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NBA週間MVP|第1週はウェンバンヤマ&アデトクンボが受賞:新世代と王者の共演が象徴する“新しい支配構造”

ウェンバンヤマとアデトクンボが開幕週を制覇|NBAが第1週の週間MVPを発表

2025年10月28日(現地27日)、NBAは2025–26レギュラーシーズン第1週(10月22日〜27日)のプレーヤーズ・オブ・ザ・ウィーク(週間最優秀選手)を発表した。ウェスタン・カンファレンスからはサンアントニオ・スパーズのビクター・ウェンバンヤマ、イースタン・カンファレンスからはミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボが選出された。新世代の“象徴”と現王者の“支配者”が同時受賞する構図は、まさにNBAの世代交代と共存を象徴している。

ウェンバンヤマ:33.3得点13.3リバウンド6.0ブロック、圧巻の3連勝スタート

キャリア3年目を迎えたウェンバンヤマは、開幕週の3試合で平均33.3得点、13.3リバウンド、2.3アシスト、1.7スティール、6.0ブロックを記録。フィールドゴール成功率は56.9%と高効率で、スパーズを2019年以来の開幕3連勝へ導いた。リムプロテクション、ペリメーターからの攻撃、そしてトランジションでの走力すべてが進化を見せた。

ウェンバンヤマはオフェンスでの重心が安定し、ミドルレンジでのプルアップ、ポストアップからのショートターンフェードといった引き出しも豊富に。特筆すべきは、守備面での“縦と横”の制圧力だ。1試合平均6ブロックという数字は異次元であり、相手のシュート選択そのものを変える影響を与えている。まさに「ペイントの法律を変える存在」だ。

アデトクンボ:36.0得点16.0リバウンド7.0アシスト、13年目の進化

13年目を迎えたヤニス・アデトクンボもまた、衰えを知らない支配力を見せた。期間中の平均スタッツは36.0得点、16.0リバウンド、7.0アシスト、フィールドゴール成功率68.3%。開幕週にして圧倒的な効率とインパクトを兼ね備え、バックスを2勝1敗の好発進へ導いた。特に注目されたのは、昨季課題だった終盤での“判断の質”が改善されている点だ。

ポストからのプレーメイクに加え、ハーフコートでのピック&ロール処理が格段にスムーズに。新ヘッドコーチ体制のもとで、アデトクンボは単なるスラッシャーではなく「戦略的プレイメーカー」へと進化している。外角シュートの精度も改善傾向にあり、キャリア後半戦へ向けた“第二章”が明確に始まっている。

NBA史上初の記録が誕生

この開幕週、ウェンバンヤマはわずか3試合で100得点・40リバウンド・15ブロック以上をマークし、アデトクンボも同期間に100得点・40リバウンド・15アシストを記録。ともにNBA史上初のスタッツラインを達成した。異なる方向性からリーグを支配する2人の存在は、NBAの多様性と進化を象徴している。

スパーズ:再生と開花のタイミング

スパーズは3連勝でウェスタン・カンファレンス首位に立ち、ウェンバンヤマを中心に完全復活の兆しを見せている。若手主体のチームながら、ウェンバンヤマが攻守両面で“指導者的役割”を担う点が特徴。コーチのグレッグ・ポポビッチは「彼はもはや若手ではない。我々の戦術の中心だ」と語り、スパーズ王朝の再構築を現実のものにしつつある。

バックス:王者の矜持を示す第1週

バックスはイースト7位発進ながら、試合内容は充実。アデトクンボの爆発力に加え、タイリース・マクシーやVJ・エッジコムら若手の台頭が目立つ。新チーム構成の中で、ヤニスは“ディシジョン・メーカー”として攻撃設計を主導。リムアタック一辺倒だった過去の姿から、味方のオフボールムーブを活かす司令塔型へと進化している。

週間MVP候補たちの顔ぶれ

  • ウェスタン・カンファレンス:ステフィン・カリー(ウォリアーズ)、ルカ・ドンチッチ/オースティン・リーブス(レイカーズ)、シェイ・ギルジャス=アレクサンダー(サンダー)
  • イースタン・カンファレンス:ラメロ・ボール(ホーネッツ)、ジェイレン・ブランソン(ニックス)、VJ・エッジコム/タイリース・マクシー(シクサーズ)、ドノバン・ミッチェル(キャバリアーズ)、ノーマン・パウエル(ヒート)

カリーやドンチッチらの爆発的なパフォーマンスを抑えての受賞は、今季の両者が“単なる数字の積み上げ”ではなく、“チームを動かす重力”を伴っている証拠でもある。

スタッツで見る両者の支配構造

項目 ウェンバンヤマ アデトクンボ
出場試合 3 3
平均得点 33.3 36.0
平均リバウンド 13.3 16.0
平均アシスト 2.3 7.0
ブロック 6.0 1.2
FG成功率 56.9% 68.3%

3×3視点の分析:即時判断と重力設計の融合

ウェンバンヤマのショットセレクションとアデトクンボのペイントアタックは、3×3の“重力理論”に通じる。ウェンバンヤマはディフェンスを広げ、空間を作る「ストレッチ・センター」の究極形。アデトクンボは逆に、狭いスペースに突っ込みながら周囲を巻き込む“重力生成型プレイヤー”。この2つのスタイルは、3×3でもチーム戦略設計の対極を示す良い教材となる。

NBAの未来構図:二極支配の共存時代へ

ウェンバンヤマの天才的なバスケットIQと身体スペック、アデトクンボの圧倒的な意志と経験。異なる世代と文脈を持つ2人の共演は、NBAが“二極支配の共存”という新たな時代へ突入していることを示している。ウェンバンヤマが未来を描き、アデトクンボが今を支配する——その構図こそが、2025–26シーズンの最初の1週間を象徴していた。

まとめ:象徴的な第1週、“世代交代”ではなく“世代融合”

今季最初の週間MVPは、単なる個人賞ではなく、NBAの変化を示す象徴だ。ウェンバンヤマの再定義された“万能”と、アデトクンボの深化した“支配”。その両立が、リーグ全体をさらに高次元へ押し上げている。シーズン序盤から、NBAはすでに新しい物語を描き始めている。