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東京Uの川島蓮、B3を変える“執念のSG”——教員からプロへ、キャプテンとして築いた文化と勝負強さの正体

イントロダクション:B3の景色を変えた「遅咲き」の到達点

東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(以下、東京U)の背番号2、川島蓮。学びの現場である教員生活から社会人クラブを経てプロ契約に至った異色のキャリアは、B3リーグの価値観を静かに更新してきた。2023-24シーズンにキャプテンへ任命されると、翌2024-25シーズンにはリーグ2位のスティール数、そして年間ベスト5選出。身長180cm・90kgのSGというプロファイルに、勝負勘と泥臭さ、判断の速さをブレンドした“B3基準の万能性”で東京Uの文化を底上げしている。本稿では、教員からプロキャプテンへと至る川島の歩みを、戦術・文化・データ・歴史的文脈の4つの軸で読み解き、B3の未来地図に重ね合わせる。

人物・プロフィール:言葉と行動を一致させるタイプ

1994年10月20日、福島県出身。若松商業高でウインターカップ初出場を経験し、白鷗大学では4年時にインカレ3位、個人で優秀選手賞を獲得。大学卒業後は福島県内の中学校で教員として勤務しつつ、社会人クラブで競技を継続。2019年の第1回全日本社会人選手権では福島教員Aの優勝に寄与し、国体でも福島代表としてプレーした。“死ぬこと以外はかすり傷”をモットーに、準備量と責任感を前提にしたスタンスは、プロ入り後の東京Uでも貫かれている。

キャリア年表:教員→社会人→B3キャプテンの「納得できる順序」

  • 高校:福島県立若松商業高——ウインターカップ初出場を牽引
  • 大学:白鷗大——インカレ3位、優秀選手賞。勝ち切る試合運びを体得
  • 2017-2019:福島教員A——教育現場と二足のわらじ、社会人日本一を獲得
  • 2019-2022:福島Sirius Blacks——ゲーム体力と判断スピードを磨く
  • 2022-:東京U——トライアウト経由でプロへ。2023-24からキャプテン就任、2024-25はリーグ屈指のスティールマンとして年間ベスト5

“教員視点”がもたらす競技力:3つの実務能力がコートで効く

  1. ①観察と言語化:授業運営の延長として、仲間のプレー傾向を短時間で観察→具体語でフィードバック。タイムアウト30秒の中で「良い例・悪い例・次の一手」を端的に共有できる。
  2. ②規律のマネジメント:遅刻ゼロ、準備の可視化、ウォームアップのテンポなど“見えない領域のクオリティ”を担保。チームの平均パフォーマンスを底上げする。
  3. ③安全と強度の両立:教員の立場で培った危機管理はファウル・トラブルやリードの守り方に直結。終盤に無駄なリスクを取らずに、最大効率のプレー選択を促す。

スキルセットの解剖:180cm・90kgのSGがB3で生む「相対的優位」

ボールプレッシャーとハンドファイト:上体の強さを活かしたPOA(Point of Attack)守備で、ボールハンドラーの最初の一歩を遅らせる。スティールは“奪いにいく”のではなく“選ばせる”発想——ライン際での逃げ場を限定し、パス予測で一歩先を取る。

トランジションの意思決定:走力勝負ではなく、2対1・3対2の数的優位で最終受け手を決め切る設計力が高い。自らフィニッシュにいくよりも、セーフティを引き付けてコーナーに落とす“2.5アクション”が持ち味。

ショット・プロファイル:3P%はシーズンで波があるが、キャッチ&シュートの「入りやすい打点」を一定に保つ工夫が見える。特に45度のショートクローズに対するワンドリ・プルアップ、コーナーでのクイックリリースは、B3の守備テンポに刺さる場面が多い。

フィジカル・スキル:90kgの厚みは接触許容の上限を押し上げる。ハンドオフ後に肩を入れて縦を割る動き、ポストでのスイッチ狩り、ボール保護のうまさでTOを抑制。終盤のFTは波があるため、メンタルルーティンの最適化が今後の伸びしろだ。

スタッツを読む:数字の背後にある“役割の変遷”

  • 2022-23:出場50試合/GS12。20分帯で6.8点、FT%92.6%。ローテ要員として「丁寧さ」を評価される時期。
  • 2023-24:出場50試合/GS45。24分帯で8.4点・1.5SPG。キャプテン就任で使用率は微増、守備一体のトランジション強度が上昇。
  • 2024-25:出場50試合/GS35。22分帯で9.6点・2.4SPG。3P%25.3%と確率は落ちたが、スティール創出とゲームマネジメントで総合影響度が評価され年間ベスト5。

結論として、川島の価値は純得点では測れない。ポゼッション価値を“減らさない”守備と、“増やし直す”トランジション創出能力の総和で、チームの勝ち筋を太くしている。

戦術文脈:東京Uオフェンスでの最適解

  1. ピストル→DHO連鎖:サイドで上がり受け→DHO→45度での0.5秒判断。川島は初手で迷わずスイッチを引き出し、逆サイドのショートロールorコーナーへ誘導する。
  2. スペインPNRの裏方:バックスクリーン役でヘルプの足を止め、こぼれ球やローテ読みで二次加点を狙う。スコアは記録に残らなくても、期待値を押し上げる“陰の主役”。
  3. ベースライン・ドリフト:ドライブに合わせてコーナー→ショートコーナーへドリフト。視界に入り続ける位置取りが、キックアウトの成功率を上げる。

ディフェンスの核心:スティールは“読みの積分”

川島のスティールはフィジカル勝負ではなく、情報集約型。相手PGの視線癖、ポストエントリーの合図、ハンドラーの利き手逃げを蓄積して“次の一手”を早出しする。だからこそファウルが少なく、終盤でも強度を維持できる。キャプテンとしては、守備の合言葉を「誰が・何を・いつ止めるか」に統一し、コート内の役割分担を明瞭化している。

文化づくり:キャプテンがつくる“勝利に近い日常”

  • ミーティングの時短:要点3行/次のアクション1行の型に統一。現場の言語負荷を下げ、練習時間を確保。
  • エラーの共有様式:“犯人探し”ではなく“原因探し”。映像は個人名を伏せ、状況と選択の質に焦点を当てる。
  • ルーキー育成:試合外での準備チェックリスト(睡眠・栄養・アップ・セルフスカウティング)を共有。習慣の可視化で再現性を担保。

B3全体の関連動向:育成と地域密着の接点としての“東京Uモデル”

B3は近年、育成・地域連携・事業基盤の三位一体モデルを志向している。東京Uは都市型クラブとして、地域の多層コミュニティ(学校・企業・医療・文化施設)と接点を持ち、少人数運営でも機動力を確保。川島の“教員的視点”は、ホームタウン活動やスクール事業にも説得力を与え、クラブの信頼残高を増やしている。

過去の類例との比較:遅咲き×守備主導のキャプテン像

国内外を見渡せば、遅咲きで守備と規律を軸にチームを牽引した主将の成功例は少なくない。共通点は「勝負どころでオフェンスの焦点を絞る」「準備の規格を標準化する」「若手の役割を明確化する」の3点。川島はこの普遍式をB3仕様に翻訳し、身体的ピークを越えても勝てる方法論を体現している。

メディア・ファンの反応:地味の裏側にある“安心感”

SNSや会場の声で目立つのは「川島が出ているとチームが落ち着く」「終盤でディナイしてくれる安心感」。派手なハイライトよりも、勝負を逃さない地道なワンポゼッションの積み重ねが評価の中心になっている。年間ベスト5選出は、そうした“地味系価値”が可視化された瞬間だった。

3×3への射程:12秒の世界で生きる“0.5秒思考”

川島の強みは、3×3の即時判断性に親和的だ。以下のドリルは、育成年代やセミプロの現場で川島型の意思決定を鍛えるのに有効である。

  • 0.5秒ルールドリル:キャッチから0.5秒でパス・ショット・ドライブのいずれかを決断。迷いの時間を削る。
  • サイドピック限定3on3:片側エリアのみ使用可、12秒ショット。スペース制約下でのライン取りを学ぶ。
  • スティール予測ゲーム:コーチの合図でパスパターンを2択→守備は読みで先取り。ファウルせずに触れる技術を磨く。

将来の展望:確率改善と役割のマルチ化で“もう一段”

課題は3P%の安定化とFTのルーティン最適化。メカニクス修正に加え、ショットセレクションの“打点マップ化”(入るスポット・入らないスポットの可視化)で、期待値を伸ばせる。役割面では、セカンドユニットの“守備設計士”として、若手ハンドラーとユニットを組み、攻守のルールを体現するリーディングの継続が鍵。指導・スカウティング・フロント志向の将来像も含め、クラブが「人材アカデミー」として機能するなら、川島は象徴的なアセットになり得る。

結論:東京Uの“勝てる日常”を支える等身大のヒーロー

川島蓮は、スコアで主役を張るタイプではない。だが、1本のディナイ、1つのヘルプ、1回のトランジション判断が、勝敗を左右することがある——その当たり前を毎試合、等身大の熱量で実装している。教員出身のキャプテンとして、言葉と行動を一致させ、チームの“平均”を押し上げ続ける存在。B3における価値とは何か。川島のキャリアは、その問いに対して「準備・規律・即時判断」という普遍解で答えている。だからこそ、年間ベスト5という表彰は通過点にすぎない。東京Uが上位常連へと踏み出すとき、最初に名前が挙がるのは、きっとこの背番号2だ。

【特集】ハイデン・コヴァル完全ガイド|“Slim Preacher”がB3を制圧した理由と東京ユナイテッドでの次章

イントロダクション:216cmの「遅らせる才能」

ハイデン・コヴァル(Hayden Koval)は、B3リーグで“ブロック王”を連覇した216cmのセンターだ。2023–24に1試合平均3.10本、2024–25には3.33本まで数字を押し上げ、B1・B2を含む日本リーグ史の「ブロック最多試合(9本)」を複数回マーク。単なる高さ頼みではなく、相手の初動を0.数秒「遅らせる」読みと間合いの設計が真価である。愛称は“Slim Preacher”。細身のシルエットに似合わぬ強度と、一貫した努力と信念を体現する姿勢で、2025–26は東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(B3)で新章に臨む。

プロフィール:基本情報とキャリア概要

  • ポジション:C(センター)
  • 身長/体重:216cm / 100kg
  • 出身:米テキサス州プロスパー
  • 愛称:Slim Preacher
  • 現所属:東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(No.15)
  • 主な受賞:B3ブロック王 2023–24(3.10)/2024–25(3.33)

大学はアーカンソー中央大→UNCG→シンシナティ大と渡り歩き、学生通算のブロック数はNCAA上位の歴代記録帯に食い込む。プロではスロバキアのBKイスクラ・スヴィットを経て、2023–25にしながわシティで日本デビュー。二季連続で歴史を塗り替え、2025–26から東京ユナイテッドでプレーする。

