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Wizが挑むスポーツ経営の未来──バスケとバレー2競技のオーナー戦略とは

異なる競技の2チーム運営に挑む理由とは?


「チームを地域のセンターピンにしたい」──株式会社Wizの代表・山﨑俊氏は、そう語る。2024年6月、女子プロバレーボールチーム・アルテミス北海道(Vリーグ)を傘下に迎えたWizは、すでに男子プロバスケットボール・鹿児島レブナイズ(B2)を保有しており、2競技のクラブオーナー企業となった。

「地域におけるプロスポーツチームの存在はとても大きい」と山﨑氏。「鹿児島ならレブナイズだね」というように、地域の象徴= センターピン になれるコンテンツだと考えているという。特に屋内競技は天候や季節に左右されず、会場までのアクセスも良い。だからこそ、老若男女が集える空間づくりには適していると語った。

アルテミス北海道が担う 女性活躍の象徴 という役割


「北海道の女子プロスポーツをけん引する存在になってほしい」。Wizがアルテミス北海道に託すビジョンだ。男子プロチームが多く存在する北海道において、女子チームの存在は希少であり、地域の中で「女子ならアルテミス」という空気を作りたいという。

Wiz社内も女性比率が高く、従業員の54%が女性、管理職も46%が女性という構成。「今のWizがあるのは女性の皆さんのおかげ。女性の活躍を後押しする象徴として、アルテミスを地域に根付かせていきたい」と山﨑氏は力を込めた。

SVリーグ昇格より大切な 熱量 の創出

「まずは会場を満員にすること。それが第一歩」。北ガスアリーナ札幌46(2500人収容)を主戦場に、1年目は無料招待も活用しながら満員を目指す。競合はBリーグ、Jリーグ、プロ野球と多いが、その中でも「選ばれるエンタメ」となることが求められる。

SVリーグ昇格に関しては、今すぐではなく「どこかの時間軸で目指すべき」と言及。「地域に熱を生み出すことが優先。順位や昇格だけを追うのではなく、盛り上げるためにどんなポジションでいるべきか」を重視している。

「みんなに担いでもらえるアルテミス」に

「地域のシンボルではなく、女性活躍のセンターピンに」。北海道全体の象徴になるのはおこがましいという謙虚な姿勢を持ちつつ、「担がれる存在になることが地域活性化につながる」と語る山﨑氏。

「スポーツチームは神輿のような存在で、地域のみんなで担ぎ上げていける。その象徴にアルテミスがなっていけたら」と展望を語った。

鹿児島レブナイズが教えてくれた チームの力


Wizが最初にオーナーとなったのは鹿児島レブナイズ。元々スポンサーをしていたレバンガ北海道からの縁で、鹿児島のクラブを紹介されたという。

「B1昇格条件のひとつでもある1試合平均2400人の集客」を2年連続でクリア。特に「KAGOSHIMA SHOWTIME」をスローガンに掲げた昨季は、観客に 観てもらえればファンになる という確かな実感を得たという。

チームの挑戦=地域の活性化

「優勝を目指す意味は、地域を盛り上げるため」と山﨑氏は断言する。アルテミスもレブナイズも、単なる勝利のために戦うのではなく、あくまで地域の熱量を高めるための手段として「勝利」を追求している。

「勝てなかったとしても、それは挑戦した結果。それを地域のエンタメに昇華できていれば成功だ」と語る。

スポーツチーム経営は 地域活性化ビジネス

「私はスポーツビジネスをしているのではなく、地域活性化ビジネスをしている感覚に近い」。スポーツチームは、企業が 応援したくなる存在 を持つことで、会社の成長や社員のやりがいにも直結すると山﨑氏は捉えている。

バスケットもバレーも、チームという存在を通して「信じる力」「挑戦する意味」を体現し、会社全体にポジティブな空気をもたらす。「2チームの運営を通じて、地域と会社の両方が挑戦し続ける存在でありたい」と語った。

