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【Bリーグ/神戸ストークス】GLION ARENA KOBE元年で加速――川辺泰三体制と大型補強でB1回帰ロードを描く【Bリーグ/B2西地区】

ニュース概要

神戸ストークスが、2025-26シーズンに向けて体制と環境の両輪を一新した。新本拠地GLION ARENA KOBE(収容10,168人)の本格稼働、川辺泰三ヘッドコーチ就任、そして寺園脩斗・笹倉怜寿・八村阿蓮・木村圭吾・アイザック・バッツらの的確な補強で、クラブはB1回帰を見据えた「勝てる土台」づくりを加速させている。開幕節は10月4〜5日の福井戦を連勝で飾り、5日には大阪・関西万博会場での大規模ライブビューイングも実施。観客動員の伸長とコート上の再現性向上を同時に狙う、競技×事業の両面強化が今季のキーワードだ。本稿では、クラブの歴史と転機、ロスターと戦術、競合との比較、そしてB1復帰への現実的なロードマップを、データと事例を交えながら解説する。

背景と経緯

2011年に「兵庫ストークス」として船出したクラブは、2015年に「西宮ストークス」へ、そして2023年に神戸へ移転し現名称神戸ストークスとなった。Bリーグでは2016-17にB2優勝と昇格を果たすも、翌2017-18はB1で苦戦して1年で降格。以降はB2でプレーオフ常連の座と浮き沈みを繰り返し、2024-25は25勝35敗(西6位・全体10位)とクラブの2部最低勝率を更新。勝敗面で苦渋を舐める一方で、神戸移転後は動員が右肩上がりとなり、B2最多入場者数記録を複数回更新した。2025年に開業したGLION ARENA KOBEの存在は、「ホームアドバンテージの最大化」において決定的な意味を持つ。

2025-26は川辺泰三の新体制で再スタート。チームカルチャーを「ストークスプライド(ボールプレッシャー/リバウンド・ルーズボール/ポジションファイトとオンコート・トーク)」と再定義し、守備の強度と球際の執着を明文化した。編成面では、八村阿蓮のフィジカルと万能性、寺園脩斗笹倉怜寿のボールハンドリング、木村圭吾のスコアリング、そしてアイザック・バッツのリム・プレゼンスを軸に「サイズ×遂行力×意思決定」の三位一体で勝ち筋を描く。

選手・チームのプロフィール

クラブの輪郭

  • 所属:B2西地区
  • アリーナ:GLION ARENA KOBE(収容10,168)。アクセス性と視認性を両立した都市型アリーナで、演出とホスピタリティの両輪が強み。
  • チームカラー:グリーン/ブラック。スローガン「ALL GREEN」の文脈を基盤に、2025-26は「STORKS PRIDE -You Show Up!!-」で競争姿勢を可視化。
  • 運営:株式会社ストークス。親会社はスマートバリュー。地域施策「STORKS CONEST」や、プレシーズン興行「KOBE RISING」を通じて市民接点を拡張。

ロスターの中核(2025-26)

  • G:寺園脩斗(1.71m)、笹倉怜寿(1.87m)、野溝利一(1.65m)。ギャップ創出/終盤の意思決定/P&Rのテンポ管理が役割。寺園はスモールでも齟齬の少ないハンドラー、笹倉はサイズと守備のスイッチ対応が魅力。
  • ウィング:木村圭吾(1.88m)、道原紀晃(1.78m)、中島三千哉(1.79m)、金田龍弥(1.95m)。ペリメータの重力+連動カットでハーフコートに潤滑を与える。
  • フォワード:八村阿蓮(1.98m)、ラウル・アルキンズ(1.96m)、ヨーリ・チャイルズ(2.02m)。スイッチ守備・強度・ミスマッチ狩りの三拍子。八村はフェイスアップとミドルでの打開力が鍵。
  • センター:アイザック・バッツ(2.08m)。スクリーンの角度とロールの深さでペイントを制圧し、DREBで1ポゼッション完結力を供給。

年齢構成はベテランの経験値とU25の伸びしろが適度に混ざり、「計算できるコア+変数」のバランスが良い。川辺HCのカルチャー設計と親和性が高く、守備ルールの遵守で勝率の分散を抑えられる構図だ。

