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NBAがヒーブショットのルールを大改革!カリーとヨキッチが示す超ロングレンジの価値とは?

ヒーブショットとは?

バスケットボールにおけるヒーブショット(Heave Shot)とは、主にクォーターや試合終了間際に時間がほとんど残っていない状態で、遠距離から一気に放つ投げやりなショットのことを指します。日本語では「ブザービーターを狙ったロングシュート」「投げ捨てシュート」などと表現されることもあります。

特徴

打つ状況:クォーターや試合終了の残り1秒以下でシュートを打つ必要があるとき。自陣やセンターライン付近など、通常のシュートレンジ外から狙う場合が多い。
フォーム:通常のシュートフォームではなく、体全体を使って投げるように放つ。野球のピッチングやハンドボールのスローに近いフォームになることも。
確率:成功率は非常に低い(数%以下)。それでも、ブザー直前に成功すると大きな盛り上がりを生む。

ステータスへの影響

公式記録では通常の3ポイントシュートと同じ扱いになるため、外れると3P成功率が下がります。
このため、スター選手の多くはわざと打たないことがあります。
例:ニコラ・ヨキッチは以前、ヒーブショットを多く打ったため3P%が下がっていました。ステフィン・カリーは逆に「試合に勝つ可能性を1%でも上げる」という理由で積極的に打ちます。

NBAでの呼び方

「Heave(ヒーブ)」は「投げる」という意味。
「Throw up a heave(投げ上げる)」とも表現されます。
特に有名な場面では「Half-court buzzer beater(ハーフコートからのブザービーター)」と呼ばれることもあります。

まとめ

ヒーブショットは勝敗を左右する最後の一撃になる可能性がある一方で、外れると選手のスタッツに悪影響を与えるため、NBA選手の間でも打つかどうかが議論されるプレーです。

NBAが「ヒーブショット」の統計ルールを大幅変更

2025年9月11日(現地時間10日)、NBA理事会は試合序盤から中盤にかけて放たれる「ヒーブショット(Heave Shot)」の統計上の扱いについて、新ルールを承認した。2025-26シーズンから正式に導入されるこの変更は、選手個人のスタッツを守りつつ、試合をよりエンターテインメント性の高いものに変えると期待されている。

具体的には、第1〜第3クォーターにおいて残り3秒以内にバックコートから始まったプレーで放たれる36フィート(約11メートル)以上の超ロングショットは、個人のシュート試投数から外され、チームの試投として扱われる。これにより、選手が「数字を守るために打たない」という従来の消極的な選択が減少することが見込まれている。

背景:低すぎる成功率と選手たちの心理

データ会社『SportRadar』によると、昨シーズンに第1〜第3クォーターの残り3秒以内に放たれた36フィート以上のショットの成功率はわずか4%。100本中96本は外れていた。
シュート成功率(FG%)や3ポイント成功率(3P%)に直結するため、多くの選手はあえて「打たない」ことを選んできた。中には、わざと時間が切れてからシュートを放つことで記録に残さないというケースも珍しくなかった。

NBAが今回のルール改定に踏み切ったのは、この「数字と心理のジレンマ」を解消し、観客にとっての試合の見どころを増やすためだ。

ヨキッチとヒーブショットの関係

特に注目すべきは、デンバー・ナゲッツのスーパースター、ニコラ・ヨキッチだ。彼はセンターながらも驚異的なプレーメイク力とシュート力を誇り、昨季もリーグ屈指の効率を誇る選手だった。しかし、「ヒーブショット」が彼のスタッツを唯一曇らせていた。

実際に、ヨキッチはある試合で初めて「ヒーブショット」を成功させるまでに、9回連続で外していた。このことが、彼の3ポイントシュート成功率が50%を下回っていた唯一の理由だ。もし彼が「ヒーブ」を一度も打たなければ、今シーズンの3P成功率はリーグトップの50.3%に達していたと算出されている。
さらに驚くべきは、ヨキッチが「ヒーブショット」を0/37で外し続け、ようやく1本目を決めたという事実だ。このような数字は、選手がいかにこのシュートを嫌っているかを如実に示している。

カリーの記録的な「ヒーブ」挑戦

一方で、ステフィン・カリーは数少ない「ヒーブショット」を恐れない選手だ。キャリア通算で5/106という成功率にとどまっているものの、試みの多さは群を抜いている。
特にあるシーズンでは、なんと18回もヒーブを放っており、これはNBAで「ヒーブショット」が公式に記録されるようになってから最多記録とされる。

多くのスーパースターたちはキャリアを通じて「ヒーブ」を避ける傾向が強い。リーグトップ10スコアラーのほとんどはシーズンを通じて1度も試みないことが多く、2024-25シーズンでもドマンタス・サボニスやルーク・ケナードといった高精度シューターたちは1本も打っていなかった。そんな中でカリーは例外的な存在であり、観客にとっては試合のハイライトシーンを演出する要因となっている。

