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Wizが挑むスポーツ経営の未来──バスケとバレー2競技のオーナー戦略とは

異なる競技の2チーム運営に挑む理由とは?


「チームを地域のセンターピンにしたい」──株式会社Wizの代表・山﨑俊氏は、そう語る。2024年6月、女子プロバレーボールチーム・アルテミス北海道(Vリーグ)を傘下に迎えたWizは、すでに男子プロバスケットボール・鹿児島レブナイズ(B2)を保有しており、2競技のクラブオーナー企業となった。

「地域におけるプロスポーツチームの存在はとても大きい」と山﨑氏。「鹿児島ならレブナイズだね」というように、地域の象徴= センターピン になれるコンテンツだと考えているという。特に屋内競技は天候や季節に左右されず、会場までのアクセスも良い。だからこそ、老若男女が集える空間づくりには適していると語った。

アルテミス北海道が担う 女性活躍の象徴 という役割


「北海道の女子プロスポーツをけん引する存在になってほしい」。Wizがアルテミス北海道に託すビジョンだ。男子プロチームが多く存在する北海道において、女子チームの存在は希少であり、地域の中で「女子ならアルテミス」という空気を作りたいという。

Wiz社内も女性比率が高く、従業員の54%が女性、管理職も46%が女性という構成。「今のWizがあるのは女性の皆さんのおかげ。女性の活躍を後押しする象徴として、アルテミスを地域に根付かせていきたい」と山﨑氏は力を込めた。

SVリーグ昇格より大切な 熱量 の創出

「まずは会場を満員にすること。それが第一歩」。北ガスアリーナ札幌46(2500人収容)を主戦場に、1年目は無料招待も活用しながら満員を目指す。競合はBリーグ、Jリーグ、プロ野球と多いが、その中でも「選ばれるエンタメ」となることが求められる。

SVリーグ昇格に関しては、今すぐではなく「どこかの時間軸で目指すべき」と言及。「地域に熱を生み出すことが優先。順位や昇格だけを追うのではなく、盛り上げるためにどんなポジションでいるべきか」を重視している。

「みんなに担いでもらえるアルテミス」に

「地域のシンボルではなく、女性活躍のセンターピンに」。北海道全体の象徴になるのはおこがましいという謙虚な姿勢を持ちつつ、「担がれる存在になることが地域活性化につながる」と語る山﨑氏。

「スポーツチームは神輿のような存在で、地域のみんなで担ぎ上げていける。その象徴にアルテミスがなっていけたら」と展望を語った。

鹿児島レブナイズが教えてくれた チームの力


Wizが最初にオーナーとなったのは鹿児島レブナイズ。元々スポンサーをしていたレバンガ北海道からの縁で、鹿児島のクラブを紹介されたという。

「B1昇格条件のひとつでもある1試合平均2400人の集客」を2年連続でクリア。特に「KAGOSHIMA SHOWTIME」をスローガンに掲げた昨季は、観客に 観てもらえればファンになる という確かな実感を得たという。

チームの挑戦=地域の活性化

「優勝を目指す意味は、地域を盛り上げるため」と山﨑氏は断言する。アルテミスもレブナイズも、単なる勝利のために戦うのではなく、あくまで地域の熱量を高めるための手段として「勝利」を追求している。

「勝てなかったとしても、それは挑戦した結果。それを地域のエンタメに昇華できていれば成功だ」と語る。

スポーツチーム経営は 地域活性化ビジネス

「私はスポーツビジネスをしているのではなく、地域活性化ビジネスをしている感覚に近い」。スポーツチームは、企業が 応援したくなる存在 を持つことで、会社の成長や社員のやりがいにも直結すると山﨑氏は捉えている。

バスケットもバレーも、チームという存在を通して「信じる力」「挑戦する意味」を体現し、会社全体にポジティブな空気をもたらす。「2チームの運営を通じて、地域と会社の両方が挑戦し続ける存在でありたい」と語った。

クラブ運営が人材育成の場にもなる

「スポーツチームの現場は、若手の成長機会でもある」と山﨑氏。Wizではレブナイズやアルテミスに若手社員が関わることも多く、広報やスポンサー対応、イベント運営など、リアルな現場で 実戦経験 を積む機会が得られているという。

こうした経験は、WizのコアビジネスであるIT・営業分野でも応用可能で、「人との関わり」「信頼を得る力」「現場対応力」を鍛える場にもなっている。

地域の教育・行政とも連携し、 まちづくり へ

「クラブ運営は地域全体を巻き込む まちづくり の一部」。山﨑氏は、クラブを通じて地域の学校や行政、地元企業とも連携し、未来の担い手づくりにも注力していきたいと語る。

実際、鹿児島では地元の小中学校と連携した「夢授業」や「キッズ観戦プロジェクト」も展開。アルテミスでも同様の教育連携を計画しており、スポーツの価値を広げる仕組みを構築中だという。

Wizが描く 地域と人が育つ スポーツ経営の未来

「地域が育ち、人が育ち、企業も育つ」──Wizが描くスポーツ経営は、その三者の循環を前提としている。チームの勝敗だけに依存せず、地域と連携しながら、長期的に価値を生み出す体制づくりが進んでいる。

「スポーツは感情を動かす力がある。だからこそ、応援される存在になる必要があるし、応援されることで地域に根付く。その循環を作っていきたい」と山﨑氏は語った。

【Bリーグ契約情報】三遠がB1王者のビッグマンを補強!B2にはレバノン代表経験者も参戦|7月14日発表まとめ

7月14日のBリーグ契約発表まとめ──注目は三遠への 優勝ビッグマン 加入

2025年7月14日、Bリーグ各クラブは2025–26シーズンに向けた最新の契約情報を発表した。この日はB1・B2・B3すべてのカテゴリーで動きがあり、Bリーグ全体の陣容が着々と整いつつある。

中でも注目されたのが、B1・三遠ネオフェニックスによるビッグマン獲得。Bリーグ優勝経験者である河田チリジが広島から加入し、チームのインサイド陣に厚みを加える存在として期待が高まっている。

三遠が元広島の 優勝請負人 河田チリジを補強

まず最大の話題は、三遠ネオフェニックスによる河田チリジの獲得だ。

河田は208cm、122kgのフィジカルを持つビッグマンで、広島ドラゴンフライズではB1初優勝に貢献。強靭な身体を活かしたリバウンドとインサイドプレーに定評があり、ペイントエリアの守備強度向上に寄与してきた。

昨シーズンはケガの影響により出場機会が減少したが、コンディション次第ではリーグでもトップクラスのリムプロテクターとして存在感を取り戻す可能性を秘めている。三遠は既存戦力の再編とともに、河田の加入によってゴール下の主導権を握る戦略を強化する構えだ。

GL3x3においても、高さとフィジカルの重要性は近年増しており、河田のような 高さで試合を変える タイプの選手は、3×3スタイルにおいても守備と速攻起点の中心的存在になりうる。

喜志永修斗が地元・山口に凱旋!恩師と再タッグ

富山グラウジーズとの契約満了により退団していた喜志永修斗は、B3の山口パッツファイブへ移籍。地元である山口県への凱旋となる今回の移籍は、キャリアにとって新たな節目となる。

高校時代の恩師がチームのヘッドコーチを務めており、再びタッグを組む形となる点も注目のポイントだ。地元密着型クラブでの挑戦は、プレーヤーとしてだけでなく、地域のバスケ文化に貢献する側面も期待される。