クラブ運営が人材育成の場にもなる

「スポーツチームの現場は、若手の成長機会でもある」と山﨑氏。Wizではレブナイズやアルテミスに若手社員が関わることも多く、広報やスポンサー対応、イベント運営など、リアルな現場で 実戦経験 を積む機会が得られているという。

こうした経験は、WizのコアビジネスであるIT・営業分野でも応用可能で、「人との関わり」「信頼を得る力」「現場対応力」を鍛える場にもなっている。

地域の教育・行政とも連携し、 まちづくり へ

「クラブ運営は地域全体を巻き込む まちづくり の一部」。山﨑氏は、クラブを通じて地域の学校や行政、地元企業とも連携し、未来の担い手づくりにも注力していきたいと語る。

実際、鹿児島では地元の小中学校と連携した「夢授業」や「キッズ観戦プロジェクト」も展開。アルテミスでも同様の教育連携を計画しており、スポーツの価値を広げる仕組みを構築中だという。

Wizが描く 地域と人が育つ スポーツ経営の未来

「地域が育ち、人が育ち、企業も育つ」──Wizが描くスポーツ経営は、その三者の循環を前提としている。チームの勝敗だけに依存せず、地域と連携しながら、長期的に価値を生み出す体制づくりが進んでいる。

「スポーツは感情を動かす力がある。だからこそ、応援される存在になる必要があるし、応援されることで地域に根付く。その循環を作っていきたい」と山﨑氏は語った。

Bリーグが描く 地域共創 の未来──『バスケACTION』が示した社会貢献の新フェーズとは

バスケで地域を動かす──Bリーグの新たな挑戦『バスケACTION』とは

2024年7月14日、Bリーグが主催するナレッジ共有会が都内で開催された。テーマは『B.LEAGUE Hope × 日本生命 地域を元気に!バスケACTION』。この社会的責任活動は2021年よりスタートし、2024-25シーズンからは サステナビリティパートナー として日本生命が全面協力する形で再始動した。

単なるCSRの枠を超え、36クラブが主体となって地域と向き合うこの取り組みは、 コートの外 でバスケットボールが果たすべき役割を再定義するものだ。

地域課題をスポーツで解決する──各クラブの実践事例

共有会では、各クラブが自らの地域で取り組んできた事例を発表。それぞれが地元特有の課題に対し、バスケットボールという共通言語を活かした斬新なアプローチを披露した。

■ベルテックス静岡:人口減少に 絆 で対抗

静岡市は、人口減少率が全国ワースト2位という重大な局面を迎えている。ベルテックス静岡はこの課題に正面から取り組んだ。観戦招待を通じ、転入者など市外出身者との接点を創出。

単なる チケット配布 にとどまらず、「50点目を決める選手を当てるクイズ」やスマホを使ったフリースローチャレンジなど、家族連れやライトファンにも楽しめる工夫を施した。さらに、日本生命の営業職員との連携により、招待客へのフォローアップを実施。

この丁寧なアプローチにより、単発の招待から継続的な来場者を生み出す 地域好循環 を形成した。

■茨城ロボッツ:心のバリアフリーを広げる ハブ に

茨城ロボッツは、特別支援学校の校長からの要望を起点に、「子どもたちが活躍できる場」を提供するプロジェクトを始動。従来の「訪問型の支援」から、「共創型の社会貢献」へと舵を切った。

彼らの取り組みは、水戸市内での『まちなかバリアフリーマップの作成』と『車いすバスケ体験会』。医療法人や大学、NPOなど10以上の団体を巻き込んだイベントは、まさに 誰もが主役 の場となった。

当日は車いすユーザーと健常者が自然に交わる姿が見られ、「大変さを伝えるのではなく、楽しさを共に体験する場だった」という専門家の評価も得た。

DE&I(多様性・公平性・包摂性)の理念を現場で体現したこの試みは、今後の社会貢献モデルとして他クラブにも波及が期待される。

■宇都宮ブレックス:清掃活動をエンタメに変える発想

「バスケ以外の分野でも地域貢献をしたい」──その想いから始まった宇都宮ブレックスの清掃活動は、単なるゴミ拾いではなかった。

実施地は宇都宮駅周辺。定員を大幅に上回る200名超の応募があり、マスコットやチアリーダーも参加することで お祭り感 を演出。さらに、環境配慮素材で作られたボールペンやタンブラーを参加賞にすることで、 ブレックスらしい 価値提供を実現した。

