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【CBA/山東キリン】中国バスケ創設期から続く名門「山東高速」の歴史と現在地

ニュース概要

中国男子バスケットボールリーグ(CBA)における名門クラブ「山東山高バスケットボール倶楽部(Shandong Kirins)」は、1995年のCBA創設期から参戦している老舗チームだ。
本拠地は山東省済南市、運営は山東高速集団が担い、チームカラーは濃紺・赤・オレンジ・青・グレー。
2024年には新たに「山東山高」と改称し、邱彪ヘッドコーチの下で再スタートを切った。
クラブ史上最高成績は2012–13シーズンの準優勝で、現在も北地区の上位争いに食い込む存在である。

背景と歴史的文脈

山東チームはCBA黎明期からの「創設メンバー」の一角として知られる。
創設当初は「山東隊」として活動し、その後スポンサーや経営母体の変化に伴いチーム名が幾度も変更された。
1990年代末には「山東永安火牛」、2000年代には「山東金斯頓獅」や「山東黄金」などの名称で活動。
2014年に山東高速集団がメインスポンサーとなり、チーム名を「山東高速金星」と改めた。
その後、西王集団への経営譲渡を経て2021年に「山東高速麒麟」、2024年には「山東山高」として再スタートを切った。

この複雑な名称の変遷は、CBA黎明期から続く地方経済とスポーツの結びつきを象徴している。
山東省は経済的にも中国の中核地域であり、企業スポンサーがチームブランドを形成してきた。
特に「黄金時代」と呼ばれた2000年代には、巩晓彬(コン・シャオビン)や紀敏尚らが活躍し、CBA全体を牽引する存在となった。

選手・チームのプロフィール

現在の山東山高は、ベテランの陶漢林を軸に、ガード陣の高詩岩、スコアラーの陳培東、フォワードの焦海龍らが主力を構成。
外国籍選手としては、NBA経験を持つベン・マクレモアや南スーダン代表のマリアル・シャヨックが在籍したことでも知られる。
チームを率いるのは邱彪HCで、総監督(GM)には元中国代表監督・宮魯鳴が就任している。
この体制は育成と勝利の両立を目指したもので、山東の伝統的な「インサイド主体バスケット」を現代的にアップデートしている。

試合・出来事の詳細

クラブのピークは2012–13シーズン。レギュラーシーズン24勝8敗で2位につけ、ファイナルでは惜しくも準優勝に終わった。
以後も上位常連として存在感を保ち、2017–18シーズン(4位)、2020–21シーズン(ベスト4)など安定した成績を残している。
また2023年には「700CC杯」や「夏季バスケットボール対抗戦」で優勝を果たし、国内外の強化試合でも結果を残した。
マカオで開催された「EASL非凡12」など国際大会への出場経験もあり、アジアレベルでも評価が高い。

戦術・技術・スタイル分析

山東山高の戦術的特徴は、フィジカルを活かしたインサイドプレーに加え、速攻と3ポイントを織り交ぜた「ハイブリッド型」バスケットボール。
陶漢林のポストプレーを軸に、外角からの高詩岩や陳培東のシュートでスペースを広げるスタイルを取る。
コーチの邱彪はディフェンスからトランジションへの切り替えを重視し、近年のCBAで主流となる「ハイテンポ&3P志向」に対応した布陣を採用している。
一方で、守備面でのリバウンド対応やファウル管理など、フィジカル戦における課題も残している。

ファン・メディア・SNSの反応

山東山高は「地元密着型クラブ」として地域社会との結びつきが強い。
Weiboなど中国SNSでは、「誇り高き山東魂」や「老牌球隊(伝統チーム)」という言葉で称されることが多い。
ファンの間では、陶漢林の献身的プレーや巩晓彬の指導者としてのカリスマ性が語り草となっている。
2024年のチーム名変更時には、ファンの間で「山高=再出発の象徴」として歓迎する声が上がった。

データ・記録・統計情報

  • 創設:1995年
  • 最高成績:準優勝(2012–13)
  • レギュラーシーズン勝率:通算約55%
  • 主なシーズン成績:2017–18(RS4位/ベスト4)、2020–21(RS5位/ベスト4)
  • 主な功績:CBA準優勝1回、ベスト4進出4回
  • 主な個人記録:陶漢林(通算リバウンド2,800超)、丁彦雨航(2017–18 MVP)

リーグ全体への影響と比較分析

山東山高はCBAにおける「安定した中堅上位クラブ」の代表格であり、広東宏遠や遼寧本鋼のような王朝チームとは異なるが、長期的にリーグを支えてきた存在だ。
また、育成面では中国代表候補を複数輩出し、陶漢林や丁彦雨航などが代表キャリアを築いた。
クラブの経営モデルは地方政府と企業資本の協働型で、CBAの地方分権的運営の象徴ともいえる。
2020年代に入り、CBA全体がグローバル志向を強める中、山東は伝統を守りながらも戦術・経営の両面で新陳代謝を進めている。

今後の展望とまとめ

2024年に「山東山高」として再出発したクラブは、育成と勝利の両立を掲げる。
若手の成長と外国籍選手の補強が噛み合えば、再び上位進出の可能性も高い。
CBA創設から30年を迎える節目に向け、「伝統と革新の融合」をキーワードに新時代の山東バスケットを築くことが期待されている。
地元ファンにとっても、麒麟のエンブレムが再び輝く瞬間を待ち望む声が高まっている。

── 山東山高は、中国バスケの過去と未来をつなぐ“生きた歴史書”である。