GL3x3における地域密着チームでも、こうした「地元×再生型キャリア」は重要なモデルケースとなっている。

B2鹿児島に元レバノン代表が加入──国際経験が戦力の鍵に

B2・鹿児島レブナイズは、レバノン代表経験を持つビッグマン、ナイム・ラバイを獲得。アジアの強豪国を代表してプレーしてきた同選手は、豊富な国際経験を武器にBリーグの舞台へ挑む。

鹿児島はサイズ不足が課題とされてきたが、ラバイの加入によりインサイドの課題解消が進む見込みだ。国際的なプレッシャーへの対応力や高いリバウンド力は、チームにとって大きなアドバンテージとなる。

なお、レバノン代表といえば、FIBAアジアカップでも常に上位を争う存在。そんな環境でプレーしてきたラバイのような選手がB2に参戦することは、リーグ全体のレベルアップにもつながる。

湘南ユナイテッドBCが伊集貴也を獲得──福島から新天地へ

福島ファイヤーボンズを退団した伊集貴也は、B3の湘南ユナイテッドBCへ移籍することが決定。シューティング力と機動力を兼ね備えたガードとして、福島時代から一定の評価を得ていた伊集は、新天地での飛躍を目指す。

湘南ユナイテッドBCは攻撃的スタイルを志向するクラブであり、伊集のオフボールムーブやペースアップにおける貢献度が期待されている。

ラトビア出身PFクラチョフスキーがB3三重へ加入

B3のヴィアティン三重は、ラトビア共和国出身のパワーフォワード、マティス・クラチョフスキーと契約を締結。ヨーロッパのリーグ経験を持つ同選手は、外角シュートとフィジカルを併せ持ち、ストレッチ4として起用される見込みだ。

ラトビアはFIBAランキングでも常に上位に位置し、3×3バスケットボールでも強豪国として知られている。クラチョフスキーのプレースタイルも、GL3x3に通じる 外を起点にゲームを作る タイプであり、日本の3×3チームにも影響を与える可能性がある。

7月14日発表の移籍情報一覧

– 河田チリジ(広島ドラゴンフライズ ⇒ 三遠ネオフェニックス)
– ナイム・ラバイ(レバノン代表 ⇒ 鹿児島レブナイズ)
– 喜志永修斗(富山グラウジーズ ⇒ 山口パッツファイブ)
– 伊集貴也(福島ファイヤーボンズ ⇒ 湘南ユナイテッドBC)
– マティス・クラチョフスキー(ルーマニアリーグ ⇒ ヴィアティン三重)

まとめ:GL3x3に通じる 個の再起 と 国際化 の波

今回の契約発表は、B1でのタイトル経験者から国際経験豊富な外国人選手、そして地元クラブに帰還する選手まで、多様性に富んだ人材が揃った。

GL3x3にとっても、こうした選手たちのキャリアは他人事ではない。個の再起、地域とのつながり、そして国際経験の取り込み──すべてが次世代の3×3チームづくりのヒントとなる。

今後もこうしたBリーグの動向に注視しつつ、GL3x3としてもリーグの厚みと選手層の充実に向けて歩みを進めていきたい。

篠山竜青×辻直人が語る日本代表の推し選手と課題|アジアカップ直前インタビューで見えた未来の鍵

ABEMA解説者・篠山竜青×辻直人が語る「代表の現在地と未来」

2025年8月に開幕を控える「FIBAアジアカップ2025」。日本代表の選考と強化が着実に進む中、新しい視点から注目を集めているのが「元日本代表コンビ」によるABEMA解説だ。

篠山竜青と辻直人。かつての日本代表の司令塔とシューターコンビが、解説席でも抜群のケミストリーを披露しながら、新生日本代表を鋭く、時にユーモラスに語る。このコンビが日本生命カップ2025・日本代表vsオランダ代表の直前に行ったインタビューでは、解説者としての視点から「日本代表の推し選手」「呼んでほしい未招集選手」「今必要な人材」まで、濃密な見解が飛び出した。

不安と期待が交差した初コンビ解説

篠山と辻が揃って解説に挑んだのは今回が初めて。オファー当初の心境について、辻は「大丈夫かな…と不安の方が大きかった」と振り返り、篠山も「自分たちへのハードルが勝手に上がっていた」と苦笑いしたという。

だが、互いの解説スタイルについてはお互いに称賛。辻は篠山について「聞いていて そうそう と納得できる分かりやすさ」、篠山は辻について「IQが高く、ふざけてるように見えて的確」と語り、信頼感がにじみ出る。

両者ともに「選手目線で寄り添う」「現役感覚を伝える」ことを意識しており、彼らならではの立場が、新しい解説スタイルを築いている。

アジアカップ日本代表への期待| 勢い と サイズ が鍵

新生日本代表の選考について、両者は「若返り」「海外組の増加」「勢いのあるBリーガーの抜擢」といったキーワードを挙げる。特に注目されたのは、テーブス海の弟であるテーブス流河や、かつて明成高校で話題を集めた山﨑一渉などの新顔だ。

辻は「 こんな選手いたのか と驚くほどバリエーション豊か」と称賛。篠山も「B2の中村太地選手のように、カテゴリー関係なく 勢い で選ばれているのが面白い」と語った。

また、近年は日本代表の課題とされてきた「サイズ不足」についても改善が見られ、トム・ホーバスHCのバスケットを遂行できるメンバーが揃ってきていると評価する。

未招集の逸材 たち|2人の解説者が本気で推す候補選手とは

──もし、今の代表に 呼んでほしい と思う未招集選手は?
この質問に対し、両者からは以下の名前が挙がった。

  • 米須玲音(川崎)…「パスセンスは抜群。司令塔としての成長が楽しみ」(篠山)
  • 山内ジャヘル琉人(川崎)…「身体能力と1on1のディフェンス力が高く、外国籍選手にも対応できる」(篠山)
  • 脇真大(琉球)…「Bリーグファイナルでの爆発力。外角精度が高まれば代表向き」(辻)
  • 小川敦也(宇都宮)…「ドライブでペイントタッチを作れるクリエイター。国際舞台で見たい逸材」(辻)

なかでも小川は、篠山・辻の両者が「絶対に代表で試してほしい」と意見が一致。高さ、ドライブ力、プレーメイク能力のバランスにおいて、「日本代表に新しい風を吹かせる存在」として高評価を得ている。

今の代表に 必要な人材 とは?ハンドラー&ビッグマンが急務

ポジション的な課題について問われた際、両者の見解は一致した。「必要なのはハンドラーとビッグマン」ときっぱり。

篠山は「河村勇輝がメインハンドラーとして定着しつつあるが、逆サイドにももう1人起点を作れる選手が必要」と説明。また、ジョシュ・ホーキンソンが38分以上出場している現状を危惧し、「日本人ビッグマンの台頭が急務」と語る。

辻も同意しつつ、新たに代表に加わった狩野富成(長崎)のフィジカルに驚きを示す。「金髪にしたら川真田選手と間違えるくらい体格が似てる(笑)。そんな選手がいたことにもびっくり」と語り、今後の台頭に期待を寄せた。

アジアカップを 強化の場 と捉える2人のリアルな視点

アジアカップは、日本代表にとって「結果を求められる大会」であると同時に、「新戦力発掘の場」でもある。この点について、2人はともに「今後に向けた トライアウト 的意味合いが強い」と分析する。

篠山は「代表入りを目指す若手たちが公式戦で経験を積む機会は大きい」とし、結果よりも成長と経験値を重視するスタンスを示した。辻も「新戦力の 試験的起用 の場として非常に貴重」とコメントし、結果と育成のバランスを重要視している。

