要約:インサイド再編で 勝ち筋 を上書き――宇都宮がジャスティン・ハーパーと契約合意
B1東地区の宇都宮ブレックスが、パワーフォワードのジャスティン・ハーパー(208cm/36歳)と2025–26シーズンの新規選手契約に合意した。
10月15日の千葉ジェッツ戦からベンチ登録が可能で、同日付けでグラント・ジェレットがインジュアリーリスト入り。負傷離脱によるビッグマンの空白を即時に埋める 点とリバウンドの二刀流 補強だ。
宇都宮はすでに東地区上位圏でのスタートダッシュを決めつつあり、直近のB1は10/15(水)〜10/19(日)にかけて連戦が続く。ローテーションの再構築は待ったなし――首位レースの第一コーナーで、宇都宮は「守備効率を落とさずに得点の底上げ」という難題に挑む。
プロフィール:ジャスティン・ハーパーとは誰か
- 出身/年齢/体格:米国、36歳、208cm/108kgのPF
- NBA実績:オーランド・マジックなどで22試合出場
- Bリーグ経歴:2020–21京都→越谷→2024–25 FE名古屋(双方合意の解除で11/15発表、13試合で6.3得点/5.0リバウンド)→2025年8月から群馬の練習生
- スキルセット:ピック&ポップの外角、トレイル3、ポストのフェイスアップ、DREBからの1stパス供給。サイズに見合うフィジカル・コンタクト耐性と、スペーシングを壊さないシュートセレクションが持ち味。
越谷時代には35得点の爆発試合も経験。いわゆる「ハイボリュームスコアラー」ではないが、ラインナップの穴をピンポイントで塞ぐ職人的即効性に長けるタイプだ。
補強の背景:ジェレット離脱で揺らぐ 攻守バランス
宇都宮は同日、ビッグマングラント・ジェレットのインジュアリーリスト登録を公表。昨季の優勝に貢献した要のアウトサイドストレッチ&リムプロテクト資産を一時喪失する格好となった。
そこでクラブが描いたのは、「守備のアイデンティティは据え置き、攻撃の再現性を担保」というロスター再設計。ハーパーはハーフコートの停滞を 1本のポップ3 で解きほぐせる。一方で、ヘッジ後のDREB/スクランブル復帰など、宇都宮が標榜する連動守備に適応できるフットワークと判断力を持つ。
戦術適合:宇都宮オフェンスにおける3つの着地点
- ピック&ポップ拡張:ニュービルやガードの二次創出時、サイドピック→ショートロール→キックの一連に、ポップの射程を追加。タグに迷う相手に 守る幅 を広げさせる。
- トレイル3の脅威:セカンダリーブレイクでドラッグPNRの後列にハーパーを配置。リム→コーナー→トップの連続タッチで、弱サイドのクローズアウト距離を最大化。
- ハイポストのハブ化:ハイロー/フレアの呼吸合わせで、ショートハイポストにボールを預ける時間を設計。フェイスアップからのハンドオフ→ズームで二次連鎖を起動する。
これにより、「1stアクションが止まった後の速い2手目」が増え、ショットクオリティ(質)の平準化が期待できる。
守備面の見立て:落とさないためのKPI
- DREB%:セカンドユニット時に+2.0ptの上積みを目標。1ポゼッションあたりの守備完了率が攻撃テンポに直結。
- ポスト守備の助け合い:ハーパーの縦コンタクトに対し、ペリメータの 早い手 でダブル→ローテを完了する所要時間を短縮。
- トランジションDF:外弾き後の最初の3歩。シュート後の遷移ルール(クラッシュ2/セーフ3)の徹底で被被弾率を抑止。
数値化された目標を試合ごとにレビューすることで、 補強効果の可視化 が進み、チーム全体の納得感が高まる。
直近日程とインパクト:千葉J戦(10/15)で いきなり実装 の可能性
B1は10/15(水)に全体のミッドウィークゲームが組まれ、宇都宮は千葉ジェッツと激突。さらに10/18(金)〜10/19(土)にもリーグ全体で連戦が控える過密編成だ。
ハーパーが登録即日でプレータイムを得るなら、想定される導入は以下のミニマムパッケージ:
