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ピッペン「現代のNBAでも頂点を狙える」──90年代最強オールラウンダーが語る“時代を超える自信”とカリー・レブロンへの敬意

スコッティ・ピッペン、現代NBAでも通用する自信を語る

1990年代のNBAを語るうえで、スコッティ・ピッペンの名前を外すことはできない。マイケル・ジョーダンとともにシカゴ・ブルズの黄金期を築き上げ、2度の3連覇(91〜93年、96〜98年)を支えたオールラウンダーだ。そのピッペンが近年のインタビューで「今のNBAでも活躍できる」と語り、再び注目を集めている。

黄金期ブルズの支柱──“神様”を支えた万能戦士

ピッペンは1987年のNBAドラフトでシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)から1巡目5位で指名され、直後にシカゴ・ブルズへトレードされた。身長203cmながら高いボールハンドリングとディフェンス力を兼ね備え、ジョーダンのベストパートナーとしてリーグを支配。ジョーダンが引退した1993–94シーズンにはエースとして平均22.0得点・8.7リバウンド・5.6アシスト・2.93スティールを記録し、MVP投票3位に輝いた。

通算17年のキャリアで、リーグ優勝6回、オールスター出場7回、オールNBAチーム7回、オールディフェンシブチーム10回。さらに1994年にはオールスターMVP、1995年にはスティール王にも輝いている。守備の多彩さとチームを整えるバランス感覚は、ジョーダンからも「彼なしでは優勝できなかった」と称されたほどだ。

「時代は変わっても、挑戦にはならない」──ピッペンの確信

スペインの全国紙『エル・パイス』の取材で「現代のNBAでもプレーできるか?」と問われたピッペンは、即答した。

「問題ない。ゲームは変化したが、私のプレースタイルはどの時代にもフィットすると思う。80年代でも90年代でも、今のアップテンポなバスケットでも対応できる自信がある。」

ピッペンの全盛期は、フィジカルコンタクトが激しく、センターを中心にした“ビッグマン時代”だった。しかし現在はペース&スペースの時代。ポジションレス化が進み、1人が複数の役割をこなすバスケットが主流となっている。ピッペンの持ち味である万能性、ディフェンスのスイッチ能力、トランジションでの視野の広さは、むしろ現代にこそマッチするといえる。

ピッペンが見た現代バスケの象徴──ステフィン・カリーへの賛辞

ピッペンは現代NBAを象徴する選手として、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーを挙げた。

「最も印象的なのは、史上最高のシューター、ステフィン・カリーだろう。彼はキャリアの晩年に差しかかっているが、それでも驚異的なプレイヤーだ。シュートは一度身につければ失うことのない芸術。カリーはその才能をDNAとして持っている。あと10年は世界最高のシューターであり続けるだろう。」

ピッペンがプレーしていた90年代には、スリーポイントよりもポストプレーやミドルレンジが重視されていた。だが今や3ポイントはチーム戦略の中心。カリーの存在がそのトレンドを変え、ピッペンのような万能フォワードがより広いスペースでプレーできる時代を生んだとも言える。

「リーグ最高の選手になれる」──ピッペンの自己分析

「今のNBAでもリーグ最高の選手になれると思うか?」という質問にも、ピッペンはためらいなく答えた。

「そう思わない理由はない。当時と同じ努力をすれば、ベストプレイヤーに近い存在になれるはずだ。」

この発言は一見すると自信過剰に聞こえるかもしれない。しかし、ピッペンはただ過去の栄光を誇っているのではない。90年代の激しいディフェンス、フィジカルな環境、スイッチディフェンスが存在しなかった時代において、彼はすでに現代的な万能プレーヤーだった。スモールフォワードとしてガードのように運び、センターのように守る。まさに「ポジションレスの原型」だったのだ。

レブロン、デュラント、カリーとの比較──ピッペンの冷静な視点

インタビューでは、ステフィン・カリーだけでなく、レブロン・ジェームズやケビン・デュラントとの比較にも話が及んだ。「彼らのほうが優れていると思うか?」との質問に対し、ピッペンは慎重に答えた。

「時代が違うから、単純に比較するのは難しい。私は彼らの時代でプレーしたことがないし、彼らも私の時代を知らない。だが確かなのは、彼らがそれぞれの時代で並外れた存在であるということだ。私も自分の時代では同じように特別だった。彼らの功績を否定することはできないし、批判する気もない。」

