山口パッツファイブ」タグアーカイブ

【Bリーグ/山口パッツファイブ】徹底ガイド|改称の背景・アリーナ戦略・成績推移・2025-26ロスターを深掘り【B3リーグ】

クラブ概要と現在地――山口パッツファイブとは何者か

山口パッツファイブ(Yamaguchi Patsfive)は、山口県宇部市をホームタウンとするB3リーグ所属クラブ。2020年に「山口ペイトリオッツ」として創設され、2023年に現名称へ改称した。運営法人は山口プロバスケットボール株式会社。県内初のプロバスケットボールチームとして立ち上がり、創設5年余でプレーオフ初出場(2024-25)を達成。2025-26は新ヘッドコーチ枝折康孝の下で“守備起点の再現性”を高め、B3中位から上位圏への跳躍を狙う。

キーワードは「継続」「地域浸透」「守備の再定義」。本稿では、名称変更の背景、アリーナとホームタウン戦略、年表で振り返る成績推移、スポンサー・経営、今季ロスター分析、戦術課題、そしてKPIまでを一気に整理する。主要キーワード「山口パッツファイブ」は適宜織り込み、検索からの導線と読後の理解を両立させる構成とした。

名称変更の背景とアイデンティティ設計――「パッツ」×「ファイブ」の意味

クラブは2023年7月、山口ペイトリオッツ → 山口パッツファイブへ改称した。背景には、「Patriots」の国内商標の事情がある。略称として愛着のあった「パッツ」を残しつつ、山口の歴史的象徴である長州ファイブに由来する「ファイブ」を重ね、「志ある者=志士が一丸となる」チーム像を再定義した。チームカラーはオレンジ。ロゴには県鳥ナベヅルを配し、上昇と結束の物語を視覚化している。

ブランディング面では、名称・カラー・ロゴの三位一体で「地域誇り×挑戦」のシグナルを発信。改称は単なる看板付け替えではなく、クラブの行動原理を刷新する「編集」でもあった。

開催アリーナとホームタウン戦略――“宇部ハブ+県内回遊”からの最適化

ホームの核は宇部市俵田翁記念体育館。創設初期は周南・山口・下関・萩・防府・岩国など県内各地を巡回するスタイルだったが、2023-24以降は宇部を中心に山口市・下関市へ集約。移動・演出・営業の効率化を進めながら、依然として複数会場に触手を伸ばし「出会いの総量」を担保する折衷モデルへ移行した。

  • 2021-22~2024-25の主会場出場数(抜粋):俵田翁記念体育館 16→20→22→20、J:COMアリーナ下関 0→0→0→4、山口リフレッシュパーク 0→2→2→2
  • メリット:動線の簡素化、演出・物販の標準化、スポンサー露出の一貫性。
  • 課題:分散開催の強み(新規層開拓)を失わないための「出張ホーム」設計。

年表でたどる主要トピックス(2019–2025)

  • 2019:設立準備組織「山口Bリーグ設立委員会」発足。
  • 2020:クラブ創設。地域リーグ参加を経てB3参入準備。
  • 2021-22:B3参入。12勝40敗(15位中12位)。開幕翌日にリーグ初勝利。STAND TOGETHERを掲げるも17連敗の苦渋。
  • 2022-2313勝39敗(16位中15位)。攻撃は中位も、総失点4627(1試合約89失点)でリーグワースト。
  • 2023-2416勝36敗(18位中16位)。チーム名を山口パッツファイブへ変更。
  • 2024-2525勝27敗(8位/プレーオフ進出)。守備改善が進み、4連勝×1回、5連勝×2回で追い上げ。QFで敗退。
  • 2025-26:枝折康孝HCが就任(鮫島HCは鹿児島GMへ)。新体制で“二段目の成長”に挑む。

最新の成績サマリー(B3)

シーズン 勝率 順位 得点 失点 備考
2021-22 12 40 .231 12位 4079 4808 17連敗を経験
2022-23 13 39 .250 15位 4271 4627 失点ワースト
2023-24 16 36 .308 16位 4092 4610 改称1年目
2024-25 25 27 .481 8位 3975 4131 初のPO進出

数値は公式のシーズン表記に基づく。2024-25の「失点抑制」へのシフトは、翌季に向けた戦術のベースとなる。

スポンサーとユニフォーム(2025-26)――地元カラーが濃いパートナー群

サプライヤーはb-five。シャツ前面には山口マツダ(右肩)とユーピーアール(中央)、背面はJAバンク山口、パンツは大晃ホールディングス/丸久/アルテクス/宇部市が名を連ねる。地場企業・自治体が並ぶ構成は、“県民クラブ”としてのアイデンティティを補強する。

2025-26ロスター徹底解剖――サイズ×機動力のリブート

現行ロスター(抜粋/年齢は登録上)