まとめ|元代表だからこそ語れる、現代表へのリアルな 愛 と 希望

今回のインタビューは、元代表選手という立場から、現日本代表の未来を真剣に見つめる バスケ愛 にあふれた内容となった。篠山竜青と辻直人がABEMA解説者として担う役割は、単なるマイク越しの仕事ではなく、次世代への「継承」とも言えるだろう。

推し選手の紹介だけでなく、「なぜ今このタイプが必要なのか?」「この選手はどこでフィットするのか?」といった視点は、現役プレイヤー/OBだからこそ語れる貴重な知見だ。

アジアカップ2025、そしてその先のFIBAワールドカップやオリンピックに向けて──
「バスケ解説」が バスケ文化 を育てる時代が、いま始まっている。

Bリーグが描く 地域共創 の未来──『バスケACTION』が示した社会貢献の新フェーズとは

バスケで地域を動かす──Bリーグの新たな挑戦『バスケACTION』とは

2024年7月14日、Bリーグが主催するナレッジ共有会が都内で開催された。テーマは『B.LEAGUE Hope × 日本生命 地域を元気に!バスケACTION』。この社会的責任活動は2021年よりスタートし、2024-25シーズンからは サステナビリティパートナー として日本生命が全面協力する形で再始動した。

単なるCSRの枠を超え、36クラブが主体となって地域と向き合うこの取り組みは、 コートの外 でバスケットボールが果たすべき役割を再定義するものだ。

地域課題をスポーツで解決する──各クラブの実践事例

共有会では、各クラブが自らの地域で取り組んできた事例を発表。それぞれが地元特有の課題に対し、バスケットボールという共通言語を活かした斬新なアプローチを披露した。

■ベルテックス静岡:人口減少に 絆 で対抗

静岡市は、人口減少率が全国ワースト2位という重大な局面を迎えている。ベルテックス静岡はこの課題に正面から取り組んだ。観戦招待を通じ、転入者など市外出身者との接点を創出。

単なる チケット配布 にとどまらず、「50点目を決める選手を当てるクイズ」やスマホを使ったフリースローチャレンジなど、家族連れやライトファンにも楽しめる工夫を施した。さらに、日本生命の営業職員との連携により、招待客へのフォローアップを実施。

この丁寧なアプローチにより、単発の招待から継続的な来場者を生み出す 地域好循環 を形成した。

■茨城ロボッツ:心のバリアフリーを広げる ハブ に

茨城ロボッツは、特別支援学校の校長からの要望を起点に、「子どもたちが活躍できる場」を提供するプロジェクトを始動。従来の「訪問型の支援」から、「共創型の社会貢献」へと舵を切った。

彼らの取り組みは、水戸市内での『まちなかバリアフリーマップの作成』と『車いすバスケ体験会』。医療法人や大学、NPOなど10以上の団体を巻き込んだイベントは、まさに 誰もが主役 の場となった。

当日は車いすユーザーと健常者が自然に交わる姿が見られ、「大変さを伝えるのではなく、楽しさを共に体験する場だった」という専門家の評価も得た。

DE&I(多様性・公平性・包摂性)の理念を現場で体現したこの試みは、今後の社会貢献モデルとして他クラブにも波及が期待される。

■宇都宮ブレックス:清掃活動をエンタメに変える発想

「バスケ以外の分野でも地域貢献をしたい」──その想いから始まった宇都宮ブレックスの清掃活動は、単なるゴミ拾いではなかった。

実施地は宇都宮駅周辺。定員を大幅に上回る200名超の応募があり、マスコットやチアリーダーも参加することで お祭り感 を演出。さらに、環境配慮素材で作られたボールペンやタンブラーを参加賞にすることで、 ブレックスらしい 価値提供を実現した。

この活動は宇都宮市との官民連携によって運営がスムーズに行われ、「自分の街がきれいになるのがうれしい」という声が多数寄せられた。

支援される立場から、共に創る仲間へ──Bリーグの哲学

ナレッジ共有会でBリーグの島田慎二チェアマンは、「バスケACTIONはリーグ理念実現の 核 である」と語った。

「この取り組みはすぐに成果が見えるものではありません。けれど、動かなければ何も始まらない。クラブが主体となり、地域と共に歩むことこそがスポーツの力なのです」

その言葉どおり、今回発表された事例の多くが、 クラブが与える のではなく、 地域と一緒に生み出す スタイルに進化していた。

社会と交わるバスケットボール──3×3にも通じるビジョン

今回の『バスケACTION』の各事例は、3×3バスケットボールが掲げる「誰もがプレーできる場」「街と一体になるスポーツ」のビジョンとも強く共鳴している。

特に茨城ロボッツの 共創型 イベントは、3×3大会が開催される公共空間やストリート文化との親和性が高く、今後はBリーグクラブと3×3リーグとの連携も期待される。

また、宇都宮ブレックスのように「イベント化」された清掃活動は、3×3の大会運営でも活かせる知見であり、ボランティアを巻き込んだサステナブルな運営モデルの参考になる。

まとめ:バスケットボールの価値は、コートの外に広がっている

2024-25シーズン、Bリーグが進めた『バスケACTION』は、バスケットボールが単なるスポーツを超え、地域社会にポジティブな波紋を広げる 社会装置 として機能し得ることを証明した。

人口減少、共生社会、環境保全──そのどれもが、バスケットボールと組み合わさることで、行動を喚起する現実的なムーブメントとなりうる。

コートの内外で価値を発揮し、スポーツの本質を問い直すこの活動は、今後のスポーツ界全体にとっても大きな指針となるだろう。

今、問われているのは「何を勝ち取るか」だけでなく、「誰と共に歩むか」だ。

バスケットボールの未来は、ゴールの向こう側にある地域との絆の中にこそある。

【2025–26最新版】B1リーグ全ロスター解剖|3×3で飛躍が期待される注目選手5選

2025–26シーズン開幕直前!B1全26クラブのロスターが出揃う


B.LEAGUE(B1)の2025–26シーズンに向け、各クラブが続々と新戦力を加えた最新ロスターが発表された。今シーズンは、移籍市場も例年以上に活発で、3×3バスケットボールに通じるスキルを持つ選手たちの台頭も目立つ。
本記事では、B1の全ロスターの概観に加え、3×3とのシナジーが期待される注目選手を5人ピックアップ。3×3ファン・プレイヤーの視点で、今後の動向を読み解いていく。

B1リーグ×3×3の可能性とは?

3×3は、FIBAが正式競技として推進する急成長ジャンルであり、Bリーグや日本代表選手の中にも3×3出場経験者が増えている。少人数制・スピーディーな展開・1on1の技術が求められる3×3において、B1選手の身体能力やシュート力が新たな武器として注目されるようになってきた。
特に近年は、「B1から3×3へ」「3×3で実績を積んでBリーグへ」といった選手キャリアのクロスオーバーも現実のものとなっている。

注目選手① 富永啓生(北海道/SG)

2025年夏にGリーグから北海道へ移籍した富永啓生は、3×3向きのプレーヤープロファイルを持つ最右翼だ。188センチのサイズと驚異的なアウトサイドシュート精度は、1ポゼッションの重みが大きい3×3でこそ真価を発揮する可能性がある。
大学時代にNCAAで見せた「catch & shoot」スキルはFIBAルールとの相性も良く、今後の国際3×3大会での活躍も期待される存在だ。

注目選手② キーファー・ラベナ(横浜BC/PG)

フィリピン代表として3×3経験も豊富なキーファー・ラベナは、今季も横浜BCの主軸として君臨。183センチながら抜群のボールハンドリングとゲームコントロールで、クイックトランジションが鍵を握る3×3においても存在感は大きい。
特に2024年に行われたフィリピン国内3×3リーグでの実績は、今後の起用の幅を広げる要素となるだろう。