大学期の骨格:ショットブロックは「結果」、読みと足さばきは「原因」

アーカンソー中央大の1年目でいきなり学校記録のブロック数を樹立し、ヒューストン・バプティスト戦では17得点・10リバウンド・11ブロックのトリプルダブルを達成。以降もブロックはカンファレンス上位の常連で、UNCGではSoConのブロック王、最終学年のシンシナティでも限られた時間で存在感を示した。特筆すべきは、単に弾く回数ではなく「踏み込み→ストップ→垂直跳び」の質。追い足での角度作りが巧く、着地後にもう一度跳べる二段構えがプロ仕様だ。

プロ序盤:欧州で磨いた「接触の外し方」

スロバキアでは平均14.1点・8.9リバウンド・2.8ブロック。重量級ビッグとの駆け引きで学んだのは、正面衝突しない身体の当て方だ。ヒットを受けるのではなく、わずかに遅らせて外す。日本に来てからの「ファウルをしないブロック」「ボックスアウトの角度」は、この欧州期の学習が土台になっている。

B3での爆発:記録でたどる“コヴァル現象”

  • 2023–24 しながわシティ:51試合、平均10.63点/8.75リバウンド/3.10ブロック/3P% 41.9%。シーズン通じてリム守護とストレッチ要素を両立。
  • 2024–25 しながわシティ:52試合、平均13.13点/10.04リバウンド/3.33ブロック。9ブロックのリーグ歴代最多タイ(自身記録)を再現、32得点・26リバウンドなどキャリアハイを更新し、通算200→300ブロック、1000得点に到達。

ブロック数の裏には、ペイント侵入試行回数そのものを減らす抑止力もある。存在が相手のショット選択を外側へ押し出し、味方ウイングのコンテスト効率を上げる「二次効果」こそが、勝率に直結する。

スキルディテール:守備は“遅延”、攻撃は“二択の明確化”

ディフェンス:ドロップ時の後退角度と、レベル上げ(スクリーンの高さ)への切替が滑らか。ブロックは真上からのバーティカルコンテストが多く、笛を呼びにくい。ウィークサイドのヘルプでも、一度目を「見送って」二度目で刈る“遅らせ”の妙がある。9本級の量産は、この再現性に支えられる。

リバウンド:純粋な押し合いではなく、ショットの弾道からの落下点予測と、一歩目の位置取りで勝つタイプ。26リバウンドの背景には、相手の外角増加に伴うロングボード回収の技術がある。

オフェンス:ショートロール→フローター、ダイブ→アリウープ、ポップ→トレイル3と、選択肢は明確。ハイポストでのハンドオフ(DHO)を起点に、ディフェンスの足を止めた瞬間に縦へ抜ける。3Pは波はあるが、ラインナップを広げるだけの脅威値を持つ。

“Slim Preacher”の意味:一貫性と信念を習慣化する力

愛称は、コート内外での「一貫した努力と信仰」に由来する。試合前のルーティンはフォームシュートとストレッチ。派手さより、同じ手順を積み重ねることを大切にする。だからこそ、ベンチスタートでも温まりが早く、短時間でゲームを変えるスイッチを入れられる。

東京ユナイテッドでの役割設計:3つのKPIと最適な“刻み”

  1. Rim Deterrence(抑止力):相手のペイントアタック試行回数と仕上げ位置の変化(リム→フロater帯)。
  2. Second Chance Control:相手のOR%抑制。体重でなく角度と早い一歩で勝つ。
  3. Floor Spacing Value:ポップ&トレイル3の「打てる位置」に立つ回数。入る入らない以前に、守らせることでレーンが開く。

運用は4〜6分刻みを基本に、ジャンプクオリティとファウルレートを維持。相手がスモール化したら「高さの押し付け」でラインナップを支配し、ビッグが二枚並ぶ相手にはポップの脅威で引き剥がす。

リーグ全体の文脈:B3の“守備系ストレッチ5”という希少性

日本の下部カテゴリでは、ペイントに張る伝統的ビッグがまだ一定数を占める。そこに“守れるストレッチ5”を置けるメリットは大きい。ペース&スペースの完成度が上がり、ガードのペイントタッチ→キックアウトが自動化される。守備面では、コーナータグの遅れを「長さ」で救済できるため、チーム全体のミス耐性が高まる。

比較・参照:過去のブロック型ビッグとの違い

  • 共通点:シュートブロックのタイミング、縦の脅威でリム期待値を下げる効果。
  • 差別化:3Pの存在とDHOの使い方。単なる「待ち受け」ではなく、ハイポストから攻撃を前に進められる。
  • 課題:重量級とのローポスト耐久戦、連戦のコンタクト蓄積。ここは外す守備交代刻みで解決する設計が鍵。

年表・ハイライト:記録が語るターニングポイント

  • 大学:複数カンファレンスでブロック上位、トリプルダブル達成。
  • 欧州:スロバキアで主軸、カップ優勝経験。
  • 日本初年度:B3ブロック王、9ブロックの歴代最多試合を樹立。
  • 日本二年目:ブロック王連覇、9ブロック再現、32得点・26リバウンド更新、通算1000点/300ブロック到達。
  • 東京ユナイテッド加入:連覇のデータを勝ち方の型に翻訳する段階へ。

メディア・ファンの反応:数字以上に“空気を変える選手”

彼の魅力は、スタッツシートよりも先にコートの空気に現れる。相手ガードがペイントを躊躇する、ウイングのクローズアウトが一歩速くなる、ディフレクションが増える――目に見えにくい変化が、結果的にチームの±を押し上げる。SNSでは「9ブロック」の衝撃値が独り歩きしがちだが、真価は抑止遅延という地味な連続にある。

データで補強:ミクロ指標の見方(観戦のコツ)

  • Contest Quality:ブロック未遂でも、どれだけシュート弾道を変えたか。
  • Box-Out Angle:正面で押し合うのではなく、45度の外しでリバウンド位置を奪った回数。
  • DHO Efficiency:ハンドオフから生まれたキャッチ&シュート(または展開)の期待値。

これらを意識すると、彼の「見えない勝ち仕事」が見えてくる。

将来展望:B3での完成から、次の段階へ

二季連続のブロック王で、B3内の役割は「完成」に近い。次段階は、①ファウルレートの微減、②コーナー3の安定化、③ポストディフェンスの体重差対応だ。特に③は“受けない”守りをより体系化し、チームルールと同期させることで、ポストシーズンのマッチアップにも耐性が増す。東京ユナイテッドの目標(上位定着・昇格争い)にとって、コヴァルは守備の土台×攻撃のスペースを同時に供給できるキーストーンになる。

まとめ:高さだけでは説明できない、勝率を押し上げる技術

ハイデン・コヴァルは「高いからブロックできる」選手ではない。遅らせる読み、角度の作り方、接触の外し方――技術の集積が9ブロックの記録を生んだ。東京ユナイテッドで迎える新章は、その技術をチームの勝ち方の型に翻訳する工程であり、B3という実験場からリーグ全体の潮流を動かす可能性を秘める。必要な場所に、必要なタイミングで。彼の一歩と一跳びが、ゲームの物語を静かに書き換えていく。

読者アクション(観戦To-Do)

  • ペイント侵入前の一瞬の躊躇に注目――それが抑止力の証拠。
  • DHO受け渡し直後の足の向きを見る――縦に抜くか外へポップするかのサイン。
  • リバウンドは落下点の一歩目を追う――体重差より角度で勝っていることが分かる。

近藤崚太(さいたまブロンコス)|“無所属の崖っぷち”から這い上がった3&Dの矜持と再起の軌跡

イントロダクション:崖っぷちからの帰還

「21-22シーズンの開幕までに契約が決まらなければ、バスケットは一切やめる」。そう腹を括った無所属の一年(2020-21)を経て、3ポイントシューターとして再浮上し、いまB3・さいたまブロンコスの背番号22を背負うのが近藤崚太だ。高校は浜松商業、大学は常葉大学。プロの門を叩いたのは2019年の特別指定(三遠ネオフェニックス)から。そこから静岡、長崎、東京Z、香川を渡り歩き、2025-26に埼玉へ。紆余曲折のキャリアは、ひとりの“3&D(3ポイント&ディフェンス)”型ウイングが、結果と自分のスタイルを同時に磨き上げてきた証左である。

プロフィール:基本情報とプレースタイルの要点

  • 氏名:近藤 崚太(こんどう りょうた)
  • 生年月日:1996年8月12日(29歳)
  • 出身:静岡県湖西市
  • 身長/体重:190cm / 85kg
  • ポジション:シューティングガード(SG)
  • 現所属:B3 さいたまブロンコス(No.22)

プレースタイルは端的に“3&D”。キャッチ&シュートのテンポが速く、0.5秒の意思決定で放つ高確率のスポットアップと、ライン際のリロケートで射程を確保するのが武器だ。守備ではウイング周辺のナビゲート、ボールに対するアグレッシブなコンテスト、ヘルプ・スクラムの判断が光る。ボール支配時間は長くないが、スペーサーとしての価値を最大化し、オフェンスの幅を拡張するタイプである。

キャリア年表:停滞と加速の繰り返し

  • 2019(特別指定):三遠ネオフェニックスに登録。トップのスピード感に触れたが、出場は1試合にとどまる。
  • 2019-20:ベルテックス静岡(B3)でプロキャリア本格始動。平均7.8点、3P% .346。試合経験と役割の輪郭を獲得。
  • 2020-21:無所属。契約が決まらない現実と向き合い、引退も覚悟。トレーニングと待機の狭間で“やるか、やめるか”の自分に決着をつける。
  • 2021-22:長崎ヴェルカ(B3)に加入。1試合10本の3P成功という象徴的な爆発で、優勝とB2昇格に貢献。
  • 2022-23:長崎(B2)。度重なるケガで出場は21試合・平均1.8点。悔しさを抱えつつ、再構築の年。
  • 2023-24:アースフレンズ東京Z(B3)へ。平均8.9点、3P% .383、FT% .811と効率の良さを回復。
  • 2024-25:香川ファイブアローズ(B3)。出場51試合、3P% .321ながらFG% .500、FT% .878。起用法の変化にも順応。
  • 2025-26:さいたまブロンコス(B3)。“必要なところに、必要なシュートを”打てるウイングとしての完成形を目指す。

スキルディテール:シュートメカニクスと守備の骨格

オフェンス:最大の強みはキャッチ&シュート。ボール準備(ショットポケット)からの一連の動作がスムーズで、出し手の視野を狭めないパッシングラインに位置取るセンスがある。コーナーでのショートクロースアウト攻め(ワンドリ・ミドルレンジ、またはショートロールマンへのキック)は、“打つと見せて追い越す”二択で的を絞らせない。ベースラインドリフトのタイミングも良好で、ボールサイドの渋滞を避けながら射程を確保できる。