サマーリーグでの試験導入とファンの反応

このルール変更はすでに2025年夏のサマーリーグで試験的に導入されていた。ラスベガス、ユタ、カリフォルニアで行われた試合では、終了間際に選手がためらわずに超ロングレンジから放つ姿が多く見られ、観客は大きな歓声で応えていた。
SNS上でも「これで選手がもっと狙うようになる」「カリーやヨキッチがさらに輝く」といったポジティブな反応が多く寄せられた。一方で「結局は無駄打ちになるのでは?」と冷静に分析する声もあり、戦術面への影響は今後の注目ポイントである。

過去のルール改定との比較

NBAは過去にも試合を魅力的にするためのルール改定を行ってきた。
1979–80シーズンに導入された3ポイントラインは当初実験的とされたが、今ではリーグ全体を支配する戦術の中心になっている。また2001–02シーズンのディフェンス3秒ルールはオフェンス偏重の時代を生み出した。

今回の「ヒーブショット」に関するルール改定も、長期的にはプレー選択や観客体験に大きな影響を及ぼす可能性がある。「数字を守るために打たない」という文化を壊し、「観客を沸かせるために打つ」方向へとシフトさせる意義は大きい。

3×3バスケットボールへの示唆

3×3バスケットボールではショットクロックが12秒と短く、終了間際にロングショットを放つことは日常的に起こる。数字よりも打つこと自体が重視される文化が根付いているため、今回のNBAの改定は「3×3的なダイナミズム」を取り入れた動きともいえる。
これにより、NBAと3×3のプレー文化の違いが縮まり、国際大会でのルール議論や他リーグへの波及が期待される。

将来の展望

今後はカリーやヨキッチのように、ロングレンジを恐れない選手がさらに評価を高めるだろう。若手選手たちにとっても「ヒーブショット成功」は新たな個性を示す指標となるかもしれない。
また、アナリストにとっては「ヒーブを除いた純粋な3P成功率」と「ヒーブを含めた実際の数字」という二つの指標を比較する新たな研究テーマが生まれる。

まとめ:NBAが示す新しいショット文化

今回のルール改定は、単に選手を救済するためではなく、バスケットボールをより魅力的にするための大胆な試みだ。
ヨキッチが初めて「ヒーブ」を成功させるまでに0/37を経験したこと、カリーが106本も挑み続けていることなど、数字はこのシュートの難しさと魅力を物語っている。

2025-26シーズン以降、ブザー間際に放たれる一投は「無駄な数字」ではなく「観客を熱狂させるショー」として価値を持つ。NBAが示したこの新たな方向性は、バスケットボールの未来に新しい可能性を開く大きな一歩となるだろう。

【NBA/デンバー・ナゲッツ】完全ガイド|歴史・名選手・ ヨキッチ&マレー の時代・記録と最新動向

デンバー・ナゲッツ完全ガイド|歴史・名選手・ ヨキッチ&マレー の時代・記録と最新動向

デンバー・ナゲッツ(Denver Nuggets)は、コロラド州デンバーを本拠にするNBAの強豪。標高約1マイル(約1,609m)の マイルハイ・シティ をホームとし、高地アドバンテージと機動力の高いバスケットで知られます。ABA創設(1967)→NBA合流(1976)を経て、アレックス・イングリッシュの80年代、カーメロ・アンソニーの2000年代、そしてニコラ・ヨキッチ&ジャマール・マレーの黄金期へ。2023年に球団史上初のNBA優勝を達成しました。


クイックプロフィール

  • 所属:NBA ウェスタン/ノースウェスト
  • 創設:1967(ABA)/1976(NBA合流)
  • アリーナ:ボール・アリーナ(収容 19,156/1999年開場)
  • チームカラー:ミッドナイトブルー、サンシャインイエロー、フラティロンズレッド、スカイラインブルー
  • オーナー:スタン・クロエンケ / 社長:ジョシュ・クロエンケ
  • GM:(記載なし) / ヘッドコーチ:デビッド・アデルマン(暫定)
  • 主要タイトル:NBA優勝1(2023)、ディビジョン優勝(ABA3/NBA8)
  • 提携Gリーグ:グランドラピッズ・ゴールド

歴史年表(ダイジェスト)

ABA創設~改称(1967–1976)

前身はデンバー・ロケッツ。NBAのヒューストン・ロケッツと名称重複を避ける観点もあり、1974年にナゲッツへ改称。ラリー・ブラウンHCの下、デビッド・トンプソン/ダン・イッセルらで65勝・60勝と圧巻の強さ。ABA最後の年はファイナル進出。

NBA合流直後の強さ(1976–1980s)

合流後も上位を維持。80年代はアレックス・イングリッシュキキ・ヴァンダウェイ ファット リーバーらの爆発的オフェンスで西を席巻。ダグ・モーHCのラン&ガンで観客を魅了しました。