この活動は宇都宮市との官民連携によって運営がスムーズに行われ、「自分の街がきれいになるのがうれしい」という声が多数寄せられた。

支援される立場から、共に創る仲間へ──Bリーグの哲学

ナレッジ共有会でBリーグの島田慎二チェアマンは、「バスケACTIONはリーグ理念実現の 核 である」と語った。

「この取り組みはすぐに成果が見えるものではありません。けれど、動かなければ何も始まらない。クラブが主体となり、地域と共に歩むことこそがスポーツの力なのです」

その言葉どおり、今回発表された事例の多くが、 クラブが与える のではなく、 地域と一緒に生み出す スタイルに進化していた。

社会と交わるバスケットボール──3×3にも通じるビジョン

今回の『バスケACTION』の各事例は、3×3バスケットボールが掲げる「誰もがプレーできる場」「街と一体になるスポーツ」のビジョンとも強く共鳴している。

特に茨城ロボッツの 共創型 イベントは、3×3大会が開催される公共空間やストリート文化との親和性が高く、今後はBリーグクラブと3×3リーグとの連携も期待される。

また、宇都宮ブレックスのように「イベント化」された清掃活動は、3×3の大会運営でも活かせる知見であり、ボランティアを巻き込んだサステナブルな運営モデルの参考になる。

まとめ:バスケットボールの価値は、コートの外に広がっている

2024-25シーズン、Bリーグが進めた『バスケACTION』は、バスケットボールが単なるスポーツを超え、地域社会にポジティブな波紋を広げる 社会装置 として機能し得ることを証明した。

人口減少、共生社会、環境保全──そのどれもが、バスケットボールと組み合わさることで、行動を喚起する現実的なムーブメントとなりうる。

コートの内外で価値を発揮し、スポーツの本質を問い直すこの活動は、今後のスポーツ界全体にとっても大きな指針となるだろう。

今、問われているのは「何を勝ち取るか」だけでなく、「誰と共に歩むか」だ。

バスケットボールの未来は、ゴールの向こう側にある地域との絆の中にこそある。

【3×3/SANJO BEATERS.EXE】|新潟・三条発。“ものづくりの街”が生んだ情熱系3×3チーム

概要

SANJO BEATERS.EXE(サンジョウ ビーターズ エグゼ)は、新潟県三条市を拠点とする3×3.EXE PREMIER参加チーム。
チーム名「BEATERS」は、“打つ・鍛える”を意味する英語「Beat」や「Beater(鍛冶職人)」に由来し、「情熱と技術で未来を打ち出す」という意味が込められている。
金属加工で知られる三条市の“ものづくり精神”をそのままバスケットボールに投影したチームだ。

チームコンセプト

スローガンは「HIT THE GROUND, MAKE THE FUTURE.(地に根ざし、未来を鍛える)」
SANJO BEATERS.EXEは、地域に根ざしたクラブチームとして、3×3を通じて“ものづくりのまち”の誇りを全国へ発信している。
スピードとフィジカル、そして泥臭さを武器にした“ハードワーク・バスケット”が特徴で、三条市民の粘り強さを体現するプレースタイルが魅力だ。

設立背景

三条市は古くから金物や刃物、金属加工などの“ものづくり文化”で知られ、技術と誇りを受け継いできた街。
そんな地元企業の支援と若手バスケットボーラーの想いが重なり、2024年にSANJO BEATERS.EXEが発足
「職人魂×スポーツ魂」という独自のテーマのもと、地域の産業とスポーツを融合したチーム運営を展開している。

