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モナコがユーロリーグで36点差の歴史的大勝。戦力差を超えた戦術的成熟とエフェス崩壊の全要因

モナコが36点差の大勝を記録した背景にある競技的構造

ユーロリーグ第13節でモナコがアナドル・エフェスを102-66で圧倒した一戦は、単に戦力が揃っていた側が勝利したというだけでは説明できない内容だった。36点差というスコアはクラブ史上最大で、前節のASVEL戦で更新したばかりの+28をさらに上回る新記録となった。結果そのものは明快だが、実際の試合は前半の均衡、後半の一方的展開、主力不在の影響、戦術的成熟など、複数の要素が重なりながら形成されている。この試合はユーロリーグの現代的なトレンドを読み解くうえでも重要で、両チームの構造がどのように噛み合い、どこで差が開いていったのかを整理して見る必要がある。

かつて拮抗していた対決が一方的になった理由

モナコとエフェスの対戦は以前は互角だった。しかし近年はモナコが連勝を重ねており、今回で4連勝となる。直近4試合の点差は+2、+12、+19、そして今回は+36と、試合を重ねるたびに差が広がっている。これには単純なロスターの充実だけでなく、チームとしての完成度の違いが大きく影響している。

今シーズンのモナコはローテーションの安定、戦術の徹底度、スター選手の配置バランスが高いレベルで噛み合っている。対してエフェスは大型補強を続けながらも、怪我人が続出したタイミングで試合を迎え、競争力を維持し切れなかった。今回の試合ではエフェスが主力4名を欠き、さらにクラブ側が「複数の選手が怪我を抱えながら無理をして帯同している」と認めたほどの厳しい状況に追い込まれていた。このような条件下では、過去の拮抗した構図は成立しなかったと言える。

ロースター状況が生んだミスマッチと序盤のエフェスの健闘

今回特に影響が大きかったのは、エフェスのガード陣の壊滅的な状態だ。シェーン・ラーキンとPJ・ドゥージャーが共に欠場し、ボールハンドラーとしての負荷が大きくワイラー=バブに集中した。彼は0/6、6ターンオーバー、評価値–10と厳しい内容だったが、彼自身の能力よりも、役割の過剰負担とローテーション崩壊による影響が大きかったと見るべきだ。

その一方で、元モナコのジョーダン・ロイドは13点5アシストと存在感を示し、夏にモナコが獲得を逃したイザイア・コルディニエも3P4/4を含む16点と活躍している。特に前半のエフェスは3Pを7/10と高確率で沈め、モナコの守備に穴を作りながらリードを奪う時間帯もあった。

それでも長くは続かなかった。試合のペースが上がり、ポゼッションの総量が増えるにつれて、より深いローテーションと組織力を持つモナコが徐々に主導権を握っていった。エフェスにとっては一瞬の集中力で局面をひっくり返す時間帯は作れたが、持続性は完全に欠いていた。

後半に試合が急激に傾いた構造的な理由

試合の流れが完全に変わったのは後半だ。モナコはここで攻守の精度を一段階引き上げ、エフェスはローテーション不足による運動量低下と判断の遅れが重なった。特にインサイドの守備が崩壊し、ドライブにもハイローにも対応しきれない場面が続いた。

モナコのスタッツはこの構造をよく表している。28アシスト、9ターンオーバー、2P成功率67%という数字は、単にシュートが入ったというより、質の高いショット選択が徹底されていたことを示す。後半のエフェスは守備ローテーションが遅れ、通常なら切れるはずのパスラインが空き続けたため、モナコは「自分たちが最も得意とする形」を何度も再現することができた。

主役陣の安定感とモナコの戦術的成熟度

個別に見ると、モナコの主力陣は非常に効率的に仕事をしていた。マイク・ジェームズは7点6アシストと控えめな数字ながら、ゲームメイクで試合をコントロールし、ダニエル・タイスは17点を獲得してP&Rの脅威として機能した。ケヴァリアス・ヘイズは12点を挙げ、ニコラ・ミロティッチは9点・7リバウンド・5アシスト・3スティールと総合的に貢献している。

特にミロティッチは守備面での評価が高く、ポジショニングとカバレッジの精度が後半の強度維持に大きく影響した。モナコの守備は個人能力だけで構築されているわけではなく、全体が同じリズムで反応し、ズレを修正するチームとしての成熟が見て取れる。

ベンチメンバーまで機能したモナコの強み

第4Qに入ると試合は完全にモナコの流れとなり、32-13という一方的なスコアで締めくくった。この時間帯では、普段出場の少ないヨアン・マクンドゥ(9点)、テリー・ターピー(5点)、そしてユーロリーグ初出場となるデイビッド・ミシノーまでがプレータイムを得ている。

それでも試合の質が落ちなかったのは、モナコがポジションに応じた役割とプレー構造を明確にしているからだ。どの選手が入っても攻撃の意図が変わらず、同じ形でスコアチャンスを作れることは、長いシーズンを戦ううえで決定的な強みとなる。