- ATO(タイムアウト明け)専用セット:ホーン→スプリット→ポップで1本目の3Pを設計。
- SLOB/BLOBのスペーサー役:インバウンズ後のズームDHOsからトップにオーバーラップ。
- セカンドユニット5分枠:疲労とファウルトラブルのブリッジ。5分×2シフトで守備ルールの学習コストを最小化。
即戦力の 痛点消し に徹すれば、千葉のリム守備を引き剥がす副作用も期待できる。
類似の過去事例:緊急補強がシーズン軌道を変えたケース
- 某年・宇都宮:前半にビッグマンの離脱→ストレッチPF導入でPNR→ポップの効率が上昇、クラッチ得点が復活。
- 某年・川崎:スターのシュート不調期に、ハブ型PFを獲得してハンドオフ連鎖を増加。ペースは落とさずに効率だけ上げる設計転換に成功。
緊急補強の成否は、「役割の明確さ」と「時間の使い方」に集約される。ハーパー起用が 何をしないか まで含めて明確であれば、チーム全体のミスは減る。
メディア/ファンの反応:即戦力×経験値への期待と、守備継承への不安
SNSでは「越谷での35点」「FE名古屋での粘り」「群馬での練習生という誠実な姿勢」など、経験値と人間性に裏打ちされた即効性への期待が高い。一方、「守備網の継承」は最大の論点だ。宇都宮の勝ち筋は守備からのトランジションにある。ハーパーが守備規律をどこまで短期で吸収できるか――ここが 補強のリターン を左右する。
対千葉Jのポイント:3つの 先回り で優位を作る
- 早期スイッチ狩りの準備:千葉のスイッチ/ICE対策として、ショートロール→コーナーを即共有。タグの遅れを突く。
- リム保護の二重底:ハーパーの縦壁にウイングのディグを重ねる。FGAを増やさず、質で勝つ。
- ATOの最初の一手:ホーン→フレア→バックで相手のスカウティングを1手上回る。この1本でベンチを温める。
年表:ハーパーの近年キャリアと宇都宮合流まで
- 2020–21:京都でBリーグ参戦
- 2022–24:越谷で2季(35点のキャリアハイ級試合)
- 2024–25:FE名古屋で開幕→11/15双方合意解除(13試合6.3点/5.0板)
- 2025/8:群馬の練習生として活動
- 2025/10/14:宇都宮と契約合意発表、10/15 千葉戦から登録可能
データ視点の仮説KPI(導入後10試合)
- オンコートTS%(チーム):+1.5pt上昇
- 2ndユニットORTG:リーグ平均±0→+2.0を目標
- DREB%:+2.0pt(セカンドチャンス失点の削減)
- PNP(ピック&ポップ)由来の3P試投比率:+5%
これらは 補強の価値 を説明できる数字で、シーズンの意思決定を支える根拠になる。
今後の展望:EASLや上位直接対決を見据えた 二層化ローテ
国内リーグの過密日程に加え、EASLなど国際大会の負荷も加わる。宇都宮は「守備維持ユニット」と「得点上積みユニット」の二層化で戦うのが理想だ。
ハーパーは後者の 得点上積みユニットの起点 。ズーム/ハンドオフ/ピック&ポップの連鎖をハブとして回し、ベンチ時間帯の停滞を一撃で断ち切る役割を担う。
編集部的まとめ:緊急補強は 足し算 ではなく 引き算 で考える
今回の合流の肝は、「やることを増やさない」ことだ。既存の強みを削らず、弱点だけを消す。ハーパーの強みはまさにそこで、最小の導入で最大の余白を生む。
宇都宮が狙うべきは、「勝ち筋の再現性」の回復。ジェレット離脱の痛みを、ハーパーという 再現性の部品 で補う。千葉J戦は、その答え合わせの初日になる。
アクション喚起:ここを見てから語ろう(観戦チェック3点)
- ハーパーの初出場はどのタイミング?(第2Q中盤or第3Q頭の起用なら 設計導入 のサイン)
- 最初の3Pはセットから?(ATO/サイドラインから作られたなら 再現性狙い )
- DREB後の1stパス(速攻のスイッチの切り替え速度を要チェック)
観るべき論点が揃えば、勝敗の理由が言語化できる。ハーパー×宇都宮の新バージョン、最初の答えはもうすぐ出る。