このコメントは、自己主張と謙虚さが共存するピッペンらしい言葉だ。ジョーダンとの関係やブルズ王朝をめぐるドキュメンタリー『ラストダンス』では対立構図が強調されたが、彼の根底には常に“リスペクト”がある。

現代のチームにピッペンがいたら?──戦術的視点からの分析

もし2025年のNBAでピッペンがプレーするとすれば、彼の理想的なフィット先はどこだろうか。近年の戦術トレンドから見ても、以下の3チームが候補として挙げられる。

  • ボストン・セルティックス:ディフェンス中心のシステムとスイッチ戦術で、ピッペンの守備力が最大化される。
  • ゴールデンステイト・ウォリアーズ:カリーと共にプレーすることで、彼のパスセンスと外角ディフェンスが光る。
  • ミルウォーキー・バックス:ヤニス・アデトクンボとのコンビは、現代版ジョーダン&ピッペンとして機能する可能性がある。

特に“攻守両面での連動”を重視する現代バスケットでは、ピッペンのIQとスイッチ能力は価値が高い。彼の守備はゾーンでもマンツーマンでも機能し、1〜5番すべてに対応できる。もし現代に彼が存在していれば、「ドレイモンド・グリーンの進化版」と評されていたかもしれない。

時代を超えて語り継がれる「チームファーストの哲学」

ピッペンのキャリアで特筆すべきは、“自己犠牲”の精神だ。ジョーダンが主役であっても、彼は常にチームを優先し、守備・リバウンド・組み立てに徹した。現代のスーパースターが個人のスタッツを競う中で、ピッペンのような「チームを機能させる天才」はますます希少になっている。

近年の若手選手たちの間では、ピッペンを“究極のロールモデル”として挙げる声も多い。たとえばジェイソン・テイタムやミカル・ブリッジズ、スコッティ・バーンズらは、彼を理想像として挙げており、「攻守両面でチームを引き上げる選手」を目指している。

まとめ:ピッペンが今のNBAに残すメッセージ

ピッペンは過去の栄光に縋ることなく、現代のバスケットを肯定し、次世代のスターたちにエールを送る。彼の言葉には、時代を超えて“バスケットボールとは何か”を問い続ける哲学がある。

「努力を怠らなければ、どんな時代でもベストになれる」──この言葉は、彼自身のキャリアを貫いた信念であり、すべてのプレーヤーへのメッセージでもある。

もし今、ピッペンが現役だったとしたら──彼は間違いなく再びリーグを支配するだろう。そして、その姿はきっと、ジョーダンの隣で見せたあの時のように、チームを勝利へと導いているはずだ。

【ゴールデンステート・ウォリアーズ】完全ガイド:歴史・王朝・現在地【2025】

ゴールデンステート・ウォリアーズ完全ガイド【2025】

ゴールデンステート・ウォリアーズ(GSW)は、サンフランシスコを本拠とするNBA屈指の名門。1946年創設、フィラデルフィア→サンフランシスコ→オークランドを経て再びSFへ。2015–2019&2022の黄金期で近代NBAを代表する王朝を築いた。


クラブプロフィール

  • 所属:NBA/ウェスタン(パシフィック)
  • アリーナ:チェイス・センター(サンフランシスコ)
  • チームカラー:ロイヤルブルー/イエロー
  • オーナー:ジョー・レイコブ、ピーター・グーバー
  • 社長:ブランドン・シュナイダー/GM:マイク・ダンリービーJr.
  • HC:スティーブ・カー
  • 主要タイトル:BAA優勝1回(1947)/NBA優勝6回(1956, 1975, 2015, 2017, 2018, 2022)
  • 愛称:Dubs(ダブス)

歴史のハイライト

  • フィラデルフィア時代:BAA元年優勝(1947)。ウィルト・チェンバレンが数々の伝説(100得点など)を樹立。
  • 1975年:リック・バリーを軸にワシントンをスウィープし、サンフランシスコ湾岸初のNBA制覇。
  • Run-TMC(late ’80s~’90s):マリン/リッチモンド/ハーダウェイの高火力時代。
  • We Believe(2007):第8シードが第1シードのDALを撃破、象徴的アップセット。
  • 黄金期(2015–2019):カリー×トンプソン×グリーンの核にカーHC。2015優勝2016・73勝2017–18連覇(デュラント加入)。
  • 再頂点(2022):カリーがFMVP、通算4度目の優勝で王朝を更新。