「7人ローテの限界」を露呈したエフェスと試合後の反応

イザイア・コルディニエが前半に「50失点は多すぎる」と語ったように、エフェスは前半から守備の綻びが顕著だった。後半にはこれがさらに悪化し、試合後には指揮官が「7人ローテではモナコのようなチームには太刀打ちできない」と語っている。

選手の負荷が極端に偏り、ハンドラー不足が続いたことで、攻撃でも単調さが増し、守備でもローテーションが途切れた。ユーロリーグのレベルでは、主力の欠場をロールプレイヤーだけで補うのは現実的ではなく、ロスター構成の脆さが一気に表面化した形だ。

モナコが示したユーロリーグ上位レベルの完成度

今回の勝利でモナコはリーグのトップ5に浮上した。2試合連続の大勝という結果は偶然ではなく、チームとしての成熟度、選手の役割遂行能力、戦術の再現性が高水準で整っていることを示している。特に後半の支配は、ローテーションの深さだけでなく、チーム全体が共通理解を持って動くユーロリーグ上位チーム特有の強さを映し出していた。

この勝利は順位以上に、モナコが今季のユーロリーグで本格的に優勝争いに絡む可能性を示す内容だった。読者の皆さんも、このチームがどこまで勝ち進むのか、ぜひ注目してほしい。


【執筆】GL3x3編集部(バスケ専門ニュースチーム)
国内外のバスケニュースと3×3情報を中心に発信しています。

バルセロナ新政権がユーロリーグ開幕黒星:シャビ・パスクアル体制が迎えた試練の第一歩

シャビ・パスクアル復帰の開幕戦は黒星スタート

2025-26シーズンのユーロリーグが幕を開け、スペインの名門FCバルセロナは本拠地でアナドル・エフェス(トルコ)と対戦した。しかし結果はバルサにとって厳しいものとなり、復帰したシャビ・パスクアル新政権の初陣は黒星で始まった。欧州でも屈指の戦力を備えながら、試合の主導権を握りきれず落としたこの一戦は、シーズン開幕直後とはいえ大きな意味を持つ。

パスクアルは2008年から2016年までバルサを率いた名将であり、リーグ制覇やユーロリーグ優勝争いの常連だった時代を作り上げた人物でもある。その名将が再び戻ってきたことで、クラブ内外の期待は大きかった。しかし、初戦の敗北はバルサの現状が決して簡単ではないことを物語っている。

前半は優勢も後半で崩れたバルサ

試合の入りは悪くなかった。前半のバルセロナはテンポの良いパスワークと安定した守備でアナドル・エフェスに対してリードを奪い、ホームの観客を沸かせた。特にピック&ロールの展開から生まれるオフボールの動きが効果的で、外角シュートも高確率で決まっていた。

しかし後半になると、バルサの精度は徐々に落ち始める。アナドル・エフェスはフィジカルなプレッシャーを強め、1対1の状況を数多く作り出し、そこからのドライブやキックアウトで流れを掌握した。守備面でもスクリーンへの対応が綻び、ミスマッチを突かれ失点を重ねた。

最終クォーターでは、エフェスの外角が連続して決まり、さらにバルサが攻撃でリズムを崩したことで逆転を許す。終盤のクラッチタイムにおいて、バルサは判断の迷いと連携不足を露呈し、結果としてリードを守り切れなかった。

パスクアルが語った“移行期間の厳しさ”

試合後、シャビ・パスクアルは「移行期間に与えられた時間は多くない」と語り、チーム再建の難しさを率直に強調した。名将であっても、チームが抱える課題をすぐに解決できるわけではない。選手構成、戦術理解度、ローテーションの最適化、そしてメンタル面など、多くの要素を組み直す必要がある。

バルセロナはこの数年、国内リーグでもユーロリーグでも安定した成績を残せていない。レアル・マドリードが黄金期に突入し、バレンシアやバスコニアも力をつける中、バルサは「再起のプロセス」にいる。このタイミングでのパスクアル復帰は、クラブ改革の象徴と言えるが、今回の敗戦はその改革が簡単ではないことを改めて示した。

アナドル・エフェスの強さが際立った後半戦

アナドル・エフェスはここ数年のユーロリーグで常に優勝候補に挙げられるトップクラブであり、近年リーグ制覇も経験している。個人能力の高さに加え、チームとしての完成度が非常に高く、後半のバルサの失速を逃さず確実にスコアへつなげた。

特にバルサの守備が崩れた要因としては以下が挙げられる。

・スクリーンディフェンスの迷い
・ローテーションの遅れ
・1対1対応で後手に回った
・ベンチユニットのディフェンス強度不足
・外角シュートに対するクローズアウト不足

これらが重なり、後半だけで見るとエフェスが完全に主導権を握った内容だった。欧州トップレベルの攻防において、わずかな判断の遅れが失点につながるという典型例と言える。

欧州バスケの現実:細かな差が勝敗を分ける

ユーロリーグは世界でも最も戦術レベルが高いと言われるリーグであり、40分間のどこを切り取っても高密度の駆け引きが存在する。今回の試合は、以下のような“細部の差”が勝敗につながることを改めて示した。