ディフェンス:オンボールではファーストステップの抑制、ナッジ程度の身体接触でドライブラインをずらす。オフボールではトップサイド・ボトムサイドの優先順位を理解し、ナビゲート+ショルダーファイトでの追従に長ける。パスラインのベタつきすぎを避けるタイプで、スティールよりも“遅らせて助ける”遅延守備を重視する。

“無所属の一年”が与えた意味:意志決定の質と危機管理

2020-21の無所属期間は、単にキャリアが止まった時期ではない。いつ声がかかるかわからない状況でコンディションを維持し続けたことは、結果に直結しにくい努力を積み上げるメンタルの養成だった。そこからの長崎加入、そして記憶に残る10本の3Pは、準備と機会が交差した瞬間である。危機をくぐった選手は、判断の“怖さ”に鈍感にならない。必要なところで打つ勇気を持ち、必要のないところでは控える慎重さも併せ持つ――近藤のシュート選択には、そのバランス感覚が宿る。

数字で読む価値:効率・役割・ラインナップ適合

  • 東京Z(2023-24):FG .485 / 3P .383 / FT .811、PPG 8.9、先発35/38。高いスターター稼働率と効率を両立。
  • 香川(2024-25):FG .500 / 3P .321 / FT .878。3P精度は揺れたが、総合効率(TS%)はFTの優秀さが補填
  • 長崎(2021-22, B3):PPG 7.5、3P .333。“大当たりの日”の天井値を証明(10本成功)。

役割適合としては、ハイボリュームの一次創出者の隣で価値が跳ねるタイプ。ボールスクリーナーを介したズームアクション(DHO+ピンダウン)やスプリットに絡むと、ディフェンスのヘルプ優先順位を乱し、コーナーのクリーンルックを獲得しやすい。ラインナップ設計では、ペイントタッチ役×近藤×ショートロールで配球できるビッグの三位一体が機能する。

メンタルとルーティン:ゲン担ぎは“整える”作法

学生時代のルーティンとして「前夜はカレー」「会場入りは右足のかかとから」といったゲン担ぎをしていたという。迷信と侮るなかれ。ルーティンは状態を可視化する装置であり、平常心を再現する手順書でもある。無所属・ケガ・役割変動――環境が揺れるときほど、一定の行動がパフォーマンスの基準点になる。近藤のメンタルは、経験則と手順によって“揺れ幅”を制御してきた。

周辺人物・コミュニティ:愛称「コン太」と“遊んでくれる人”

愛称は「コン太」。ベルテックス静岡のマスコット・ベルティからは「会場で一番遊んでくれる人」と言われるムードメーカーでもある。3&Dは往々にして“地味な貢献”が多いが、人の輪をつくる空気もまた、チームの不可視の勝因だ。勝敗は技術と戦術だけで説明できない。人間関係の密度が、守備の一歩・カバーの0.2秒・声かけの厚みを変える。

さいたまブロンコスでの期待値:必要なところで必要な一撃を

ブロンコスで求められるのは、ショットセレクションの厳密さウイング守備の安定供給だ。終盤のクラッチでは、相手がペイントを絞った瞬間のコーナー/45度での決定力が勝負を分ける。セカンドユニットでは、ディフェンス→早い3Pの2本柱で一気に流れを変える役回りも視野に入る。守備では、相手のスペインPNRズームに対するコミュニケーション主導のナビゲート役が最適解だ。

比較事例:同型プレーヤーと強み・弱みの棚卸し

  • 強み:キャッチ&シュートの速さ、フリースロー精度、オフボールの位置取り、守備の“遅らせる”知恵。
  • 課題:ハンドラーとしての創出量、オフスクリーン後のワンドリ・プルアップの再現性、3P精度の年次波。
  • 改善仮説:ホーンズ・フレアダブルドラッグ背抜けへ関与を増やし、着地姿勢からのワンドリを“逃げ道”でなく“選択肢”に昇華させる。

データ断章:3P試投と効率の相関(概念メモ)

3P%は前後の試合で振れやすい。一方で「良いミス」(ショットクオリティが高い外れ)は、次のポゼッション価値を上げる。コーナーのクリーンルックを量産し続ける設計――たとえば、ドライブ→ベースラインドリフト→キックアウトの自動化は、選手の波を戦術で平滑化する方法だ。近藤はその“自動化”の受け手として、マクロにチームの効率を上げる。

メディア・ファンの反応:懐に入るタイプのプロ

ファンコミュニケーションの距離が近く、現場では子どもたちに囲まれるタイプ。メディア受けする華やかさより、会場に行くと好きになる選手という文脈だ。無所属、ケガ、役割の揺れ――物語性をまとった選手は、地域密着のBリーグにおいてクラブの“物語装置”でもある。さいたまで新章を迎え、勝つこと語り継がれることの両立に挑む。

3×3視点の応用:共創・心理的安全性・0.5秒

3×3では、3&Dの“D”に当たる的確なコンテストと、トランジションでの即断即決の3Pが価値を持つ。少人数ゆえに、ミスを責めない心理的安全性が意思決定の速度を上げ、0.5秒ルール(打つ・ドライブ・パスを0.5秒で決める)の実装率が勝率に跳ね返る。近藤の資質は、3×3のズームDHOゴーストスクリーンにおいても威力を発揮しやすい。

将来展望:完成形は“静かなフィニッシャー”

キャリアの成熟期に入る29歳。爆発力の“日替わり”ではなく、必要十分の一撃を静かに積み上げる安定解を磨きたい。年間を通じて3P% .370前後を維持し、クラッチの期待値ショットを落とさない。守備ではファウル管理とポジショニングの精緻化を進め、±0を+2に変える職人仕事を増やす。チームがプレーオフを狙うには、こうした“静かな積み増し”が最短距離だ。

まとめ:必要な瞬間に、必要な距離から

近藤崚太の価値は、派手なボリュームでは測れない。必要な瞬間に、必要な距離からシュートを放ち、守備で相手のテンポを“遅らせる”。無所属の一年、ケガの季節、役割の揺れ――それらをくぐって残ったのは、自分の仕事を知ること仲間の仕事を助けることだ。さいたまブロンコスで迎える新章、コーナーと45度の沈黙が、ときにアリーナを揺らす歓声へと変わる。最後に残るのは、数字と、仲間の信頼と、コートに刻まれた一発の3ポイントだ。

読者アクション

  • 試合会場では近藤のオフボールの動きに注目してみよう。コーナーでのリロケート、ベースラインドリフトは“通の見どころ”。
  • 配信観戦ではクラッチタイムのポゼッション選択をチェック。打つか、止めるか、パスか――0.5秒の決断が勝敗を分ける。
  • ブロンコスのファンは、#コン太の一撃でSNSに勝負の3Pを共有し、チームの物語を一緒に紡ごう。

【Bリーグ/山口パッツファイブ】徹底ガイド|改称の背景・アリーナ戦略・成績推移・2025-26ロスターを深掘り【B3リーグ】

クラブ概要と現在地――山口パッツファイブとは何者か

山口パッツファイブ(Yamaguchi Patsfive)は、山口県宇部市をホームタウンとするB3リーグ所属クラブ。2020年に「山口ペイトリオッツ」として創設され、2023年に現名称へ改称した。運営法人は山口プロバスケットボール株式会社。県内初のプロバスケットボールチームとして立ち上がり、創設5年余でプレーオフ初出場(2024-25)を達成。2025-26は新ヘッドコーチ枝折康孝の下で“守備起点の再現性”を高め、B3中位から上位圏への跳躍を狙う。

キーワードは「継続」「地域浸透」「守備の再定義」。本稿では、名称変更の背景、アリーナとホームタウン戦略、年表で振り返る成績推移、スポンサー・経営、今季ロスター分析、戦術課題、そしてKPIまでを一気に整理する。主要キーワード「山口パッツファイブ」は適宜織り込み、検索からの導線と読後の理解を両立させる構成とした。

名称変更の背景とアイデンティティ設計――「パッツ」×「ファイブ」の意味

クラブは2023年7月、山口ペイトリオッツ → 山口パッツファイブへ改称した。背景には、「Patriots」の国内商標の事情がある。略称として愛着のあった「パッツ」を残しつつ、山口の歴史的象徴である長州ファイブに由来する「ファイブ」を重ね、「志ある者=志士が一丸となる」チーム像を再定義した。チームカラーはオレンジ。ロゴには県鳥ナベヅルを配し、上昇と結束の物語を視覚化している。

ブランディング面では、名称・カラー・ロゴの三位一体で「地域誇り×挑戦」のシグナルを発信。改称は単なる看板付け替えではなく、クラブの行動原理を刷新する「編集」でもあった。

開催アリーナとホームタウン戦略――“宇部ハブ+県内回遊”からの最適化

ホームの核は宇部市俵田翁記念体育館。創設初期は周南・山口・下関・萩・防府・岩国など県内各地を巡回するスタイルだったが、2023-24以降は宇部を中心に山口市・下関市へ集約。移動・演出・営業の効率化を進めながら、依然として複数会場に触手を伸ばし「出会いの総量」を担保する折衷モデルへ移行した。

  • 2021-22~2024-25の主会場出場数(抜粋):俵田翁記念体育館 16→20→22→20、J:COMアリーナ下関 0→0→0→4、山口リフレッシュパーク 0→2→2→2
  • メリット:動線の簡素化、演出・物販の標準化、スポンサー露出の一貫性。
  • 課題:分散開催の強み(新規層開拓)を失わないための「出張ホーム」設計。

年表でたどる主要トピックス(2019–2025)

  • 2019:設立準備組織「山口Bリーグ設立委員会」発足。
  • 2020:クラブ創設。地域リーグ参加を経てB3参入準備。
  • 2021-22:B3参入。12勝40敗(15位中12位)。開幕翌日にリーグ初勝利。STAND TOGETHERを掲げるも17連敗の苦渋。
  • 2022-2313勝39敗(16位中15位)。攻撃は中位も、総失点4627(1試合約89失点)でリーグワースト。
  • 2023-2416勝36敗(18位中16位)。チーム名を山口パッツファイブへ変更。
  • 2024-2525勝27敗(8位/プレーオフ進出)。守備改善が進み、4連勝×1回、5連勝×2回で追い上げ。QFで敗退。
  • 2025-26:枝折康孝HCが就任(鮫島HCは鹿児島GMへ)。新体制で“二段目の成長”に挑む。

最新の成績サマリー(B3)

シーズン 勝率 順位 得点 失点 備考
2021-22 12 40 .231 12位 4079 4808 17連敗を経験
2022-23 13 39 .250 15位 4271 4627 失点ワースト
2023-24 16 36 .308 16位 4092 4610 改称1年目
2024-25 25 27 .481 8位 3975 4131 初のPO進出

