう。今節の一戦は、その未来を予感させるに十分な完成度だった。

琉球ゴールデンキングスに激震|ケヴェ・アルマが「個人的な事情」で契約解除、平均11得点の主力が電撃退団

衝撃の発表|ケヴェ・アルマがシーズン途中で退団

10月27日、琉球ゴールデンキングスはケヴェ・アルマ選手との2025–26シーズン契約を双方合意の上で解除したと発表した。理由は「個人的な事情」とされ、本人のプライバシーに関わるため詳細は非公表。開幕から7試合に出場していた主力の突然の離脱は、クラブとファンに大きな衝撃を与えている。

アルマのプロフィールと経歴

アルマは1999年生まれの26歳、身長206cm・体重107kgのパワーフォワード/センター。バージニア工科大学(Virginia Tech)を卒業後、メンフィス・グリズリーズでNBAサマーリーグに参戦。2022–23シーズンに新潟アルビレックスBBでプロキャリアをスタートさせ、その後韓国リーグを経て2024–25シーズンから琉球に加入した。

持ち味は、高い身体能力とスピードを併せ持つモダン型ビッグマン。インサイドでのフィジカルプレーに加え、トランジションでの走力やショートレンジのジャンパーでも得点を重ねることができる。琉球加入後は序盤から主力として起用され、ここまでの7試合で平均11.0得点・4.1リバウンド・1.3アシストを記録。第5節までチームの攻守を支える存在だった。

欠場から契約解除までの経緯

10月22日の試合を最後に「個人的な事情」により欠場が続いていたアルマ。クラブは当初、「チームのサポートを受けながら状況を見守る」としていたが、最終的に双方の合意により契約を終了する形となった。琉球はリリースで次のようにコメントしている。

「本人の意向とプライバシーを尊重し、詳細につきましては公表を控えさせていただきます」

チームへの影響|リムプロテクトとペイント得点の再構築が急務

アルマの離脱は、琉球にとってインサイドのローテーション再編を迫る出来事だ。現在5勝4敗で西地区6位につけるチームにおいて、彼はリムプロテクトとリバウンド面で重要な役割を担っていた。平均11得点という数字以上に、「縦の圧力」=ゴール下での存在感が攻守両面に影響を与えていた。

今後は、アレックス・カークとジャック・クーリーの2枚看板を中心に、セカンドユニットや若手の活用によるローテーションの再構築が課題となる。特に、脇真大や岸本隆一らが外角からスペーシングを作り、カークのハイローやクーリーのセカンドチャンスを支える形が増えると見られる。

戦術的視点|“サイズよりも展開”への転換点

アルマ退団によって、琉球はこれまでの「インサイド主導」から「スピードと展開重視」の方向へ舵を切る可能性がある。EASL(東アジアスーパーリーグ)との並行スケジュールもあり、疲労軽減とラインナップ柔軟化の両立が求められる。クーリーとカークを同時起用する時間帯を限定し、4アウト1インまたは5アウトシステムでペースを上げる構成が増えるだろう。

守備面では、リムプロテクトの低下を補うためにゾーンシェーディング(ペイント優先の位置取り)を多用し、ローテーションのミスを減らす運用が想定される。

ファン・関係者の反応

SNS上では「本人の事情を尊重したい」「彼の未来を応援したい」という声と同時に、「戦力的には大きな痛手」「シーズン中の交代は想定外」といったコメントが相次いでいる。多くのファンが、アルマの真摯なプレー姿勢と人柄を称える投稿を残しており、彼が短期間でチームに溶け込んでいた証拠でもある。

今後の焦点|代替補強と若手の台頭

琉球フロントは代替外国籍選手のリサーチを進めているとみられる。候補としては、機動力のあるストレッチビッグや、守備特化型のエナジータイプが挙げられる。また、脇真大や平良宗龍といった国内選手のステップアップにも期待がかかる。彼らがどこまで“穴”を埋められるかが、シーズン中盤戦のカギになる。

3×3的視点|“役割より思考”の流動性が問われる

GL3x3的な視点で見れば、今回の件は「チームがサイズや役割に依存せず、思考と連携で補うフェーズ」に移ったとも言える。オールスイッチ守備やペースアップ戦術は、3×3の世界では常識。琉球もこの変化を通じて、より多様でスピーディーなバスケットに進化する可能性がある。