直近の流れ(2023–2025)

  • 2023–24:46勝36敗。プレーインでSACに敗退。クミンガ躍進、ポジェムスキーはオールルーキー1st。
  • 2024–25:クレイ・トンプソンが退団し“BIG3”解散。補強ののち、2月にジミー・バトラーを獲得(延長合意)。再構築と競争の両立を図るシーズンへ。

現在のコア(2025時点・抜粋)

  • ステフィン・カリー:フランチャイズの象徴。史上最高峰の射程と重力で攻撃を最適化。
  • ドレイモンド・グリーン:守備指揮官&ハブ。トランジション/DHOsの要。
  • ジミー・バトラー:終盤の shot creation とフィジカルなウイング守備を提供。
  • ジョナサン・クミンガ:急成長のスラッシャー。二桁得点の第2オプション候補。
  • ブランディン・ポジェムスキー:高IQの多能ガード/ウイング。リバウンド&パスが武器。
  • トレイス・ジャクソン=デイビス:リム周りの効率とロール。守備の機動力も。
  • バディ・ヒールド:ハンドオフでの即時火力を担うシューター。
  • ケヴォン・ルーニー:スクリーン&リバウンドの職人。

栄誉とレジェンド

  • 永久欠番:#13 ウィルト、#16 アットルス、#17 マリン、#24 バリー、#42 サーモンド、#14 メシェリー、#9 イグダーラ(ほか)。
  • 殿堂:アリジン、ジョンストン、サーモンド、バリー、マリン、チェンバレン、リッチモンド、ハーダウェイ など。

チーム記録(抜粋)

  • 通算出場/得点/AST/STL:ステフィン・カリーが多くの球団記録を保持。
  • 1試合100得点:ウィルト・チェンバレン(NBA伝説記録)。

編集後記:次章のテーマは“両立”

カリーのウィンドウを活かしつつ、クミンガ&ポジェムスキー&TJDの育成を同時進行。バトラー加入で終盤の意思決定とウイング守備をテコ入れし、カー×モーション×3P重力の文脈で再び上位へ――その“両立”が鍵となる。

ステフィン・カリーが伝えた「諦めない力」──世界一のシューターが少女に教えた本当のメッセージ

世界最高のシューター、ステフィン・カリーが伝えた「諦めない力」

2メートルを超える大男たちが豪快なダンクを決める――そんなイメージを持つ人も多いNBAの世界。しかし、現代バスケの主流はスリーポイントシュート。試合の勝敗を左右するのは、アウトサイドからの“精度”です。

その常識を変えたのが、ステフィン・カリー。ゴールデンステート・ウォリアーズの司令塔として、3ポイントの概念を塗り替えた存在です。シーズン402本成功という前人未到の記録を樹立し、チームを3度の優勝へ導き、自身も2度のMVPを獲得。今や「世界一のシューター」と称されるカリーですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。


泣きながら改造したシュートフォーム

NBA選手だった父・デルに憧れて育ったカリー少年。しかし、彼の体はプロを目指すには小さすぎました。高校入学時の身長は170cm、体重は60kgにも満たず、腕の力も足りずにボールを上げて打つことができなかったといいます。

そこで父と二人三脚で挑んだのが、シュートフォームの改造。毎日泣きながら、腕が上がらなくなるまで繰り返した練習の日々。その努力が、後に「世界一正確なシュート」を生む土台となりました。

高校卒業時には180cmを超える体に成長し、チームの主力として活躍しましたが、世間の評価は依然として低いままでした。強豪大学からのオファーもなく、星3つの評価で地元の大学に進学――カリーの挑戦は続きます。


度重なるケガとの闘い

大学での活躍を経て、NBAドラフトではウォリアーズから全体7位指名を受け、念願のプロ入り。しかし「身体が小さい」「耐久

NBAがヒーブショットのルールを大改革!カリーとヨキッチが示す超ロングレンジの価値とは?

ヒーブショットとは?

