シャビパスクアル」タグアーカイブ

バルセロナ新政権がユーロリーグ開幕黒星:シャビ・パスクアル体制が迎えた試練の第一歩

シャビ・パスクアル復帰の開幕戦は黒星スタート

2025-26シーズンのユーロリーグが幕を開け、スペインの名門FCバルセロナは本拠地でアナドル・エフェス(トルコ)と対戦した。しかし結果はバルサにとって厳しいものとなり、復帰したシャビ・パスクアル新政権の初陣は黒星で始まった。欧州でも屈指の戦力を備えながら、試合の主導権を握りきれず落としたこの一戦は、シーズン開幕直後とはいえ大きな意味を持つ。

パスクアルは2008年から2016年までバルサを率いた名将であり、リーグ制覇やユーロリーグ優勝争いの常連だった時代を作り上げた人物でもある。その名将が再び戻ってきたことで、クラブ内外の期待は大きかった。しかし、初戦の敗北はバルサの現状が決して簡単ではないことを物語っている。

前半は優勢も後半で崩れたバルサ

試合の入りは悪くなかった。前半のバルセロナはテンポの良いパスワークと安定した守備でアナドル・エフェスに対してリードを奪い、ホームの観客を沸かせた。特にピック&ロールの展開から生まれるオフボールの動きが効果的で、外角シュートも高確率で決まっていた。

しかし後半になると、バルサの精度は徐々に落ち始める。アナドル・エフェスはフィジカルなプレッシャーを強め、1対1の状況を数多く作り出し、そこからのドライブやキックアウトで流れを掌握した。守備面でもスクリーンへの対応が綻び、ミスマッチを突かれ失点を重ねた。

最終クォーターでは、エフェスの外角が連続して決まり、さらにバルサが攻撃でリズムを崩したことで逆転を許す。終盤のクラッチタイムにおいて、バルサは判断の迷いと連携不足を露呈し、結果としてリードを守り切れなかった。

パスクアルが語った“移行期間の厳しさ”

試合後、シャビ・パスクアルは「移行期間に与えられた時間は多くない」と語り、チーム再建の難しさを率直に強調した。名将であっても、チームが抱える課題をすぐに解決できるわけではない。選手構成、戦術理解度、ローテーションの最適化、そしてメンタル面など、多くの要素を組み直す必要がある。

バルセロナはこの数年、国内リーグでもユーロリーグでも安定した成績を残せていない。レアル・マドリードが黄金期に突入し、バレンシアやバスコニアも力をつける中、バルサは「再起のプロセス」にいる。このタイミングでのパスクアル復帰は、クラブ改革の象徴と言えるが、今回の敗戦はその改革が簡単ではないことを改めて示した。

アナドル・エフェスの強さが際立った後半戦

アナドル・エフェスはここ数年のユーロリーグで常に優勝候補に挙げられるトップクラブであり、近年リーグ制覇も経験している。個人能力の高さに加え、チームとしての完成度が非常に高く、後半のバルサの失速を逃さず確実にスコアへつなげた。

特にバルサの守備が崩れた要因としては以下が挙げられる。

・スクリーンディフェンスの迷い
・ローテーションの遅れ
・1対1対応で後手に回った
・ベンチユニットのディフェンス強度不足
・外角シュートに対するクローズアウト不足

これらが重なり、後半だけで見るとエフェスが完全に主導権を握った内容だった。欧州トップレベルの攻防において、わずかな判断の遅れが失点につながるという典型例と言える。

欧州バスケの現実:細かな差が勝敗を分ける

ユーロリーグは世界でも最も戦術レベルが高いと言われるリーグであり、40分間のどこを切り取っても高密度の駆け引きが存在する。今回の試合は、以下のような“細部の差”が勝敗につながることを改めて示した。

・3秒の判断遅れが失点につながる
・ターンオーバー1つが流れを変える
・リバウンドの1本で試合のテンポが変わる
・クロージングの数ポゼッションで勝敗が分かれる

前半を優位に進めたバルサも、後半に要求される強度と精度を保てず、エフェスの試合巧者ぶりに屈した格好となった。ユーロリーグの戦いは、この「わずかな差」を埋められるかどうかが重要であり、名門バルサといえど例外ではない。

バルサが抱える構造的課題

今回の敗戦は単なる黒星ではなく、クラブが抱えるいくつかの課題を浮き彫りにした。

・ロスターの再構築
経験豊富なベテランと伸び盛りの若手の組み合わせは、魅力的ではあるが安定性に欠ける場面もある。

・戦術浸透不足
パスクアルの戦術は高度かつ緻密であり、短期間で浸透させるのは容易ではない。

・クラッチタイムの弱さ
近年のバルサは接戦での勝ち切りが課題であり、今季も改善の兆しはまだ見えていない。

・リバウンドの安定感不足
インサイドの高さやフィジカルで苦戦する試合が増えている。

これらは長期的な視点で解決すべき問題であり、パスクアルがどのようにアプローチしていくかは今後の大きな焦点だ。

スペイン4大クラブの中での立ち位置は?

スペインにはユーロリーグ常連の強豪が多く、バルセロナの現状は国内競争にも直結する。

・レアル・マドリードは依然として安定感抜群
・バスコニアは攻撃力で勝負
・バレンシアは着実に戦力を強化
・バルサは改革途上で浮き沈みが大きい

バルセロナは依然として“ブランド力”と“潜在能力”ではトップクラスだが、現実的なパフォーマンスは他クラブより一歩遅れていると言わざるを得ない。ただしシーズンは始まったばかりであり、パスクアル体制がフィットし始めれば後半戦での反転攻勢も十分に可能だ。

開幕黒星の先にあるもの

ユーロリーグは長丁場であり、開幕戦の敗北がそのままシーズン全体の結果に直結するわけではない。むしろ今の段階で課題が明確になったことは、パスクアルにとってポジティブな材料でもある。

彼はこれまでも戦術理解を重視し、細部にこだわるスタイルでチームを改善してきた指揮官だ。今回の敗戦も、彼の哲学に基づいた再調整によってチームを成長させる材料になるだろう。

バルサのシーズンはまだ始まったばかりだ。名門クラブとしての誇りを取り戻せるか。パスクアル体制の真価が問われるのは、ここからである。