試合・出来事の詳細

開幕節連勝と「ホームの作法」

10月4〜5日の福井戦は、新加入勢が躍動して2連勝。トランジションのトーンを抑え、ハーフコートでの最短距離のアドバンテージ確保(ドラッグスクリーン、アーリーシール、ショートロール→0.5秒の意思決定)が機能。終盤は寺園と笹倉の時間帯分けでターンオーバーを管理し、バッツのDREBから2次加速で追加点を重ねた。5日のゲームは夢洲・万博会場でのライブビューイングを併催し、「会場外での同時体験」という新たな導線を設けたのも注目点だ。

2024-25の反省と、2025-26のアップデート

昨季は29→25勝へと後退し、9連敗や故障連鎖で再現性が崩れた。特に課題は「失点の質」で、セカンドチャンスとファウル由来の失点が重なり、接戦の勝ち切り率を下げた。今季はバッツの合流で1stポゼッション完結率が上がり、ウィングのスイッチ守備で相手の1stアクション遅延が可能に。八村とアルキンズのサイズ・機動力によって、相手のショートクロックを強要できる。

他事例との比較・分析

1) B2西地区のゲームモデルと対抗軸

西地区はサイズ・遂行力・ハーフコートの均質性が高く、拮抗試合が多い。神戸はそこに対し、「守備の規律化 × ペイントタッチの回数増」で勝ち筋を設計する。ディープドロップに対してはショートロールの0.5秒判断、スイッチに対してはインサイドのアーリーシールとウィークサイドの45度リフトでヘルプの判断を難しくする。守備はICE弱サイドのタグを徹底し、トランジション抑制→ハーフコート勝負に誘導する。

2) アリーナ移転・新設のベンチマーク

国内外のバスケ市場で、新アリーナ元年は平均入場者・物販・スポンサー露出が伸びやすい。鍵は「再訪動機の設計」だ。座席快適性、導線、演出、音響、飲食、モバイル体験(チケレス/モバイルオーダー/ポイント連動)、ファミリー施策、そして勝率。GLION ARENA KOBEのキャパ10,168は、平均稼働率×単価×来場頻度の最適化で、B2水準を超える収益ポテンシャルを持つ。神戸はKOBE RISINGなど独自イベントで非試合日も人を呼べる「目的地化」を狙える。

3) 人件費と競争力の相関――中期の最適化

昇格争いは往々にして人件費=勝率の相関が高いが、全てを上積みするのではなく、国内枠の再現性外国籍のフィットの総合で「1勝あたりコスト」を抑えるのが肝。今季の神戸は寺園+笹倉のボール保持力八村・アルキンズのサイズバッツのリム制圧“相性”の良いパーツを選べている。これにより、終盤の「異常値に頼る勝ち方」から「積分的に勝ち切る」スタイルへ移行できる。

今後の展望とまとめ

短期KPI(今季)

  • ディフェンス:相手の2ndチャンスポイントFT由来失点の抑制。バッツのDREB%最大化と、八村・チャイルズの外→中のスクラムでボールに群がる。
  • オフェンス:ペイントタッチ回数FT獲得率の継続的増加。寺園のペースコントロール、笹倉のサイズミスマッチ活用でクラッチの選択肢を明確化。
  • ホームアドバンテージ:平均稼働率の引き上げと顧客生涯価値(LTV)の最大化。ライブビューイングやファミリー施策とのセットで来場頻度を増やす。

中期ロードマップ(2〜3年)

U25の成長曲線(木村・中島・金田・野溝)をローテに組み込み、「守備の自前化」を推し進める。ドラフトや特別指定でウィング守備×ショットのプロスペクトを継続的に補給し、外国籍の役割特化で上振れを狙う。編成の柔軟性を維持できれば、B1昇格後の戦線維持も視野に入る。

リスクと代替プラン

  • 故障リスク:ガードの稼働率低下は致命的。二重系(寺園×笹倉)運用に加え、オンボールを八村・アルキンズに一時移譲するセットを常設。
  • 勝ち切り力:クラッチの意思決定にブレが出た場合、ATO(タイムアウト後)のセットとSLOB/BLOBの成功率で短期補正。
  • 動員回帰:“初モノ効果”の剥落に備え、リピーター施策を積層。デジタル会員の段位制度、非試合日開放、地域連携の常設化で日常的接点を増やす。

