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A千葉・大塚裕土が現役引退を表明|キャリア16年、B1昇格に導いたキャプテンがコートを去る

38歳、大塚裕土が今季限りで現役引退を発表

B.LEAGUE・A千葉のキャプテン、大塚裕土(38歳)が2025–26シーズン限りで現役を引退することを発表した。長年にわたり日本バスケットボール界を支え続けたシューターが、ついにキャリアの幕を下ろす。A千葉は公式リリースで「クラブ創設からの歩みを共にしたリーダーとして、チーム文化を築いた功績は計り知れない」とコメント。ファンやチームメイトからも惜別の声が相次いでいる。

青森から全国へ――16年のキャリアを振り返る

大塚は青森県出身。北陸高校から東海大学へ進学し、大学時代から正確な3ポイントシューターとして注目を集めた。2010年にリンク栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)でプロキャリアをスタート。以降、レバンガ北海道、秋田ノーザンハピネッツ、富山グラウジーズなど複数クラブを渡り歩き、経験とリーダーシップを磨いてきた。

どのチームでも彼の代名詞は「クラッチシューター」だった。試合終盤、わずかな隙を逃さず決めるコーナースリー。チームが苦しい時こそ落ち着いてプレーを整える姿勢は、後輩たちの手本となった。

A千葉での集大成:キャプテンとしてB1昇格を実現

2022年にA千葉へ加入。ベテランとしてチームに合流した大塚は、わずか3年でチームをB1昇格へと導いた。若手主体のチームをまとめ上げ、キャプテンとして試合外でもリーダーシップを発揮。2024–25シーズンにはA千葉がクラブ史上初のB1ステージに到達し、その精神的支柱として大塚の存在は不可欠だった。

プレータイムが減少しても、彼の役割はむしろ増していた。練習中の指導、ベンチでの声掛け、そして試合後のレビュー――すべてにおいてチーム文化の根を育てる人物だった。A千葉の若手選手は「大塚さんがいたからこそB1に行けた」と口を揃える。

3ポイントの名手、そして“文化を作るリーダー”

通算3ポイント成功数はB.LEAGUE歴代でも上位に位置し、キャリア成功率も40%を超える精度を誇る。だが、数字以上に評価されたのは「チームの空気を変える力」だ。コート内外での冷静な判断、指導者へのフィードバック、ファンとの距離の近さ――彼は単なる選手ではなく、組織をつなぐ“橋渡し役”だった。

特に2023–24シーズンのプレーオフでは、出場時間わずか10分ながらも2本の重要な3Pを沈め、試合の流れを変えた。会場が一瞬静まり返り、その後歓声に包まれたあのシーンは、A千葉ファンの記憶に深く刻まれている。

本人コメント:「ここまで続けられたのは支えてくれた人たちのおかげ」

引退発表に際し、大塚はクラブ公式サイトを通じて次のようにコメントした。

「ここまで16年間、プロとしてプレーを続けられたのは、家族、仲間、そしてファンの皆さんの支えがあったからこそです。A千葉でキャプテンとしてB1の舞台に立てたことは、僕のバスケット人生の誇りです。これからは、選手としてではなく、次の形でバスケットボールに恩返ししていきたいと思います。」

ファン・メディア・選手からの惜別の声

SNS上では「大塚キャプテンありがとう」「あなたの3Pで何度救われたか分からない」「A千葉の魂」といった感謝のメッセージが相次いだ。かつてのチームメイト・富樫勇樹(千葉J)は「大塚さんの声がチームを整えていた。リーダーとは何かを教えてくれた人」とコメント。各地のクラブ関係者からも「現場に“文化”を残した数少ない選手」として称賛の声が寄せられている。

引退後の展望:指導者・フロント・解説者…次のステージへ

今後については明言されていないが、A千葉関係者によると「クラブ内で何らかの形で関わり続ける可能性がある」という。これまでの経験と人望を考えれば、指導者・フロントスタッフ・メディア解説など、いずれの道にも適性があるだろう。本人も「バスケから離れるつもりはない」と話しており、次世代の育成に携わる未来が期待されている。

まとめ:A千葉の象徴が残したもの

大塚裕土のキャリアは、数字では語りきれない価値に満ちている。3ポイントの美しさだけでなく、チームを導く姿勢、仲間への思いやり、そしてバスケットボールという文化への誠実な愛。彼が残したのは、勝利以上の“哲学”だ。

38歳でコートを去るその背中は、若い世代にとって「プレーで語るリーダーシップとは何か」を教える教材となる。大塚裕土――その名はA千葉の歴史と共に、これからも日本バスケの記憶に刻まれ続ける。