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【Bリーグ/愛媛オレンジバイキングス】徹底解説:サイボウズ子会社化と新ロスターで挑むB2西地区、低迷脱出への鍵【2025-26最新版】

愛媛オレンジバイキングスは、B2西地区での巻き返しを至上命題に掲げるクラブだ。bj創設期の大分ヒートデビルズから長い変遷を経て、愛媛一本化後は地域密着と競技力強化の両立に挑んできた。2024-25はリーグワースト級の「30連敗」を含む5勝55敗と厳しい成績だったが、2025年6月にはサイボウズの資本参画(議決権ベース50.15%)が決定。経営基盤の転換点を迎え、2025-26シーズンはペナ・ガルセス・マヌエルHCの下でロスターを再編し、マイケル・パーカーミッチェル・ワットマット・ハームスらサイズと経験を兼ね備える布陣で上位との差の可視化と短期改善を狙う。本稿では、ニュース要点、歴史的文脈、人物像、戦術・データ、他事例比較、将来展望までを一気通貫で編集し、検索・保存に耐える“百科型リライト”として整理する。

ニュース概要

2025-26開幕を前に、愛媛オレンジバイキングスは経営・編成の両面で大きく動いた。トピックは次の3点だ。

  • 資本・ガバナンス:2025年6月25日、運営会社がサイボウズの連結子会社に。議決権50.15%取得によりコーポレート体制が刷新され、中期投資の意思決定と人材採用の柔軟性が増す。
  • ロスター:主将は俊野佳彦。名将に仕えた実績豊富なマイケル・パーカーの加入(PF/43歳)でロッカールームの規律を強化。インサイドは2.21mのマット・ハームス(C)と、欧州で実績のあるミッチェル・ワット(C/PF)でサイズを確保。
  • ベンチ:ペナ・ガルセス・マヌエルHCギレルモ・サンチェス・ダサACによる欧州色の濃い戦術再構築。ハーフコート効率とリバウンドセキュリティを最優先テーマに置く。

会場は松山市総合コミュニティセンターを軸に県内分散開催の歴史を持つ。チームカラーは「オレンジ」。クラブ名は県産みかんと瀬戸内水軍文化に由来し、地域性の強いブランディングを継承している。

背景と歴史的文脈

2005年、bjリーグ初年度に大分ヒートデビルズとして誕生。資金難と再編を複数度乗り越えながら存続し、2015-16は愛媛と大分のダブルフランチャイズ、2016-17から愛媛オレンジバイキングスへ改称・一本化した。Bリーグ移行後はB2西地区を主戦場とし、2017-18の33勝27敗(得点王タプスコット)や2019-20の24勝23敗で勝ち越しを記録した一方、2020年代に入ると指揮官交代や主力離脱、パンデミックや登録の遅れなど複合要因で波が大きくなった。

特に2024-25はシーズン序盤から歯車が噛み合わず、リーグワースト級の30連敗を計上。最終成績は5勝55敗、得失点差-1,130で西地区最下位・リーグ最下位を喫した。ただし個人ではCのナイジェル・スパイクスがリバウンド王(12.00)を獲得するなど、断片的な強みは確認できた。

クラブ長期史では、bj期のアップダウン(2006-07 3位、2008-09 15連敗、2013-14運営引き継ぎ等)と、Bリーグ期の地域密着・育成路線の試行錯誤が交錯する。2025年のサイボウズ子会社化は、この長いボラティリティの終止符を目指す構造転換と言える。

