【Bリーグ/トライフープ岡山】完全ガイド|B3リーグで挑み続ける「TRY×HOOP」の哲学と再起のロードマップ

イントロダクション:トライフープ岡山とは何者か

トライフープ岡山(Tryhoop Okayama)は、岡山市と津山市をホームタウンとするB3リーグ所属のプロバスケットボールクラブである。運営は株式会社TRYHOOP。チーム名に込めた「TRY(挑戦) × HOOP(輪/バスケット)」の語感どおり、創業期から「挑戦」「つながり」「地域密着」を核に据え、5人制トップチームに加えて3×3やサテライト、スクールまでを束ねる“多層型クラブ”として成長してきた。B3参入(2019-20)後は上位争いと昇格挑戦、そして成績低迷と再構築を繰り返しつつ、2025-26シーズンは新指揮官・野村慧介HCの下で再起を期している。本稿では、Wikipedia等の公開情報を土台に、歴史・戦力・戦術・地域戦略までを横断し、SEO観点で俯瞰する。

名称・理念:TRYとHOOPに込めた三つの意味

「トライフープ」には、①ゴール(HOOP)へ挑戦(TRY)し続ける姿勢、②人と地域をつなぐ“輪(HOOP)”のハブ、③“TRI(3)”=3人の若者の情熱と、3×3での創設が出自であること——の三層の意味が重ねられている。クラブは「挑戦と感動をエンターテインメントとして創造する」を掲げ、県民に活力を与える存在を目指す。チームカラーはブルー×オレンジ。チアはHOOPSTARS、マスコットはトライプで、試合演出と地域イベントをつなぐ顔として機能している。

ホームタウンとアリーナ:岡山×津山のツイン拠点

ホームは岡山市・津山市のツイン体制。メイン会場は岡山県総合グラウンド体育館(ジップアリーナ岡山)で、津山総合体育館も主要会場として活用。ほかにも笠岡・みまさか・学芸館・御津・きびじ等でホームゲームを開催したシーズンがあり、県内の“面展開”でファン接点を広げてきた。岡山らしい広域分散開催は、移動・運営面の負担も伴うが、認知と裾野拡大という観点ではプラスに働く。

創設からB3参入まで:スクール発→多層クラブの原型

礎を築いたのは、2014年に倉庫を改装して立ち上げた屋内コートとスクール事業である。プロ受け皿がなかった岡山に「自前の土台」をつくるべく、2015年に3×3チームを先行発足。2018年に5人制トップチームを立ち上げ、同年の地域リーグ参戦を経て、2019年にB3公式試合参加資格を獲得、同シーズンから正式にB3へ加盟した。初代HCは元安陽一。比留木謙司は選手兼任GMとしてフロントと現場を橋渡しし、クラブの“立ち上げ期の推進力”となった。

B3での歩み(年表とハイライト)

  • 2019-20:B3初年度は開幕戦で鹿児島に78-75の白星発進。元安HCが途中辞任し、鳥屋尾聡がHC代行(実質指揮は比留木)。最終成績23勝17敗/5位。シーズン途中でBリーグ準加盟が承認され、上位カテゴリを見据えた体制整備が進む。
  • 2020-21:比留木体制が正式発足。コロナ禍対応のなかで30勝10敗/2位と飛躍。攻守に整合したトランジションでB3首位争いに食い込む。
  • 2021-2229勝14敗/5位。前季2位の実績をもとにB2昇格決定戦へ挑むも、アルティーリ千葉に69-100で敗戦。最短距離の昇格を逃す。
  • 2022-2328勝24敗/7位でプレーオフ進出。QFでさいたまに連敗し惜敗。継続性に課題。
  • 2023-24:大森勇HC就任。20勝32敗/11位と失速。PO圏外で“育成と勝利”の両立が揺れる。
  • 2024-25:大森体制2年目は序盤に23連敗のクラブワースト。終盤に4連勝を見せるも、11勝41敗/16位。体制の再設計が急務に。
  • 2025-26:野村慧介が新HCに就任。DOBO(ディレクター・オブ・バスケットボールオペレーション)に篠原滋。大森はアソシエイトコーチに回り、現場知見を継承しつつ刷新を図る。