注目選手③ 脇真大(琉球/SG)

2025年ジョーンズカップでの日本代表デビューを果たした脇真大は、3×3日本代表候補としても今後名前が挙がる逸材。193センチと3×3で理想的なサイズを持ちつつ、アウトサイドシュートやリバウンドにも長ける万能型。
3×3での「ディフェンスからの速攻」にも適応できるバランス型ガードとして注目だ。

注目選手④ 安藤誓哉(横浜BC/PG)

東京オリンピック代表経験を持つ安藤誓哉は、3×3への適応力も高く、ピック&ロールやアイソレーション能力に長ける。181センチながら高い得点力と判断力を備えており、試合の終盤に1点を取りに行くシーンで重宝されるプレースタイルだ。
横浜BCでのプレーに加え、国際大会でのキャリアも長く、3×3日本代表候補としても常にその名が挙がっている。

注目選手⑤ 吉井裕鷹(三遠/SF)

B1優勝チーム・三遠ネオフェニックスの主力である吉井裕鷹は、196センチのサイズとフィジカルを活かした3×3向きプレーヤー。ディフェンスから流れを変える能力に加え、1on1のフィニッシュ精度が向上しており、2025年のFIBA 3×3ワールドツアーでも台頭が期待される。
三遠としても、今季から河田チリジを加えたことでインサイドの強度が増し、吉井のアウトサイドやミスマッチ活用に一層注目が集まるだろう。

注目選手⑥ ジャン・ローレンス・ハーパージュニア(SR渋谷/PG)


今季から本格的にB1ローテーション入りが期待されるハーパーJrは、3×3で求められる瞬発力と決断力を兼ね備えたコンボガード。181センチというサイズは3×3においても機動性を高め、相手の守備を切り裂くドライブ力は特筆に値する。高校・大学時代からボールに対する嗅覚とディフェンスへの意識が高く、2ウェイプレイヤーとしてのポテンシャルも評価されている。特に渋谷のアップテンポなスタイルは、3×3でも十分活かせる要素となっており、今後の代表候補選出にも期待がかかる。

3×3と5人制、それぞれのスキルの違いと融合

3×3と5on5は一見すると別競技のように感じられるが、両者に共通するコアスキルが存在する。1on1の打開力、スペーシングの理解、ディフェンスの個人能力、そして短時間での判断力などは、どちらのフォーマットでも不可欠だ。B1の舞台でこれらのスキルを磨いた選手が、3×3というスピード感と強度の高いステージでどう適応するかは、今後の代表選考や国際大会の成績にも直結する。

育成・スカウティングにも広がる視点

近年ではユースや大学世代でも、3×3での実績が評価されてBリーグ入りを果たすケースも増加。逆に、Bリーガーがシーズンオフに3×3に挑戦することで、自らのプレーの幅を広げるといった 越境型キャリア も定着しつつある。B1の26クラブでも、練習環境やサマーキャンプで3×3要素を導入するチームが増えており、将来的には「二刀流」を前提とした選手育成の流れが加速することも予想される。

まとめ:B1から3×3へ、日本バスケの未来図を読む

B1リーグの2025–26シーズンは、単なる移籍の応酬にとどまらず、日本バスケ全体の潮流を映す鏡でもある。特に3×3との人材シェアやシステム的融合は、今後さらに加速する可能性が高い。
GL3x3としても、こうした選手の動向を追うことで、日本バスケの未来を先読みする記事を今後も提供していく。あなたの推し選手が次に向かうフィールドは「3×3」かもしれない――そう思わせてくれるシーズンが、いよいよ幕を開ける。

河田チリジが三遠ネオフェニックスと契約!B1優勝経験を持つベテランがCS出場に向け新たな挑戦

三遠ネオフェニックスが河田チリジと契約!B1優勝経験を持つ帰化ビッグマンが加入

Bリーグの三遠ネオフェニックスが、広島ドラゴンフライズから自由交渉選手リストに公示されていた帰化選手・河田チリジと2025-26シーズンの新契約を結んだと、7月14日に発表した。この補強は、チームが継続的に掲げてきた「チャンピオンシップ(CS)出場」を現実のものとするための大きな一手となるだろう。

河田チリジのキャリアと実績

1989年生まれの河田チリジは、コンゴ共和国出身で、身長208センチ、体重122キロという恵まれた体格を持つインサイドプレイヤー。日本では2015年に熊本ヴォルターズでプロキャリアをスタートし、その後仙台89ERS、バンビシャス奈良、福島ファイヤーボンズなどを経て、2020年にB1昇格を目指していた広島ドラゴンフライズに加入した。

2022年に練習生として広島に復帰すると、2023年には日本国籍を取得。帰化選手としてチームの一員に登録され、2023-24シーズンにはB1リーグで悲願の初優勝を果たした広島のインサイドを支える存在となった。フィジカルを活かしたスクリーン、リムプロテクション、ハッスルリバウンドなどでチームに貢献し、献身的なプレーでファンの信頼も厚かった。

コンディション不良のシーズンを経て、新たな挑戦

とはいえ、2024-25シーズンは決して順風満帆ではなかった。負傷によって長期離脱を強いられ、インジュアリーリスト入り。B1のリーグ戦ではわずか22試合の出場にとどまり、平均出場時間も限られる中で3.1得点、3.3リバウンドという成績に終わった。チームとしての役割も縮小傾向にあった中、三遠が提示した新たな役割と環境が、河田にとって再起のチャンスとなる。

三遠ネオフェニックスが期待する役割とチーム方針

三遠ネオフェニックスは昨季B1中地区で好成績を残し、CS出場争いを繰り広げた。特にハードなディフェンスとトランジションバスケットを軸とするチームスタイルを持ち、近年は外国籍選手や帰化選手の起用を含め、戦力の多様化を図ってきた。

ゼネラルマネージャーの北郷謙二郎氏は「常にアグレッシブであることを意識し、インサイドで身体を張るプレーが彼の持ち味。彼の加入によって、ゴール下の守備力が大きく底上げされると信じている」とコメント。ベテランとしての経験値に加え、若手へのリーダーシップ的役割も期待されている。

河田チリジのコメントと今後の展望

河田はクラブ公式を通じて次のように意気込みを語っている。

「この素晴らしいチームの一員になれることをとても誇りに思います。三遠は近年、着実に力をつけてきましたし、その中で自分がCS出場のために全力を尽くせることに感謝しています。コートの中でも外でも、ファンの皆さんと強い絆を築いていけると信じています」

このコメントに表れているように、河田の目線はすでに次のステージに向いている。B1の舞台で再び輝きを放ち、三遠を上位へと導くキープレーヤーになることは間違いない。

類似の補強例とリーグ全体の動向

帰化選手による戦力補強はBリーグにおいて近年ますます注目を集めている。2023-24シーズンでは、広島のニック・メイヨ(元サンロッカーズ渋谷)、宇都宮のジョシュ・スコット(元東京)など、複数のチームが帰化選手の起用によってインサイドの補強に成功し、成績を伸ばしている。

三遠にとっても、今回の河田獲得は同様の文脈で捉えることができ、リーグ全体における競争力強化と戦略性が高まる一手となった。

ファンやメディアの反応

SNS上では、「チャンピオン経験ある選手が来てくれるのは大きい」「インサイドの厚みが一気に増した」など、歓迎ムードが高まっている。また、地元・浜松や豊橋のメディアもこの移籍を大きく取り上げ、地元経済や観客動員への影響も注目されている。