・3秒の判断遅れが失点につながる
・ターンオーバー1つが流れを変える
・リバウンドの1本で試合のテンポが変わる
・クロージングの数ポゼッションで勝敗が分かれる

前半を優位に進めたバルサも、後半に要求される強度と精度を保てず、エフェスの試合巧者ぶりに屈した格好となった。ユーロリーグの戦いは、この「わずかな差」を埋められるかどうかが重要であり、名門バルサといえど例外ではない。

バルサが抱える構造的課題

今回の敗戦は単なる黒星ではなく、クラブが抱えるいくつかの課題を浮き彫りにした。

・ロスターの再構築
経験豊富なベテランと伸び盛りの若手の組み合わせは、魅力的ではあるが安定性に欠ける場面もある。

・戦術浸透不足
パスクアルの戦術は高度かつ緻密であり、短期間で浸透させるのは容易ではない。

・クラッチタイムの弱さ
近年のバルサは接戦での勝ち切りが課題であり、今季も改善の兆しはまだ見えていない。

・リバウンドの安定感不足
インサイドの高さやフィジカルで苦戦する試合が増えている。

これらは長期的な視点で解決すべき問題であり、パスクアルがどのようにアプローチしていくかは今後の大きな焦点だ。

スペイン4大クラブの中での立ち位置は?

スペインにはユーロリーグ常連の強豪が多く、バルセロナの現状は国内競争にも直結する。

・レアル・マドリードは依然として安定感抜群
・バスコニアは攻撃力で勝負
・バレンシアは着実に戦力を強化
・バルサは改革途上で浮き沈みが大きい

バルセロナは依然として“ブランド力”と“潜在能力”ではトップクラスだが、現実的なパフォーマンスは他クラブより一歩遅れていると言わざるを得ない。ただしシーズンは始まったばかりであり、パスクアル体制がフィットし始めれば後半戦での反転攻勢も十分に可能だ。

開幕黒星の先にあるもの

ユーロリーグは長丁場であり、開幕戦の敗北がそのままシーズン全体の結果に直結するわけではない。むしろ今の段階で課題が明確になったことは、パスクアルにとってポジティブな材料でもある。

彼はこれまでも戦術理解を重視し、細部にこだわるスタイルでチームを改善してきた指揮官だ。今回の敗戦も、彼の哲学に基づいた再調整によってチームを成長させる材料になるだろう。

バルサのシーズンはまだ始まったばかりだ。名門クラブとしての誇りを取り戻せるか。パスクアル体制の真価が問われるのは、ここからである。

ユーロリーグ完全ガイド|欧州クラブバスケ最高峰リーグの仕組みと特徴を徹底解説

ユーロリーグとは

ユーロリーグ(EuroLeague)は、ヨーロッパにおける男子プロクラブバスケットボールの最上位リーグであり、NBAに次ぐ世界第2のバスケットボールリーグとして高い評価を受けている。各国のトップクラブが国境を越えて戦う「欧州版チャンピオンズリーグ」ともいえる存在だ。

2000年に現在の運営会社「Euroleague Basketball(ECA)」が設立され、商業化・放映権収入の拡大によって、欧州バスケの象徴的大会として確立された。

運営・参加チームの仕組み

ユーロリーグは、昇降格制ではなくライセンス制(フランチャイズ制)を採用している。各クラブが持つ経営基盤、観客動員、財務健全性などが評価され、長期的な参加ライセンス(Aライセンス)を持つクラブが中心となる。

主なAライセンス保有クラブには、レアル・マドリード(スペイン)、バルセロナ、フェネルバフチェ(トルコ)、オリンピアコス(ギリシャ)、アルマーニ・ミラノ(イタリア)などが名を連ねる。

一方、各国リーグやユーロカップで好成績を収めたチームには、1年限定の「ワイルドカード」または「Bライセンス」が与えられ、期間限定で出場できる仕組みになっている。

大会フォーマット

レギュラーシーズン

2025–26シーズンからは20チーム体制となり、全チームがホーム&アウェイの総当たり戦を行う(全38試合)。各試合での勝敗が順位に直結し、上位6チームがプレーオフに自動進出。7〜10位の4チームは「プレイイン・ショウダウン」で残り2枠を争う。

プレーオフとファイナルフォー

プレーオフはベスト8からのシリーズ形式(3戦先勝)。勝ち残った4チームが「ファイナルフォー」と呼ばれる決勝ラウンドに進出し、短期決戦で優勝チームを決定する。ファイナルフォーは毎年ヨーロッパ各地で開催され、準決勝・3位決定戦・決勝を3日間で実施するのが特徴。

下位大会と昇格構造

ユーロリーグの下位大会として「ユーロカップ(EuroCup)」と「バスケットボール・チャンピオンズリーグ(BCL)」が存在する。ユーロカップ上位チームは、翌シーズンのユーロリーグ出場権を得る場合があるが、固定的な昇格・降格制度ではなく、主催者の裁量による招待・推薦が中心である。

国内リーグとの両立

ユーロリーグ参加クラブは、自国の国内リーグにも同時に参加している。たとえば、スペインのレアル・マドリードはACBリーグ、ギリシャのオリンピアコスはESAKEリーグにも所属。つまり、週末は国内リーグ、平日はユーロリーグという二重スケジュールをこなしている。