まとめ|“別れ”の痛みと前進への再設計

ケヴェ・アルマの退団は、琉球ゴールデンキングスにとって戦力的にも精神的にも大きな損失だ。しかし、同時にチームの再設計を促す契機にもなりうる。「サイズの優位」から「判断の優位」へ。彼の残したエネルギーを糧に、琉球がどのように形を変えていくのか――その“進化の過程”が、これからのB1西地区を占う注目ポイントとなる。

松井啓十郎(KJ)とは何者か|NCAAからBリーグ、そしてさいたまブロンコスへつながる“日本屈指のシューター”の軌跡と現在地

概要|“KJ”が日本バスケにもたらした価値

松井啓十郎(まつい・けいじゅうろう、1985年生まれ)。日本バスケットボール界で「KJ」の愛称とともに記憶される名シューターだ。東京・杉並区出身、身長188cm。高校はアメリカの名門モントローズ・クリスチャン、大学はNCAAディビジョン1のコロンビア大学で学び、2009年にJBL(当時)へ。以降、レラカムイ北海道、日立サンロッカーズ、トヨタ自動車アルバルク(のちアルバルク東京)、シーホース三河、京都ハンナリーズ、富山グラウジーズ、香川ファイブアローズを経て、2024年からB3のさいたまブロンコスでプレーしている。

最大の魅力は、視界が狭くなる試合終盤やハーフコートの高密度局面でも落ちない3ポイント精度と、守備の重心を一気に外へ引っ張るシューティング・グラビティ。単なる“決める人”に留まらず、オフボールの連続移動、ハンドオフ(DHO)連結、リロケートの質でチームの攻撃構造そのものを押し上げるタイプのスペシャリストだ。

人物とバックグラウンド|日本からNCAA D1へ

10代で単身渡米し、モントローズ・クリスチャン高校で土台を作ったのち、2005年にコロンビア大学へ進学。学業と競技を両立するIvy Leagueの流儀の中で、効率の良いショット選択、ディフェンスの読み、ゲーム理解を徹底的に磨いた。NCAA D1で日本人男子が継続的にプレーする例は当時も稀で、彼の選択はのちの世代に「海外で学び、考えて打つ」キャリアモデルを提示した。

高校期にまつわるエピソードや来歴の細部は多く語り継がれているが、本稿では信頼できる公的情報を基礎に、プロ入り後の実績とプレースタイルに主軸を置いて整理する。

プロキャリア年表(抜粋)

  • 2009-10:レラカムイ北海道(JBL)— デビュー期から3P成功率約40%(.399)を記録。限られた時間でも期待値の高いシュートで存在感を示す。
  • 2010-11:日立サンロッカーズ(JBL)— 出場時間増で平均得点8.42。ディフェンスに狙われながらも効率を大きく崩さない。
  • 2011-16:トヨタ/アルバルク東京(JBL→NBL→B1)— 2012-13の3P成功率.4942015-16の3P成功率.449など、複数年で40%超を維持。役割の幅が広がっても“決める人”の精度は落ちない。
  • 2016-17:B1初年度のアルバルク東京でFT.939。終盤やテクニカルなシチュエーションでのフリースロー=ほぼ確定スコアという安心感を付与。
  • 2017-19:シーホース三河— オフボールの質とコネクター役を強化。ペースの速いチームでも効率維持。
  • 2019-21:京都ハンナリーズ— ペリメーターの脅威としてスペーシングを最大化。
  • 2021-23:富山グラウジーズ— 若手と共存しつつ、シュートの“見本”として機能。
  • 2023-24:香川ファイブアローズ— ベテランとしてゲームマネジメント貢献。
  • 2024-:さいたまブロンコス(B3)— 経験の移植を進めつつ、得点と重力の両面でチームを引き上げるフェーズへ。

データで読むKJ:3つの指標

  1. 3P%の安定性:JBL〜NBL期に.494(2012-13)や.449(2015-16)を記録。役割やチーム構造が変わっても、高効率を維持できることはショットの生産工程(準備)が体系化されている証拠だ。
  2. FT%の信頼:B1データで.939(2016-17)。ファウルゲームやクラッチでの心理的優位は、チームの意思決定を大胆にさせる。
  3. MP(時間)依存度の低さ:20分前後の起用でも期待値を落とさない。短時間でスパイク的に効く“マイクロウェーブ”の側面と、連続起用で相手守備を広げ続ける“重力源”の側面を共存させる。