数値は公式のシーズン表記に基づく。2024-25の「失点抑制」へのシフトは、翌季に向けた戦術のベースとなる。

スポンサーとユニフォーム(2025-26)――地元カラーが濃いパートナー群

サプライヤーはb-five。シャツ前面には山口マツダ(右肩)とユーピーアール(中央)、背面はJAバンク山口、パンツは大晃ホールディングス/丸久/アルテクス/宇部市が名を連ねる。地場企業・自治体が並ぶ構成は、“県民クラブ”としてのアイデンティティを補強する。

2025-26ロスター徹底解剖――サイズ×機動力のリブート

現行ロスター(抜粋/年齢は登録上)

  • エヴァン・ブラウンズ(C/2.06m・23):リム直下の決定力。ディープドロップからの縦守備でペイント封鎖を担う柱候補。
  • アンテイビオン・コラム(C/2.06m・25):ブラウンズと双璧のサイズ。PnRの“受け”とオフェンスリバウンドでセカンドチャンス創出。
  • ボスティン・ホルト(F/2.01m・26):ウィング~PFを往復するスイングマン。DHO起点の二次創造に強み。
  • 栗原クリス(SG/1.88m・26):ショットクリエイト兼3&D。オフボールの角度取りでPAINT→KICKの終点に。
  • 重冨友希(PG/1.74m・27)喜志永修斗(PG/1.81m・25):テンポメイクの二枚看板。ゲームの「呼吸」を整える。
  • アルビンダー・シン(F/2.05m・22|アジア特別枠):サイズとレンジを兼備。ハイローの“ハイ”を務めやすい器用さ。
  • ほか井手優希/田中勇樹/田中翔大/榎田拓真/山口力也/レオ・カオル・エイケンらがローテ層を形成。

編成の狙いは明快だ。2m超のサイズ×守備の厚みでB3の物量に拮抗し、オフェンスはDHO(ハンドオフ)とPnRの連結で“ズレ”を作る。枝折HCの初年度は、役割の固定と連携の速度がキーワードになる。

戦術とデータで読む「強み/課題」――守備を土台に効率を上げる

強み

  • サイズの連続性:ブラウンズ×コラム×ホルトで、守備の縦圧とリム周りのショット抑制が可能。
  • ガードのバランス:重冨・喜志永の二人体制でペースコントロールと終盤のATO遂行力が担保される。
  • アジア特別枠の拡張性:シンの起用で、ストレッチとハイローを同居させやすい。

課題

  • ターンオーバー由来の被トランジション:ボール運動を速めるほどリスクも増す。0.5秒ルール(即断即決)を徹底し、悪いタフ2とスローTOを削る。
  • コーナー3の被弾抑制:弱サイドのX-OUT(入れ替え)とロータグの発動基準を秒単位で共有する。
  • クラッチの初手多様化:サイドアウトでのセットを3系統(ピン→フレア、ゴースト→スリップ、ベリーレイトPnR)用意し、読み合いに厚みを持たせる。

実装メモ(2025-26向け)

  1. ラインアップ別ルール:ビッグ×ビッグ時はハイポスト経由のショートショート、スモール時はセーフティ2名でリバウンドクラッシュ数を抑制。
  2. ショットマップ:リム+コーナー3の比率を上げ、ミッドレンジはゲームマネジメント用に限定。
  3. オフェンスリバウンドの選択:状況別にクラッシュ人数を1→2へ可変。被速攻の連鎖を断つ。

他クラブ比較――B3上位に届くための“あと一歩”

直近の上位勢は、eFG%の差し合いで+3~5ptの優位を確保しつつ、トランジションの走力で試合のテンポを握る傾向が強い。山口パッツファイブが食らいつくには、(1)ペイントタッチ→キックアウトの回数を増やし高効率ショットを量産、(2)交代と同時に「守備ルールが変わらない」再現性、(3)ホーム演出を“競技優位”へ転化するオープニングスクリプト(2本のセットで+4点を狙う)といった具体策が効く。

ファン体験と地域接続――ブルームと一緒に「オレンジ」をまとおう

チアダンスチーム「ブルーム」がゲームデーを彩る。県内複数会場を活用してきた歴史は、山口県の広域性と相性がよく、“各地のホーム感”を醸成してきた。2025-26は集約モデルの強み(演出・物販の標準化)を活かしつつ、下関・山口での開催を通じて新規ファンを着実に取り込む段階だ。キッズ向け企画や来場スタンプの“回遊導線”が、動員の質を底上げする。

KPIとロードマップ――2025-26の現実解

  • 勝率.550~.600(PO圏の安定化)、ホーム勝率.700の再現。
  • クラッチ(±5点、残り5分)でのNetRtg +5:ATO成功率の可視化と週次レビュー。
  • eFG%:+2pt改善、TOV%:-2pt改善:DHO→ズーム→PnR連鎖のテンポ設計で実現。
  • コーナー3被試投数の月次20%削減:X-OUTのトリガー共有と「最初の3歩」の徹底。

総括――“守備で試合をコントロールする”物語は次章へ

創設から短期間でここまで歩を進めてきた山口パッツファイブの価値は、数字以上に「挑戦の継続性」にある。2024-25の守備改善とプレーオフ初出場は通過点にすぎない。枝折新体制の下、サイズ×再現性×地域力を掛け合わせ、B3の地形図を塗り替える準備は整いつつある。次の一歩に必要なのは、試合ごとに積み重なる“1ポゼッションの質”。

この記事が観戦前の予習や、戦術・ロスター把握の地図になればうれしい。気になるポイントや推し選手の視点を、ぜひ周りにもシェアしてほしい。山口パッツファイブのオレンジが、あなたの声援でさらに濃く、熱くなる。

【Bリーグ/トライフープ岡山】完全ガイド|B3リーグで挑み続ける「TRY×HOOP」の哲学と再起のロードマップ

イントロダクション:トライフープ岡山とは何者か

トライフープ岡山(Tryhoop Okayama)は、岡山市と津山市をホームタウンとするB3リーグ所属のプロバスケットボールクラブである。運営は株式会社TRYHOOP。チーム名に込めた「TRY(挑戦) × HOOP(輪/バスケット)」の語感どおり、創業期から「挑戦」「つながり」「地域密着」を核に据え、5人制トップチームに加えて3×3やサテライト、スクールまでを束ねる“多層型クラブ”として成長してきた。B3参入(2019-20)後は上位争いと昇格挑戦、そして成績低迷と再構築を繰り返しつつ、2025-26シーズンは新指揮官・野村慧介HCの下で再起を期している。本稿では、Wikipedia等の公開情報を土台に、歴史・戦力・戦術・地域戦略までを横断し、SEO観点で俯瞰する。

名称・理念:TRYとHOOPに込めた三つの意味

「トライフープ」には、①ゴール(HOOP)へ挑戦(TRY)し続ける姿勢、②人と地域をつなぐ“輪(HOOP)”のハブ、③“TRI(3)”=3人の若者の情熱と、3×3での創設が出自であること——の三層の意味が重ねられている。クラブは「挑戦と感動をエンターテインメントとして創造する」を掲げ、県民に活力を与える存在を目指す。チームカラーはブルー×オレンジ。チアはHOOPSTARS、マスコットはトライプで、試合演出と地域イベントをつなぐ顔として機能している。

ホームタウンとアリーナ:岡山×津山のツイン拠点

ホームは岡山市・津山市のツイン体制。メイン会場は岡山県総合グラウンド体育館(ジップアリーナ岡山)で、津山総合体育館も主要会場として活用。ほかにも笠岡・みまさか・学芸館・御津・きびじ等でホームゲームを開催したシーズンがあり、県内の“面展開”でファン接点を広げてきた。岡山らしい広域分散開催は、移動・運営面の負担も伴うが、認知と裾野拡大という観点ではプラスに働く。

創設からB3参入まで:スクール発→多層クラブの原型

礎を築いたのは、2014年に倉庫を改装して立ち上げた屋内コートとスクール事業である。プロ受け皿がなかった岡山に「自前の土台」をつくるべく、2015年に3×3チームを先行発足。2018年に5人制トップチームを立ち上げ、同年の地域リーグ参戦を経て、2019年にB3公式試合参加資格を獲得、同シーズンから正式にB3へ加盟した。初代HCは元安陽一。比留木謙司は選手兼任GMとしてフロントと現場を橋渡しし、クラブの“立ち上げ期の推進力”となった。

B3での歩み(年表とハイライト)

  • 2019-20:B3初年度は開幕戦で鹿児島に78-75の白星発進。元安HCが途中辞任し、鳥屋尾聡がHC代行(実質指揮は比留木)。最終成績23勝17敗/5位。シーズン途中でBリーグ準加盟が承認され、上位カテゴリを見据えた体制整備が進む。
  • 2020-21:比留木体制が正式発足。コロナ禍対応のなかで30勝10敗/2位と飛躍。攻守に整合したトランジションでB3首位争いに食い込む。
  • 2021-2229勝14敗/5位。前季2位の実績をもとにB2昇格決定戦へ挑むも、アルティーリ千葉に69-100で敗戦。最短距離の昇格を逃す。
  • 2022-2328勝24敗/7位でプレーオフ進出。QFでさいたまに連敗し惜敗。継続性に課題。
  • 2023-24:大森勇HC就任。20勝32敗/11位と失速。PO圏外で“育成と勝利”の両立が揺れる。
  • 2024-25:大森体制2年目は序盤に23連敗のクラブワースト。終盤に4連勝を見せるも、11勝41敗/16位。体制の再設計が急務に。
  • 2025-26:野村慧介が新HCに就任。DOBO(ディレクター・オブ・バスケットボールオペレーション)に篠原滋。大森はアソシエイトコーチに回り、現場知見を継承しつつ刷新を図る。

ロースターの現在地(2025-26):サイズと経験、スキルをどう束ねるか

登録上はガード3枚(秋山煕/横川俊樹/中村瑞稀)、ウイング・フォワード群(若狭功希/フォファナ・ママドゥ/高畠佳介など)、そしてビッグマンの軸にジョシュ・スコット(2.10m)と、帰化枠のソウシェリフ、機動力のあるテレンス・キング、サイズに富むピータージュニア・オコエ(2.05m/U枠)がそろう。得点源としてキャメロン・ハンカーソン(1.96m)のショットクリエイト、ハッサン・モハメドのフィジカル、24番のペイント浸透力にも期待がかかる。

平均的なB3のサイズ感を上回るフロントコートの厚みは、守備・リバウンド再建の起点。一方で、ボール運搬とエントリーの安定ペース管理終盤のショットセレクションは直近シーズンの弱点と重なる。野村HCはここを「ルール化×シンプル化」でテコ入れし、“少ないトリガーで良いシュート”に収束させたい。