選手・チームのプロフィール

2025-26ロスターの編成思想は「経験×サイズ×規律」。主な顔ぶれと役割は以下の通り。

  • PF 3 マイケル・パーカー(43)2.00m:Bリーグを代表する万能型フォワード。ボールに寄る感度とヘッジ→リカバリーの速さで守備の“共通速度”を上げる。終盤のフリースロー獲得やルーズボール確保も武器。
  • C 16 マット・ハームス(28)2.21m:圧倒的サイズのリムプロテクター。ドロップ守備の後退ラインを下げ、ドライバーの角度を限定。ハイローのフィニッシュで効率の良い2点を積む。
  • C/PF 50 ミッチェル・ワット(35)2.08m:欧州仕込みのハイポストパサー。ショートロールからコーナー、ダイブ、リフトの三択を創出し、攻撃の停滞を防ぐ。
  • SG 13 俊野佳彦(33/C)1.88m:キャプテン。2線の読みと寄せで失点期待値を下げる。クラッチではPnRからのプルアップで時間を止められる。
  • PG 2 古野拓巳(32)1.78m:ゲームテンポの調整役。セットアップとエントリーの丁寧さはリーグ上位。エンドゲームのA/TO安定化に直結。
  • PG 21 伊藤良太(33)PG 0 奥田雄伍(26):セカンドユニットの推進力。早い時間帯の0度ドライブで相手BIGを走らせる。
  • SF/PF 44 シャキール・ハインズ(32)2.01m:スイッチ耐性の高いフォワード。DREB→自走の一次攻撃も可能。
  • PF 65 玉木祥護(29)1.95m:フィジカルスクリーンとショートコーナーのミドル。2ndユニットの“整流”役。
  • SG/SF 1 林瑛司(28)SG 17 武内理貴(23)SG 20 原田大和(23):ウイングの運動量枠。トランジション3とカッティングでスペーシングを維持。
  • SG 6 平凌輝(特・22):サイズのある特別指定。終盤の守備交代要員としても有用。

ベンチはペナ・ガルセス・マヌエルHCがゲームモデルを再定義し、ギレルモ・サンチェス・ダサACと役割を細分化。GMは西井辰朗。フロント~現場の意思疎通を強め、ロスターの「役割の重複」を減らす狙いだ。

試合・出来事の詳細

直近3シーズンの主なイベントを時系列で整理する。

  • 2023-24:22勝38敗(西7位)。指揮官交代を経て全体12位で残留。組み合わせ次第で競るが、終盤のミス連鎖が課題。
  • 2024-25:開幕以降の噛み合わせ不良から30連敗5勝55敗、最下位。一方でCの個人成績は光り、ディフェンスリバウンドとブロックに可能性が残った。
  • 2025-26:サイボウズ子会社化を受け、規律・サイズ・経験で“再発防止”の設計。ハームス+ワットのBIG&BIG、あるいはパーカーを交えたBIG&SKILLで、ハーフコート効率の底上げを図る。

ホームは松山市総合コミュニティセンター(通称コミセン)を中心に、県内複数会場を活用。来場導線やファミリー層への訴求は継続中で、演出・MC・パフォーマンスクルーによる一体感づくりも資産である。

戦術・技術・スタイル分析

守備(ハーフコート):基本はドロップ+Nailヘルプ。ハームスがリム下を抑え、ウイングはPOA(Point of Attack)でドライブ角を限定する。ベースライン破綻時はLow-Manが早めにタグ、バックサイドはX-outでコーナーを救う。スイッチは相手が5アウトでペリメータ優位を作る局面に限定し、ワットを中心にサイズミスマネジメントを徹底。

守備(トランジション):ファーストバックの基準を「ボールサイド角度」に統一。2人目がリム守備、3人目がコーナーのパスライン遮断。ここでの“役割の迷い”を消すだけで、被3P試投を2~3本削れる計算だ。

攻撃(ハーフコート):一次はハイPNR(古野-ワット/ハームス)、二次はショートロール→ハンドオフ連鎖で守備の足を止める。ホーンズ・ツイストエレベーターで俊野のC&S、パーカーのフラッシュを引き出す終盤セットを用意。ショットプロファイルは「リム+コーナー3」に寄せ、ミドルはゲーム支配用の“保険”として設計する。

