【Bリーグ/大阪エヴェッサ】走るバスケ再起動──Bリーグ西地区の現在地と舞洲アリーナ発・集客モデルの行方

ニュース概要

大阪エヴェッサは、2024-25シーズンから指揮を執る藤田弘輝ヘッドコーチの下でロスターを大幅刷新し、B1西地区29勝31敗(勝率.483)とプレーオフ圏をうかがう位置まで回復した。ホームは舞洲アリーナ(収容約7,056人)。2023-24には観客動員7,336人(2024/03/31 対レバンガ北海道)が確認され、関西大都市圏における 箱+アクセス+演出 の総合力で存在感を放つ。チームのDNAである「走るバスケ」を、守備の再現性と共にどう再起動させるかが現在の焦点だ。

本稿は、ニュースの要点に加えて、背景と経緯選手・チームのプロフィール試合・出来事の詳細他事例との比較・分析、そして今後の展望までを一気通貫で整理する。主要キーワードである大阪エヴェッサ/Bリーグ/舞洲アリーナ/西地区/走るバスケは、タイトル・小見出し・冒頭・結論の各所に自然に配置した。

背景と経緯

2005年、前身のNPO「大阪ディノニクス」のトップチームを継承する形で大阪エヴェッサが誕生。bjリーグ初期に3連覇(2005-06/2006-07/2007-08)を達成し、 DYNASTY(王朝) の異名を得た。
その後の長期戦略では、広域巡回型から舞洲アリーナへの定住(2016年発表〜移転)で 都市型・専拠点 モデルへ舵を切る。Bリーグ時代は浮沈を経つつも、2019-20:26勝15敗(西2位)2020-21:34勝20敗(西2位)と高勝率の年も記録。一方、2021-22:21勝36敗(西8位)2023-24:25勝35敗(西7位)など再整備の必要性が明確化していた。

2024-25は藤田弘輝HCが新就任。外国籍の総入替を含む編成刷新に踏み切り、レイ・パークスJr.マット・ボンズライアン・ルーサーヴォーディミル・ゲルンらを獲得。結果、勝率5割に迫る29勝31敗でシーズンを終え、土台の再構築を印象づけた。運営はヒューマンプランニング株式会社(ヒューマングループ)。カラーはパッショナリーレッド/マジェスティックブラック/キングリーゴールド。マスコットはまいどくん

選手・チームのプロフィール

2025-26(B1西地区)ロスターの骨格は以下の通り(主な役割を付記)。

  • レイ・パークスJr.(SG):ドライブの初速とショットバリエーション。ハーフコートの「自作自演」枠。
  • マット・ボンズ(PF):スイッチ適性と運動量が売り。ディフェンスから走るリズムメーカー。
  • ライアン・ルーサー(F/C):ピック&ポップの射程とリバウンド位置取り。スペーサー兼フィニッシャー。
  • ヴォーディミル・ゲルン(C):サイズと接触耐性。ペイント防御とダイブの脅威。
  • 鈴木達也(PG):ボールプレッシャーとゲームコントロール。終盤の整理役。
  • 合田怜(G):2番もこなすコンボ。スポットアップとハードワーク。
  • 牧隼利(G):セカンドユニットの得点源。ハンドオフからの決断が速い。
  • 竹内譲次(PF):経験値と対話力。若手の位置取りを正す 基準点 。
  • 青木保憲・木下誠・坂本聖芽:プレス時のローテ要員。テンポアップ局面の人員資源。

チームが掲げるのは、創成期からの合言葉である「走るバスケ」の再設計。奪って走る→早打ち一辺倒ではなく、守備→一次トランジション→二次ブレイク→セット再展開までの 連続性 を重視する。具体的には、①ボンズのスイッチ守備/②ゲルンのリムプロテクト/③ルーサーの外角スペーシングを一枚の設計図に収め、④パークスJr.の決定力で終盤を締める構図だ。