戦術とゲームモデル:再現性を高める三本柱

  1. リバウンド・ファーストの負けない設計:スコット/キング/ソウシェリフの3枚でDRB%(守備リバウンド獲得率)を引き上げ、ローポストのダブルチームは“遅らせる”方針でファウル管理を徹底。まずは「簡単に2点を与えない」土台を固める。
  2. ハイロー×ハンドオフの二段構え:ハイポ・スコット→ショートロールで2対1を作り、DHOs(ドリブル・ハンドオフ)からの連鎖でペリメーターの揺さぶりへ。外が渋い日は、キングのショートロール・フローターで“ミドル”の逃げ道も確保。
  3. トランジションの選択と集中:走るか、落ち着くかの判断をPG二枚(秋山/横川)に明確に委譲。“2カウント内の優位がなければ二次攻撃へ”の原則を徹底し、無理な早打ちを削る。

ユニフォームとパートナー:地域企業と歩む

ユニフォームサプライヤーはEGOZARU。オフィシャルパートナーに株式会社ジップカンコー学生服岡山マツダなど地場企業が名を連ねる。ブルー×オレンジの配色は会場映えがよく、地域のスポーツ文化としての視認性・アイコニック性に寄与している。

データで見るトライフープ:強みと課題

  • ピーク値:2020-21の30勝10敗(勝率.750)は、守備とトランジションの循環がかみ合った好例。“失点抑制 → リバウンド走 → シンプル決定”の再現が鍵。
  • 勝率急落の背景:2024-25は23連敗スタートが示すように、ゲーム中の崩れを止める“リセット手段”が不足。TO抑制・ファウル管理・ペース調整の三位一体が崩れると連鎖的に失点が嵩む。
  • 補強ポイント:終盤の「1本作る」late-clock creator(24秒終盤の打開役)と、アウトサイドのcatch&shoot成功率の安定。ウイングのストレッチ性能が上がれば、インサイドの効率も引き上げられる。

育成とサテライト:クラブ一貫の“裾野”を広げる

クラブは2020年にサテライト(地域リーグ)を始動し、初年度は中国・四国・九州リーグで1位(CSは1回戦敗退)。トップとアマ・ユースの間に実戦の橋を架け、フィジカル/スキル/メンタルの移行コストを下げる狙いだ。5人制の育成と並走するのが3×3のTRYHOOP OKAYAMA.EXEで、2015年の総合準優勝、2017・2018・2019年の会期上位実績が示すとおり、短時間での意思決定・間合い作り・1対1の強度を養う“実戦教室”として機能している。

メディアとファン接点:ローカル発の“参加型”

地元ラジオ番組「〜岡山マツダ presents〜 トライフープ岡山 DRIVE RADIO」など、継続的な露出がコミュニティ形成を支える。広域開催ゆえに“会いに行くクラブ”の文脈が強く、子ども・学生・ファミリー層が自然に触れられる導線づくりが試合日の来場動機とリピート率の向上に直結する。HOOPSTARSやマスコットのトライプは、その“触媒”だ。

経営・組織の転換点:フロントと現場の二階建て

2025年に代表取締役の交代があり、フロント側でも体制の微修正が入った。現場は野村慧介HCが新たに指揮を執り、篠原滋がDOBOとして現場と編成の橋渡しを担う。前任HCの大森勇はアソシエイトとして残留し、戦術・選手理解の継承に努める“二階建て”構造だ。短期の勝利と中長期の育成・ブランド構築をどう両立させるかが、今季最大のテーマになる。

対戦相性とゲームプラン:勝ち筋のテンプレート化

上位相手に勝ち筋を作るには、(1)リバウンド差で+6以上、(2)TO14以下、(3)FTアテンプトで相手超え——の“三条件”をゲームプランに落とし込むのが近道だ。B3は選手入替の波が大きく、“蒸留された勝ち筋”の有無が拮抗試合の差になる。スコットのハイポ起点、キングのショートロール、ハンカーソンのセカンダリーといった“役割別の最適解”をテンプレ化し、late-gameのATO(タイムアウト明けセット)を3~4本だけでも高精度に仕上げたい。

ユース×地域:岡山モデルの可能性

岡山・津山のダブルホームは、ジュニア層への可視性が高い。学校訪問、部活動クリニック、地域イベントの定点化は、数年スパンでのユース発掘・動員・スポンサー協業に波及する。試合外日にジップアリーナを起点とした“体験導線”(スクール体験→観戦チケット→再来場)を強化すれば、B3水準を超える“非試合日売上”の芽も育つ。EGOZARUや地場企業と連携した“岡山らしいグッズ”開発も、ブランドの芯を太くするだろう。

リスクと打ち手:連敗の再発をどう防ぐか

  • インジュリーリスク:ビッグラインの稼働が鍵。minute cap(出場時間上限)と帯同11~12人でのマッチアップ可変で負荷分散。
  • メンタル・モメンタム:失点の連鎖は“悪い早打ち”から始まる。2ポゼ連続ミスで必ずセットコールのルール化を。
  • 観客動員の谷:成績低迷期こそ、“地域開催の強み”を可視化。津山・笠岡・みまさか等の巡回戦略を、シーズン前に計画とKPIで固める。

3×3とトップの相互作用:技術転移の設計

TRYHOOP OKAYAMA.EXEは、短時間での意思決定・1on1創造性・スペーシングを磨く最適な現場だ。トップのセットオフェンスに3×3の概念(ghost screen/flip/reject等)を意識的に織り込み、“3×3で勝つ→5人制も改善”という循環を設計する。週次の共同セッションやコーチ間のplaybook共有は、クラブの“複線型育成”を現実の競争力に変える。

まとめ:B3からの再浮上は“設計”で勝つ

トライフープ岡山は、「挑戦」と「輪」を掲げるクラブだ。黄金期(2020-21)の勝ち方は明確に存在し、いま必要なのは再現性の再構築である。リバウンド・TO・FTの“三条件”をゲームモデルに刻み、終盤のAtoZ(ATOとゾーン打開)を磨く。育成と3×3、広域ホームの強みを戦略に結び直せば、B3での再浮上と中期の昇格挑戦は十分に射程に入る。次のホームゲームで、その“TRY×HOOP”の循環を体感してほしい。あなたの一声と一枚のチケットが、岡山のバスケ文化を一段押し上げる。共有&ブクマで、仲間の輪を広げよう。

ジョシュ・スコットがB3岡山と契約!元宇都宮ブレックスの優勝ビッグマンが2季ぶりBリーグ復帰

ジョシュ・スコットがB3岡山に加入|2季ぶりのBリーグ復帰へ


2025年7月31日、B3リーグのトライフープ岡山は、元宇都宮ブレックスのジョシュ・スコットとの2025–26シーズンにおける新規選手契約を発表した。スコットのBリーグ復帰は、2022–23シーズンを最後に日本を離れて以来、2シーズンぶりとなる。

B1優勝経験を持つ実力派ビッグマンの加入により、トライフープ岡山の来季の注目度は一気に高まった。

スコットのキャリア|NCAAから世界を経て日本の頂点へ

ジョシュ・スコットは1992年アメリカ・コロラド州出身。身長210cm、体重114kgのパワーフォワード兼センターとして、NCAAディビジョン1の名門・コロラド大学で頭角を現した。大学卒業後は北マケドニア共和国のクラブでプロキャリアをスタートし、2017年に初来日。

以降、島根スサノオマジック、琉球ゴールデンキングス、宇都宮ブレックス、横浜ビー・コルセアーズといったB1クラブを渡り歩き、特に宇都宮在籍時の2021–22シーズンにはBリーグチャンピオンの立役者の一人として活躍した。

宇都宮ブレックスでの躍動|インサイド支配力が光った

スコットの代表的なシーズンとなった2021–22年、宇都宮ブレックスではレギュラーシーズン52試合中すべてに出場。平均11.4得点、7.6リバウンド、1.2ブロックを記録し、攻守にわたってチームの屋台骨を支えた。

プレーオフでもその存在感は際立ち、特にファイナルでは強豪琉球との激戦の中でペイントエリアを完全に制圧。彼のサイズとフィジカル、そして戦術理解度の高さが優勝への大きな推進力となった。

B3岡山への加入背景|優勝経験を地方クラブに還元

今回のトライフープ岡山加入は、B3クラブにとって極めて大きな補強となる。岡山は2024–25シーズン、B3プレーオフ進出を逃したものの、近年着実に組織力を高めてきており、スコットの加入はチームの天井を押し上げる存在となるだろう。

岡山は以前よりインサイドのリムプロテクターとフィジカルプレイヤーを補強ポイントとしており、スコットのサイズと経験はまさに理想的なピースと言える。

GL3x3視点|3×3でも活きる 知性あるビッグマン のモデル

ジョシュ・スコットのような「サイズだけでなく、頭脳で守るビッグマン」は、3×3バスケットボールでも重要なモデルケースだ。特にスイッチディフェンスの局面では、サイズのミスマッチだけでなく、ポジショニングと状況判断力が試される。

GL3x3では、高さのある選手でも スローではなく機動性と判断力を持つ ことが求められており、スコットのような動けるインサイドプレイヤーが新たなスター像として注目されている。

選手コメント(※岡山公式より)

現在のところスコット本人からのコメントは発表されていないが、岡山側はプレスリリースで以下のように期待を寄せている。

「ジョシュ・スコット選手の経験と実績、そして日本バスケを熟知したインテリジェンスは、我々のチームに新たな推進力を与えてくれると信じています。地域のバスケ熱をさらに高める存在として大きな期待をしています」

Bリーグ全体の流れとスコット復帰の意義


現在、Bリーグ全体では『B.革新』と呼ばれる構造改革が進行中で、外国籍選手の役割やチーム編成方針にも変化が見られている。そんな中で、過去にリーグの頂点を経験したスコットのような選手が再び日本に戻ってくることは、リーグの競争力と魅力を高める意味でも大きな意義を持つ。

彼のような選手が、再び地方都市でプレーすることで地域バスケ文化への還元が生まれ、リーグ全体の底上げにもつながっていく。

まとめ| B1優勝の柱 がB3で再起、岡山から再び頂点へ

ジョシュ・スコットのB3岡山加入は、単なる助っ人補強ではない。B1優勝経験を持つインテリジェントなビッグマンが、再び日本でのキャリアをスタートさせるという 再生と挑戦 の物語である。

トライフープ岡山の悲願であるB2昇格、そして地域からのバスケ文化醸成に向けて、スコットが果たす役割は計り知れない。GL3x3としても、こうした 復帰組 のストーリーが若手選手のロールモデルとなることを強く期待している。