この過密日程が「選手の負担増」「移動距離」「興行バランス」の課題としてたびたび議論の対象となっている。

ユーロリーグの魅力と特徴

  • 国籍・文化を超えたクラブ同士の激戦。ヨーロッパ各地のスタイルが融合する。
  • ホーム&アウェイ形式による“地域密着型の国際戦”という独自文化。
  • NBAとは異なり、戦術・組織バスケを重視。得点よりもディフェンスとIQが評価される。
  • ファイナルフォーの短期決戦は、毎年欧州スポーツ界で最も注目を集めるイベントの一つ。

NBAとの違い

項目 NBA ユーロリーグ
運営形式 フランチャイズ制(完全クローズ) ライセンス+招待制(セミクローズ)
チーム数 30 20(2025–26以降)
試合形式 82試合+プレーオフ 38試合+ファイナルフォー
主な特徴 スター選手中心の個人技 チーム戦術・ヨーロッパ的組織力
昇格降格 なし 実質なし(推薦制)

今後の展望

  • 拡張計画:2025–26シーズンから20チーム体制に。将来的には24チーム構想も。
  • 国際展開:中東・アジアでの試合開催を視野に入れ、グローバルマーケットを拡大中。
  • 課題:国内リーグとの調整、選手負担、ライセンス制度の公平性。

まとめ

ユーロリーグは、国を超えたクラブ同士が戦う「欧州最高峰の舞台」。ライセンス制度による安定経営と、ホーム&アウェイ形式による熱狂的なファン文化が共存する、唯一無二のリーグだ。戦術・組織・情熱が交錯するこの舞台は、NBAとは異なる“もう一つの頂点”として、世界中のバスケットボールファンを魅了し続けている。

ユーロリーグ年俸ランキング発表──トップはミチッチの約8億4000万円、欧州バスケ経済が NBA以外の覇権 へ加速

欧州最高峰リーグでの報酬戦争──ミチッチが年俸約8億4000万円で首位に

欧州バスケットボール界の最高峰「ユーロリーグ」で、2025シーズンの高額年俸選手ランキングが話題となっている。
欧州メディア『EUROHOOPS.NET』が報じた最新データによると、ハポエル・テル・アビブ所属のバシリエ・ミチッチ560万ドル(約8億4000万円)で1位に輝いた。
手取りベース(税引後)でこの数字という点からも、ユーロリーグの経済規模が近年急速に拡大していることがわかる。

2位はケンドリック・ナン(パナシナイコス)で530万ドル(約7億9000万円)、3位には元NBAのサシャ・ベゼンコフ(オリンピアコス)が410万ドル(約6億1000万円)で続く。
さらに、アナドル・エフェスのシェイン・ラーキン(375万ドル/約5億6000万円)、モナコのマイク・ジェームズ(300万ドル/約4億5000万円)など、
上位10選手はいずれも年俸4億円超えという超エリート層を形成している。

クラブ別に見る 資金力マップ ──ギリシャとイスラエルが欧州市場を支配

ランキングをチーム別に見ると、ギリシャの強豪パナシナイコスが3名、同国のオリンピアコスとイスラエルのハポエル・テル・アビブが2名ずつランクイン。
スペインの名門レアル・マドリードやトルコのアナドル・エフェス、フランスのモナコも上位に名を連ね、
ヨーロッパ全土で「クラブの財力がバスケの競争構造を変えつつある」現実が浮かび上がる。

昨年のトップ10では、300万ドル以上の年俸を得ていたのはわずか3選手(ベゼンコフ、ラーキン、ジェームズ)のみだった。
それが今年は10位の選手ですら270万ドル(約4億円)に到達。
わずか1年でトップ10の年俸総額が約30%増加しており、ユーロリーグ全体が 高騰フェーズ に突入している。

「税引後8億円」のリアル──NBA以外でも成功できる時代

注目すべきは、報道された金額が税引後の 手取り 額である点だ。
ヨーロッパでは多くのクラブが、税負担をチーム側が肩代わりする「ネット契約方式(net salary)」を採用しており、
選手は提示された額をそのまま受け取る。
つまり、ミチッチの8億4000万円は、実質的にはNBA中堅スター級の待遇に匹敵する。

NBAの平均年俸が約9億円(gross:税引前)であることを考えると、
ユーロリーグのトップ選手が 世界2位のバスケ市場 を担うポテンシャルを持つことが分かる。

かつては「NBAをクビになった選手の第二のキャリア」と見られていたユーロリーグだが、
いまや もう一つの頂点 として選手が自ら選択する舞台へと変貌している。

年俸中央値は1億5000万円超──中堅選手にも夢がある欧州市場

『EUROHOOPS.NET』はリーグ全体の推定中央値についても触れており、
正確な数値こそ非公開ながら、100万ドル(約1億5000万円)以上である可能性が高いと報じている。
これは10年前のユーロリーグ中央値(約50万ドル)と比較して、実に2倍以上の上昇
欧州全体でスポーツ産業が拡大するなか、放映権料・スポンサーシップ・デジタル配信の三本柱が
クラブ財政を押し上げている構造が見て取れる。