バスケットボールにおけるヒーブショット(Heave Shot)とは、主にクォーターや試合終了間際に時間がほとんど残っていない状態で、遠距離から一気に放つ投げやりなショットのことを指します。日本語では「ブザービーターを狙ったロングシュート」「投げ捨てシュート」などと表現されることもあります。

特徴

打つ状況:クォーターや試合終了の残り1秒以下でシュートを打つ必要があるとき。自陣やセンターライン付近など、通常のシュートレンジ外から狙う場合が多い。
フォーム:通常のシュートフォームではなく、体全体を使って投げるように放つ。野球のピッチングやハンドボールのスローに近いフォームになることも。
確率:成功率は非常に低い(数%以下)。それでも、ブザー直前に成功すると大きな盛り上がりを生む。

ステータスへの影響

公式記録では通常の3ポイントシュートと同じ扱いになるため、外れると3P成功率が下がります。
このため、スター選手の多くはわざと打たないことがあります。
例:ニコラ・ヨキッチは以前、ヒーブショットを多く打ったため3P%が下がっていました。ステフィン・カリーは逆に「試合に勝つ可能性を1%でも上げる」という理由で積極的に打ちます。

NBAでの呼び方

「Heave(ヒーブ)」は「投げる」という意味。
「Throw up a heave(投げ上げる)」とも表現されます。
特に有名な場面では「Half-court buzzer beater(ハーフコートからのブザービーター)」と呼ばれることもあります。

まとめ

ヒーブショットは勝敗を左右する最後の一撃になる可能性がある一方で、外れると選手のスタッツに悪影響を与えるため、NBA選手の間でも打つかどうかが議論されるプレーです。

NBAが「ヒーブショット」の統計ルールを大幅変更

2025年9月11日(現地時間10日)、NBA理事会は試合序盤から中盤にかけて放たれる「ヒーブショット(Heave Shot)」の統計上の扱いについて、新ルールを承認した。2025-26シーズンから正式に導入されるこの変更は、選手個人のスタッツを守りつつ、試合をよりエンターテインメント性の高いものに変えると期待されている。

具体的には、第1〜第3クォーターにおいて残り3秒以内にバックコートから始まったプレーで放たれる36フィート(約11メートル)以上の超ロングショットは、個人のシュート試投数から外され、チームの試投として扱われる。これにより、選手が「数字を守るために打たない」という従来の消極的な選択が減少することが見込まれている。

背景:低すぎる成功率と選手たちの心理

データ会社『SportRadar』によると、昨シーズンに第1〜第3クォーターの残り3秒以内に放たれた36フィート以上のショットの成功率はわずか4%。100本中96本は外れていた。
シュート成功率(FG%)や3ポイント成功率(3P%)に直結するため、多くの選手はあえて「打たない」ことを選んできた。中には、わざと時間が切れてからシュートを放つことで記録に残さないというケースも珍しくなかった。

NBAが今回のルール改定に踏み切ったのは、この「数字と心理のジレンマ」を解消し、観客にとっての試合の見どころを増やすためだ。

ヨキッチとヒーブショットの関係

特に注目すべきは、デンバー・ナゲッツのスーパースター、ニコラ・ヨキッチだ。彼はセンターながらも驚異的なプレーメイク力とシュート力を誇り、昨季もリーグ屈指の効率を誇る選手だった。しかし、「ヒーブショット」が彼のスタッツを唯一曇らせていた。

実際に、ヨキッチはある試合で初めて「ヒーブショット」を成功させるまでに、9回連続で外していた。このことが、彼の3ポイントシュート成功率が50%を下回っていた唯一の理由だ。もし彼が「ヒーブ」を一度も打たなければ、今シーズンの3P成功率はリーグトップの50.3%に達していたと算出されている。
さらに驚くべきは、ヨキッチが「ヒーブショット」を0/37で外し続け、ようやく1本目を決めたという事実だ。このような数字は、選手がいかにこのシュートを嫌っているかを如実に示している。

カリーの記録的な「ヒーブ」挑戦

一方で、ステフィン・カリーは数少ない「ヒーブショット」を恐れない選手だ。キャリア通算で5/106という成功率にとどまっているものの、試みの多さは群を抜いている。
特にあるシーズンでは、なんと18回もヒーブを放っており、これはNBAで「ヒーブショット」が公式に記録されるようになってから最多記録とされる。

多くのスーパースターたちはキャリアを通じて「ヒーブ」を避ける傾向が強い。リーグトップ10スコアラーのほとんどはシーズンを通じて1度も試みないことが多く、2024-25シーズンでもドマンタス・サボニスやルーク・ケナードといった高精度シューターたちは1本も打っていなかった。そんな中でカリーは例外的な存在であり、観客にとっては試合のハイライトシーンを演出する要因となっている。