📣GL3x3公式サイトでは、元B1スターや海外組の復帰情報も随時発信中。あなたも 次のステージ に挑む選手たちの姿を追いかけてみてほしい。

【Bリーグ/徳島ガンバロウズ】2025-26完全ガイド|メディアドゥ発・地方創生クラブの挑戦とB3躍進の全貌

徳島県初のプロバスケットボールクラブ誕生

徳島ガンバロウズ(Tokushima Gambarous)は、2022年に創設された徳島県初のプロバスケットボールチームであり、現在B3リーグに所属している。クラブを運営するのは株式会社がんばろう徳島。親会社には電子書籍取次大手のメディアドゥが名を連ね、地方創生とスポーツビジネスの融合を体現する新興クラブとして注目を集めている。チームカラーは水色と黄色、ホームアリーナは徳島市立体育館およびとくぎんトモニアリーナ。スローガンは「がんばろう、徳島。」——クラブ名自体が地域に根ざしたメッセージである。

創設までの経緯と背景

徳島にプロバスケットボールチームを創る構想は2019年に動き出した。バスケットボール指導者の若松直樹氏が中心となり、社会人チーム「徳島ワイルドリバース」を設立。しかし、B3参入に必要な7,000万円の資金を調達できず、活動は停滞していた。転機となったのは2022年、徳島県出身でメディアドゥ創業者の藤田恭嗣氏が参画したこと。資金問題が解消し、同年1月14日にチーム設立を正式発表。4月1日には、メディアドゥを筆頭に徳島ゆかりの23社が出資する運営法人「株式会社がんばろう徳島」が発足した。

この法人はワイルドリバースを母体としつつ支援体制を拡充し、新チーム「徳島ガンバロウズオルト(ALT)」として地域リーグに参入。B3基準に適応可能な選手を選抜して本チーム契約へと移行する構造を取った。創設からわずか1年でB3参入を実現したのは、地元企業と自治体、バスケットボール協会の三位一体の連携が背景にある。

B3リーグ参入と初年度の躍進

2023-24シーズン、徳島ガンバロウズはB3デビューイヤーながら31勝21敗(勝率.596)で5位と好成績を収め、プレーオフではセミファイナル進出を果たした。初代ヘッドコーチにはアメリカ出身のデマーカス・ベリー、GMにはザック生馬を招聘。岡山から獲得した若狭功希が契約第1号選手となり、既存メンバーと地域リーグ出身者を融合したロスターを構築した。

B3屈指のフィジカルバスケットを展開し、攻撃的なプレースタイルでファンを魅了。平均得点4,370点、失点4,157点、得失点差+213というスタッツは新規参入チームとしては異例の高水準であった。ホームゲームでは観客動員数を着実に伸ばし、徳島バスケ文化の新しい象徴として地域メディアの露出も急増した。

2024-25シーズン:成績と課題

2年目の2024-25シーズンは、25勝27敗(勝率.481)で9位。プレーオフ進出を逃す結果に終わった。攻撃の中心であった外国籍選手の負傷や、終盤のディフェンス調整の遅れが響いた格好だ。それでも得点3,979点、失点4,131点と試合内容は拮抗。課題は主に以下の3点と分析される。

  1. リバウンド・セカンドチャンスの減少(OR%がリーグ中位)
  2. 終盤のターンオーバーとペースコントロールの不安定化
  3. ペイント内でのフィジカルマッチアップへの対応不足

一方で、チーム全体の成長曲線は明確で、ローカルスポンサー・自治体連携の増加、ファンイベントの拡充など、運営面の基盤強化が進んだシーズンでもあった。

2025-26シーズンロスターと新体制

2025-26シーズンの徳島ガンバロウズは、指揮官に小林康法HCを迎え、新たなフェーズへ。アシスタントコーチは久川貴之と月野雅人。チームリーダーである塚本雄貴(C)を中心に、経験豊富な国内勢と高い身体能力を誇る外国籍選手を組み合わせたロスター構成となっている。

  • 主力外国籍選手:ルーズベルト・アダムス(フィリピン代表歴)、テイブリオン・ドーソンライアン・ローガンクリス・マクラフリン
  • 日本人主力:塚本雄貴綱井勇介鶴田美勇士森山修斗
  • 若手・育成枠:松本礼太青山晃也デイビッド・コンゴロー(留学実績枠)

チーム平均身長は1.93mとB3上位水準。インサイド陣の層が厚く、特にコンゴロー(2.06m)とマクラフリン(2.08m)のツインタワー構成は守備・リムプロテクト面での鍵を握る。フィリピン特別枠のアダムスはスラッシャー型ウイングとして機動力を補い、国内ガード陣との連携による速攻パターンが期待される。

ホームアリーナと地域連携

ホームは「とくぎんトモニアリーナ」を中心に、「アスティとくしま」「アミノバリューホール」「藍住町体育館」「うだつアリーナ」など県内複数会場を併用。2024-25シーズンではホーム26試合中14試合をとくぎんで開催。徳島全域を“ホームタウン”と捉える分散開催は、地域密着を重視するBリーグ戦略のモデルケースとも言える。

また、マスコットの「チェック&バロウ」は犬をモチーフとしたペアキャラクター。キャプテン役のチェックとムードメーカーのバロウが、試合前イベントやSNSコンテンツでクラブの親しみやすさを演出している。

戦術とチームスタイル

小林HCの指導方針は「守備からのトランジション」。ペースを落とさず、攻守の切り替えを最短化するバスケットを志向。スクリーン後のリロケートやキックアウトの精度を上げ、3Pとペイントアタックのバランスを整えることが目標だ。また、外国籍選手の個人技に依存せず、塚本・綱井らのゲームメイク力を活かすチームバスケへの移行もテーマとして掲げられている。

地域発クラブの価値と今後の展望

徳島ガンバロウズの特徴は、単なるスポーツチームにとどまらず、「地方発の社会実験モデル」としての側面を持つことにある。メディアドゥのDX(デジタルトランスフォーメーション)ノウハウを生かし、電子書籍・NFT・ライブ配信などを通じて新たなファン接点を創出。地域の子どもたちに向けた「バスケを軸とした学び・交流・キャリア教育」プログラムも拡充中だ。

中期目標はB2昇格、長期的には四国4県を巻き込んだ「Shikoku Basketball Belt(仮称)」構想の形成。B3での競技基盤を強化しつつ、地域経済・文化のハブとしての役割を広げていく方針である。

まとめ:徳島から全国へ、“がんばろう”のその先へ

創設からわずか数年でB3有数の存在感を放つ徳島ガンバロウズ。2025-26シーズンは、競技・経営・地域貢献の三軸でさらに飛躍が期待される。地方発クラブの理想像として、徳島モデルが全国のローカルバスケットボールに与える影響は大きい。読者の皆さんも、ガンバロウズのホームゲームで、“がんばろう”が現実を変えていく瞬間を体感してほしい。

【Bリーグ/香川ファイブアローズ】、B3で再浮上──「ビクトリーイエロー」が示す競争力回復と地域アリーナ戦略の現在地【2024-26総点検】

香川ファイブアローズ、B3で再浮上──「ビクトリーイエロー」が示す競争力回復と地域アリーナ戦略の現在地【2024-26総点検】

香川ファイブアローズは、香川県高松市をホームタウンとするプロバスケットボールクラブ。2005年に創設された四国初のプロバスケチームで、bjリーグ期のファイナル進出(2006-07)や、B2西地区優勝(2021-22)を経験した。2023-24にB3リーグへ戦場を移して以降は、ロスター刷新と運営再構築を伴う転地型の再成長フェーズに突入。2024-25は41勝11敗(勝率.788/3位)でプレーオフに進み、2025-26も大型の入退団を経て競争力の再定義を図っている。本稿はWIKI情報をベースに、クラブの歴史・指標・運営・ブランディング・育成の「資産」を横断整理し、競技力と事業力の両輪から香川ファイブアローズの現在地を俯瞰する編集レポートである。

クラブの輪郭:名称の由来とビジュアル・アイデンティティ

チーム名「ファイブアローズ」は、那須与一の扇の的の故事に由来し、「5本の矢=プロ意識/誇りと使命/信頼と絆/勇気/感謝」を象徴する。現在のチームカラーはビクトリーイエロー/ブラック/ホワイト。初期のアローズブルー(瀬戸内海の色)から、イエローを中心とする力強い配色へ移行してきた歴史は、クラブの「継承と革新」を体現するブランド変遷だ。ロゴはアップテンポなバスケットと情熱を示す炎をモチーフにし、スピード感のある試合運びとアグレッシブな姿勢を視覚化している。

年表で読む「浮沈」と「再浮上」:2006-07準優勝→B2優勝→B3降格→B3上位

  • bjリーグ参入(2006-07):25勝15敗でファイナル準優勝。クラブ初期のハイライト。
  • 苦難の時期(2009-12):主力流出や財務難、長期連敗も経験。2011-12は開幕20連敗、通期25連敗で最低勝率を記録。
  • B.LEAGUEへ(2016-):B2西地区に所属。2019-20に27勝20敗(西2位)で勝ち越し、2021-22は西地区優勝(36勝16敗)。PO3位決定戦は相手の試合不能により不戦勝で3位。
  • B3降格(2022-23):主力の離脱と故障が重なり16勝44敗で西最下位、B3へ。
  • B3での再浮上(2023-25)2023-24は40勝10敗(2位)、2024-25は41勝11敗(3位)。クラブ新記録の14連勝(24年10月19日〜12月8日)も達成し、勝ち筋を回復。

運営とコーチングの現在地:籔内幸樹HCの再設計

2023-24に籔内幸樹HCが就任。選手・スタッフの大幅刷新で、守備の規律とトランジションの質を同時に引き上げる再設計を実行した。2024-25はロスターをさらに作り替え、41勝11敗(ホーム21-5/アウェイ20-6)で安定したゲーム運びを確立。2025-26はブレコット・チャップマンやムッサ・ダマら主力の退団がありつつ、カロンジ磯山パトリック、ジェイコブ・ランプキン、タッカー・ヘイモンドらサイズとフィジカル、そしてスキルレンジを併せ持つ補強で、“競争力の再定義”に挑む。

ロスターの骨格(2025-26):サイズ × 守備再現性 × セカンダリ創出

現行ロスターは、2メートル級のビッグ(デイビス/ランプキン/カロンジ)でペイント保護とリム周辺の得点効率を担保。ウイングにはヘイモンド/高橋耕陽らがシュートレンジとスイッチ耐性を供給し、ガードはニューベリー・リチャード、請田祐哉、高橋克実、小林巧らでペースコントロールとドライブ・キックアウトを分業する。経験値の高い根來新之助のロッカールーム・リーダーシップも無視できない。B3では試合数が多く、守備の再現性ローテの厚みが直結する。香川はサイズと可動域のバランスで、長丁場に耐える基盤を整えつつある。

プレシーズンの象徴的勝利:B1千葉ジェッツを70-57で破る(2025/8/30)