  • エヴァン・ブラウンズ(C/2.06m・23):リム直下の決定力。ディープドロップからの縦守備でペイント封鎖を担う柱候補。
  • アンテイビオン・コラム(C/2.06m・25):ブラウンズと双璧のサイズ。PnRの“受け”とオフェンスリバウンドでセカンドチャンス創出。
  • ボスティン・ホルト(F/2.01m・26):ウィング~PFを往復するスイングマン。DHO起点の二次創造に強み。
  • 栗原クリス(SG/1.88m・26):ショットクリエイト兼3&D。オフボールの角度取りでPAINT→KICKの終点に。
  • 重冨友希(PG/1.74m・27)喜志永修斗(PG/1.81m・25):テンポメイクの二枚看板。ゲームの「呼吸」を整える。
  • アルビンダー・シン(F/2.05m・22|アジア特別枠):サイズとレンジを兼備。ハイローの“ハイ”を務めやすい器用さ。
  • ほか井手優希/田中勇樹/田中翔大/榎田拓真/山口力也/レオ・カオル・エイケンらがローテ層を形成。

編成の狙いは明快だ。2m超のサイズ×守備の厚みでB3の物量に拮抗し、オフェンスはDHO(ハンドオフ)とPnRの連結で“ズレ”を作る。枝折HCの初年度は、役割の固定と連携の速度がキーワードになる。

戦術とデータで読む「強み/課題」――守備を土台に効率を上げる

強み

  • サイズの連続性:ブラウンズ×コラム×ホルトで、守備の縦圧とリム周りのショット抑制が可能。
  • ガードのバランス:重冨・喜志永の二人体制でペースコントロールと終盤のATO遂行力が担保される。
  • アジア特別枠の拡張性:シンの起用で、ストレッチとハイローを同居させやすい。

課題

  • ターンオーバー由来の被トランジション:ボール運動を速めるほどリスクも増す。0.5秒ルール(即断即決)を徹底し、悪いタフ2とスローTOを削る。
  • コーナー3の被弾抑制:弱サイドのX-OUT(入れ替え)とロータグの発動基準を秒単位で共有する。
  • クラッチの初手多様化:サイドアウトでのセットを3系統(ピン→フレア、ゴースト→スリップ、ベリーレイトPnR)用意し、読み合いに厚みを持たせる。

実装メモ(2025-26向け)

  1. ラインアップ別ルール:ビッグ×ビッグ時はハイポスト経由のショートショート、スモール時はセーフティ2名でリバウンドクラッシュ数を抑制。
  2. ショットマップ:リム+コーナー3の比率を上げ、ミッドレンジはゲームマネジメント用に限定。
  3. オフェンスリバウンドの選択:状況別にクラッシュ人数を1→2へ可変。被速攻の連鎖を断つ。

他クラブ比較――B3上位に届くための“あと一歩”

直近の上位勢は、eFG%の差し合いで+3~5ptの優位を確保しつつ、トランジションの走力で試合のテンポを握る傾向が強い。山口パッツファイブが食らいつくには、(1)ペイントタッチ→キックアウトの回数を増やし高効率ショットを量産、(2)交代と同時に「守備ルールが変わらない」再現性、(3)ホーム演出を“競技優位”へ転化するオープニングスクリプト(2本のセットで+4点を狙う)といった具体策が効く。

ファン体験と地域接続――ブルームと一緒に「オレンジ」をまとおう

チアダンスチーム「ブルーム」がゲームデーを彩る。県内複数会場を活用してきた歴史は、山口県の広域性と相性がよく、“各地のホーム感”を醸成してきた。2025-26は集約モデルの強み(演出・物販の標準化)を活かしつつ、下関・山口での開催を通じて新規ファンを着実に取り込む段階だ。キッズ向け企画や来場スタンプの“回遊導線”が、動員の質を底上げする。

KPIとロードマップ――2025-26の現実解

  • 勝率.550~.600(PO圏の安定化)、ホーム勝率.700の再現。
  • クラッチ(±5点、残り5分)でのNetRtg +5:ATO成功率の可視化と週次レビュー。
  • eFG%:+2pt改善、TOV%:-2pt改善:DHO→ズーム→PnR連鎖のテンポ設計で実現。
  • コーナー3被試投数の月次20%削減:X-OUTのトリガー共有と「最初の3歩」の徹底。

総括――“守備で試合をコントロールする”物語は次章へ

創設から短期間でここまで歩を進めてきた山口パッツファイブの価値は、数字以上に「挑戦の継続性」にある。2024-25の守備改善とプレーオフ初出場は通過点にすぎない。枝折新体制の下、サイズ×再現性×地域力を掛け合わせ、B3の地形図を塗り替える準備は整いつつある。次の一歩に必要なのは、試合ごとに積み重なる“1ポゼッションの質”。

この記事が観戦前の予習や、戦術・ロスター把握の地図になればうれしい。気になるポイントや推し選手の視点を、ぜひ周りにもシェアしてほしい。山口パッツファイブのオレンジが、あなたの声援でさらに濃く、熱くなる。