技術のコア|“入るメカニズム”ではなく“入る準備”

彼のシュートは、モーションの綺麗さに注目が集まりがちだが、より本質的なのは準備と判断である。スクリーン後のリロケート、ピンダウンの角度修正、DHOでの受け手/渡し手の入れ替え、カールとフレアの使い分け──いずれも「0.5秒で決める」思考に裏打ちされる。つまり、打てる体勢で受けるための移動設計が先にあり、フォームはその結果としてブレない。

さらに、キャッチの指配置、踏み替えのリズム、ショットポケットの高さといったミクロの要素を、ゲームスピードで再現できる。練習と試合のギャップを埋める“転写性”の高さが、長いキャリアでの高効率を支えている。

戦術的役割|“重力”でチームの攻め筋を変える

高精度シューターの価値は、得点だけではない。KJがコーナーや45度に立つだけでヘルプの位置が半歩外へズレ、ペイント・タッチが容易になる。ピック&ロールのショートロールポストアップが効き始めるのは、外に脅威があるからだ。さらに、KJはダミー・アクションの質も高く、囮のカールからスプリット・アクションに流し込み、逆サイドのドライブラインを開通させる。

この“重力の配分”は、ゲームプランの自由度そのもの。ベンチスタートでも、2〜3本の3Pで試合の座標を一気に動かせるため、相手の守備ルールを書き換える力を持つ。

ディフェンスとメンタル|“弱点化させない”工夫

シューターは守備で狙われやすい。KJが長くトップレベルにいた背景には、タグアップやアンダーコンテイン、ボールマンへの一歩目など、約束事を外さない守備がある。オフェンス面では派手でも、守備では“ノーミス志向”。この姿勢がプレータイムを担保し、役割貢献の総量を最大化してきた。

日本代表・国際経験の意味

国際舞台では、強度・サイズ・ルールの差分が一気に露わになる。そこで必要なのは、ショット自体の難易度を下げるための判断の先取りと、相手スカウティングを逆手に取るカウンターの用意だ。KJは、限られたポゼッションで価値ある一打を生む術──すなわち価値密度の高い動き──を体現した先行例でもある。

さいたまブロンコスでの現在地|“経験の移植”というフェーズ

2024年から戦いの場をさいたまへ。役割はスコアラーに留まらない。若手に対しては、準備→判断→実行のテンポや、ゲームの“間”の作り方を可視化する生きた教材となる。クラブとしても、B3から上位カテゴリーを見据えるうえで、勝ち筋の最短距離(スペースとシュート)を示す存在は大きい。

3×3への示唆|“思考するシューター”の価値はさらに上がる

3×3ではショットクロック12秒、ハーフコート高密度、オールスイッチが常態だ。ペースアンドスペースと連続的なDHO・ピン・アクションの中で、「動きながら打てる」シューターは戦術のハブになる。KJ型の選手は、ボール保持時間を最小化しながら期待値の高い選択を重ねられるため、3×3の得点効率を一段引き上げられる。

  • 即時判断:スイッチ→ハイショルダーの空きでワンドリPull-up/ポップアウトでキャッチ&シュート。
  • 連結:DHOの受け手から再ハンドオフ→バックドアの誘発。
  • 重力:2点ライン外での滞在時間を延ばしてペイントを解放。

影響とレガシー|“KJの系譜”はどこへ向かうか

KJのキャリアは、「日本でも、考えて打つシューターが主役になれる」という事実の証明だ。次世代に伝わったものは、単なる技術ではない。学び方準備の仕方、そして役割よりも思考を重んじる態度である。海外で学び、国内の複数クラブで異なる役割を経験し、どの環境でも結果につなげる。その普遍性こそレガシーだ。

ファン/メディア視点:語り継がれる“3本目”の尊さ

KJの試合をよく見る人ほど、3本目の3Pの価値を語る。一本目は流れを作り、二本目は相手の修正を促す。三本目が決まると、相手は守備ルールを変えざるを得なくなる──ここで味方のドライブやポストが一気に通る。「決めた後に何が起こるか」まで含めてスコアを設計できるのが、真のシューターだと気づかせてくれる。