2025年8月30日、B1の強豪・千葉ジェッツに70-57で勝利。来場者6,699人の前でB3クラブがB1に競り勝つ「ジャイアントキリング」を演じ、守備の遂行力とメンタルの強度を確かめた。さらに9月8日にはB2の愛媛に99-75で快勝。カテゴリーをまたいだ競技力の相対評価で、香川の上方ポテンシャルが数値化された。

ホームアリーナと“県内多拠点”の設計:高松市総合体育館→あなぶきアリーナ香川

メインは高松市総合体育館。歴史的には丸亀、観音寺、善通寺などで県内開催を重ね、2025-26からは前年に竣工したあなぶきアリーナ香川(香川県立アリーナ)でも試合を実施。クラブ運営会社が指定管理者コンソーシアムに参画し、興行品質の標準化と収益機会の拡張を同時に図る。“アリーナに人が集い、街が動く”をテーマに、入退場動線、演出、物販・飲食のパッケージングを磨き、ホーム21勝5敗(2024-25)という実績にも還元した。

観客動員の推移と上振れ要因:ブランド回復と体験価値

bj期は2,000人超の平均動員(2006-08)から、経営難や成績低迷で落ち込む時期もあった。B3転地後は、勝率の改善/地域メディア露出/アリーナ新設が好循環を生み、2023-24は3,212人の最多動員(3/3 横浜EX戦)も記録。「勝つ喜び」と「会場体験」が一致するとき、香川は「ビクトリーイエロー」の象徴性を最も強く発揮する。

スローガンとメッセージング:価値観の見える化

クラブは時代ごとにメッセージを更新し、価値観の見える化を行ってきた。B3での再浮上期は、スピード/情熱/一体感を軸に、SNSや会場演出に落とし込む。マスコット群(サマー&シルキー、アロルド・ズッキーニ、神破命&Y-01、再生怪獣サラマンドラ)を起点にファミリー層の体験を厚くし、United Archersらパフォーマンスチームが「非試合時間」の価値を拡大。“試合以外にも来場理由がある”状態を作ることが、動員のボラティリティを下げる。

タイトル・個人賞・ゲームレコード:アローズの“語り”を支える数字

  • B2西地区優勝(2021-22)。同年はテレンス・ウッドベリーがMVP
  • bj期は準優勝(2006-07)、ベスト5・個人タイトル(スパークス、ウォーレンほか)が多数。
  • ゲームレコードとして、14連勝(2024/10/19〜12/8)、1試合112得点(B2・2019/11/27 福島戦)など、攻撃的DNAを示す指標も残る。

財務・ガバナンスの学習曲線:危機からの再設計

過去には資金難や経営混乱があった。B.LEAGUE移行後は、代表交代やライセンス要件対応を通じ、ガバナンスのラインを引き直してきた。2023-24以降のB3では、人件費と勝率の相関を見極める「費用対効果の設計」が問われる局面。アリーナ運営関与、スポンサー・地産地消の拡大、公式グッズのMD改善など、多層の収益化でキャッシュフローの安定化に取り組む。

育成と地域貢献:U15/U18と「TSURUO COURT」

旧・鶴尾中学校体育館を改修したFIVEARROWS TSURUO COURTを拠点に、U15(2019/2021)U18(2022)のチームを整備。トップと育成年代の“同一理念・異なる指標”運用により、アローズらしさを早期にインストール。トップ選手のクリニックや地域コラボ(小豆島アローズ、地元企業・学校との共同制作など)を継続し、「ホームタウンの誇り」を可視化してきた。

2024-25総括:B3上位定着の構造的要因

  1. 守備効率の改善とサイズの担保:2メートル級のビッグローテでペイント支配とリムプロテクトを両立。
  2. ホーム21勝5敗の再現性:演出・動線・販売の標準化が「勝率」と「体験価値」の同時上振れを後押し。
  3. 勝ち切り力の向上:拮抗展開でのTO管理、リバウンドのセカンドチャンス抑制、フリースロー試投・成功率のケア。

2025-26の戦略仮説:5つのKPI

  • KPI1:ネットレーティング──B3上位帯の中央値+2.0pt以上を目標(守備端の改善で達成確率を高める)。
  • KPI2:クロージング時のTOV%──クラッチ5分のターンオーバー率を2pt改善。
  • KPI3:FT Rate──ペイントアタック増でフリースロー率を上方修正。
  • KPI4:OREB%/DREB%──ビッグローテの分業最適化(相互補完=“つながるリバウンド”)。
  • KPI5:ホーム平均入場者数──あなぶきアリーナ香川活用で回遊性を高め、単価×人数の同時成長を狙う。

比較視点:B3昇格レースの“勝ち筋”と香川の立ち位置

B3上位常連は、(1)守備の再現性、(2)外国籍/アジア枠のフィット、(3)ホーム運営の熟度が高い。香川は(1)(3)で強みを取り戻しつつ、(2)は毎季リスク。2025-26補強は守備の土台に寄与しうるが、二人目・三人目の創出(セカンダリクリエイター/ハブ役の確立)が、PO深度と“B2復帰への距離”を決める。

スポンサー/ユニフォームの文脈:地域連携の解像度

近年のユニフォームはB-Fiveがサプライ。胸・背・パンツに地域企業のロゴが並び、県内企業のプラットフォームとしてのアリーナの意味が強まっている。ロゴ露出に留まらず、来場者参加型の企画や、アカデミー/学校連携、地域交通・飲食との回遊性設計を掛け合わせ、“見えるROI”を提供できるかが次の焦点だ。

ケーススタディ:千葉ジェッツ戦(2025/8/30)の学び

70-57のスコアからは、ポゼッション抑制×守備効率で格上を撃つゲームモデルが見える。ペイント失点の低減、セカンドチャンスの封殺、クラッチ時間のFGA選別が機能すれば、カテゴリー差を縮めることは可能だ。シーズンに向けては、対スカウティング耐性(連勝ストップ後の再加速)と、離脱発生時のプランB(二線の役割明確化)がポイントになる。

データ抄録:近年の主要成績(要約)

シーズン 所属 成績 順位 備考
2021-22 B2西 36勝16敗 地区優勝 PO3位、ウッドベリーMVP
2022-23 B2西 16勝44敗 西7位 B3降格
2023-24 B3 40勝10敗 2位 準決勝敗退、3位
2024-25 B3 41勝11敗 3位 QF敗退、14連勝を樹立

メディアとコミュニティ:語りの器を増やす

ローカル放送・ケーブル・ラジオに加え、YouTubeやSNSでのコンテンツ発信が重要度を増している。「語りの器」を増やし、選手の人柄や育成の現場、アリーナ裏側の“仕事”を伝えることは、単なるファン獲得を超えて、地域の誇りを更新する行為だ。クラブの歴史的ドキュメンタリー制作の経験値は、ここに活きる。

まとめ:ビクトリーイエローの下に、もう一段の再現性を

香川ファイブアローズは、苦難と栄光を往復しながらも、B3リーグでふたたび上位に食い込むだけの“形”を取り戻した。高松市総合体育館あなぶきアリーナ香川という二枚看板、サイズ×守備の再現性を基軸にしたチームづくり、そしてコミュニティとともにあるクラブ運営。2025-26は、二人目・三人目の創出とクロージングの確度が、季節の最終地点を決める。ビクトリーイエローの物語を次章へ進めるのは、現地で声を重ねるあなたの一票だ。気になる試合をシェアし、仲間を誘って、会場でその上昇線を確かめてほしい。

【Bリーグ/アースフレンズ東京Z】完全ガイド|理念・歴史・戦力・地域をつなぐ“東京発の挑戦者”

ニュース概要

アースフレンズ東京Z(Earthfriends Tokyo Z)は、東京都城南エリアを拠点とするプロバスケットボールチームである。2014年に創設され、現在はB3リーグに所属。創設者であり代表の山野勝行が掲げる「誰もが夢を追える環境をつくる」という理念のもと、社会人バスケスクールからスタートし、プロクラブとして成長を遂げてきた。2025–26シーズンはアンソニー・ケントHCのもとで再浮上を狙い、育成・地域貢献・ファン文化を三本柱に掲げて活動している。

背景と経緯

東京Zの起点は、2009年に山野勝行が設立した社会人向けスクール「アースフレンズ」にある。彼は平山譲のノンフィクション『ファイブ』に感銘を受け、バスケットボールを通じて人と社会をつなぐ活動を開始。その後、NBDL所属の黒田電気ブリット・スピリッツから会員資格を譲り受け、2014–15シーズンにプロチームとしてデビューした。

クラブ名の“アースフレンズ”は「地球規模での仲間づくり」を、末尾の“Z”は「究極」「進化型」を意味し、挑戦者としての精神を体現している。初代ヘッドコーチには小野秀二(元日立HC)が就任。渡邉拓馬や泉秀岳ら実績ある選手を迎え、参入初年度から注目を集めた。

チームの歴史と成長

2016–17シーズン、B.LEAGUE発足とともにB2リーグへ。中地区3位と健闘したが、翌年以降は成績不振とHC交代が続く。古田悟、東頭俊典、ウーゴ・ロペス、ブラニスラフ・ヴィチェンティッチなど、国内外の指揮官が指導にあたった。

2022–23シーズンは橋爪純HC体制から衛藤晃平GM兼HC代行へ移行するも、B3降格が決定。だが、降格後もクラブは解体せず、理念重視の再建に着手。衛藤体制のもとでB3を戦い抜き、2024–25シーズンにはアンソニー・ケントHC(元京都AC)を招聘し、外国籍の大型選手を加えて戦力を再構築した。

2025–26シーズンのチーム構成

2025–26シーズンのロースターは、若手主体の編成に経験豊富な外国籍選手を融合。SFマリク・ベンレヴィ(主将)、Cジェレミー・コームズ、PFジョーダン・ブルーナー、SGジェームス・スペンサーらが主軸を担う。日本人選手では野口龍太郎(共同主将)、武本祐ルイス、下田平翔、小熊健斗らが攻守に存在感を見せている。

ケントHCは「ディフェンスでリズムを作る」スタイルを徹底。速攻と3Pを織り交ぜた“アクティブ・モーション”を採用し、ポゼッションの早い展開で相手を圧倒することを狙う。平均身長190cm超のローテーションを武器に、B3上位常連チームへの対抗を目指す。

地域・文化・チアリーダー

ホームタウンは東京都の大田区・品川区を中心とする城南エリア。メインアリーナは大田区総合体育館で、世田谷や江戸川、浦和などでも開催される。地域との結びつきは強く、学校訪問やバスケット教室、地域祭りへの参加などを通じてファンとの接点を育てている。