特にイスラエルのハポエル・テル・アビブは、近年ユダヤ系財団による出資強化で資金力を急拡大。
国内リーグの優勝だけでなく、欧州タイトルを視野に入れた メガクラブ化 が進んでいる。

Bリーグとの比較:サラリーキャップ制が生む 構造的な壁

一方、日本のBリーグは、2026シーズンから導入予定の新サラリーキャップ制度で
チーム総年俸上限を約8億円に設定。
これは選手1人あたりの最高年俸ではなくチーム全体の枠であり、
ユーロリーグのトップ選手1人分にも満たない。

Bリーグは将来的に「NBAに次ぐ世界2位のビジネスリーグ」を掲げているが、
現状の選手報酬水準では欧州との差が拡大しているのが実情だ。
仮に平均的なユーロリーグ主力が1億5000万円を稼ぐとすれば、
Bリーグの平均年俸(約2500万〜3000万円)との差は依然として大きい。

このギャップは、単に財政規模の問題だけでなく、
「スター選手が欧州を選ぶ」流れを加速させる要因にもなりかねない。

過去10年の変化:経済拡大とリーグ改革がもたらした恩恵

ユーロリーグは2016年のリーグ再編以降、完全な レギュラーシーズン制 を導入し、
試合数・視聴機会・国際露出が増加。これが放映権収入を押し上げ、クラブ経営を安定させた。
さらに近年はデジタル配信「EuroLeague TV」やYouTube戦略によって
海外ファン層を拡大し、英語圏視聴者の比率は2018年比で約2.3倍に上昇。

その結果、クラブ単位でのスポンサー契約総額が平均20%増加し、
プレミアリーグ化 と呼ばれる経営モデルの転換が進んでいる。

トップ10選手一覧(税引後年俸換算)

| 順位 | 選手名 | 所属クラブ | 年俸(ドル) | 年俸(円換算・約) |
|——|———-|————–|—————-|—————-|
| 1 | バシリエ・ミチッチ | ハポエル・テル・アビブ | 5.6M | 8億4000万円 |
| 2 | ケンドリック・ナン | パナシナイコス | 5.3M | 7億9000万円 |
| 3 | サシャ・ベゼンコフ | オリンピアコス | 4.1M | 6億1000万円 |
| 4 | シェイン・ラーキン | アナドル・エフェス | 3.75M | 5億6000万円 |
| 5 | マイク・ジェームズ | モナコ | 3.0M | 4億5000万円 |
| 6 | ウォルター・タバレス | レアル・マドリード | 2.7M | 4億円 |
| 7 | イライジャ・ブライアント | ハポエル・テル・アビブ | 2.7M | 4億円 |
| 8 | ニコラ・ミロティッチ | パルチザン | 2.6M | 3億9000万円 |
| 9 | ケビン・パンター | バルセロナ | 2.5M | 3億8000万円 |
| 10 | ジョーダン・ロイド | ツルヴェナ・ズヴェズダ | 2.3M | 3億4000万円 |

※為替換算レート:1ドル=150円換算(2025年9月時点)

未来予測:ユーロリーグが NBA以外のグローバル頂点 を目指す時代へ

欧州クラブが年俸を上げられる背景には、
アメリカ資本や中東投資ファンドの参入がある。
ハポエル・テル・アビブを筆頭に、アブダビやドバイ系企業が
ユーロリーグの新スポンサーとして名乗りを上げており、
この構造はサッカー・チャンピオンズリーグと酷似している。

NBAが「独占的な頂点」であり続ける一方で、
ユーロリーグはその下に 独立した経済エコシステム を築きつつある。
そしてその波は、アジア──つまりBリーグや中国CBAにも
確実に影響を及ぼしていくだろう。

まとめ:バスケの経済地図が変わる

バシリエ・ミチッチの8億円プレーヤー入りは、
単なる個人の成功ではなく、欧州バスケがNBAに次ぐ「第2の経済大陸」になった象徴だ。
Bリーグが世界市場で存在感を高めるためには、
スターの待遇、国際放映戦略、ファンマーケティングを含む
総合的なリーグ経営力の強化が求められる。

いま、世界のバスケマネーは確実に 欧州に流れている 。
そしてその中心にいるのが、ハポエルの赤いユニフォームを纏うバシリエ・ミチッチだ。
彼が象徴するのは、NBAの外でも夢が叶う新時代の到来である。

世界のプロバスケットボールリーグ完全リスト(2025年版)

🌍 世界のプロバスケットボールリーグ完全ガイド(2025年版)

世界には100を超えるプロバスケットボールリーグが存在し、FIBAに正式登録されている国だけでも200近くあります。
このページでは、男子・女子・3×3を含む主要リーグを地域別に網羅し、国際リーグの構造や特色、各国のトップリーグの位置づけをわかりやすく整理しました。


🏀 国際リーグ(Intercontinental / FIBA認定)