チームカラーとロゴ

チームカラーはアイアンブラック×ブレイズオレンジ
金属の力強さと、火花のような情熱を象徴している。
ロゴには槌(ハンマー)とバスケットボールを組み合わせたシンボルを採用し、「叩き上げ」「鍛える」という意味をビジュアルで表現している。

活動内容

  • 3×3.EXE PREMIER参戦: 新潟県代表として全国各地の強豪クラブと対戦。
  • 地域イベント連携: 三条鍛冶道場や地元フェスティバルと連携し、バスケ体験やデモンストレーションを実施。
  • ジュニア育成: 地域の中学校・高校へのクリニックや、U15育成プログラムを展開。
  • ものづくりコラボ: 地元メーカーと共同でバスケットボール用品やグッズの開発を行う。

プレースタイル

チームは「ディフェンスから流れを作る」ことを最重視。
リバウンド、ルーズボール、スクリーンなど地味ながら確実なプレーを積み重ね、最後は高確率のフィニッシュに繋げる。
攻守において「鍛え抜かれた基礎技術」が特徴で、3×3の短時間決戦においても冷静かつ粘り強いゲーム運びを見せる。

地域との連携

SANJO BEATERS.EXEは、「スポーツを通じて地域産業を発信する」ことをミッションに掲げる。
地元企業とのスポンサー連携はもちろん、職人たちの技術を活かした特製メダル・コート備品などの製作も実施。
また、三条市・燕市・長岡市など県央地域の子どもたちを対象にしたイベントを開催し、“地域ぐるみのチーム文化”を形成している。

三条という街とチームの共鳴

「職人の街」と呼ばれる三条は、“挑戦・努力・継続”を誇りとする文化が根づいている。
その精神をバスケットボールに置き換えたのがBEATERSであり、
プレイヤーたちは「勝利よりも成長」「結果よりも過程」を大切に日々の練習に打ち込む。
地元高校・企業との共同トレーニングも行い、地域全体でチームを育てるスタイルを確立している。

今後の展望

SANJO BEATERS.EXEは、2026年までに3×3.EXE PREMIERプレーオフ進出を目指すと同時に、
三条市発の「スポーツ×ものづくり」ブランドとして全国展開を視野に入れている。
さらに、海外との交流試合やクラフトマンコラボを通じて、“MADE IN SANJO”の名を世界に広めていく計画も進行中だ。

スローガン

“FORGED IN FIRE, UNITED IN SPIRIT.”
──火の中で鍛えられ、心でつながる。
SANJO BEATERS.EXEは、三条の魂をバスケットボールで打ち鳴らす。

【3×3/ESDGZ OTAKI.EXE】地域とともに歩む“持続可能な3×3チーム” ― 大滝町発の新たな挑戦

概要

ESDGZ OTAKI.EXE(エスディージーズ オオタキ エグゼ)は、千葉県夷隅郡大多喜町を拠点とする3×3.EXE PREMIER参加チーム。
チーム名の「ESDGZ」はSDGs(持続可能な開発目標)を意味し、地域社会とスポーツの共生をテーマに掲げる。
「持続可能なスポーツ文化の創造」をビジョンに、3×3バスケットボールを通じて地方創生と若者の夢の舞台づくりを目指している。

チーム理念

ESDGZ OTAKI.EXEの最大の特徴は、「バスケットボール×地域×SDGs」という三位一体のコンセプト。
チームは単なる競技活動にとどまらず、環境保全・地域教育・ジェンダー平等・観光振興など、国連が掲げる17の目標を地域スポーツの枠組みで実践する。
スローガンは「PLAY for EARTH, PLAY for FUTURE.(地球と未来のためにプレーする)」。

設立背景

2020年代の地方創生ブームの中で、千葉県大多喜町は「歴史と自然を活かしたまちづくり」を進めており、その一環として3×3チームの創設が企画された。
ESDGZ OTAKI.EXEはその核として誕生し、地元企業や行政、教育機関が連携してチーム運営を支援。
地域住民が参加できるオープンイベントやクリニックを通じ、スポーツを軸にした持続的な交流の場を提供している。

