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【Bリーグ/徳島ガンバロウズ】2025-26完全ガイド|メディアドゥ発・地方創生クラブの挑戦とB3躍進の全貌

徳島県初のプロバスケットボールクラブ誕生

徳島ガンバロウズ(Tokushima Gambarous)は、2022年に創設された徳島県初のプロバスケットボールチームであり、現在B3リーグに所属している。クラブを運営するのは株式会社がんばろう徳島。親会社には電子書籍取次大手のメディアドゥが名を連ね、地方創生とスポーツビジネスの融合を体現する新興クラブとして注目を集めている。チームカラーは水色と黄色、ホームアリーナは徳島市立体育館およびとくぎんトモニアリーナ。スローガンは「がんばろう、徳島。」——クラブ名自体が地域に根ざしたメッセージである。

創設までの経緯と背景

徳島にプロバスケットボールチームを創る構想は2019年に動き出した。バスケットボール指導者の若松直樹氏が中心となり、社会人チーム「徳島ワイルドリバース」を設立。しかし、B3参入に必要な7,000万円の資金を調達できず、活動は停滞していた。転機となったのは2022年、徳島県出身でメディアドゥ創業者の藤田恭嗣氏が参画したこと。資金問題が解消し、同年1月14日にチーム設立を正式発表。4月1日には、メディアドゥを筆頭に徳島ゆかりの23社が出資する運営法人「株式会社がんばろう徳島」が発足した。

この法人はワイルドリバースを母体としつつ支援体制を拡充し、新チーム「徳島ガンバロウズオルト(ALT)」として地域リーグに参入。B3基準に適応可能な選手を選抜して本チーム契約へと移行する構造を取った。創設からわずか1年でB3参入を実現したのは、地元企業と自治体、バスケットボール協会の三位一体の連携が背景にある。

B3リーグ参入と初年度の躍進

2023-24シーズン、徳島ガンバロウズはB3デビューイヤーながら31勝21敗(勝率.596)で5位と好成績を収め、プレーオフではセミファイナル進出を果たした。初代ヘッドコーチにはアメリカ出身のデマーカス・ベリー、GMにはザック生馬を招聘。岡山から獲得した若狭功希が契約第1号選手となり、既存メンバーと地域リーグ出身者を融合したロスターを構築した。

B3屈指のフィジカルバスケットを展開し、攻撃的なプレースタイルでファンを魅了。平均得点4,370点、失点4,157点、得失点差+213というスタッツは新規参入チームとしては異例の高水準であった。ホームゲームでは観客動員数を着実に伸ばし、徳島バスケ文化の新しい象徴として地域メディアの露出も急増した。

2024-25シーズン:成績と課題

2年目の2024-25シーズンは、25勝27敗(勝率.481)で9位。プレーオフ進出を逃す結果に終わった。攻撃の中心であった外国籍選手の負傷や、終盤のディフェンス調整の遅れが響いた格好だ。それでも得点3,979点、失点4,131点と試合内容は拮抗。課題は主に以下の3点と分析される。

  1. リバウンド・セカンドチャンスの減少(OR%がリーグ中位)
  2. 終盤のターンオーバーとペースコントロールの不安定化
  3. ペイント内でのフィジカルマッチアップへの対応不足

一方で、チーム全体の成長曲線は明確で、ローカルスポンサー・自治体連携の増加、ファンイベントの拡充など、運営面の基盤強化が進んだシーズンでもあった。

2025-26シーズンロスターと新体制

2025-26シーズンの徳島ガンバロウズは、指揮官に小林康法HCを迎え、新たなフェーズへ。アシスタントコーチは久川貴之と月野雅人。チームリーダーである塚本雄貴(C)を中心に、経験豊富な国内勢と高い身体能力を誇る外国籍選手を組み合わせたロスター構成となっている。

  • 主力外国籍選手:ルーズベルト・アダムス(フィリピン代表歴)、テイブリオン・ドーソンライアン・ローガンクリス・マクラフリン
  • 日本人主力:塚本雄貴綱井勇介鶴田美勇士森山修斗
  • 若手・育成枠:松本礼太青山晃也デイビッド・コンゴロー(留学実績枠)

チーム平均身長は1.93mとB3上位水準。インサイド陣の層が厚く、特にコンゴロー(2.06m)とマクラフリン(2.08m)のツインタワー構成は守備・リムプロテクト面での鍵を握る。フィリピン特別枠のアダムスはスラッシャー型ウイングとして機動力を補い、国内ガード陣との連携による速攻パターンが期待される。

ホームアリーナと地域連携

ホームは「とくぎんトモニアリーナ」を中心に、「アスティとくしま」「アミノバリューホール」「藍住町体育館」「うだつアリーナ」など県内複数会場を併用。2024-25シーズンではホーム26試合中14試合をとくぎんで開催。徳島全域を“ホームタウン”と捉える分散開催は、地域密着を重視するBリーグ戦略のモデルケースとも言える。

また、マスコットの「チェック&バロウ」は犬をモチーフとしたペアキャラクター。キャプテン役のチェックとムードメーカーのバロウが、試合前イベントやSNSコンテンツでクラブの親しみやすさを演出している。

戦術とチームスタイル

小林HCの指導方針は「守備からのトランジション」。ペースを落とさず、攻守の切り替えを最短化するバスケットを志向。スクリーン後のリロケートやキックアウトの精度を上げ、3Pとペイントアタックのバランスを整えることが目標だ。また、外国籍選手の個人技に依存せず、塚本・綱井らのゲームメイク力を活かすチームバスケへの移行もテーマとして掲げられている。

地域発クラブの価値と今後の展望

徳島ガンバロウズの特徴は、単なるスポーツチームにとどまらず、「地方発の社会実験モデル」としての側面を持つことにある。メディアドゥのDX(デジタルトランスフォーメーション)ノウハウを生かし、電子書籍・NFT・ライブ配信などを通じて新たなファン接点を創出。地域の子どもたちに向けた「バスケを軸とした学び・交流・キャリア教育」プログラムも拡充中だ。

中期目標はB2昇格、長期的には四国4県を巻き込んだ「Shikoku Basketball Belt(仮称)」構想の形成。B3での競技基盤を強化しつつ、地域経済・文化のハブとしての役割を広げていく方針である。

まとめ:徳島から全国へ、“がんばろう”のその先へ

創設からわずか数年でB3有数の存在感を放つ徳島ガンバロウズ。2025-26シーズンは、競技・経営・地域貢献の三軸でさらに飛躍が期待される。地方発クラブの理想像として、徳島モデルが全国のローカルバスケットボールに与える影響は大きい。読者の皆さんも、ガンバロウズのホームゲームで、“がんばろう”が現実を変えていく瞬間を体感してほしい。