ロースターの現在地(2025-26):サイズと経験、スキルをどう束ねるか

登録上はガード3枚(秋山煕/横川俊樹/中村瑞稀)、ウイング・フォワード群(若狭功希/フォファナ・ママドゥ/高畠佳介など)、そしてビッグマンの軸にジョシュ・スコット(2.10m)と、帰化枠のソウシェリフ、機動力のあるテレンス・キング、サイズに富むピータージュニア・オコエ(2.05m/U枠)がそろう。得点源としてキャメロン・ハンカーソン(1.96m)のショットクリエイト、ハッサン・モハメドのフィジカル、24番のペイント浸透力にも期待がかかる。

平均的なB3のサイズ感を上回るフロントコートの厚みは、守備・リバウンド再建の起点。一方で、ボール運搬とエントリーの安定ペース管理終盤のショットセレクションは直近シーズンの弱点と重なる。野村HCはここを「ルール化×シンプル化」でテコ入れし、“少ないトリガーで良いシュート”に収束させたい。

戦術とゲームモデル:再現性を高める三本柱

  1. リバウンド・ファーストの負けない設計:スコット/キング/ソウシェリフの3枚でDRB%(守備リバウンド獲得率)を引き上げ、ローポストのダブルチームは“遅らせる”方針でファウル管理を徹底。まずは「簡単に2点を与えない」土台を固める。
  2. ハイロー×ハンドオフの二段構え:ハイポ・スコット→ショートロールで2対1を作り、DHOs(ドリブル・ハンドオフ)からの連鎖でペリメーターの揺さぶりへ。外が渋い日は、キングのショートロール・フローターで“ミドル”の逃げ道も確保。
  3. トランジションの選択と集中:走るか、落ち着くかの判断をPG二枚(秋山/横川)に明確に委譲。“2カウント内の優位がなければ二次攻撃へ”の原則を徹底し、無理な早打ちを削る。

ユニフォームとパートナー:地域企業と歩む

ユニフォームサプライヤーはEGOZARU。オフィシャルパートナーに株式会社ジップカンコー学生服岡山マツダなど地場企業が名を連ねる。ブルー×オレンジの配色は会場映えがよく、地域のスポーツ文化としての視認性・アイコニック性に寄与している。

データで見るトライフープ:強みと課題

  • ピーク値:2020-21の30勝10敗(勝率.750)は、守備とトランジションの循環がかみ合った好例。“失点抑制 → リバウンド走 → シンプル決定”の再現が鍵。
  • 勝率急落の背景:2024-25は23連敗スタートが示すように、ゲーム中の崩れを止める“リセット手段”が不足。TO抑制・ファウル管理・ペース調整の三位一体が崩れると連鎖的に失点が嵩む。
  • 補強ポイント:終盤の「1本作る」late-clock creator(24秒終盤の打開役)と、アウトサイドのcatch&shoot成功率の安定。ウイングのストレッチ性能が上がれば、インサイドの効率も引き上げられる。

育成とサテライト:クラブ一貫の“裾野”を広げる

クラブは2020年にサテライト(地域リーグ)を始動し、初年度は中国・四国・九州リーグで1位(CSは1回戦敗退)。トップとアマ・ユースの間に実戦の橋を架け、フィジカル/スキル/メンタルの移行コストを下げる狙いだ。5人制の育成と並走するのが3×3のTRYHOOP OKAYAMA.EXEで、2015年の総合準優勝、2017・2018・2019年の会期上位実績が示すとおり、短時間での意思決定・間合い作り・1対1の強度を養う“実戦教室”として機能している。