結論

神戸ストークスは、GLION ARENA KOBEを舞台に、川辺泰三体制のカルチャー浸透と的確な補強で、「守備の規律×ペイントタッチ×ホームの作法」という明快な勝ち筋を手に入れた。B2西地区の均衡を割るには、細部の積分がすべてだ。球際、トーク、ポジショニング──ストークスプライドが1点を動かす。今季の神戸は、B1回帰ロードを現実のものにできるか。この記事が観戦計画や議論の起点になれば幸いだ。気になるポイントやデータの深掘りを共有し、#神戸ストークス とともにこの新時代を追いかけよう。

【Bリーグ/信州ブレイブウォリアーズ】2025-26クラブガイド:歴史・ロスター・会場・見どころ

信州ブレイブウォリアーズ 2025-26 クラブガイド

信州ブレイブウォリアーズ(Shinshu Brave Warriors)は長野県長野市・千曲市をホームタウンとするプロバスケットボールクラブ。運営は株式会社NAGANO SPIRIT。2011年創設、2025-26はB2東地区で戦う。


クラブ概要

  • 所属:B.LEAGUE / B2 東地区
  • 本拠地:長野県 長野市・千曲市
  • ホームアリーナ:ホワイトリング、ことぶきアリーナ千曲
  • チームカラー:ウォリアーブルー / 日本アルプスシルバー / 姨捨名月イエロー
  • ヘッドコーチ:勝久マイケル
  • 運営:株式会社NAGANO SPIRIT(代表取締役社長:木戸康行)
  • タイトル:B2優勝1回(2018-19)
  • マスコット:雪男「ブレアー」
  • チア:JASPERS(ジャスパーズ)

会場・ホームゲーム

主会場はホワイトリング(長野市・収容約5,791人)とことぶきアリーナ千曲(千曲市)。県内複数都市での開催実績も豊富で、県全体でクラブを支える文化が根付く。

歴史トピック(ダイジェスト)

  • 2011-12:bjリーグ新規参入で船出。
  • 2018-19:B2中地区優勝 → B2ファイナル制覇。
  • 2019-20:B1ライセンス交付でB1昇格確定。
  • 2020-23:B1で健闘し、21-22は初の勝ち越し(28勝26敗)。
  • 2023-24:B1中地区7位(10勝50敗)でB2降格。
  • 2024-25:B2東地区3位(38勝22敗)。PO3位で1年復帰はならず。

2025-26 ロスター(B2 東)

  • SF #0 福島ハリス慈音ウチェ
  • SF #3 エリエット・ドンリー
  • PF #4 小玉大智
  • PG #5 土家大輝
  • PF #7 アンジェロ・チョル
  • PG #11 小栗瑛哉
  • SG #12 栗原ルイス(キャプテン)
  • SF #15 アキ・チェンバース
  • F/C #24 マイク・ダウム
  • SF #27 東海林奨
  • PF #34 渡邉飛勇
  • PG #46 生原秀将
  • C #50 ウェイン・マーシャル(キャプテン)
  • SG #51 横山悠人

スタッフ:ヘッドコーチ=勝久マイケル/トップAC=久山智士、カイル・マーシャル

戦力の見どころ

  • サイズ&フィジカル:ウェイン・マーシャル、渡邉飛勇、アンジェロ・チョルでリム守備とリバウンドを確保。
  • ストレッチ能力:マイク・ダウムの外角と合わせの巧さはB2でも脅威。
  • ハンドラーの層:生原秀将、土家大輝、小栗瑛哉のガード陣でテンポとゲームコントロール。
  • ウィングの運動量:栗原ルイス、アキ・チェンバース、東海林奨が3&Dとトランジションを牽引。

ユニフォーム&パートナー(2025-26)

  • サプライヤー:B-Five
  • ユニフォームスポンサー:
    • 前面:オリオン機械(左肩)、ホクト(中央)
    • 背面:セイコーエプソン(背番号上)、昭和電機産業(選手名下)
    • パンツ:日本ステンレス精工/アルピコHD/KATEKYO学院/栗田病院/高沢産業/本久/長野朝日放送/クォリティフーズ/不二越機械工業/ワールド開発工業/信越電装

コミュニティ

信州ゆかりの著名人が務める「ウォリバサダー」がクラブを後押し。県全体で盛り上げる体制が特徴だ。

まとめ

堅守とサイズ、走力の掛け合わせに伸びしろ十分。ホーム「ホワイトリング/ことぶき」での一体感を武器に、B2東の上位進出とB1返り咲きを狙うシーズンとなる。