ニュース概要
遼寧瀋陽三生飛豹バスケットボール倶楽部(りょうねい・しんよう・さんせい・ひひょう、簡体字:辽宁沈阳三生飞豹篮球俱乐部、英語:Liaoning Shenyang Sansheng Flying Leopards Basketball Club)は、中国・遼寧省瀋陽市を拠点とする男子プロバスケットボールクラブである。中国バスケットボール職業リーグ(CBA)に所属し、冠スポンサーの名称により「遼寧本鋼(Liaoning Bengang)」としても知られている。
略称は「遼寧飛豹」。CBA参入(1995年)以降、リーグ優勝4回(2018・2022・2023・2024)、準優勝8回を誇る名門クラブであり、1953年創設の遼寧省代表をルーツに持つ。伝統と実力を兼ね備えた「北方の飛豹」として、中国バスケットボール界を牽引している。
クラブ概要
- 本拠地:遼寧体育館(遼寧省瀋陽市)
- チームカラー:金色/ディープオレンジ/ライトグレー/黒
- オーナー:三生製薬
- ゼネラルマネージャー:劉子慶
- ヘッドコーチ:楊鳴(ヤン・ミン)
- マスコット:小豹(シャオシャオ)
名称の変遷
遼寧飛豹は70年以上の歴史を誇る。チーム名の変遷は中国バスケットボールの発展とスポンサーシップ文化の象徴でもある。
- 東北体育訓練班 → 遼寧省バスケットボールチーム
- 遼寧ハンター(辽宁猎人)
- 遼寧パンパン(辽宁盼盼/辽宁盼盼巨龙)
- 遼寧衡業(辽宁衡业)
- 遼寧薬都本渓(辽宁药都本溪)
- 遼寧本鋼(辽宁本钢:現行の冠名)
- 2019年:現行法人名「遼寧瀋陽三生飛豹」へ改称
歴史と歩み
1950–1990年代:国体の名門からCBA創設クラブへ
1953年に東北体育訓練班バスケットボールチームとして誕生。1980年代には全国リーグで4度の優勝を果たし、中国バスケットボール界を代表する存在となった。1990年にはアジアクラブ選手権を制覇し、国際舞台でも名を知らしめた。
1995年、CBA発足と同時に参入。当初は「遼寧ハンター・瀋飛客車」の名で活動し、創設期からリーグを支える存在となった。1996–97シーズンでは八一ロケッツの48連勝を止め、“軍遼争覇”と呼ばれる黄金時代を築いた。
2000–2010年代:低迷と再建、そして復活
2002年、営口盼盼集団の支援を受けて再編。2003–04シーズンには北地区1位を獲得するも、優勝には届かず。2011年に衡業集団が継承し、ホームを本渓市に移転。「遼寧衡潤飛豹」として再スタートを切った。
2014–15、2015–16シーズンは連続でファイナル進出。北京首鋼、四川金強に敗れはしたが、その実力は全国屈指。ファンとともに成長するチームカルチャーが確立された。
2017年以降:黄金期の到来
2017–18シーズン、チームはついに悲願の初優勝を達成。浙江広厦を4–0で圧倒し、CBA王者に輝いた。2019年に法人名を「遼寧瀋陽三生飛豹」に変更し、クラブ運営をさらに強化。
2021–22、2022–23、2023–24シーズンには3連覇を達成。プレーオフでは圧倒的な安定感を見せ、中国北部を代表する“バスケットボール王朝”を築いた。
主要戦績
- リーグ優勝:4回(2018、2022、2023、2024)
- 準優勝:8回(1996〜2016)
- アジアクラブ選手権:優勝(1990)、準優勝(1988・1992・1999)
- EASL 非凡12:優勝(2019)
- ザダル選手権:6位(2018)
チーム文化とスタイル
遼寧飛豹のスタイルは「激しさと統制の両立」である。鋭いディフェンスと精密なパスワークでゲームを支配し、近年ではスリーガードとストレッチ4を多用したモダンな布陣を採用。フィジカルに頼らず、連携と戦術理解で勝負する中国バスケットの模範的存在だ。
また、地元・瀋陽を中心としたファン文化も成熟しており、ホームの遼寧体育館は毎試合熱気に包まれる。マスコット「小豹(シャオシャオ)」は、勝利の象徴としてファンから愛されている。
現行ロスター(2024–25)
付豪(1/PF-C)、趙継偉(3/CG)、カイル・フォッグ(4/CG)、黄秋実(6/C)、趙率舟(7/SF)、ジェイムズ・ウェブIII(9/PF)、張峻豪(11/CG)、劉雁宇(17/C-PF)、デズミン・ウェルズ(21/CG)、李暁旭(22/PF-C)、俞沢辰(27/F)、張陳治鋒(31/C)、王嵐嶔(33/CG)、鄢手騏(36/CG)、李虎翼(37/G-F)、任序航(44/C)、韓徳君(55/C・主将)、張鎮麟(77/F)、キャメロン・オリバー(00/PF)
ヘッドコーチ:楊鳴/アシスタント:ウーゴ・ロペス、呉乃群、劉志軒/GM:劉子慶(更新:2025年4月19日)
象徴的プレイヤー
- 楊鳴(PG/2004–2019)— 指揮官としても名将に転身
- 郭艾倫(SG/2010–2024)— 中国を代表するスコアラー
- 韓徳君(C/2007–)— “功夫熊猫”の愛称で親しまれるセンター
- 趙継偉(PG)— 中国代表の司令塔
- 張鎮麟(SF)— 次世代エースとしてNBA挑戦経験も
退役番号
背番号12:楊鳴(PG/2004–2019)— 2019年11月4日に掲額。
今後の展望
CBAにおいて4度の優勝、3連覇を成し遂げた遼寧飛豹は、まさに「現代中国バスケの象徴」といえる存在となった。若手の成長と国際舞台への挑戦が次のテーマであり、張鎮麟や趙継偉といったスターの国際経験はチームの未来を切り拓く要素だ。
戦術的成熟とロスター層の厚さを武器に、遼寧瀋陽三生飛豹はこれからもCBAの中心に立ち続けるだろう。彼らの戦いは、単なる勝敗を超えた「中国バスケットボールの進化」の象徴でもある。