一方で、「昨季のような怪我が再発しないか心配」という声もあり、コンディション面の管理がチームとしての重要課題となりそうだ。

今後の鍵は 健康 と 連携

河田チリジが真価を発揮するための鍵は、やはり健康状態の維持とチームとの連携構築にある。特に三遠では若手選手が多く、ベテランの河田が練習や試合を通じてどのようにチームに溶け込んでいくかが注目される。

彼がゴール下で安定した存在感を発揮すれば、三遠のCS進出は大いに現実味を帯びてくるだろう。

まとめ:三遠の未来を支える経験と情熱

河田チリジの三遠加入は、単なるベテラン選手の補強ではない。Bリーグを長く経験し、優勝という結果も味わってきた彼が、チームにどのような 化学反応 をもたらすかが今後の注目ポイントとなる。CS進出、さらには頂点を見据える三遠にとって、彼の存在は大きな支えとなるに違いない。

今季の三遠ネオフェニックスは「経験×成長」の融合によって、B1の勢力図に新たな変化をもたらす可能性を秘めている。河田チリジがその中心人物となる日は、そう遠くない。

キーファー・ラベナがジョーンズカップ2025フィリピン代表入り!横浜BCの司令塔が日本代表と激突へ

横浜ビー・コルセアーズのキーファー・ラベナ、ジョーンズカップ2025のフィリピン代表に選出


2025年7月13日、B1リーグの横浜ビー・コルセアーズは、所属するキーファー・ラベナが「第44回ウィリアム・ジョーンズカップ」に出場するフィリピン代表メンバーに選出されたことを正式に発表した。この発表は、フィリピンと日本、そしてアジア全体のバスケットボールファンにとって大きな注目を集めている。

キーファー・ラベナは、フィリピン国内では 最も知名度のあるガード の一人として知られ、同国バスケット界の象徴的存在である。現在31歳となったラベナは、183cm・82kgのサイズながら、冷静な判断力と正確なシュート技術、そして試合を読む洞察力で国際舞台でも存在感を放ち続けている。

フィリピン代表の中核としての復帰──ワールドカップ経験者の重み

キーファー・ラベナの代表キャリアは長く、2009年のU16アジア選手権にて初めてフィリピン代表のユニフォームに袖を通した。その後、U18、U23、シニア代表へと順当にステップアップを果たし、近年では2023年に開催されたFIBAバスケットボールワールドカップでも代表メンバーとしてプレー。日本を含む強豪国を相手にタフな戦いを経験してきた。

ラベナのプレースタイルは、決して派手さを前面に出すものではないが、試合を通じて安定感のあるボール運びと高精度なパスを提供する ゲームマネージャー として重宝されている。ジョーンズカップ2025においても、若手主体のロスターを支えるベテランとして、フィリピン代表の屋台骨を支えることになるだろう。

Bリーグでの実績──日本で磨かれたラベナの進化


2021−22シーズンからBリーグに参戦したキーファー・ラベナは、滋賀レイクスターズ(現・滋賀レイクス)でキャリアをスタート。日本独自のスピードと戦術的なバスケットボールに順応し、1年目から平均二桁得点を記録するなど順調なスタートを切った。

2023−24シーズンには横浜ビー・コルセアーズへ移籍し、B1リーグ戦では53試合に出場。平均9.8得点、1.9リバウンド、3.8アシストという数字を記録し、チームのプレーオフ進出争いに貢献。特にクラッチタイムでの冷静な判断やフリースロー成功率の高さなど、チームに安定感をもたらす存在としてファンの信頼を集めた。

Bリーグでの3年間を通じて、ラベナは日本のバスケットボール文化を学び、それを自らの武器として昇華してきた。日本人選手との連携能力や、フィジカルを生かした1on1の強さなど、母国時代には見られなかった 日本仕様のPG としての成長が見て取れる。

ジョーンズカップで日本代表と激突──注目の一戦が間近に

キーファー・ラベナが出場するフィリピン代表は、7月13日にチャイニーズ・タイペイ代表との初戦を戦い、続く14日に日本代表と対戦する。フィリピンと日本は、ここ数年でライバル関係を強めており、各年代の国際大会でも頻繁に接戦を演じてきた。

ラベナ自身も、Bリーグでの経験から日本代表の戦術や主力選手の特徴を熟知しており、試合の中ではその知見を最大限に活かしてくるだろう。一方、日本代表側もBリーグでラベナと対戦してきた選手が多く、互いに「手の内を知る者同士」の戦いとなる。

この一戦は、ジョーンズカップという大会の枠を超えて、 アジアバスケの未来を占う試金石 ともいえる。勝敗はもちろんのこと、どのような戦術が繰り出され、誰が主導権を握るか。ラベナの存在は試合の鍵を握るキーファクターとなる。

3×3視点から見たラベナの価値──スキルフルな 戦術型ガード の可能性

キーファー・ラベナのような、オールラウンドに試合をコントロールできるガードは、3×3の舞台でも高い価値を持つ。3×3では、限られたスペースと時間の中でいかに効率的に点を取るかが重要となる。その点、ラベナの プレッシャー下での判断力 と 状況把握能力 は、3×3でもそのまま通用するスキルだ。

さらに、ラベナは1on1にも強く、ピック&ロールの精度も高いため、3×3特有の 即興性 のある攻撃でも持ち味を発揮できるだろう。年齢的にも円熟期に差しかかっており、将来的にはフィリピン3×3代表としての選出も視野に入る可能性がある。

まとめ:日比の架け橋となるキーファー・ラベナ、さらなる挑戦へ


Bリーグとフィリピン代表、二つの舞台を行き来しながらキャリアを重ねてきたキーファー・ラベナ。彼の存在は、単なるプレーヤーにとどまらず、日比バスケットボール界を結ぶ架け橋としての価値を持っている。

ジョーンズカップ2025での活躍次第では、アジアカップやOQT(五輪最終予選)といった大舞台への再選出も見えてくる。31歳を迎えても衰えを見せないその姿勢は、多くの若手選手にとってのロールモデルであり、3×3を含めた日本国内バスケットボールにも好影響を与える存在である。

GL3x3としても、キーファー・ラベナという アジアの司令塔 が、日本とフィリピンのバスケをつなぐキーマンとして、これからどのように輝きを放つのか、今後も注視していきたい。

【Bリーグ/岐阜スゥープス】RISE as ONE──B3リーグで初のPO進出を果たした理由と次の一手

岐阜スゥープスが描く「RISE as ONE」──B3リーグで初のPO進出を果たした理由と次の一手

岐阜スゥープスは、岐阜市をホームタウンとするB3リーグ所属のプロバスケットボールチームである。2003年にクラブチームとして創設され、2017年に運営法人(岐阜バスケットボール株式会社)を設立してプロ化。クマタカをモチーフにした「スゥープ(急降下)」の名が示す通り、狙いを定めて一気に飛び込む攻勢を信条としてきた。2024-25シーズンのスローガン「RISE as ONE」の下、チームは31勝21敗でクラブ史上初のプレーオフ進出(最終7位)を達成。B3参入から7季でつかんだ節目の成果は、単なる戦績以上の意味を持つ。本稿では、岐阜スゥープスの歩みを俯瞰しつつ、躍進の背景、選手・スタッフの輪郭、アリーナ戦略、地域連携、競争環境との比較、そして今後の展望までを体系的に整理する。