コーチ向けメモ|育成ドリルのヒント

  1. リロケート連結:ピンダウン→キャッチフェイク→2mスライド→再キャッチ(0.5秒以内)。
  2. DHO連続:ハンドオフ→即リハンドオフ→フレア方向へバックペダルで受け直し。
  3. 視野と指配置:キャッチ前の親指位置とエイムポイントをルーティン化。
  4. クラッチFT:疲労時15本連続ノーネット。外したら最初から。

まとめ|“入る”より“入る状況を作る”シューター

松井啓十郎の価値は、入れる技術だけでは語り尽くせない。彼はコートの重力場を変え、味方の選択肢を増やし、守備のルールを書き換える“ゲーム・デザイナー”でもある。経験が脂の乗る年代に入った今、さいたまブロンコスでの一投一投は、チームの未来を形作る設計図になるだろう。シューターは最後に残る──その言葉を、KJは今日も証明している。

伊藤良太がB2愛媛へ―― 二度の引退と二度の復帰 を糧に磨いたスティール力とリーダーシップ【経歴・データ完全版】

はじめに:キャリアの第二幕が始まる

2025年6月、ポイントガードの伊藤良太(1992年7月23日生)がB2西地区・愛媛オレンジバイキングスに新規加入した。B3を主戦場に実績を積み上げ、二度の引退と二度の復帰を経て、33歳で初のB2挑戦へ。B3の2023-24シーズンでは「スティール王(2.21)」と「年間ベスト5」を獲得し、翌24-25も主将としてしながわシティを牽引。1月にはBリーグ最多タイの「1試合10スティール」、通算3,000得点、1,000アシスト、3P通算400本、500スティールなど節目を次々とクリアした。遅れてきたB2デビューは、単なるカテゴリー昇格ではない。現場で鍛えた守備IQとゲームマネジメント、そして やめても戻れる という現代アスリートの新しい働き方の象徴でもある。

プロフィール:PGとしての骨格

氏名:伊藤 良太(いとう りょうた)/Ryota Ito
ポジション:ポイントガード(PG)/背番号21
身長・体重:177cm・74kg
出身:神奈川県大和市(渋谷中→洛南高→慶應義塾大)
受賞歴:関東大学2部得点王(2013)、B3 2018-19 BEST5、B3 2023-24 スティール王・BEST5 ほか

洛南高では全国上位の環境で得点力と勝負強さを培い、慶應では主将として関東1部6位まで導いた。大学では3P効率とスティールで存在感を示し、社会人・プロの両面で「ディシプリン×勝負勘」を磨いている。

キャリアの俯瞰:実業団からB3、そしてB2へ

2015-17 東京海上日動ビッグブルー:昼は保険営業、夜は練習/NBDL→B3を経験。NBDL新人年は平均12.65点・1.94スティールで即戦力に。
2018-19 岐阜スゥープス:アマ契約で現役復帰。34分超の稼働で13.58点・3P40.7%・1.75スティール。B3 BEST5選出。
2019-22 岩手ビッグブルズ:プロ転向。主将として3季在籍し、2020-21はAPG4.20と司令塔色を強めた。
2023-25 しながわシティ:再復帰&主将。23-24はSPG2.21で「スティール王」、3P%39.59でリーグ上位。翌24-25も守備指標と勝負どころの3Pで貢献。
2025- 愛媛オレンジバイキングス:初のB2クラブへ。守備の起点と試合運びの両輪で、西地区の拮抗を切り開く役割が期待される。

ターニングポイント:二度の引退が残した 選択する力

一度目の引退は2017年。十分に戦えていたが、学生時代の「日本一」志向との落差に苦しみ、休止を選択。二度目の引退は2022年、岩手での主将任期を終え、スタートアップ領域(ヘラルボニー)で人事責任者に挑戦した。いずれも「競技だけに依存しないキャリア」を選んだ決断だ。視野の広がりは、復帰後のプレー選択にも反映されている。状況に応じて 抜く のか 刺す のか――ペースコントロールの妙、カウンティングの冷静さ、そして相手の意図を先回りする読み。単なる身体能力勝負ではなく、「意思決定の質」で勝つスタイルへと変貌した。