  • NBA(National Basketball Association):アメリカを中心に世界最高峰のプロリーグ。30チーム構成、グローバル市場で年間収益約130億ドル。
  • EuroLeague:欧州最上位クラブリーグ。レアル・マドリード、フェネルバフチェ、バルセロナなどが参加。
  • EuroCup:ユーロリーグの下部大会。上位チームは昇格可能。
  • Basketball Champions League(BCL):FIBA主催の欧州クラブトーナメント。
  • EASL(East Asia Super League):日本、韓国、フィリピン、台湾、中国など東アジアのクラブが出場。
  • BAL(Basketball Africa League):NBAとFIBA共催。アフリカ12か国の代表クラブが集う。

これらの国際リーグは、世界のバスケットボール構造をピラミッド型に統合しており、NBAが頂点、FIBA傘下の地域リーグが基盤となっています。


🇯🇵 日本

  • B.LEAGUE(B1/B2/B3):2016年にNBLとbjリーグが統合。2026年より「B.プレミア」構想へ移行予定。
  • Wリーグ:女子トップリーグ。ENEOS、トヨタなど企業チーム主体。
  • 3×3.EXE PREMIER:世界最大規模の3×3プロリーグ。男子・女子・海外ディビジョンを含む。
  • GL3x3 / 3XS / SOMECITY:都市型・エンタメ型3×3リーグとして急成長中。

🇨🇳 中国

  • CBA(Chinese Basketball Association):アジア最大級。遼寧、広東、上海など強豪多数。姚明が会長。
  • WCBA(女子CBA):女子プロリーグ。代表選手の多くが所属。
  • NBL(National Basketball League):CBAの下部リーグ的存在。

🇰🇷 韓国

  • KBL(Korean Basketball League):8チーム構成。テンポの速い攻撃バスケが特徴。
  • WKBL(女子KBL):国内女子リーグ。サムソン、KBスターズなどが有名。
  • KBA 3×3 Korea Tour:国内3×3ツアー形式のプロ大会。

🇵🇭 フィリピン

  • PBA(Philippine Basketball Association):アジア最古のプロリーグ(1975年創設)。
  • PBA 3×3:男子トップチームによる3×3リーグ。
  • MPBL(Maharlika Pilipinas Basketball League):地域密着型セミプロ。
  • FilBasket:ASEAN地域にも拡大中の新興リーグ。

🇹🇼 台湾

  • P. LEAGUE+:台北・高雄など都市クラブ主体。自由契約制度を採用。
  • T1 League:企業運営型プロリーグ。
  • TPBL(Taiwan Professional Basketball League):2024年創設の新リーグ。
  • SBL(Super Basketball League):台湾最古のプロリーグ。

🌏 東南アジア

  • タイ:TBL(Thailand Basketball League)
  • インドネシア:IBL(Indonesian Basketball League)
  • マレーシア:MNBL(Malaysia National Basketball League)
  • ベトナム:VBA(Vietnam Basketball Association)
  • シンガポール:ABL参加クラブ「Singapore Slingers」

🇪🇺 ヨーロッパ主要リーグ

  • スペイン:Liga ACB(欧州最高レベル)
  • フランス:LNB Pro A(ウェンバンヤマ輩出)
  • イタリア:LBA(伝統ある老舗リーグ)
  • ドイツ:BBL(近年急成長)
  • ギリシャ:GBL(オリンピアコス、パナシナイコスが有名)
  • トルコ:BSL(強豪クラブ多数)
  • リトアニア:LKL(ザルギリス中心)
  • セルビア:KLS+ABA League(地域統合型)
  • ロシア・ベラルーシ:VTB United League

🇧🇷🇦🇷 中南米

  • ブラジル:NBB(Novo Basquete Brasil)
  • アルゼンチン:Liga Nacional de Básquet
  • メキシコ:LNBP
  • プエルトリコ:BSN(カリブ最強リーグ)
  • ベネズエラ:SPB(Superliga Profesional de Baloncesto)
  • ウルグアイ:LUB(Liga Uruguaya de Básquetbol)

🌍 中東・アフリカ

  • イスラエル:Israeli Basketball Premier League(欧州系)
  • イラン:IBSL(West Asia Super League加盟)
  • カタール:QBL/レバノン:LBL(国際大会常連)
  • エジプト:EBL(北アフリカ最大規模)
  • チュニジア・モロッコなど:BALにクラブ参加

🏀 女子主要リーグ

  • WNBA(アメリカ)
  • Wリーグ(日本)
  • WKBL(韓国)
  • WCBA(中国)
  • LFB(フランス)
  • WNBL(オーストラリア)
  • EuroLeague Women(欧州女子版ユーロリーグ)

🏆 3×3プロリーグ・ツアー

  • FIBA 3×3 World Tour(国際サーキット)
  • 3×3.EXE PREMIER(日本発グローバルリーグ)
  • PBA 3×3(フィリピン)
  • KBA 3×3 Korea Tour(韓国)
  • China 3×3 Elite League(中国)