ニュース概要

2024-25シーズン、岐阜スゥープスはB3リーグで31勝21敗(勝率.596)を記録し、準々決勝で敗退したものの最終順位は7位。B3参入初年度の2018-19シーズン以降、浮き沈みを経験しながらも、ついにプレーオフ進出という明確な分岐点に到達した。ホームでは17勝9敗と勝ち越し、総得点4234、総失点4035(得失点差+199)と、攻守差分でも前進の度合いが表れている。スローガン「RISE as ONE」は、戦術・選手層・ホームゲーム運営・地域接点の多層で同期した「一体的な上向き」を象徴した。

背景と経緯

岐阜スゥープスの原点は、2003年の一般クラブチーム結成にある。岐阜出身の田中昌寛を中心に全日本クラブ選手権・選抜大会で実績を積み上げ、2017年に法人化。2018年にB3参入を果たした。参入初年度は采配交代を伴う難しい船出となったが、2019-20から2021-22にかけては、体制を手探りで整える段階を経て、勝率を徐々に引き上げるプロセスに移行した。

スローガンの推移も示唆的だ。「ALL FOR GIFU」(2021-22)で地域とチームの総意を掲げ、「IGNITE GIFU – 岐阜に火をつけろ -」(2022-23)で機運の点火を宣言、「Just us」(2023-24)で内的結束にフォーカスし、そして「RISE as ONE」(2024-25)で上昇の実相に踏み込んだ。スローガンの言語設計は、現場の課題認識と進捗管理の指標にもなっており、チームの変化はメッセージの文脈変化とよく呼応する。

選手・チームのプロフィール

運営は岐阜バスケットボール株式会社。代表は那須史明。チームカラーはブラック、レッド、グリーンで、岐阜ゆかりの織田信長像を黒赤に重ね、県色の緑を配色した。象徴であるクマタカは「森の王様」とも称され、鋭い視力・急降下力を象徴するモチーフとして用いられる。マスコット「スパーキー」は黒赤のマントをまとい、視覚的にもクラブの物語を伝える存在だ。

コーチングは変遷を経て現在は早水将希がヘッドコーチ。近年は杉本憲男が選手兼HC期を担い、その後ベンチにアソシエイトとして残るなど、内部の知見継承にも配慮が見られる。ロースターには、日本人ガードの大久保颯大、山﨑玲緒、荒川凌矢、ベテランの田中昌寛、ウイングの古賀森人、卜部兼慎、外国籍のジョーダン・ジャイルズ、ブレイク・プレストン、インサイドの増本優太、ダニエル・フォトゥ、アジア枠・留学実績を持つサンブ・アンドレらが名を連ね、B3の戦術多様性に対応できるサイズとスキルセットを備える。

ホームアリーナはOKBぎふ清流アリーナを中心に、岐阜メモリアルセンター、郡上、飛騨高山など県内複数会場での開催実績を活用してきた。複数拠点でのゲーム開催は、ファン接点を広げるレバレッジであると同時に、移動・オペレーション負荷の管理が鍵となる。スポンサー面では地元金融・建設・自動車販売・商業施設など地域企業と結び、ユニフォームサプライはDalPonteが担う(2023-24基準)。

試合・出来事の詳細

2018-19から2023-24までのB3期、岐阜スゥープスはコーチング変更、選手入れ替え、スローガンの変化と軌を一にしながら、戦い方を模索した。2018-19は采配交代を挟みつつ、参入後初勝利を記録して基礎固め。2019-20はレギュラーシーズンのみの開催となり苦戦。2020-21は前季より勝利を伸ばして8位に着地。2021-22は19勝29敗で10位とし、B.LEAGUE準加盟承認という組織的マイルストーンを獲得。2022-23は19勝33敗の9位、2023-24は18勝34敗の14位と揺れながら、2024-25に31勝21敗で一気に跳ねた。

躍進を読み解く際に有効なのは、ホームでの勝ち越し(17勝9敗、勝率.654)と、トータルの得失点差(+199)である。B3は試合数が多く、ロースターの厚みとホーム運営の熟度が戦績に直結しやすい。岐阜はホームでの確度を引き上げ、守備効率の改善と複数スコアラーの稼働を両立。サイズレンジの広いウイングと機動力のあるガードを併用し、ポゼッションの質を高めたことが、シーズン期待値を上振れさせた要因と考えられる。

他事例との比較・分析

近年のB3は、昇降格やライセンス条件の整備に伴い、チーム運営の総合力勝負が加速している。戦力の外的上積み(外国籍の質、アジア特別枠の活用)と、内的成熟(ディシプリン、ローテーション管理、ホームゲームの体験価値)が噛み合ったクラブが上位をうかがう構図だ。岐阜スゥープスは、2024-25において「ホーム強化」「守備の底上げ」「拮抗試合の勝ち切り」という3点で進化を示した。これは、B3でPOレベルに到達するチームに共通する特徴であり、岐阜はその条件を満たしたと言える。

一方で、B2昇格やその先を目指す場合、さらなる課題も明確だ。まず、アウェイでの勝率向上(14勝12敗からの上積み)、シーズン全体での攻守バランスの安定、そしてロスターの継続性確保である。B3における台所事情は、選手補強と継続運用の両立が難しい。特に、外国籍の当たり外れが大きな変動要因になりうるため、スカウティングの精度と役割適合(フィット)を最適化する体制の強化が鍵になる。コーチングスタッフの定着と育成、データ分析の洗練、メディカル・コンディショニングの整備は、戦力の「再現性」を担保する投資領域だ。

今後の展望とまとめ

岐阜スゥープスの2024-25は、組織の合意形成(スローガンと実像の一致)、ホームオペレーションの改善、ロスター適合の前進が、勝率とPO進出という形で可視化されたシーズンだった。次の段階として、クラブは三つの優先課題を設定できる。

  1. アウェイ耐性の強化:遠征時のパフォーマンスブレを抑制し、リーグ全体での安定指標(ネットレーティング)の上積みを図る。
  2. ロスター継続性の確保:主軸の継続と役割選手の育成、外国籍・アジア枠の最適化を通じて、シーズン期待値の再現性を高める。
  3. ホーム体験の深化:複数会場運用の強みを活かし、地域回遊・スポンサー協業・ファンエンゲージメントを横断させた「岐阜モデル」を磨く。

「スゥープ(急降下)」の名が示す瞬発と、地域に根を張る持続の両立。岐阜スゥープスが2024-25で手に入れたのは、結果だけでなく、勝ち方のプロトタイプである。B3の競争は年々タフになるが、クラブが掲げる「RISE as ONE」は、次の季節へと続く合言葉だ。岐阜から全国へ──チームと地域が一体で上昇する物語は、まだ書きかけのまま、次章を待っている。


参考タイムライン(要点整理)

  • 2003年:一般クラブチームとして結成。全日本クラブ選手権・選抜大会で優勝実績。
  • 2017年:運営法人設立、B3準加盟認定へ。
  • 2018年:B3参入、初勝利を記録。
  • 2021年:「ALL FOR GIFU」。B.LEAGUE準加盟承認。
  • 2022年:「IGNITE GIFU」。
  • 2023年:「Just us」。
  • 2024-25年:「RISE as ONE」。31勝21敗、初のPO進出(最終7位)。

ホームアリーナと運営のポイント

メインはOKBぎふ清流アリーナ。岐阜メモリアルセンター、郡上、飛騨高山など県内多拠点開催は、商圏を広げる戦略として機能する一方、運営一貫性の確保が難所となる。会場ごとの動線、演出、物販・飲食の標準化、地域・企業コラボのカスタマイズ設計が、ホーム勝率と収益性の両方に効く。2024-25のホーム17勝9敗は、現場品質の改善が成績に直結した好例である。