チームカラーとロゴ

チームカラーはエコグリーン×ホワイト
ロゴは大多喜町の象徴である自然と「ESDGZ」の文字をモチーフに、環境意識とスポーツの融合を表現している。
ライオンをベースとしたエンブレムは「勇気と誇り」を、グリーンの輪は「地球の循環」を象徴する。

主な活動

  • 3×3.EXE PREMIER参戦: 国内外の強豪と対戦しながら地域代表チームとして成長を続ける。
  • 地域連携イベント: 大多喜町の商店街や学校と連携し、環境教育や体験型ワークショップを実施。
  • ジュニア育成: 子どもたちへのバスケットスクール運営や、将来のアスリート育成プログラムを展開。
  • 観光コラボ: 大多喜城や養老渓谷などの観光名所と連携した「スポーツ×ツーリズム」企画を実施。

プレースタイル

ESDGZ OTAKI.EXEのプレーは、スピードと判断力を重視したトランジション型3×3バスケ
ディフェンスではアグレッシブなスイッチを多用し、攻撃ではスペーシングと連動を重視。
3人全員が“走って守れる・打てる”をコンセプトに、ハイテンポで観客を魅了するスタイルを貫く。

地域との共創

チームは地元行政と共同で「スポーツ×まちづくり」の実証モデルを構築。
地域産品のPRや観光振興、移住促進など、スポーツを起点としたSDGs推進事業を展開している。
また、地元中高生との交流試合やボランティア活動も盛んで、“地域に根差すクラブチーム”として高い支持を得ている。

今後の展望

ESDGZ OTAKI.EXEは、2026年以降の3×3.EXE PREMIER上位進出と、地域リーグでのモデルクラブ化を目標に掲げている。
また、将来的には女子チームやユースカテゴリーの設立も構想中。
「スポーツの力で、持続可能な地域をデザインする」――その理念のもと、3×3の枠を超えた新しい地域スポーツの形を発信し続ける。

キーワード

  • 3×3.EXE PREMIER
  • SDGs(持続可能な開発目標)
  • 地方創生
  • 地域教育
  • 大多喜町

【3×3/MINAKAMI TOWN.EXE】群馬から世界へ挑む3×3バスケクラブの歴史・成績・地域活動

はじめに:過疎地域から世界を目指すチーム


群馬県みなかみ町を拠点とする「MINAKAMI TOWN.EXE」は、3人制バスケットボールのプロチームとして2018年に誕生した。チームのスローガンは「みなかみから世界へ」。人口2万人以下という過疎指定地域から、国内トップリーグ「3×3.EXE PREMIER」や「3x3UNITED」に参戦し、さらに国際舞台へ挑戦する姿は、スポーツを通じた地域創生の象徴的存在となっている。

本記事では、MINAKAMI TOWN.EXEの歩みを「成績」「選手・スタッフ」「地域活動」「国際挑戦」「将来展望」の切り口から徹底解説する。

チーム概要と理念

– **創設**:2018年2月
– **本拠地**:群馬県みなかみ町
– **チームカラー**:緑
– **スローガン**:「みなかみから世界へ」
– **運営母体**:特定非営利法人 MINAKAMI TOWN スポーツクラブ
– **参戦リーグ**:3×3.EXE PREMIER、3x3UNITED

みなかみ町は観光と農業の町である一方、少子高齢化と人口減少が進む過疎指定地域。チームは3×3という新興スポーツを活かし、地域の魅力を発信するとともに、町の活性化を担うことを目的に活動している。ロゴは名峰・谷川岳をモチーフにデザインされ、地域性を前面に押し出している。