サマーリーグでの試験導入とファンの反応

このルール変更はすでに2025年夏のサマーリーグで試験的に導入されていた。ラスベガス、ユタ、カリフォルニアで行われた試合では、終了間際に選手がためらわずに超ロングレンジから放つ姿が多く見られ、観客は大きな歓声で応えていた。
SNS上でも「これで選手がもっと狙うようになる」「カリーやヨキッチがさらに輝く」といったポジティブな反応が多く寄せられた。一方で「結局は無駄打ちになるのでは?」と冷静に分析する声もあり、戦術面への影響は今後の注目ポイントである。

過去のルール改定との比較

NBAは過去にも試合を魅力的にするためのルール改定を行ってきた。
1979–80シーズンに導入された3ポイントラインは当初実験的とされたが、今ではリーグ全体を支配する戦術の中心になっている。また2001–02シーズンのディフェンス3秒ルールはオフェンス偏重の時代を生み出した。

今回の「ヒーブショット」に関するルール改定も、長期的にはプレー選択や観客体験に大きな影響を及ぼす可能性がある。「数字を守るために打たない」という文化を壊し、「観客を沸かせるために打つ」方向へとシフトさせる意義は大きい。

3×3バスケットボールへの示唆

3×3バスケットボールではショットクロックが12秒と短く、終了間際にロングショットを放つことは日常的に起こる。数字よりも打つこと自体が重視される文化が根付いているため、今回のNBAの改定は「3×3的なダイナミズム」を取り入れた動きともいえる。
これにより、NBAと3×3のプレー文化の違いが縮まり、国際大会でのルール議論や他リーグへの波及が期待される。

将来の展望

今後はカリーやヨキッチのように、ロングレンジを恐れない選手がさらに評価を高めるだろう。若手選手たちにとっても「ヒーブショット成功」は新たな個性を示す指標となるかもしれない。
また、アナリストにとっては「ヒーブを除いた純粋な3P成功率」と「ヒーブを含めた実際の数字」という二つの指標を比較する新たな研究テーマが生まれる。

まとめ:NBAが示す新しいショット文化

今回のルール改定は、単に選手を救済するためではなく、バスケットボールをより魅力的にするための大胆な試みだ。
ヨキッチが初めて「ヒーブ」を成功させるまでに0/37を経験したこと、カリーが106本も挑み続けていることなど、数字はこのシュートの難しさと魅力を物語っている。

2025-26シーズン以降、ブザー間際に放たれる一投は「無駄な数字」ではなく「観客を熱狂させるショー」として価値を持つ。NBAが示したこの新たな方向性は、バスケットボールの未来に新しい可能性を開く大きな一歩となるだろう。

ウォリアーズがホーフォード獲得を検討も…元選手が警鐘「課題解決には不十分」

ウォリアーズが狙うホーフォード獲得案に疑問の声|ベテラン加入でチームは変わるか?

2025年7月、NBAのフリーエージェント市場も佳境を迎えつつある中、ゴールデンステイト・ウォリアーズの補強戦略に注目が集まっている。すでにケボン・ルーニーがニューオーリンズ・ペリカンズへ移籍したことで、フロントコートに大きな空白が生まれたウォリアーズは、ベテランセンターのアル・ホーフォード獲得を検討していると報じられている。

しかし、この補強案に対しては賛否が分かれており、とりわけ元マイアミ・ヒートのユドニス・ハズレムは、「ホーフォードがウォリアーズの課題を解決することはできない」と指摘した。

ルーニー退団と静かなオフ|ウォリアーズの動きは控えめ

ウォリアーズの2025年オフは、例年に比べて静かなものとなっている。ケボン・ルーニーがペリカンズへ移籍した以外は、目立ったフリーエージェントの補強はなく、現在のところはドラフト絡みのトレードが主な動きだ。

チームにはステフィン・カリー、ドレイモンド・グリーン、そして昨シーズン途中から加入したジミー・バトラーの3本柱が健在。また、バディ・ヒールド、モーゼス・ムーディー、ブランディン・ポジェムスキー、トレイス・ジャクソン・デイビス、クインテン・ポストなど、ローテーション候補も揃っている。

それでも、昨季プレーオフではミネソタ・ティンバーウルブズに1勝4敗で敗れた苦い経験がある。カリーのケガによる離脱も響いたが、フィジカルで圧倒されたフロントラインの不安は今も解消されていない。