ロースター構成の示唆

ガードは機動性とハンドラー層の厚み、ウイングはサイズと守備の多様対応、ビッグはリム守備・リバウンド・ハーフコートのスクリーン・ショートロール・ダイブの適合が鍵。外国籍はペイント効率と守備負荷の軽減に寄与し、アジア枠・留学実績の選手はローテの柔軟性を増す。2024-25の得失点差+199は、ポゼッションごとの小さな優位の積み重ねが反映された数値と読める。

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データ抄録(B3シーズン推移)

シーズン 勝率 備考
2018-19 12 24 .333 参入初年度、体制交代
2019-20 8 31 .205 苦戦、再構築期
2020-21 13 27 .325 勝利数増
2021-22 19 29 .396 B.LEAGUE準加盟承認
2022-23 19 33 .365 下位も得るものあり
2023-24 18 34 .346 再編の助走
2024-25 31 21 .596 PO進出、最終7位

結び

岐阜スゥープスは、クラブ創設から20年超の歩みを経て、B3での「勝ち筋」を具体化した。岐阜という土地の色を帯びた物語性、複数会場での接点設計、スローガンに刻まれた進化志向、そして31勝21敗という現実の強さ。「RISE as ONE」を合言葉に、次のシーズンは、アウェイ耐性・ロスター継続・ホーム体験の深化という三位一体で、さらに一段上の再現性を目指したい。読者の皆さんは、ぜひ現地で岐阜スゥープスのホームゲームを体感し、チームの上昇をともに後押ししてほしい。

【Bリーグ/琉球ゴールデンキングス】完全ガイド:B1西の強豪が築いた「沖縄発・勝てるカルチャー」と経営モデル

ニュース概要

琉球ゴールデンキングスは、沖縄県沖縄市を本拠とするB1西地区の強豪クラブ。近年はリーグ戦、天皇杯、EASLを並走しながらも勝負強さと興行力を両立し、Bリーグでは2022-23に初優勝、2024-25は天皇杯で初戴冠、西地区でも再び頂点に立った。クラブの核となるのは、桶谷大ヘッドコーチが体現する堅守速攻のバスケット、沖縄サントリーアリーナを起点にした高密度のエンタメ演出、そして地域・企業・ファンを巻き込む経営基盤である。本稿では、歴史と経営、ロースター、試合運営、データ、将来構想までを俯瞰し、琉球がなぜ勝ち続け、愛され続けるのかを解説する。

背景と経緯

クラブは2007年に創設。bjリーグ参戦初期はアップテンポな志向と引き換えに波も大きかったが、2008-09に桶谷体制で初優勝を掴んで以降、戦術と規律を両立させる路線に舵を切った。2016-17のBリーグ発足に合わせてプラットフォームが変わると、ホームゲームの興行化をさらに推進。アリーナ常設の大型ビジョンや音響、沖縄カルチャーを取り入れた演出を強化し、観客動員と入場収入を着実に積み上げていく。

転機となったのが、1万人規模の沖縄アリーナ(現・沖縄サントリーアリーナ)の本格稼働だ。シーズン平均7000人級の動員に支えられ、2022-23にはB1最多の入場料収入を記録。女性ファン比率が高い客層構造や、シーズンシート運用、チケットレス入場、データドリブンなファンクラブ運営など、収益と満足度を両立する導線を磨き、クラブ総売上の大規模化へとつなげた。加えて、経営面ではプロトソリューション参画などの体制変化を通じ、地域×テクノロジーの相乗を高めている。

選手・チームのプロフィール

クラブカラーはシャンパンゴールド、スチールブルー、パールレッド。ロゴは龍頭をモチーフとし、琉球王国の歴史性を象徴する。マスコットはゴーディー。ヘッドコーチは桶谷大。アソシエイトヘッドコーチとして佐々宜央が復帰し、アシスタントにはアンソニー・マクヘンリーらクラブOBが参画。現行ロースターは岸本隆一、ジャック・クーリー、ヴィック・ロー、脇真大、ケヴェ・アルマ、小野寺祥太、松脇圭志らで、日本人ガードの判断力とインサイドの強度、ウィングのサイズと活動量のバランスが良い。

  • スタイルの核は堅守速攻と自陣リバウンドからのトランジション。ハーフコートでは2メンゲームとペリメーターの連動、コーナーの配置を重視し、終盤は岸本のショットクリエイトやローのミスマッチ活用で勝ち筋を引く。
  • メンバー運用は複線型。主力のコンディション変動に耐えるべく若手の台頭を促し、育成と勝利の両立を志向する。
  • カルチャーは規律と献身。ルーズボール、リバウンド、ハッスルを可視化して称揚し、ブースターと共有する。

試合・出来事の詳細

Bリーグ移行後の成績推移を見ると、2017-18以降は西地区首位の常連。2021-22は49勝7敗で地区優勝、ファイナル準優勝。2022-23は48勝12敗で初のBリーグ優勝を果たす。2023-24は過密日程と負傷者が重なる中でもファイナル進出を継続。2024-25はシーズン中の補強や若手起用を織り交ぜ、天皇杯初優勝と西地区制覇を同時達成した。

シーズン リーグ成績 CS結果 トピック
2021-22 西1位 49勝7敗 ファイナル準優勝 20連勝を含む圧倒的ペース
2022-23 西1位 48勝12敗 ファイナル優勝 Bリーグ初制覇、動員と収益もリーグ上位
2023-24 西2位 41勝19敗 ファイナル準優勝 EASLと天皇杯併走の中で勝負強さ維持
2024-25 西1位 46勝14敗 ファイナル準優勝 天皇杯初優勝、若手台頭と両立

ホームゲームは演出の完成度が高い。アリーナ内の映像・音響設計、沖縄民謡を取り入れたクラブテイスト、コートサイド席や視認性の高いサイネージなど、体験価値の細部に至るまで設計されており、初来場者でも直感的に没入できる。地域連携が深く、コンビニや商業施設とのコラボ、教育資材の共同制作、小学校への寄贈など、コミュニティの成功循環を築いていることも特徴だ。

他事例との比較・分析

琉球の特異点は三つある。

  1. アリーナドリブンの興行モデル。1万人規模のハコを前提に、チケット設計、アトラクション、飲食、物販、コミュニケーションを統合。女性比率が高い観客構成に合わせ、動線や演出を最適化することで、客単価と再来場率を両立している。
  2. 勝てるカルチャーの可視化。ハッスルや献身をインサイト化し、スタッツやハイライト編集で価値を翻訳。単純なスター依存でなく、ロール定義と遂行度で評価軸を共有している。
  3. ゲームプランの再現性。守備リバウンドからの一次加速、ハーフコートではシンプルな2メン連動とコーナーの脅威づくりを徹底。主力の欠員が出てもラインナップ調整で再現できる設計がある。

結果として、千葉やA東京などメガクラブと比べても、ホームの一体感とアジャスト力で劣らない競争力を維持。bj出自クラブとして初めてB制覇を達成した歴史性は、運営面の発明と戦術的再現性の両輪が噛み合った証左といえる。

データで読むキングス

  • 入場者数はBトップクラスを継続。平均7000人規模のシーズンも記録し、複数年で入場収入は大幅伸長。
  • CSは長期安定してベスト4以深。ファイナル常連化はリーグでも数少ない。
  • 攻守の肝はリバウンドとターンオーバー抑制。ポゼッションの非効率を最小化し、終盤のクラッチではペースコントロールとショットクオリティの担保を優先する。

運営・パートナーシップの要点

ユニフォームサプライはドーム(アンダーアーマー)。スポンサーは地域大手から全国ブランドまで幅広い。チケットはデジタル完結を推奨し、ファンクラブデータの活用でCRMを高度化。物販はオフィシャルショップとアリーナショップの二軸で、試合日の体験と非試合日の生活導線を接続する。地域連携として教育プログラムや店舗ラッピングなどを展開し、クラブ体験を街の至るところへ拡張している。