激動の90年代:番狂わせと低迷

1994年、第8シードが第1シードを撃破する歴史的アップセット(vs. ソニックス)。一方で後半は低迷期も経験し、再建へ。

カーメロの時代(2003–2011)

カーメロ・アンソニー指名で即プレーオフ常連に。ジョージ・カールHC就任後は勝率を大幅改善。2009年ビラップス加入で結束し、カンファレンスファイナル進出

ポスト・メロ~再構築(2011–2016)

メロ放出後もカール体制で57勝(2013)の球団記録。ただPO1回戦敗退で体制転換。以降は怪我や指揮官交代を挟みながら、若手育成路線へ舵を切る。

ヨキッチ&マレーの台頭(2016–2022)

ニコラ・ヨキッチがオールNBA級に成長し、ジャマール・マレーと共に中核へ。2020年バブルでは2シリーズ連続の1-3から逆転という前代未聞の快挙。ヨキッチはMVP連覇(2021/2022)

悲願の初優勝(2022–23)

マレー&MPJが復帰KCPブルース・ブラウンの補強がはまり、西1位からプレーオフを制覇。ファイナルはヒートを4-1で下し、フランチャイズ初のNBAチャンピオンに。FMVPはヨキッチ

その後の展開(2023–25)

2023-24は西2位でPOへ。ヨキッチが3度目のシーズンMVPを獲得。2回戦でティンバーウルブズに第7戦で惜敗。2025-26時点の体制は、デビッド・アデルマン暫定HC


チーム・スタイル(なぜ強い?)

  • ヨキッチを軸にした ハブ型 オフェンス:ハイポストやエルボーからの配球、DHO(ドリブル・ハンドオフ)で全員が動く。パス→カッツ→外角の三層で崩す。
  • 高地アドバンテージ:本拠地の酸素薄・移動負荷が相手の足を削り、中盤以降の走力差を生む。
  • サイズ×機動のウィング群:KCP退団後もクリスチャン・ブラウン、ペイトン・ワトソンらの活動量で穴埋め。切り替えの早さが武器。

文化・トリビア

  • Nuggets の由来:金塊(ゴールドラッシュ)の 塊(nugget) 。鉱山都市デンバーの歴史と結び付く。
  • ボール・アリーナ:視界性と演出に優れ、プレーオフの一体感は屈指。

主な受賞・記録(抜粋)

  • NBA優勝:1回(2023)
  • ディビジョン優勝:ABA 3回/NBA 8回
  • 個人栄誉:ヨキッチ(シーズンMVP×3、FMVP、オールNBA多数)ほか

象徴的プレーヤー(世代別・ごく一部)

  • ABA〜70s:デビッド・トンプソン、ダン・イッセル、ボビー・ジョーンズ
  • 80s:アレックス・イングリッシュ、ラファイエット ファット リーバー、キキ・ヴァンダウェイ
  • 90s:ディケンベ・ムトンボ、マクムード・アブドゥル=ラウーフ
  • 2000s:カーメロ・アンソニー、チャウンシー・ビラップス、マーカス・キャンビー、ネネイ
  • 2010s〜:ニコラ・ヨキッチ、ジャマール・マレー、マイケル・ポーターJr.、アーロン・ゴードン

永久欠番

2(イングリッシュ)/12(リーバー)/33(トンプソン)/40(バイロン・ベック)/44(イッセル)/55(ムトンボ)/432(ダグ・モー:HC勝利数)
※リーグ共通でビル・ラッセルの「6」は全NBAで永久欠番。


近年の主要トピック(要点)

  • 2020:プレーオフで2シリーズ連続の1-3→4-3逆転
  • 2021–22:マレー/MPJ不在でもヨキッチがMVP連覇
  • 2023:球団初のNBA優勝(FMVP=ヨキッチ)。
  • 2024:ヨキッチが3度目のMVP、2回戦でMINに第7戦惜敗。
  • 2025–26:アデルマン暫定HC体制で新章へ。

FAQ

Q. ナゲッツの強さの源泉は?

A. ヨキッチのハブ型オフェンス高地ホーム、機動力あるウィングの循環です。パス→カッツ→外角の流れが常時機能します。

Q. 歴代最強期 はいつ?

A. 成績・内容ともに2022–23の初優勝シーズンが頂点候補。80年代イングリッシュ、2009年のCF進出も象徴的です。

Q. これからのキーファクターは?

A. 中核のヨキッチ+マレー+MPJ+ゴードンの健康、ベンチの台頭(ブラウン、ワトソン等)と守備効率の維持が鍵。


まとめ

ナゲッツは、鉱山都市のスピリットを映す粘り強さ創造的オフェンスで頂点にたどり着いたフランチャイズ。ヨキッチ&マレーのコアに、育成と補強が噛み合えば、再び頂点を狙えるポテンシャルは十分です。