まとめ:
世界のプロバスケットボールは、もはやNBAだけではありません。
アジア・ヨーロッパ・アフリカ・南米の各地域で、地域色と文化を反映した独自のリーグが発展しており、3×3や女子リーグも含めた多様化が進んでいます。
今後もFIBAの地域連携により、国際リーグ化がさらに加速していく見込みです。

アルバルク東京が元NBAのブランドン・デイヴィスと契約締結|ユーロリーグ実績を引っ提げ初来日

アルバルク東京、元NBA選手ブランドン・デイヴィスと契約合意を発表

2025年6月27日、Bリーグ・B1所属のアルバルク東京は、元NBA選手でありユーロリーグでも活躍してきたブランドン・デイヴィスとの選手契約を締結したと発表しました。この契約により、デイヴィスは2025−26シーズンからBリーグ初挑戦を迎えることとなります。

 

ブランドン・デイヴィスとは?NBA出身のベテランセンター


ブランドン・デイヴィスは、1991年7月28日生まれの33歳。アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィア出身で、208cm・109kgのセンターとしてゴール下での支配力に定評があります。大学はブリガムヤング大学(BYU)でプレーし、2013年にNBAドラフト外からプロの世界に飛び込みました。

NBAではフィラデルフィア・セブンティシクサーズでキャリアをスタート。その後、トレードによりブルックリン・ネッツへと移籍しました。2シーズン合計で78試合に出場し、1試合平均3.7得点、2.5リバウンドを記録。NBAでの経験は短期間ながらも、インサイドでのタフなプレーと献身的な姿勢が評価されていました。

ヨーロッパでの飛躍|オールユーロリーグ2度選出の実績


NBA退団後、デイヴィスはその後のキャリアをヨーロッパに移し、フランス・モナコ、スペイン・バルセロナ、リトアニア・ジャルギリス、イタリア・ミラノなど、欧州トップクラブを渡り歩いてきました。

特にユーロリーグでの実績は際立っており、2018年と2019年にはオールユーロリーグ・セカンドチームに2年連続で選出。ヨーロッパ最高峰の舞台で、安定したスコアリングとリバウンド、ディフェンスを武器に中心選手として活躍してきました。彼のプレーは、身体能力だけでなく、戦術理解とポジショニングの正確さも評価されています。

アルバルク東京がデイヴィスに託す期待と役割

アルバルク東京は、Bリーグ発足当初からの強豪クラブとして知られており、近年は安定した成績を維持しているものの、Bリーグチャンピオンシップ(CS)でのタイトル獲得には届いていません。そうした中で迎える2025−26シーズン、デイヴィスの加入はインサイドの強化、そしてリーダーシップの補完という2つの面で極めて重要な補強といえるでしょう。

高さとパワーを兼ね備えたデイヴィスは、Bリーグのセンター陣の中でも屈指の存在となるポテンシャルを持っており、リムプロテクション(リング守備)だけでなく、ピック&ロールの完成度でもチームの攻撃力を引き上げてくれるはずです。また、ユーロリーグというハイレベルな環境で培った勝負強さと経験は、若手選手の成長にも良い影響を与えることが期待されます。

本人コメント「東京での新しい挑戦に感謝」

契約発表に際し、ブランドン・デイヴィスはクラブ公式サイトを通じて、次のようにコメントを発表しました。

「アルバルク東京の一員としてプレーする機会を与えていただき、大変光栄に思います。そして新しい文化のもとで新たな挑戦をスタートできることに感謝いたします。チームを代表する選手に成長していけるよう意識してコート上でハードに戦い、新しいチームメートとともに勝利に貢献したいと思います。ファンの皆さまに会える日を楽しみにしています。応援よろしくお願いします」

このコメントからも、新天地・日本でのプレーに対する真摯な姿勢と意気込みが感じられます。長年ヨーロッパで戦ってきたデイヴィスにとって、Bリーグでのキャリアは新たな挑戦ですが、その経験と意欲があればスムーズな適応が期待できるでしょう。

まとめ|デイヴィスの加入でB1タイトル獲得へ現実味


アルバルク東京にとって、ブランドン・デイヴィスの加入はチームの内外に大きなインパクトをもたらすでしょう。世界最高峰のリーグで培った技術と経験、そしてプロフェッショナリズムを備えたデイヴィスは、若手選手の手本となるとともに、チームの中核を担う存在として注目されます。

2025−26シーズン、アルバルク東京が悲願のBリーグ王者奪還を果たすための“鍵”となるかもしれないブランドン・デイヴィス。彼のプレーが日本のバスケットボール界にもたらす影響に注目です。

【引退速報】ユーロリーグの歴代最多スコアラー、ヴァシリス・スパノウリスが現役生活に幕

スパノウリス引退:ヨーロッパが讃える伝説の背番号


2021年6月、ギリシャ出身のバスケットボール界の巨星、ヴァシリス・スパノウリスが現役生活にピリオドを打った。欧州バスケファンの間では「Kill Bill」の異名で親しまれ、その名はユーロリーグを筆頭に国際舞台で語り継がれている。彼の引退発表はギリシャ国内のみならず、欧州全体を大きく揺るがすニュースとなった。