データで読む伊藤良太:守備創出と効率の同居

近年の特徴は「スティールで流れを変えるPG」。2023-24はSPG2.21(リーグ1位)でタイトルを獲得しつつ、3P%39.6と外でも脅威になった。24-25は平均出場28.45分でSPG2.12と高い水準を維持。通算指標でも、500スティール・3P400本に到達しており、継続的な 期待値上振れ を生むタイプだ。1試合10スティール(Bリーグ最多)は、相手の初手を刈り取り続ける読みの鋭さの証左。加えて、キャリア通算1,000アシストに象徴されるように、味方の得点機会を最大化する「間」の作り方にも長ける。

スカウティング視点:プレーの強みとチームへの適合

①ボールプレッシャー&ギャンブルの線引き:前方向への圧でハンドラーの視線を下げさせ、45度・ウイングでのパス角を絞る。ギャンブルを多用せず、ヘルプ基点に戻る帰巣本能が速い。
②ショットセレクション:キャッチ&シュートのタイミング、PNRでのスネーク→プルアップ、コーナーへのキックアウトの配分が整理されている。3Pが入る日はペイントタッチ頻度を減らしてTOを抑制。
③クラッチの意志決定: 自分が決める より 相手に嫌なシュートを打たせる 。残り3分の失点期待値を下げる働きがチームの接戦勝率に波及しやすい。

B2・愛媛での役割:ディフェンスから潮目を変える

愛媛は西地区のフィジカルとトランジションスピードに対抗する必要がある。伊藤のスティール→一次トランジションでの即時得点は、ハーフコートオフェンスの負荷軽減に直結。ハンドラーが疲弊しやすい連戦では、伊藤の「相手の初動を止める守備」と「ゲームメイクの間」が、ロースコアゲームの勝ち筋を太くする。彼がセカンドユニットを締める形も、先発の負荷分散として有効だ。

年表:主要トピックと到達点

・2007:都道府県対抗ジュニア神奈川代表/渋谷中で71得点の試合も経験
・2010:洛南高の主力として全国上位を経験(IH・国体・WCの舞台)
・2013:関東大学2部得点王(慶應)
・2015:NBDLデビュー(東京海上日動)12.65点・1.94STL
・2018:岐阜でB3 BEST5(13.58点・3P40.7%)
・2020:岩手主将、APG4.20(20-21)で司令塔色を強化
・2024:しながわでBリーグ最多の「1試合10スティール」/スティール王・BEST5/通算3,000得点
・2024秋:1,000アシスト、3P通算400本、500スティールを相次いで達成
・2025:愛媛オレンジバイキングス加入(初のB2)

比較軸:B3トップPGのB2適応ポイント

一般に、B3のトップガードがB2で成功する鍵は「守備での存在証明」と「テンポ制御」。B2はハーフコートでの個の打開力が高い一方、シーズンの当たり強度・移動負荷が増す。伊藤は、1)ターンオーバーを誘発するスティール創出、2)ポゼッション価値の最大化(クラッチのミス抑制)、3)メンタルリード(主将経験)を備えており、適応条件を満たす。3Pが39%前後に戻れば、相手の守備ラインを1歩下げさせ、ドライブとPnRの有効面積が広がる。

チームとリーグの潮流:育成と再挑戦の受け皿

Bリーグ10年目を越え、カテゴリーを跨いだ選手循環が活発化した。実業団→B3→B2というルートは、競技とキャリア(ビジネス)の往復可能性を示し、若年層に「バスケットと仕事の両立」という具体的な将来像を提供する。伊藤の歩みはまさにそのロールモデルであり、地域クラブが人材プラットフォームとして機能する時代の象徴だ。愛媛のような地方都市クラブが、経験値を還元できるPGを獲得できた意義は大きい。

プレーリスト:数字で紐解く強み(抜粋)

・キャリアハイ:10スティール(Bリーグ最多)/32得点/14アシスト/ダブルダブル複数
・近年の効率:3P% 39.6(23-24)、FT% 73.7(同)→メカニクス安定の指標
・使用率との相関:高負荷時もTO%抑制傾向、勝負どころのスロー・ゲームで真価発揮
・ラインナップ適性:3&Dウイングとの相性が良好、ビッグのランナー帯同でトランジション効率UP