ベテランビッグマン・ホーフォードの実績と現在地

ウォリアーズが補強候補として検討しているアル・ホーフォードは、NBAキャリア18年を誇る経験豊富なベテランビッグマン。ボストン・セルティックスでの昨季は60試合に出場し、平均27.7分のプレータイムで9.0得点、6.2リバウンド、2.1アシストを記録。さらに、3ポイント成功率は36.3%(平均1.9本成功)と、ストレッチビッグとしても存在感を示した。

206cm・108kgのサイズと高いバスケットIQに加え、フロアスペーシング能力を備えたホーフォードは、ローテーションの要として複数のチームから関心を集めている。ただし、6月に39歳を迎えたベテランがウォリアーズの“今”の課題を解決できるかどうかは疑問視されている。

ハズレムが警告「ホーフォードではフィジカル不足は解消できない」

2025年7月16日、元ヒートのベテランで20年間NBAを戦ったユドニス・ハズレムが『ESPN』の番組「NBA Today」に出演し、ウォリアーズのホーフォード獲得の可能性について語った。

「アル(ホーフォード)は素晴らしい選手だ。人格者であり、チームにポジティブな影響を与えられる。しかし、ウォリアーズが本当に必要としている“長さ”や“運動能力”という点では、彼の加入だけでは課題の本質を解決することはできない」

ハズレムはさらに続けて、「彼がステフ(カリー)とともにキャリアを終えること自体は良い話だし、フロアのスペースを広げ、スリーを決めてくれるだろう。でも、それがこのチームの必要としていることと合致しているとは言えない」と語り、冷静に懸念を示した。

ティンバーウルブズ戦で露呈した「フィジカルの壁」

ウォリアーズが直近で直面した課題のひとつが、フロントラインでのフィジカル差だった。2025年プレーオフで対戦したミネソタ・ティンバーウルブズは、ルディ・ゴベア、ジュリアス・ランドル、ナズ・リードという屈強なフロントコート陣を擁しており、リバウンドやペイント内の攻防で圧倒された。

このシリーズでは、ドレイモンド・グリーンや若手のジャクソン・デイビス、ポジェムスキーらが奮闘したものの、サイズとパワーの面で大きく劣勢に立たされた。特にルーニーの不在が大きく、フィジカルの穴埋めは急務となっている。

そのため、たとえホーフォードを獲得できたとしても、彼の年齢や機動力ではゴベア級のビッグマンとのマッチアップにおいて大きな成果を期待するのは難しいという見方が強まっている。

今後の補強戦略はどうなる?|他のビッグマン候補と市場動向

ウォリアーズが今後狙うべきは、サイズだけでなくスピードやアスレティシズムも兼ね備えたインサイドプレイヤーだとされる。現在フリーエージェント市場には、元アリゾナ大のクリスチャン・コロコや、2024年ドラフト外の若手ビッグマンなどが契約を模索しており、ウォリアーズとしても将来性のあるプレイヤーに目を向ける動きが必要になるだろう。

加えて、バトラーがトレーニングキャンプから合流する今季は、優勝争いへの再挑戦を狙うシーズンでもある。カリーの年齢を考慮すれば、「今勝てるチーム」を編成する必要があり、補強の的確さがそのまま成績に直結する。

SNSとファンの反応|「ホーフォードより若手を」との声も

ホーフォード獲得報道に対して、SNSではファンの間でも議論が巻き起こっている。

「ホーフォードは好きだが、今のウォリアーズには若くてアスレチックなビッグマンが必要」「彼がフロアにいる時間、相手チームにとって脅威になるかは疑問」「ステフにとっては安心材料かもしれないが、課題解決にはならない」というようなコメントが多く見られる。

一方で、「バスケットIQの高いホーフォードが入れば、バトラーやカリーとの連携でチームは引き締まるはず」「若手にとって良いメンターになる」という前向きな意見もある。

結論|ウォリアーズの“次の一手”が問われる夏

39歳のベテラン、アル・ホーフォードがウォリアーズにとって有益な存在となりうることは間違いない。だが、彼が“問題の核心”であるインサイドのフィジカル不足や機動力の欠如を補えるかとなると、懐疑的な声が出るのも無理はない。

ステフィン・カリーを中心に再び優勝戦線を目指すゴールデンステイトにとって、今夏の補強戦略は極めて重要だ。ホーフォードの獲得が実現するにせよ、しないにせよ、彼をどう活用し、どう補完するか。チームの方向性を大きく左右するこの“1ピース”に、全NBAの視線が集まっている。