選手・スタッフ陣容

2025シーズンの選手は以下の通り。

– 森田蓮(#0/173cm/群馬県みどり市出身)
– 日下謙人(#5/190cm/群馬県渋川市出身)
– クベマ・ジョセフ・スティーブ(#13/204cm/コンゴ民主共和国出身)
– 柄澤日向(#24/181cm/群馬県高崎市出身)
– 大塚俊(#1/190cm/みなかみ町出身・代表)
– 加藤英寿(#8/197cm/東京都出身)
– 野平雄太(#45/177cm/群馬県太田市出身)
– 横山順司(#2/174cm/埼玉県出身)
– 渡邉陸(#10/182cm/埼玉県出身)
– 坂東秀梧(#18/180cm/群馬県安中市出身)

スタッフには小野寺恵介ヘッドコーチ、大久保賀章ら複数のトレーナー、広報担当の笹口真希が名を連ね、充実したサポート体制を整えている。群馬県出身選手が多く、地元に根ざした人材構成が特徴だ。

リーグ成績の歩み

MINAKAMI TOWN.EXEは、毎シーズン着実に勝率を高めてきた。

– 2018年:11勝13敗(勝率45.8%)
– 2019年:13勝11敗(勝率54.1%)
– 2020年:6勝4敗(勝率60%)
– 2021年:12勝3敗(勝率80%)
– 2022年:23勝7敗(勝率76.6%)
– 2023年:15勝9敗(勝率62.5%)
– 2024年:16勝9敗(勝率64%)
– 2025年:22勝5敗(勝率81.5%、ランキング4位)

特に2025年シーズンはラウンドごとに安定した戦績を残し、平均得点19.5点、KO率81.8%という圧倒的な数字を叩き出している。

ハイライト:開幕ラウンド優勝とMVP坂東秀梧

2025年5月18日、ワテラス会場で行われたシーズン開幕ラウンドにおいて、MINAKAMI TOWN.EXEは見事に優勝を果たした。MVPには#18坂東秀梧が選出され、準決勝TOKYO VERDY.EXE戦でのゲームウィナーを含め、勝負強さを発揮。#10渡邉陸とのコンボガードコンビ、さらに新加入の外国籍選手の活躍が噛み合ったことが勝因となった。

国際挑戦の歴史

MINAKAMI TOWN.EXEは早くから海外に目を向けてきた。2019年にはクラウドファンディングを活用し、日本チームとして初めてオーストラリアのプロ3×3リーグ「3×3 PRO HUSTLE」に参戦。当時から「世界基準の舞台で戦う」という理念を明確に示していた。

2024年には3×3.EXE PREMIERプレーオフでベトナムや多国籍チームと対戦し、国際経験を積んだ。そして2025年には「SAIGONECT MINAKAMI.EXE」としてベトナム進出を実現し、地域発のクラブが国際展開を果たす稀有な存在となっている。

地域活動と社会的役割

MINAKAMI TOWN.EXEは「プロチーム」でありながら「地域クラブ」としての顔も持つ。

– **アカデミー事業**:新島学園や高崎市でスクールを運営し、小中学生に指導機会を提供。初回体験や低価格設定で間口を広くしている。
– **地域リノベーション**:2018年に水上温泉街に拠点を構え、空き店舗対策や商店街活性化に関わる。代表の大塚俊は「スポーツを通じて温泉街を盛り上げる」ことを掲げ、リノベ事業と連動。
– **ボランティア活動**:介護施設でのサポートなど、選手による地域貢献を継続的に実施。

これらの取り組みは、チームが単に勝敗を追うだけでなく、地域社会に根ざした存在であることを示している。

3x3UNITEDホームラウンドでの戦い

2024年10月には「3x3UNITED EAST AREA MINAKAMI ROUND」をホーム開催。MINAKAMI TOWN.EXEとセカンドチーム「MINAKAMI FROM AQUA」が出場し、決勝では信州松本ダイナブラックスに1点差で惜敗し準優勝。地域を挙げた一大イベントとして盛況となり、YouTubeチャンネル「ミナタウチャンネル」で試合が配信された。

ファンエンゲージメントと発信力

– **公式SNS**:Instagramフォロワーは3,400人以上。
– **公式アプリ**:試合情報や順位表をチェック可能。
– **YouTube「ミナタウチャンネル」**:選手の挑戦企画や試合配信を発信。
– **公式グッズ販売**:Tシャツ、パーカー、トートバッグなどを展開。