若手育成とローテーション設計

近年の沖縄は、短期の勝利と中長期の育成を併走させる設計に舵を切った。シーズン中でもユースや特別指定、育成枠を要所で実戦投入し、役割を明確化。ガードラインのボールプレッシャーやスイッチ後のミスマッチ対応など、試合でしか学べない強度に若手を慣らすことで、主力不在の穴を最小化する。これが過密日程や故障リスクが高いシーズンでの安定度に直結している。

ファン体験を磨く細部

  • 到着から退館までを一筆書きにする動線設計。入場直後に視覚ハイライトが入り、試合間の演出で滞在価値を上げ、退場動線で物販や次戦告知へ誘導する。
  • ブースターの声量と可視化。応援の振り付け、チャンス時のコール、キープレイのハイライト即時再生など、ファンの関与をゴールに近づける。
  • 家族同伴や初観戦への優しさ。トイレ、授乳室、キッズ向けの導線など、離脱ポイントを先回りで潰す。

リスクと課題

課題は三つ。第一に過密日程とコンディショニング。EASLや天皇杯を含む三正面作戦では、主力の負荷管理が勝敗に直結する。第二にCS終盤のクラッチ効率。拮抗戦でのターンオーバーやディフェンスリバウンドの1本が、タイトルの天秤を左右する。第三に収益の天井打ち対策。入場者数は高水準だが、単価の伸びしろ、非試合日の活用、メディア権益の拡張など、次の10億円をどこで積むかの設計が肝になる。

今後の展望とまとめ

琉球は50億円規模の売上目標を公言し、アジア市場や在日米軍コミュニティを含む越境的なプロモーションを視野に入れている。スポーツの価値を「試合」と「街」の両面で増幅させ、アリーナ発の地域経済プラットフォームを築く青写真だ。コート上では、堅守速攻とハーフコートの再現性を磨き、クラッチの勝率を押し上げることが最短の優勝ルートとなる。若手育成のアグレッシブさと、主力の健康管理、そしてホームでの圧倒的な空気感を維持できれば、再び頂点に戻る可能性は高い。

琉球ゴールデンキングスは、勝つための設計と、愛されるための設計を両立させたクラブである。まだ沖縄アリーナに行ったことがない読者は、次のホームゲームで体験してほしい。試合後には、なぜこのクラブが何度もファイナルに戻ってくるのか、その理由が腹落ちするはずだ。

島根の若手フォワード介川アンソニー翔が左膝靭帯損傷で全治10週|Bリーグ選抜戦でのアクシデント

島根の有望株・介川アンソニー翔が左膝靭帯損傷で長期離脱へ


2025年7月10日、B1島根スサノオマジックは、若手フォワードの介川アンソニー翔が「左膝内側側副靭帯損傷」により全治10週間と診断されたことを発表した。今オフ、Bリーグ選抜メンバーとして期待されていた介川だが、思わぬアクシデントによりシーズン開幕前の戦列離脱が避けられなくなった。

介川は、開志国際高校から専修大学に進み、アグレッシブなディフェンスとスラッシャーとしての得点力で注目を集めてきた。196cm、87kgというサイズを活かし、スモールフォワードとパワーフォワードを兼任。世代別の日本代表にも名を連ねた経歴を持つ。

島根には2024-25シーズンの途中で加入。B1リーグでは6試合の出場にとどまったが、身体能力と将来性の高さから、チーム内外から「ブレイク候補」として注目を集めていた存在だ。

怪我の発生は「B.LEAGUE GLOBAL INVITATIONAL 2025」第1戦


負傷は、6月28日に開催された「B.LEAGUE GLOBAL INVITATIONAL 2025」第1戦で発生した。この試合はBリーグが開催するグローバル展開施策の一環で、NBL(オーストラリアリーグ)選抜との交流戦として実施された。介川はこの大会に「B.LEAGUE UNITED」の一員として選出され、若手代表としてコートに立っていた。

試合中、ディフェンス中の接触プレーによって膝を捻る形となり、試合を途中退場。その後の検査で、左膝内側側副靭帯の損傷と診断された。島根スサノオマジックの発表によると、復帰まではおよそ10週間が見込まれており、9月下旬ごろの復帰が視野となる。

島根のチーム事情と介川の役割

島根スサノオマジックは近年、B1リーグでも上位を争うクラブのひとつとして知られるが、2025-26シーズンは主力の一部が移籍するなど、再編のタイミングに差しかかっている。

その中で、介川は機動力と高さを兼ね備えた「3番〜4番ポジション」を任せられる希少なタイプとして、戦術上のキープレーヤーになると目されていた。特に、セカンドユニットでのスピードバスケや、ゾーン対策としてのショートロール起点など、多様な起用法が期待されていた。

今回の離脱はチームにとっても大きな痛手であり、島根としてはリハビリ明けのタイミングでの慎重な復帰プランが求められる。

過去にも同様のケースが複数|靭帯損傷と復帰スケジュールの実例

膝の靭帯損傷は、バスケットボールにおける代表的なスポーツ外傷のひとつだ。過去には、川崎のニック・ファジーカスやA東京のライアン・ロシターといったビッグマンたちも似た負傷を経験しており、一般的には6〜12週程度の復帰期間を要する。

介川の場合、比較的軽度な損傷とされており、手術は回避されたもよう。物理療法とトレーニングによる段階的な復帰が期待されている。ただし、プレースタイルが身体能力を活かすタイプであるため、回復後のフィジカルチェックや再発防止のケアは万全に行う必要がある。

選手・クラブ双方が回復と支援を強調

クラブは公式リリースの中で「現在、早期回復に向けて懸命に治療に取り組んでおります。ご心配をおかけいたしますが、介川選手、島根スサノオマジックへ温かいご声援をよろしくお願いいたします」とファンに向けたメッセージを発信。

選手本人からのコメントは今のところ発表されていないが、SNSではファンからの励ましの声が多く寄せられており、チームメートも復帰を後押しするコメントを続々と投稿している。

今後の展望|復帰後に期待される役割とは

介川が復帰する見込みの時期は、プレシーズンの最終盤からレギュラーシーズン開幕のタイミングにあたる。新シーズン序盤での実戦復帰は微妙だが、Bリーグは長期シーズンであり、コンディションを整えながら少しずつ出場時間を増やしていく可能性が高い。

島根としては、主力のコンディション管理と若手起用の両立が求められる今シーズンにおいて、介川の復帰は極めて重要なピースとなるだろう。

今後のBリーグ選抜への再挑戦、あるいは日本代表候補への復帰も見据えて、若きスウィングマンが再びコートに戻ってくる日を待ちたい。

まとめ:介川アンソニー翔、逆境からのリスタートへ


島根スサノオマジックの介川アンソニー翔が、若くして大きな試練に直面している。だが、彼のポテンシャルと実直なプレースタイル、そして周囲のサポートがあれば、この困難も乗り越えられるはずだ。

ファンにとっては、リハビリ期間中も彼の努力を見守り、復帰戦での活躍を信じて待つ時間となる。Bリーグが注目する若手のひとりである介川が、再びコートに立ち、飛躍のシーズンを迎える日を期待したい。

なお、今後は島根スサノオマジックの医療スタッフとトレーナー陣が連携を強化し、復帰後のパフォーマンス最大化と再負傷防止に向けた最新のリハビリ技術を積極的に導入する予定である。これにより、介川の復活劇がより確実なものとなることが期待されている。