声 とチームビルディング:主将経験の価値

二度の主将経験は、チームの規律形成と若手育成への寄与に直結する。タイムアウト前後のセット共有、ゲームプランの微修正、審判とのコミュニケーション――こうした「ディテールの管理」は、長いシーズンで勝敗を2~3試合動かす。愛媛のロッカールームに、伊藤の 温度 と 速度 が加わることは、戦術面だけでなく文化面のアップサイドも大きい。

メディア&ファンの反応:数字以上の物語

「社会人から再びプロへ」「引退からの再挑戦」「地域貢献と競技の両立」という文脈は、勝敗を越えて共感を生む。特に育成年代の保護者・指導者層には、競技キャリアの多様性を示す好例として映るはずだ。しながわ時代の快記録はSNSでも広く拡散され、 ディフェンスで観客を沸かせるPG という希少性はB2でも支持を集めるだろう。

将来展望:B2で証明すべき3つのKPI

①クラッチ時間帯の失点期待値Δ:出場時の相手eFG%を2~3%下げられるか。
②PnRボールハンドラー効率:PPPのリーグ平均±をプラス域で安定させられるか。
③3Pアテンプトの質:コーナーC&Sの比率を高め、True Shootingでリーグ平均超えを維持できるか。
これらが達成されれば、愛媛は接戦勝率を底上げでき、プレーオフ争いでの存在感が高まる。

同時代の比較と学び:過去事例に見る到達パス

実業団→Bリーグ、B3→B2の 段差 を越えた選手は少なくないが、二度の引退を含む 往復 を経てパフォーマンスを更新した例は稀だ。ここから得られる示唆は、①競技スキルの再設計(守備→攻撃の順で再構築)、②役割の再定義(得点源→流れを変える人)、③キャリアの複線化(競技×ビジネス)の3点。伊藤のケースは、個人とクラブの双方にとって再現性の高いモデルになりうる。

まとめ:守備で物語を動かすポイントガード

伊藤良太の強みは、数字で見えるスティールの多さだけではない。相手の最初の選択肢を消し、味方のファーストブレイクを創出し、試合の 重力 を動かすこと。その影響はスタッツの欄外にこそ現れる。B2という新章で、彼はどれだけ多くの「嫌な選択」を相手に迫らせるのか。愛媛にとって、守備発のゲームデザインを具現化する要としての価値は計り知れない。

読了アクション:愛媛の次節プレビューで「伊藤の出場時±(プラスマイナス)」と「スティール→得点の連鎖」をチェックしてみよう。スタッツサイトの表面には現れにくい 潮目の変化 が、あなたの目にも見えてくるはずだ。

B.LEAGUE新リーグ構造「B.Premier/B.One/B.Next」徹底解説|2026年始動の3部制が描く日本バスケの未来

新リーグ構造「B.Premier/B.One/B.Next」とは

B.LEAGUEは2026年シーズンから、日本バスケットボール界のさらなる競争力強化を目的として、新たな3部制リーグ構造「B.Premier(プレミア)」「B.One(ワン)」「B.Next(ネクスト)」を正式に導入する。この再編は、リーグ創設から10年を迎える節目にあたるタイミングで実施され、クラブ経営の持続性・選手のキャリア形成・ファン体験の質を同時に高めることを狙いとしている。

B.Premier:トップ16クラブによる“国内最高峰”リーグ

「B.Premier」は、B.LEAGUEの最上位カテゴリーとして位置づけられる。参加クラブは16チーム前後を想定し、経営基盤・施設基準・競技成績など、厳格なライセンス条件を満たす必要がある。プレミアリーグでは、世界基準に合わせたアリーナ整備(収容1万人規模、ホスピタリティエリア完備など)が求められ、放映権・スポンサー収益の分配もグローバルモデルを参考に再構築される予定だ。

このカテゴリーでは「国際競争力」がキーワードになる。B.PremierクラブはEASL(東アジアスーパーリーグ)やFIBAの国際大会出場を前提に編成され、日本のクラブがアジアを代表する存在になることを目指している。選手年俸の上限緩和や外国籍枠の柔軟化なども検討されており、エンターテインメント性と競技性を両立する“アジア最強リーグ”が構想されている。

