3XS(トライクロス)|日本発の3×3リーグが描く“次世代バスケ”の形

3XS(トライクロス)とは

3XS(トライクロス)は、2022年に誕生した日本国内の3×3バスケットボールリーグであり、年間を通じて競技が行われる「日本初のシーズン制3×3リーグ」として注目を集めている。正式名称は「3×3 Xross Sports League」。FIBA(国際バスケットボール連盟)の理念に準じつつ、地域活性化・社会連携・エンターテインメント性を融合した次世代型リーグとして発展を続けている。

リーグの構造とシステム

3XSは、男子・女子それぞれに複数ディビジョンを持ち、昇格・降格のある本格的なリーグ制度を採用している。

  • Division 1:男子トップカテゴリー。ホームゲーム開催義務あり。
  • Division 2:男子下位カテゴリー(UNISON/URBANカンファレンス制)。
  • WOMAN Division:女子部門。3×3女子選手の育成と発信を担う。

各ディビジョンでは「ラウンド制」を採用しており、5月〜翌年1月にかけて複数ラウンドを開催。各ラウンドの勝敗と得点率でポイントを積み上げ、年間チャンピオンを決定する。

特徴① 年間を通じたリーグ制

従来の3×3はトーナメント形式が主流だったが、3XSは「通年制リーグ」として運営されている点が大きな特徴である。これにより、選手・チームが戦術面での成長を重ねながらシーズンを戦うことができ、ファンも“物語”として応援を継続できる仕組みを実現している。

特徴② 地域密着とホーム開催

各チームは地元自治体や企業と連携し、地域拠点でのホームゲームを義務化。試合会場は商業施設、駅前広場、市役所前など多岐にわたり、地域の人々が“身近にプロスポーツを体験できる”新しい形を提示している。3×3特有の屋外開催により、音楽・DJ・ストリートカルチャーと融合した独自の世界観が形成されている。

特徴③ 社会とつながるスポーツモデル

3XSが掲げるスローガンは「Beyond Sports」。単なる競技の勝敗に留まらず、社会・文化・環境との共生を理念にしている。

  • 年齢・性別・国籍を超えた「誰もが挑戦できる舞台」。
  • 地域経済の活性化、観光・教育との連携イベント開催。
  • 環境配慮(リユース・リサイクル)やサステナブル運営の推進。

このように、スポーツを社会インフラの一部として機能させる取り組みが進んでいる。

試合形式とルール

試合はFIBA3x3ルールに準拠し、10分または21点先取で勝敗が決まる。攻撃時間は12秒、コートはハーフ制。スピード・判断力・フィジカルを求められる3×3特有の試合展開は、観客にとっても短時間でドラマチックな観戦体験を提供する。

女子リーグの発展

WOMAN Divisionでは、女子選手のキャリア継続と社会進出を両立する仕組みを重視。学生・社会人を問わず、女性アスリートが自らのライフスタイルに合わせて参加できる新しいスポーツモデルとして注目されている。女子3×3の成長は、3XS全体の価値をさらに高めている。

運営理念とビジョン

3XSは「スポーツで社会をつなぐ」という明確な理念を持ち、次の3つの柱を掲げている。

  1. Connection:地域・人・企業をつなぐ。
  2. Challenge:誰もが挑戦できる機会を創出。
  3. Change:スポーツの力で社会を変える。

このビジョンのもと、リーグは競技面だけでなく、教育・文化・環境の各分野とも連携している。

課題と展望

課題

  • メディア露出の強化とリーグ認知度の向上。
  • チーム間の運営格差・資金力の均衡化。
  • 5人制との兼任選手に対する制度設計。

展望

  • FIBA3x3 World Tourとの連携を強化し、世界大会出場を視野に。
  • U18〜U23の育成世代との接続による選手発掘ルートの確立。
  • 地域密着型のクラブモデルを通じ、自治体連携型スポーツ文化を醸成。

まとめ

3XS(トライクロス)は、3×3バスケットボールを“通年制プロリーグ”として発展させた日本独自の取り組みである。競技性・社会性・エンターテインメント性を併せ持つこのリーグは、バスケットボールの新しい形を示しており、今後の日本スポーツ界のモデルケースとして期待されている。

次世代のアスリート、そして地域社会をつなぐ架け橋として、3XSは“Beyond Sports”というビジョンを現実のものにしつつある。