21年間のプロキャリアを締めくくった彼は、戦術眼、リーダーシップ、そして卓越したスキルで数々のクラブと代表チームを牽引してきた。その象徴的な活躍ぶりから「フロア上の監督」とも称されており、後進のロールモデルとしても強い影響力を誇っている。

ラリサの少年が掴んだ欧州最高峰の舞台

1982年にギリシャ・ラリサで生まれたスパノウリスは、地元クラブであるラーリサBCでキャリアをスタートさせた。10代半ばから非凡なセンスを発揮し、ギリシャ国内の注目株として急成長。やがて2001年にはアマリリオスBC、そしてギリシャの名門パナシナイコスへとステップアップし、その才能を本格的に開花させていく。

当時のギリシャリーグは、ユーロリーグ上位を争うクラブが多数所属する“欧州バスケの心臓部”。そこでスパノウリスは着実にスキルを磨き、ゲームメイク能力と冷静な判断力を武器に存在感を増していった。

NBAでの挑戦と“未完の武者修行”

2006年、ヨーロッパでの評価を確立していたスパノウリスは、ヒューストン・ロケッツとの契約によりNBAへ進出。彼の年俸は当時としては異例の200万ドル。だが、アメリカのバスケットは決して彼にとって“楽園”ではなかった。

NBA特有のフィジカル重視のスタイル、短いプレータイム、言語や文化の壁——。彼のNBAでの平均スタッツは2.7得点・0.9アシストにとどまり、思うような結果は残せなかった。しかし本人は後に、「あの経験が自分をより強くした」と語っており、バスケット観の幅を広げた重要な経験であったことは間違いない。

帰還後の躍進:オリンピアコスで築いた黄金時代

2007年、ヨーロッパに戻ったスパノウリスはパナシナイコスでユーロリーグ優勝を経験したのち、2010年に最大の転機を迎える。ライバルチームであるオリンピアコスBCへ移籍。ここから彼の“第二章”が始まった。

2012年・2013年・2017年のユーロリーグ制覇、ギリシャリーグ複数回制覇、ユーロリーグファイナル4 MVPに3度輝くなど、まさにクラブ史に残る伝説的な活躍を見せた。特に2012年のユーロリーグ決勝におけるCSKAモスクワ戦は、バスケットボール史に残る逆転劇として語り継がれている。

ユーロリーグでの輝かしい実績


スパノウリスのキャリアは、数字でも鮮やかにその偉大さを物語っている。彼のユーロリーグにおける主な記録は以下の通り:

  • 通算得点:4,445点(歴代1位)
  • 通算アシスト:1,607本(歴代1位)
  • 出場試合数:358試合(歴代2位)
  • 3ポイント成功数:518本(歴代2位)

これらの記録は、長年にわたって安定したパフォーマンスを維持し続けた証左であり、攻撃の核かつ組み立て役として両立できたスパノウリスのバスケットIQの高さを如実に示している。

国際舞台でも輝いたギリシャ代表

クラブだけでなく、スパノウリスはギリシャ代表としても黄金時代を築いた。2005年のユーロバスケットではギリシャを金メダルに導き、2006年のFIBAワールドカップではアメリカ代表を破る大金星の立役者として準優勝を飾った。

世界のトップ選手を相手にした試合でも、彼のクレバーなゲーム運びは健在。攻撃のリズムを司り、状況判断に優れたプレーで世界中のファンを魅了した。

SNSで語られた“引退の言葉”

彼は引退発表時、自身のInstagramを通じて次のようなメッセージを発信した。

バスケットボールは私にすべてを与えてくれた。これまで共に歩んできた仲間、コーチ、ファン、そして何より家族に感謝したい。オリンピアコスは私にとって人生最大の贈り物。これ以上の幸運はなかった。

この投稿は瞬く間に世界中で拡散され、彼の人間性と感謝の気持ちが多くの共感を呼んだ。

ファンと選手からの惜別の声

引退発表後、SNSでは「ギリシャの至宝」「ユーロの象徴」といった称賛のコメントがあふれ、NBAのスター選手ルカ・ドンチッチも「スパノウリスは僕のヒーロー」と発言。特にバルカン半島出身の選手たちは、彼から多くの影響を受けていたことを公言している。

彼のキャリアは、プレーだけでなく、人間性、継続力、献身性といった多面的な魅力で彩られていた。

コーチとしての“新たな挑戦”


引退からわずか1年後の2022年、スパノウリスはギリシャのペリステリBCでヘッドコーチに就任。初年度からチームに新風を吹き込み、若手選手の育成にも熱心に取り組んでいる。

現場での戦術眼とリーダーシップはそのままに、新たな立場からバスケットボール界を支える存在として再び注目を集めている。

まとめ:スパノウリスの“神話”は終わらない

ヴァシリス・スパノウリスが歩んだキャリアは、勝利と記録だけでは語り尽くせない。彼は一つのクラブを愛し抜き、一つの国の象徴となり、一つの世代を鼓舞し続けてきた。

彼が築いた軌跡は“神話”として語られ、そのスピリットはこれからもユーロリーグ、そして世界中のバスケ界に脈々と受け継がれていくだろう。