試合・出来事の詳細

2024-25:29勝31敗(西4位)は、ディフェンスの土台づくりの年として位置づけられる。アウェイ14勝16敗と健闘し、ホーム15勝15敗で分を保った。地区内は13勝15敗、地区外は16勝16敗。得失点は-106とマイナスにとどまったが、接戦の 最後の2ポゼッション で取りこぼしが目立ったシーズンでもある。

演出面では、舞洲アリーナを中心とした 都市型ホーム の強みが発揮された。2023-24の最大7,336人に見られるように、週末カードでの送客が太い。一方で、平日ナイトゲームの最適化はBリーグ全体の共通課題。大阪は公共交通の選択肢が豊富なため、アクセス案内のUI/UX退館動線の明確化30~45分観戦パッケージ(ハーフ観戦・遅入場/早退場の価格設計)など、「短時間でも行く理由」の設計が引き続きポイントとなる。

コミュニティ施策では、アリーナDJ(たつを)の情報発信、BT/bt’sの一体感演出、さらには関西ならではの 笑い との親和性が継続的な武器。bj期からのRun To Win!の文脈を、Bリーグのエンタメ要件に合わせてアップデートしている。

他事例との比較・分析

地方都市型のクラブと異なり、大阪エヴェッサ大都市圏×専拠点という前提条件を持つ。ここから導かれる経営/競技の論点は次の三つだ。

  1. 施設×演出の高度化
    舞洲アリーナは収容7,000超のミドルレンジ箱。Bプレミア級の 体験価値 要件に照らせば、VIP動線・ラウンジ・飲食多様性・ファミリー導線といった時間単価の最大化が鍵。音響・照明・スクリーン演出の連携も、 競る試合の没入感 に直結する。
  2. 収益ポートフォリオの再配列
    スポンサー露出は胸・背・パンツ・ブロックごとの細分化モデルを継続しつつ、高単価のホスピタリティデジタル広告(配信中の視認枠)会員ロイヤルティ(CRM)を積む。「1試合あたりの総粗利」を押し上げるには、EC×会場購買のクロスセル可処分時間の上積みが効く。
  3. 競技力の 勝ち切り 設計
    終盤の2ポゼッションを取るために、パークスJr.のスプリット→ショートロール(ルーサー)→コーナー再循環、またはゲルンのディープシール→ショートフック2点の取り方を増やす。守備はボンズの先導でスイッチ/ICE/ドロップを相手起用に合わせて 試合中に 切替える柔軟性がポイントだ。

他クラブ比較では、大都市圏×中規模箱の成功例が示す通り、平日の動員高付加価値席の稼働が収益の分水嶺になる。大阪はアクセス優位を持つぶん、 仕事帰り30~60分でも楽しめる 商品の磨き込みで優位を拡大できる余地が大きい。

今後の展望とまとめ

大阪エヴェッサの中期的なKPIは、①勝率>.550②ホーム稼働率>85%③平均客単価の継続上昇④再来場率⑤ホスピタリティ席の稼働。競技面では、クラッチの2点期待値TO抑制が優先順位の高い改善領域だ。編成面では、 走るバスケ の再現性を高めるため、リム守備×リバウンド×一次トランジションの継続投資が要る。若手の育成/台頭(特にガードのゲーム管理能力の底上げ)は、シーズンの 底 を支える。

事業面は、舞洲アリーナを 滞在価値の高い場所 にし続けられるかがカギ。動線のUI/UX飲食の多様性家族連れの過ごしやすさ配信との二面展開(来場×遠隔)を一体で設計することで、関西の夜を彩る選択肢としての強度が増す。
結論大阪エヴェッサは、 走るバスケ を都市型ホームで磨き直す段階に入った。西地区での競争を勝ち切るには、終盤2ポゼッションの意思決定演出×収益の高度化を同時進行で積み上げたい。この記事が、ブースターの視点共有と議論の起点になれば幸いだ。気づきがあれば、#大阪エヴェッサでシェアして議論に参加してほしい。Bリーグの中で、大阪発の走るバスケが再びトレンドの中心に躍り出るか――舞洲からの次の一歩に注目だ。