B.One:昇格を狙う実力派クラブの舞台

「B.One」は現行のB1・B2の中間にあたる新カテゴリーで、地域密着と成長意欲を両立するクラブが集う。経営規模は中堅クラスながら、スポーツビジネスとして持続的に発展できる体制を備えることが条件とされる。B.Oneのクラブは年間成績・ライセンス評価に基づいてB.Premier昇格を目指す一方、下位チームはB.Nextへの降格の可能性もある。

この2部リーグは「競争と育成のハイブリッドゾーン」と位置づけられ、若手選手の台頭や地域スポーツの発展に寄与する。リーグとしても、放送露出やSNS発信を強化し、ファンとの接点を増やす施策が導入予定。B.Oneは今後、B.LEAGUE全体の中核を担う“発展リーグ”として機能していくことになる。

B.Next:地域クラブ・新興勢力の登竜門

「B.Next」は、将来的なプロ参入を目指す地域クラブや新興チームが所属する育成型リーグである。クラブ経営の安定性よりも「地域活動」「若手育成」「運営の透明性」といった社会的価値を重視している点が特徴だ。大学・実業団・クラブチームがここに参加し、一定の成績・基準を満たすことでB.One昇格のチャンスを得る。

この仕組みは、欧州サッカーリーグに近いピラミッド構造を取り入れたものであり、全国各地に存在する地域クラブがプロのステージを目指す道を開く。今後は「クラブライセンス制度」により、財務・施設・ガバナンス・地域活動などを総合評価する仕組みが整備される見込みだ。

昇降格とドラフト制度の導入

新リーグでは、成績と経営基準を両軸にした昇降格システムが導入される。これにより、単なる勝敗だけでなく、クラブ運営の質や地域貢献度も競争要素として評価されるようになる。また、2026年からはB.LEAGUE初の「ドラフト制度」もスタート予定。これは育成リーグや大学・U18カテゴリーから優秀選手を公平に分配する仕組みで、各クラブのスカウティング偏在を是正し、若手選手のキャリア形成をサポートする目的がある。

ドラフトは当初、B.NextおよびB.Oneクラブを中心に実施され、将来的にはB.Premierでも拡張される見込み。リーグ全体での人材流動性を高め、国内選手の成長サイクルを整える狙いがある。

ライセンス制度の再構築

B.LEAGUEはすでにクラブライセンス制度を導入しているが、2026年からは新三部制に合わせて基準を全面的に見直す。これまでの「B1/B2/B3ライセンス」は廃止され、「Premier」「One」「Next」に対応する3段階の評価体制へ移行。施設・財務・人材・地域貢献・マーケティングなどの観点から多面的に審査される。

特にB.Premierでは、1万人規模のアリーナや年間予算10億円以上といった高水準の条件が求められ、持続可能な経営モデルを持つクラブだけが参入できる。これにより、B.LEAGUE全体の経営健全化とプロスポーツビジネスの信頼性向上が期待されている。

B.LEAGUE再編がもたらす意義

この3部制改革は単なる組織再編ではなく、日本バスケットボールの「産業化」への大きな一歩である。競技面では、昇降格とドラフトを通じて緊張感と公平性が生まれ、選手はより高いレベルを目指すモチベーションを得る。経営面では、ライセンス制度がクラブのガバナンスを改善し、スポンサーや地域との信頼関係を強化する。

さらに、B.Nextによって地域クラブや育成世代が体系的に上位リーグとつながる構造が生まれ、日本全国で「バスケットボールが産業として循環する仕組み」が整備される。リーグ全体でのメディア露出拡大、国際大会との連携、アリーナエンタメの進化なども期待されており、日本バスケが次のステージへ進むための礎となる改革だ。

まとめ:2026年、日本バスケの新時代へ

B.LEAGUEの新リーグ構造「B.Premier/B.One/B.Next」は、単なる名称変更ではなく、競技・経営・育成を一体化させた包括的な改革である。2026年の開幕に向けて、各クラブは新基準に対応した体制づくりを進めており、日本のバスケットボールは今、かつてない規模で進化の時を迎えている。国内最高峰のプレミア、地域発展を担うワン、そして未来を育てるネクスト──三層の循環が、日本のバスケの未来を形づくることになる。