専属チアリーダー「Zgirls」および「Zgirls next」は、ホームゲームの演出を担う存在。アリーナ内の熱量を高めると同時に、地域イベントや子ども向け教室での活動も積極的に展開している。ファン層はファミリー・学生・社会人がバランスよく混在し、観客参加型の演出が特徴的だ。

理念と経営スタイル

運営法人である株式会社GWCは、バスケットボールを「社会インフラ」として位置づけている。スクール運営・普及活動・オリジナルグッズ販売を通

【Bリーグ/ヴィアティン三重バスケットボール】徹底解説|B3参入から現在までの歩みと2025-26シーズン展望

ニュース概要

ヴィアティン三重バスケットボール(Veertien Mie Basketball、以下「ヴィアティン三重」)は、三重県四日市市・津市・桑名市・東員町をホームタウンとするB3リーグ所属クラブで、2020年の創設からわずか数年でプロカテゴリーに到達した新興勢力だ。2022-23シーズンにB3へ参入して以降、戦績は伸び悩む時期もあったが、地域密着と総合型スポーツクラブの強みを活かした運営で基盤整備を着々と進めている。2025-26シーズンはユニフォームサプライヤーがTRESへ移行し、ロースターも内外の即戦力を織り交ぜた編成に。B3での競争力をどう引き上げるかが焦点となる。本稿では、ヴィアティン三重の背景と経緯、戦力の輪郭、直近シーズンの課題、B3内外の他事例比較を通じて、2025-26に向けた展望を立体的に整理する。

背景と経緯

ヴィアティン三重は、総合型スポーツクラブであるヴィアティンスポーツクラブが2020年3月に立ち上げたバスケットボール部門を起点とする。創設初年度から県内大会や地域チャンピオンシップで実績を重ね、東海・北信越地域リーグに参戦。2022年7月には「ヴィアティン三重ファミリークラブ」内のバスケットボール運営部門が分社化され、株式会社ヴィアティン三重BBが発足した。クラブ運営を専業化することで、意思決定の迅速化・スポンサー獲得・ホームアリーナ運用の最適化など、プロ基準の体制整備を加速させたのが特徴だ。

B3参入は2022-23シーズン。B3は昇降格・参入審査の観点で持続可能性が問われるリーグであり、若いクラブにとっては「競技力の段階的向上」と「経営基盤の拡充」を同時並行で進める舵取りが不可欠となる。ヴィアティン三重は三重県内の複数アリーナ(四日市、津市、東員町、サンアリーナなど)を使い分け、県全域での露出と地域連携を広げてきた。これは単に試合開催の利便性に留まらず、ファンベースの拡大や自治体との共創、スポンサー協業の接点を増やす戦略的選択と言える。

サプライヤーは2022年からB-Fiveが担ってきたが、2025年からTRESに変更。新サプライヤーの導入は、デザイン刷新によるブランド浸透やマーチャンダイジングの強化、選手のパフォーマンスに直結するウェア品質の最適化など、クラブ価値を高めるレバーとしても注目だ。また、ユニフォームスポンサーに地場企業・自治体が並ぶ構図は、地域密着型の資金循環を体現している。

選手・チームのプロフィール

2025-26ロースターは、国内の経験豊富なガードとサイズのある外国籍/アジア枠を組み合わせた「バランス型」。司令塔層にはPGの萩原奨太(170cm)、新本風河(171cm)、高松勇介(168cm)らが名を連ね、小柄ながらもボールプレッシャーとゲームコントロールで試合を動かす。キャプテンの宮﨑恭行(SG、170cm)はベテランとしてロッカールームの規律とシュートの安定感で存在感を示す。

ウイングは佐脇孝哉(SF、183cm)、木村貴郎(SF、186cm)、渡邊翔豪(SG、183cm)ら、機動力と外角での脅威を兼備した顔ぶれ。フォワード/ビッグマンにはフィリップ・アブ(PF、198cm、専修大経由)、ダモンテ・ドッド(C、211cm、メリーランド大)、ヤシン・コロ(C、208cm)、マティス・クラチョフスキー(PF、203cm、ラトビア出身)と、ペイントアタックとサイズでアドバンテージを作れる布陣が揃う。特にドッドは高さとリムプロテクト、クラチョフスキーはストレッチ性のあるスキルセットが魅力で、B3での「サイズ×走力」の相乗効果を引き出す鍵となる。

指揮官は玖田将夫ヘッドコーチ。参入初年度からチームを率い、カテゴリーを横断して培った指導経験を基に、守備の土台作りとトランジションのスピードアップを志向している。アソシエイトコーチに高松勇介、アドバイザリーコーチに宮﨑恭行が入り、現場と選手の距離が近いサポート体制も特徴だ。クラブ運営は代表取締役社長・後藤大介、GM・中西康介の下で、地元企業や自治体と連動した「地域で勝つ」モデルを掲げる。

試合・出来事の詳細

直近3季のレギュラーシーズン成績を俯瞰すると、2022-23(19勝33敗、勝率.365、10位)、2023-24(16勝36敗、.308、15位)、2024-25(9勝43敗、.173、17位)と推移し、特に2024-25は序盤の15連敗が重くのしかかった。ホーム4勝22敗、アウェイ5勝21敗という数字は、ホームコートアドバンテージの活用に課題を残す一方、会場分散運用という戦略の中で「どの会場でも勝ち筋を再現する」ゲームモデルの確立が急務であることを示した。失点面では2024-25の総失点が4,223点と増加し、点差-657は守備とリバウンド・ターンオーバー管理の改善余地を物語る。

ホームアリーナ運用は四日市市総合体育館を軸に、安濃中央総合公園内体育館、津市久居体育館、日硝ハイウエーアリーナ(サオリーナ)サブ、東員町総合体育館、三重県営サンアリーナ、四日市市中央第2体育館、AGF鈴鹿体育館など、多拠点を回遊するスタイルを継続。2024-25のホーム開催は「四日市4試合+その他会場多数」という配分で、県内全域のファン接点を最大化している。運営側の狙いは明確で、地域の子どもたちにプロバスケを「見せる/触れさせる」機会を増やし、長期的な観戦人口と競技人口を創出することにある。

ユニフォーム関連では、2023-24までのB-Fiveから、2025年以降はTRESに。スポンサー構成は背面にヤマモリ・日本生命、パンツに四日市市ほか地元企業が並び、クラブが地域のPR媒体として機能している実態が見て取れる。これは単なる広告枠の売買ではなく、ホストゲームの演出・自治体イベント連動・学校訪問といった“共創型アクティベーション”を前提にしたパートナーシップの形だ。

他事例との比較・分析

B3は拡大と新陳代謝の両輪で推移しており、近隣クラブや同世代参入クラブでも「立ち上げ数年の壁」をどう越えるかが共通課題になっている。参入初期は、①試合運営/人材/練習環境の整備、②スポンサー・チケット販売の基礎体力の構築、③プレースタイルの確立と育成ルートの接続、の3点を同時に回す必要がある。ヴィアティン三重は総合型クラブのネットワークにより、①②の進捗が相対的に速い一方、③の「結果に直結するゲームモデル」の確立と「勝ちに直結するスキル開発」の両立で苦戦してきた印象だ。

競技面の指標で見ると、守備効率(失点/ポゼッション)とリバウンド率(特にDREB%)の改善は優先度が高い。B3では連戦・遠征・移動の負荷が高く、ハーフコートでのミスの少なさとセカンドチャンス抑制が勝率に直結するからだ。オフェンスでは、3Pアテンプト比率(3PA/FGA)の上積みとペイントタッチの増加を両立し、ターンオーバー率(TOV%)をリーグ平均以下に抑える設計が理想となる。現有戦力の特性を踏まえると、以下のような方針が現実的だ。

  • ディフェンス:ドロップ主体のPnR守備でリムを死守し、コーナー3の被弾を抑えるローテーション規律を徹底。サイズを生かしてDREB%を底上げし、失点の“連鎖”を断つ。
  • オフェンス:クラチョフスキーのピック&ポップや、ドッド/コロのダイブを軸にハイ/サイドPnRを多用。弱サイドは45度のシェイクとコーナーのステイを使い分け、3Pの質(オープン比率)を高める。
  • トランジション:ボールセキュア第一で、ショットクオリティが悪いときは早期にセーフティへ移行。失点後のクイックエントリーをルール化し、テンポの主導権を握る。

経営・ブランドの面では、複数会場運用がチケット販売の分散リスクを下げる一方、コアファンの「ホーム体験の一貫性」を担保する工夫(演出・売店・ファン交流導線の標準化)が重要になる。他クラブで成果が出ているのは、キッズエスコートや部活動・学校とのタイアップ、地域祭事との連動で、1試合ごとの「来場理由」を多層化する設計だ。ヴィアティン三重もスポンサー/自治体との共創が進んでいるため、試合以外の接点(アカデミー、健康・福祉、観光)に横展開する余白は大きい。

今後の展望とまとめ

2025-26シーズンに向け、ヴィアティン三重が勝率を押し上げるための現実的なKPIは次の通りだ。①守備効率のリーグ中位グループ入り(失点/100ポゼッションの改善)、②DREB%の上昇と速攻失点の抑制、③3Pのオープン創出率とPAINT内決定率の両立、④TOV%の縮小、⑤ホーム勝率の底上げで観客体験と成績の正循環を作る。コート内では、ガード陣のハンドラープレイの安定化と、ビッグのスクリーン角度/ロールの質向上、ウイングのショットセレクション最適化が成否を分ける。

ロースターにはベテランの経験値とサイズの武器が揃い、サプライヤー刷新を含むブランド強化のタイミングも重なる。あとは「負けパターンの連鎖を断つ守備の原則」と「勝ちパターンを再現する攻撃の型」をどれだけ早く日常化できるか。序盤戦での拙攻やローテのほつれを最小化できれば、春先の追い上げに頼らない勝点設計が見えてくるはずだ。

ヴィアティン三重バスケットボールは、B3という荒波の中で「地域から勝つ」モデルを磨く段階にある。創設からの歩み、B3参入後の試行錯誤、ユニフォームサプライヤー移行やスポンサー連携の深化は、競技と経営の両輪が噛み合い始めているサインでもある。2025-26は、戦術的な一貫性と選手の役割明確化、ホーム体験の標準化が結実するかを測るシーズンだ。次の試合やリリースが出たら、ぜひ公式サイトやSNSをフォローして最新動向を追ってほしい。この記事が、ヴィアティン三重バスケットボールの全体像を更新し、チームへの関心や来場のきっかけになれば幸いだ。

最後に、読者への提案。地域のクラブが強くなる最短距離は「知る→観る→関わる」の三段階だ。まずはホームゲームの日程を確認し、家族や仲間を誘ってアリーナへ。SNSでの感想シェアや、次に観たい選手・プレーの投稿は、クラブの可視性を確実に押し上げる。ヴィアティン三重の挑戦は続く。あなたの一歩がクラブの未来を後押しする。