攻撃(トランジション):DREB後4秒以内の一次攻撃を推奨。ハインズのレーンラン、奥田・伊藤の早いエントリーで相手ビッグを走らせ、次の守備での足を削る。コーナーフィルは原田・林が担当し、ディープ2の打ち切りを抑制。

スペシャルシチュエーション:ATO(タイムアウト後)はパーカーのブラインドスクリーン→ゴーストで誤認識を誘発。サイドラインアウトはスタック→バックドアでリム到達を優先。エンドラインはボックス→ベースラインスクリーンでハームスの高さを活用する。

ファン・メディア・SNSの反応

2024-25の連敗時期には厳しい声が多かったが、若手の奮闘やCポジションのリバウンド支配にはポジティブな反応が目立った。2025年の資本参画発表後は、「経営の不確実性が下がった」「長期投資が可能に」といった期待感が広がり、チケット購入・グッズ需要にも反映。SNSでは#OrangeVikingsや地域タグと結びついたUGC(来場レポ、親子観戦記、アリーナ飯紹介)が増加傾向だ。

データ・記録・統計情報

  • B2近年成績:2016-17(29-31)、2017-18(33-27)、2018-19(20-40)、2019-20(24-23・打切)、2020-21(17-38)、2021-22(22-25)、2022-23(26-34)、2023-24(22-38)、2024-25(5-55)
  • 連勝・連敗記録:B2連勝8(2016-17、2019-20)。B2連敗30(2024-25)。
  • 主な個人タイトル:B2得点王(2017-18、2019-20:タプスコット)、B2アシスト王(2021-22:俊野達彦)、リバウンド王(2024-25:ナイジェル・スパイクス)
  • ショットプロファイル仮説:2024-25は被トランジション3増、DREB%低位、A/TO悪化が重なり「悪循環」。2025-26はBIGの併用でDREB%改善を優先、ペースを下げてもeFG%最大化を狙う。

リーグ全体への影響と比較分析

昇格志向のB2西地区では、近年大型の2枚使い+ペリメータ守備の規律が勝ち筋になっている。滋賀・熊本・佐賀(昇格前)などは、サイズとランニング、そしてクラッチのA/TO安定化で上位圏を確保した。愛媛オレンジバイキングスは2025-26にハームス×ワット×パーカーでその系譜に寄せ、ハーフコートの守備期待値をまず下げる方針。これにより、オフェンスが“普通”でも競り合いに持ち込める局面が増える。

一方で、2ビッグは「ペリメータでのカバー範囲の狭さ」「トランジション対応の遅延」という副作用を持つ。対策はウイングの先回り(林・原田・武内)とPGのファーストバック優先順位の明確化。走られるリスクを分散し、ハーフで勝負する土台を作ることが中位線への最短路だ。

今後の展望とまとめ

2025-26の実務KPIは以下の通りに置きたい。

  1. DREB%改善:リーグ平均比+3pt(ハームスとワットの同時起用時)。
  2. 被トランジション3抑制:試投本数を1試合あたり-2本。
  3. A/TO(クラッチ):最終5分接戦でのターンオーバー比率10%未満。
  4. ラインナップ効率:BIG&BIG時のNetRtgを±0以上に、BIG&SKILL時は+3以上を目標。
  5. コーナー3の生成:試投比率をチーム全3PAの22~25%に最適化。

若手の台頭は不可欠だ。特別指定の平凌輝、運動量のある原田・武内・林のウイング群が、守備の先回りとトランジション加速を支えれば、ベテラン依存のリスクは下がる。アカデミー(U15)・スクールとトップの導線を可視化し、県内バスケ文化の“面”を広げることも、中長期の勝ちに直結する。

最後に――愛媛オレンジバイキングスの再起は、クラブだけでなく地域の誇りを再点火するプロジェクトだ。この記事が役立ったら、ぜひ共有し、戦術・育成・経営の最適解について議論してほしい。あなたの声が、オレンジの帆を再び前へ進める風になる。