これらは地方クラブとしては異例のデジタル発信力であり、ファンベースの拡大に成功している。

将来展望:オリンピック選手輩出へ

3×3は東京オリンピックから正式種目となり、世界的にも競技人口が増加している。MINAKAMI TOWN.EXEは「みなかみからオリンピック選手を輩出する」ことを目標の一つに掲げ、育成・国際挑戦を続けている。

2025年シーズンの好調を足掛かりに、プレーオフでの上位進出、さらにはWORLD TOURでの優勝を目指す姿勢は、今後の3×3界において注目すべき存在だ。

まとめ


MINAKAMI TOWN.EXEは、
– 過疎地域から誕生した唯一のプロ3×3クラブ
– 国内トップリーグで勝率8割超の強豪
– 地域リノベーションやアカデミー活動で社会的役割を果たす存在
– 早期から海外挑戦を続け、ベトナム進出も実現した国際派チーム

というユニークな特徴を持つ。
「みなかみから世界へ」というスローガンは単なる言葉ではなく、地域と世界をスポーツで結びつけるリアルなビジョンである。今後も3×3シーンにおける注目株として、国内外での飛躍が期待される。

【3×3/HACHINOHE DIME.EXE】徹底解説|3×3プロバスケ青森初のプロスポーツチームが描く未来と戦績

八戸ダイムとは?青森発の3×3プロスポーツチーム


HACHINOHE DIME(八戸ダイム)は、青森県八戸市を拠点とする3人制バスケットボール「3×3(スリー・エックス・スリー)」のプロチームです。
スローガンは「八戸から世界へ!」。2019年の参入以来、地域初のプロスポーツチームとして注目を集めています。兄弟ブランドにはTOKYO DIMEやOSAKA DIMEがあり、全国的なDIMEグループの一翼を担います。

八戸ダイムは、3×3という新しいスポーツ文化を通じて、バスケットボールの普及・発展と地域の活性化を両立させることを目的としています。

チーム理念とビジョン

クラブの掲げる理念は以下の通りです。
– 世界一を目指し、常に勝利にこだわる
– 人と人をつなぎ、心を豊かにする存在に
– 3×3およびバスケットボール競技全体の発展に寄与する

さらにビジョンとして「プレイヤーズファースト」「家族のようなヒーロー」「もっと気軽に楽しめるバスケ」「機動的で革新的なエンターテイメント性」「アシストの文化」を明確に打ち出しています。これにより、競技力強化と地域密着型のエンタメ展開を両立させています。

選手陣|キャプテンと主力メンバー

八戸ダイムを率いるのは、キャプテンの沢頭智弘(1990年生/178cm)。シュート、アシスト、ディフェンスに優れ、ゲームコントロール能力を武器にチームを支える精神的支柱です。

他の主要選手には、
寺嶋恭之介(1991年生/179cm):クイックシュートとスピード感あふれるプレーが持ち味

角田大志(1994年生/189cm):パワフルなプレーで存在感、2024年にはスーパープレミアベスト4進出に貢献
宮越康槙(1996年生/189cm):最古参プレイヤーとしてチームを牽引するムードメーカー
ビリシベ実会(1996年生/190cm):跳躍力とドライブを武器に攻撃力を提供
遠藤涼真(2000年生/191cm):堅実なディフェンスが強み

そして2025-26シーズンには、元NBA選手でナイジェリア出身のチュクゥディエベレ・マドゥアバム(206cm/119kg)を新規加入。インサイドの存在感と国際経験で大きな戦力強化となっています。

運営体制と経営陣

八戸ダイムは地元企業や実業家が中心となり運営されており、以下のメンバーがクラブを支えています。
杉山直也:代表取締役社長兼オーナー。法務・経営畑出身で、3×3を通じた地域活性化を推進。
八木学:代表取締役兼オーナー。「3×3で八戸市に恩返しをしたい」との思いから設立に尽力。
米林正明:共同オーナー。「日本一のチームに」と宣言。
田中健悦:取締役。地域に根差したイベント運営を強調。
立場輝栄:営業部長。スポンサー営業・地域連携の実務を担い、ファン層拡大を図る。