メディアとファン接点:ローカル発の“参加型”

地元ラジオ番組「〜岡山マツダ presents〜 トライフープ岡山 DRIVE RADIO」など、継続的な露出がコミュニティ形成を支える。広域開催ゆえに“会いに行くクラブ”の文脈が強く、子ども・学生・ファミリー層が自然に触れられる導線づくりが試合日の来場動機とリピート率の向上に直結する。HOOPSTARSやマスコットのトライプは、その“触媒”だ。

経営・組織の転換点:フロントと現場の二階建て

2025年に代表取締役の交代があり、フロント側でも体制の微修正が入った。現場は野村慧介HCが新たに指揮を執り、篠原滋がDOBOとして現場と編成の橋渡しを担う。前任HCの大森勇はアソシエイトとして残留し、戦術・選手理解の継承に努める“二階建て”構造だ。短期の勝利と中長期の育成・ブランド構築をどう両立させるかが、今季最大のテーマになる。

対戦相性とゲームプラン:勝ち筋のテンプレート化

上位相手に勝ち筋を作るには、(1)リバウンド差で+6以上、(2)TO14以下、(3)FTアテンプトで相手超え——の“三条件”をゲームプランに落とし込むのが近道だ。B3は選手入替の波が大きく、“蒸留された勝ち筋”の有無が拮抗試合の差になる。スコットのハイポ起点、キングのショートロール、ハンカーソンのセカンダリーといった“役割別の最適解”をテンプレ化し、late-gameのATO(タイムアウト明けセット)を3~4本だけでも高精度に仕上げたい。

ユース×地域:岡山モデルの可能性

岡山・津山のダブルホームは、ジュニア層への可視性が高い。学校訪問、部活動クリニック、地域イベントの定点化は、数年スパンでのユース発掘・動員・スポンサー協業に波及する。試合外日にジップアリーナを起点とした“体験導線”(スクール体験→観戦チケット→再来場)を強化すれば、B3水準を超える“非試合日売上”の芽も育つ。EGOZARUや地場企業と連携した“岡山らしいグッズ”開発も、ブランドの芯を太くするだろう。

リスクと打ち手:連敗の再発をどう防ぐか

  • インジュリーリスク:ビッグラインの稼働が鍵。minute cap(出場時間上限)と帯同11~12人でのマッチアップ可変で負荷分散。
  • メンタル・モメンタム:失点の連鎖は“悪い早打ち”から始まる。2ポゼ連続ミスで必ずセットコールのルール化を。
  • 観客動員の谷:成績低迷期こそ、“地域開催の強み”を可視化。津山・笠岡・みまさか等の巡回戦略を、シーズン前に計画とKPIで固める。

3×3とトップの相互作用:技術転移の設計

TRYHOOP OKAYAMA.EXEは、短時間での意思決定・1on1創造性・スペーシングを磨く最適な現場だ。トップのセットオフェンスに3×3の概念(ghost screen/flip/reject等)を意識的に織り込み、“3×3で勝つ→5人制も改善”という循環を設計する。週次の共同セッションやコーチ間のplaybook共有は、クラブの“複線型育成”を現実の競争力に変える。

まとめ:B3からの再浮上は“設計”で勝つ

トライフープ岡山は、「挑戦」と「輪」を掲げるクラブだ。黄金期(2020-21)の勝ち方は明確に存在し、いま必要なのは再現性の再構築である。リバウンド・TO・FTの“三条件”をゲームモデルに刻み、終盤のAtoZ(ATOとゾーン打開)を磨く。育成と3×3、広域ホームの強みを戦略に結び直せば、B3での再浮上と中期の昇格挑戦は十分に射程に入る。次のホームゲームで、その“TRY×HOOP”の循環を体感してほしい。あなたの一声と一枚のチケットが、岡山のバスケ文化を一段押し上げる。共有&ブクマで、仲間の輪を広げよう。