経営陣はIT・リサーチ業界の出身者が多く、データ活用やマーケティング戦略にも強みを持っています。

シーズン戦績と成長の軌跡

八戸ダイムは2019年の参入当初こそ苦戦しましたが、その後急成長。

– **2019年**:勝率72.4%、KO率100%と華々しいスタート
– **2020年**:コロナ禍の影響で試合数減、1勝4敗と低迷
– **2021年**:勝率54.5%に回復
– **2022年**:23勝8敗、勝率74.2%
– **2023年**:19勝7敗、勝率73.0%
– **2024年**:16勝8敗、勝率66.7%

累計成績は **126試合 86勝41敗 勝率68.3%、KO率89.5%**。
特にノックアウト勝利が多く、試合を決め切る力に定評があります。

2025年シーズンの戦績

– **3月**:世界大会「EXE SUPER PREMIER」に出場(予選6位→トーナメント進出)
– **6月14〜15日**:ホーム八戸ラウンド(第3ラウンド)開催。準々決勝で敗退も大盛況。
– **6月29日**:第4ラウンドで今季2度目の優勝。地元で大歓声を浴びる。
– **9月1日**:最終第8ラウンド決勝で宇都宮BREXに敗れ、準優勝。

地元「フラット八戸」での熱戦は、地域住民にとって誇りとなり、全国からも注目を集めました。

地域活動と育成

八戸ダイムは地域密着を重視し、バスケットボールスクールを運営。幼児から中学生まで幅広い世代を対象に、基礎スキルと人間力を育む指導を行っています。兄弟割引制度や無料体験も導入し、地域の子どもたちに開かれた活動を展開しています。

さらに「するスポ × HACHINOHE DIME」では、試合と連動した小学生向けイベントを実施。シュートチャレンジ、バスケ教室、サイン入りグッズ企画など、子どもたちがプロ選手と同じコートに立てる体験を提供し、地域全体のスポーツ文化を盛り上げています。

スポンサー制度とパートナーシップ

クラブではスポンサーを「アライアンス活動」と位置付け、単なる資金提供ではなく双方向での価値創造を重視。
– 法人向け:ユニフォームスポンサー、サポートカンパニー
– 個人向け:個人サポーター

地域企業や個人とともに成長する体制を整えています。

メディア出演と注目度

八戸ダイムはメディア露出も活発で、ボートレース公式YouTube「Dream Runner」に複数回登場。艇王・植木通彦との対談では、キャプテン沢頭智弘や角田大志、遠藤涼真が出演し、3×3の魅力や「八戸から世界へ!」の思いを発信しました。動画は数十万回再生され、地域を超えた注目を集めています。

SNSとファン層の拡大

Instagram(@hachinohe.dime3x3)ではフォロワー3,400人超。試合速報やイベント告知を発信し、ファンとの距離を縮めています。地域密着型クラブとして、SNSを通じて首都圏や海外のファン層拡大も狙っています。

まとめ|「八戸から世界へ!」の実現へ

八戸ダイムは、3×3競技の普及・発展と地域活性化を両立させる数少ない存在です。堅実な戦績、地域に根差した活動、メディア露出による認知拡大、そして外国籍選手の加入による戦力強化。すべてが「八戸から世界へ!」というスローガンを現実のものにしつつあります。

今後も八戸ダイムの挑戦は、3×3バスケットボールの未来、そして青森から世界へ羽ばたくスポーツ文化の象徴となるでしょう。
地元ファンはもちろん、全国のバスケットボールファンも目が離せないチームです。

チーム情報

チーム名:HACHINOHE DIME.EXE
ヨミ:ハチノヘ ダイム エグゼ
本拠地:青森県八戸市
チームカラー:青